7 / 78
第一章 突然始まった非現実
6.
しおりを挟む
6.
ユラユラと心地よい揺れを感じていた気がする。安心出来る温かさに身を任せていたあれは、夢だったのだろうか。
閉じた目蓋に眩しい光を感じて、意識が覚醒し始める。無防備に開いた―何の心構えもしていなかった―視界に飛び込んできたのは、目の前にせまる男の人の胸元。服の上からでもわかる厚い胸元にぎょっとして、視線をあげれば、髭に覆われた顔、髪の隙間からのぞく鋭い眼光と目があった。
「っ!?」
驚きで固まってしまった体とは裏腹に、一瞬で目覚めた頭は、状況を理解しようと高速で回転し始める。そして思い出した。自分の身に起きたこと。自分がどこに居るのか。無表情に見おろすこの男の人が誰だったか。
全て思い出して、悪夢みたいな出来事が現実だということに胸が重くなっていく。よみがえった不安と恐怖に、また押し潰されそうになったところで、頭上から声がふってきた。
「…泣くな。何もしていない。安心しろ」
抑揚の無い声に、そう言えば、と今の状況のおかしさに気づく。確か、昨日は大泣きしてしまって、その後の記憶が無いから、多分、そこで寝てしまったんだろうけれど。なぜ、この人と一緒に寝ているのかがわからない。
見ず知らずの、昨日出会ったばかりの男の人相手に、自分がとった行動。その危うさにようやく思いいたり、血の気がひいた。私が寝てしまった後、一体何があったのだろうか。
「…目が覚めたのなら、手を離せ。腹に何か入れたら、直ぐに出発する」
何かを言ったヴォルフの視線が下りた先。つられて目で追えば、さっきは気づかなかったけれど、ヴォルフの胸元、その部分の服をしっかりと握りしめているのは自分の手で―
『!?ごめんなさい!』
「…」
慌てて手を離したけれど、服にはしっかりと引っ張られた跡。一体いつの間に?どれだけの力でしがみついていたんだろう。
こちらが手を離した途端、さっさと起き上がったヴォルフはそれ以上は何も言わずに、焚き火の後始末を始めた。慌てて自分も起き上がるが、何をどうすれはいいのか。とりあえず、敷かれていた毛布を畳んでヴォルフに手渡した。
「…ああ」
受け取ったヴォルフがそれを腰のポーチにしまうのを見て、ハッとした。
『お姉ちゃんの振袖!?』
「?」
持ってない!慌てて周囲を見渡してみるけど、どこにもない。泣きそうになりながら、ヴォルフを見上げた。首をかしげたヴォルフが、思い至ったように、ポーチから取り出してくれたのは、探していた振袖。差し出されたそれをギュッと抱き締めた。
『ありがとう!』
見上げたヴォルフは無表情のままだけれど。今の自分にとって一番大事な振袖を、大切にしまってくれていた。彼の優しさが本当に嬉しかった。
「…納得したか?盗ろうというわけではない。移動の邪魔になるから収納しておくだけだ」
ヴォルフが自分のポーチと振袖を交互に指差して説明してくれている。やっぱり預かってくれるということなんだろう。今度は素直にうなずいて、彼に振袖を渡した。スルスルとポーチに吸い込まれていくのを最後まで見守って、ヴォルフを見上げる。
『ありがとう、ヴォルフ。私、足手まといだろうけど、頑張ります。よろしくお願いします』
何とか感謝を伝えたくて、頭を下げた。
「…とりあえず、腹ごしらえだ」
通じてはいなさそうだけど、ヴォルフに促されて地面に腰を下ろした。渡されたのは黒いパン。硬いそれは、歯をたてるだけでも一苦労する。思いっきりかじりついてもなかなか噛みきれずに四苦八苦していれば、ヴォルフの視線を感じて、顔を上げた。
『ヴォルフ?』
「…待っていろ」
急に立ち上がったヴォルフに、慌てて自分も立ち上がろうとするのを、手で制される。再び腰を下ろしたところで、ヴォルフが森の方へと歩きだした。
急にどうしたんだろう?ここに居ろということなんだろうけれど。
ヴォルフの姿が森の中へ消えてしまい、不安が募る。置いていかれたのではない、はず。そんな雰囲気では無かったと思うのだけれど。不安でじっとしていられずに、立ち上がる。でも、勝手に動いたら迷惑をかけてしまうかも。再び地に腰を下ろす。恐い。立てた膝を抱え込んで、顔を埋めた。
どのくらい、そうしていたのだろう―
「…どうした?何かあったか?」
『!?ヴォルフ!』
頭上から突然降ってきた声に弾かれて、顔をあげる。直ぐ目の前に立つヴォルフ。こんなに近づくまで、彼が戻ってきたことに全く気づかなかった。足音だって全然聞こえなかった。
ヴォルフがしゃがみこんで、何かを差し出す。これは?果物?黄色い林檎みたいな何かと、ヴォルフの顔を交互に眺める。
「食べろ」
握ったままだった黒パンを取り上げられて、代わりにその果物を持たされた。食べろということなのだろうか?近くの大きな岩に腰を下ろしたヴォルフが、私のかじりかけの黒パンに歯を立てる。あの硬いパンを普通に食べられることにも驚きだけれど、それよりも、
―わざわざ、採ってきてくれた?
