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第十六章 家に帰った
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アデリナから話を聞いたのだろう、翌朝、出立前の勇者に頭を下げれば、嫌そうな顔はされたが、同行を拒否されることはなかった。
王都を出てから、魔族領まで、大きく転移で跳びながらの移動は、体への負担が大きく、エラを気遣って合間には休憩も取られたけれど。
フラフラになりながら、たどり着いた宿では一人部屋。多分、エラと二人になることを警戒されている。
うずくまった寝台の上。溜まった疲労で動けない。気分が悪い。
いつかを、思い出す。転移に酔って、入った宿。隣に居てくれたぬくもり。手を伸ばせば、そこに、アッシュ様が居て。
時間が経って、何となく、そうだったらって希望だけど、アッシュ様が私を切り捨てたのは、私を思ってのことなのかな、て考えるようになってきた。
先輩なら、こんな風に誰かを切り捨てないって言い切れるけど。アッシュ様のことなんて、本当は、ほとんど何にも知らない。わからない。
でも、優しくしてくれた。弱ってたら気遣ってくれて、へこんでたら慰めてくれて。側に居てくれた。だから、その希望にすがる。嫌われたわけじゃないって。最後の朝も、笑って、いってらっしゃいって言ってくれた。
確かめよう。アッシュ様にあって。だから、帰る。アッシュ様の所に。
だけど、涙が出る。止められない。明日には、明日には、また、歩き出すから。今は―
アデリナから話を聞いたのだろう、翌朝、出立前の勇者に頭を下げれば、嫌そうな顔はされたが、同行を拒否されることはなかった。
王都を出てから、魔族領まで、大きく転移で跳びながらの移動は、体への負担が大きく、エラを気遣って合間には休憩も取られたけれど。
フラフラになりながら、たどり着いた宿では一人部屋。多分、エラと二人になることを警戒されている。
うずくまった寝台の上。溜まった疲労で動けない。気分が悪い。
いつかを、思い出す。転移に酔って、入った宿。隣に居てくれたぬくもり。手を伸ばせば、そこに、アッシュ様が居て。
時間が経って、何となく、そうだったらって希望だけど、アッシュ様が私を切り捨てたのは、私を思ってのことなのかな、て考えるようになってきた。
先輩なら、こんな風に誰かを切り捨てないって言い切れるけど。アッシュ様のことなんて、本当は、ほとんど何にも知らない。わからない。
でも、優しくしてくれた。弱ってたら気遣ってくれて、へこんでたら慰めてくれて。側に居てくれた。だから、その希望にすがる。嫌われたわけじゃないって。最後の朝も、笑って、いってらっしゃいって言ってくれた。
確かめよう。アッシュ様にあって。だから、帰る。アッシュ様の所に。
だけど、涙が出る。止められない。明日には、明日には、また、歩き出すから。今は―
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