私が、パンを食べるのに苦労していたから?探してきてくれた?
正直、そんなことをしてくれるような人には見えないし。会ったばかりの相手にそこまでしてくれるなんてと驚いてしまった。恐る恐る口に運んだ果物は、少し酸味の強い林檎みたいな味がした。美味しくて、それに何より、食べやすい。あっという間にきれいに食べきった。
―やっぱり、私のため、何だろうな
水筒に口をつけているヴォルフをチラリと見る。一瞬だったのに、その視線に気づいたヴォルフと目が合った。
「…何だ?まだ、食べるか?」
『ヴォルフ、本当にありがとう』
お礼を言ったら、ポーチから更に果物が出てきて渡されそうになったけど。今度は首を振ってそれを断った。気にした様子もなく果物を引っ込めたヴォルフが立ち上がる。出発するのだろう。彼に続いて、自分も立ち上がった。それを確かめたヴォルフが、背を向けて歩き出す。彼の背を追いながら、思う。
信じられない状況で、家に帰る方法もわからない。気を抜くと、またすぐに不安に押し潰されそうになるけれど、
―ヴォルフで良かった
出会えたのが、私を拾ってくれたのが彼で。絶望的な状況で、前を向ける。まだ不安でたまらないけど、それでも、何とか家に帰る方法を見つけようって思えるようになっている。彼の見せる優しさに、救われている。
ユラユラと心地よい揺れを感じていた気がする。安心出来る温かさに身を任せていたあれは、夢だったのだろうか。
閉じた目蓋に眩しい光を感じて、意識が覚醒し始める。無防備に開いた―何の心構えもしていなかった―視界に飛び込んできたのは、目の前にせまる男の人の胸元。服の上からでもわかる厚い胸元にぎょっとして、視線をあげれば、髭に覆われた顔、髪の隙間からのぞく鋭い眼光と目があった。
「っ!?」
驚きで固まってしまった体とは裏腹に、一瞬で目覚めた頭は、状況を理解しようと高速で回転し始める。そして思い出した。自分の身に起きたこと。自分がどこに居るのか。無表情に見おろすこの男の人が誰だったか。
全て思い出して、悪夢みたいな出来事が現実だということに胸が重くなっていく。よみがえった不安と恐怖に、また押し潰されそうになったところで、頭上から声がふってきた。
「…泣くな。何もしていない。安心しろ」
抑揚の無い声に、そう言えば、と今の状況のおかしさに気づく。確か、昨日は大泣きしてしまって、その後の記憶が無いから、多分、そこで寝てしまったんだろうけれど。なぜ、この人と一緒に寝ているのかがわからない。
見ず知らずの、昨日出会ったばかりの男の人相手に、自分がとった行動。その危うさにようやく思いいたり、血の気がひいた。私が寝てしまった後、一体何があったのだろうか。
「…目が覚めたのなら、手を離せ。腹に何か入れたら、直ぐに出発する」
何かを言ったヴォルフの視線が下りた先。つられて目で追えば、さっきは気づかなかったけれど、ヴォルフの胸元、その部分の服をしっかりと握りしめているのは自分の手で―
『!?ごめんなさい!』
「…」
慌てて手を離したけれど、服にはしっかりと引っ張られた跡。一体いつの間に?どれだけの力でしがみついていたんだろう。
こちらが手を離した途端、さっさと起き上がったヴォルフはそれ以上は何も言わずに、焚き火の後始末を始めた。慌てて自分も起き上がるが、何をどうすれはいいのか。とりあえず、敷かれていた毛布を畳んでヴォルフに手渡した。
「…ああ」
受け取ったヴォルフがそれを腰のポーチにしまうのを見て、ハッとした。
『お姉ちゃんの振袖!?』
「?」
持ってない!慌てて周囲を見渡してみるけど、どこにもない。泣きそうになりながら、ヴォルフを見上げた。首をかしげたヴォルフが、思い至ったように、ポーチから取り出してくれたのは、探していた振袖。差し出されたそれをギュッと抱き締めた。
『ありがとう!』
見上げたヴォルフは無表情のままだけれど。今の自分にとって一番大事な振袖を、大切にしまってくれていた。彼の優しさが本当に嬉しかった。
「…納得したか?盗ろうというわけではない。移動の邪魔になるから収納しておくだけだ」
ヴォルフが自分のポーチと振袖を交互に指差して説明してくれている。やっぱり預かってくれるということなんだろう。今度は素直にうなずいて、彼に振袖を渡した。スルスルとポーチに吸い込まれていくのを最後まで見守って、ヴォルフを見上げる。
『ありがとう、ヴォルフ。私、足手まといだろうけど、頑張ります。よろしくお願いします』
何とか感謝を伝えたくて、頭を下げた。
「…とりあえず、腹ごしらえだ」
通じてはいなさそうだけど、ヴォルフに促されて地面に腰を下ろした。渡されたのは黒いパン。硬いそれは、歯をたてるだけでも一苦労する。思いっきりかじりついてもなかなか噛みきれずに四苦八苦していれば、ヴォルフの視線を感じて、顔を上げた。
『ヴォルフ?』
「…待っていろ」
急に立ち上がったヴォルフに、慌てて自分も立ち上がろうとするのを、手で制される。再び腰を下ろしたところで、ヴォルフが森の方へと歩きだした。
急にどうしたんだろう?ここに居ろということなんだろうけれど。
ヴォルフの姿が森の中へ消えてしまい、不安が募る。置いていかれたのではない、はず。そんな雰囲気では無かったと思うのだけれど。不安でじっとしていられずに、立ち上がる。でも、勝手に動いたら迷惑をかけてしまうかも。再び地に腰を下ろす。恐い。立てた膝を抱え込んで、顔を埋めた。
どのくらい、そうしていたのだろう―
「…どうした?何かあったか?」
『!?ヴォルフ!』
頭上から突然降ってきた声に弾かれて、顔をあげる。直ぐ目の前に立つヴォルフ。こんなに近づくまで、彼が戻ってきたことに全く気づかなかった。足音だって全然聞こえなかった。
ヴォルフがしゃがみこんで、何かを差し出す。これは?果物?黄色い林檎みたいな何かと、ヴォルフの顔を交互に眺める。
「食べろ」
握ったままだった黒パンを取り上げられて、代わりにその果物を持たされた。食べろということなのだろうか?近くの大きな岩に腰を下ろしたヴォルフが、私のかじりかけの黒パンに歯を立てる。あの硬いパンを普通に食べられることにも驚きだけれど、それよりも、
―わざわざ、採ってきてくれた?
私が、パンを食べるのに苦労していたから?探してきてくれた?
正直、そんなことをしてくれるような人には見えないし。会ったばかりの相手にそこまでしてくれるなんてと驚いてしまった。恐る恐る口に運んだ果物は、少し酸味の強い林檎みたいな味がした。美味しくて、それに何より、食べやすい。あっという間にきれいに食べきった。
―やっぱり、私のため、何だろうな
水筒に口をつけているヴォルフをチラリと見る。一瞬だったのに、その視線に気づいたヴォルフと目が合った。
「…何だ?まだ、食べるか?」
『ヴォルフ、本当にありがとう』
お礼を言ったら、ポーチから更に果物が出てきて渡されそうになったけど。今度は首を振ってそれを断った。気にした様子もなく果物を引っ込めたヴォルフが立ち上がる。出発するのだろう。彼に続いて、自分も立ち上がった。それを確かめたヴォルフが、背を向けて歩き出す。彼の背を追いながら、思う。
信じられない状況で、家に帰る方法もわからない。気を抜くと、またすぐに不安に押し潰されそうになるけれど、
―ヴォルフで良かった
出会えたのが、私を拾ってくれたのが彼で。絶望的な状況で、前を向ける。まだ不安でたまらないけど、それでも、何とか家に帰る方法を見つけようって思えるようになっている。彼の見せる優しさに、救われている。
20
あなたにおすすめの小説
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
王女殿下のモラトリアム
あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」
突然、怒鳴られたの。
見知らぬ男子生徒から。
それが余りにも突然で反応できなかったの。
この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの?
わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。
先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。
お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって!
婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪
お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。
え? 違うの?
ライバルって縦ロールなの?
世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。
わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら?
この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。
※設定はゆるんゆるん
※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。
※明るいラブコメが書きたくて。
※シャティエル王国シリーズ3作目!
※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。
上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。
※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅!
※小説家になろうにも投稿しました。
傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました
みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。
ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。
行動あるのみです!
棗
恋愛
※一部タイトル修正しました。
シェリ・オーンジュ公爵令嬢は、長年の婚約者レーヴが想いを寄せる名高い【聖女】と結ばれる為に身を引く決意をする。
自身の我儘のせいで好きでもない相手と婚約させられていたレーヴの為と思った行動。
これが実は勘違いだと、シェリは知らない。
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
公爵令嬢は嫁き遅れていらっしゃる
夏菜しの
恋愛
十七歳の時、生涯初めての恋をした。
燃え上がるような想いに胸を焦がされ、彼だけを見つめて、彼だけを追った。
しかし意中の相手は、別の女を選びわたしに振り向く事は無かった。
あれから六回目の夜会シーズンが始まろうとしている。
気になる男性も居ないまま、気づけば、崖っぷち。
コンコン。
今日もお父様がお見合い写真を手にやってくる。
さてと、どうしようかしら?
※姉妹作品の『攻略対象ですがルートに入ってきませんでした』の別の話になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる