49 / 64
後編 タワー編
3-1. 攻略と期待と悪意
しおりを挟む
3-1.
最初の挑戦から三日後、最低限の準備を整え、タワー100階層踏破に挑む日が来た。しばらくは街を不在にするため、一応、レイヒャーのところにも挨拶に顔を出したのだが―
「ミア殿!ブレン殿!ご武運を!お戻りになられた際には、是非是非、私ども、レイヒャー商会に!」
「…」
商売っ気を前面に押し出しながらも、私達の成功には微塵の疑いも抱いていなさそうなレイヒャー。その満面の笑顔に、先日決めた「ドロップ品ほぼ無し」の可能性は告げられないまま、店を後にした。
その後、タワーまでは何事もなくすんなりとたどり着けたのだが、
「…荷物持ちの件は断ったはずだけど」
「気にするな。勝手についていくだけだ」
「おう。俺達はバッシュにつき合ってるだけだからな。こっちも気にすんな」
「…」
どうやら待ち構えていたらしいバッシュ達につかまった。タワーに着いた瞬間から後をついてくる彼らのことは、極力気にしないことにして、向かったタワー上層への階段、ダンジョンの入口、
「カードの提示をお願いします」
「はい」
「パーティー『星影』のミアさんと、ブレンさんでお間違い無いですか?」
「はい」
受付の確認の言葉に頷けば、周囲にざわめきが起きた。
「?」
何が起きたのかと、周囲を見回せば、
「おうおう、注目されてんなあ、嬢ちゃん達!」
「今や『星影』は、期待の新鋭!一躍時の人ってやつだな!」
「…」
私達をその「時の人」にした一端を確実に担っているだろうバッシュ達の冷やかし。ブレンの機嫌が急降下していく。
「…行こう、ブレン」
出発前からこれでは、道中が思いやられると危惧していたのだが―
予感はある意味的中し、バッシュ達を鬱陶しがったブレンは、鬱憤は晴らすかの勢いでモンスターをなぎ倒しながら突き進んでいく。おかげで何もすることのない私は、ただ置いていかれないようについていくだけなのだけど、
―ちょっと、予想外
早々に振りきれるだろうと思っていたバッシュ達がぴったりとついてくる。中々振りきることの出来ない彼らに、ブレンが鬱陶しそうに向けた視線、バッシュ達がニヤリと笑って応えた。
「おうおう!俺達もくさっても上位冒険者!50階層までなら、何度だってのぼってんだ!見くびんなよ!」
「兄ちゃんが露払いしてくれるおかげで、モンスターとの遭遇も全然無いからなあ」
「…」
ボス戦闘で引き離したと思っても、気付けはバッシュ達に追い付かれている状況に―不機嫌は変わらないが―ブレンもとうとう諦めたらしい。移動のスピードも幾分緩やかになった。
そしてもう一つ、前回と違ってブレンを鬱陶しがらせるもの、ボス階層に入った際のアナウンス―
そこで流れる『星影』の名に、ボス階層にたどり着いた途端、その場の視線が一斉にこちらを向くという現象が起きた。それだけならまだしも、私達がボス部屋に入れば、少なくない数のパーティーが後から入ってきてはブレンの戦いを見学していく。ブレンの戦い方―ほとんどが一刀両断―では、何の参考にもならないと思うのだけれど。
そんな前回との違いにブレンが若干荒れたりもしたが、階層が上がるにつれて徐々に冒険者の数も減っていき、50階層にたどり着いた頃には、ブレンの機嫌も何とか持ち直していた。
結局、50階層にたどり着いたのは私達とバッシュのパーティーのみ。あとは、50階層に元から常駐しているらしい『ガイラスの夜明け』のパーティーが一組居るだけだった。
時計で確かめれば、前回より到着時間は幾分早い。それでも、
「…今日はここで夜営だね。明日、『デュラハン』を倒してから上に行こう」
「ああ」
壁際、夜営のための場所を確保したところで、バッシュが近づいてきた。
「よお、嬢ちゃん達。どうだ?こっちで一緒に飯にしねえか」
彼が、親切で言っているのだろうことはわかるけれど、
「…ごめん、遠慮しとく」
「付き合い悪いやつらだなぁ」
そう言いながらも、バッシュは笑って仲間の元へ帰っていく。
「…」
その背中に少しは気が咎めたが、彼らと一緒では、食事さえままならないから。
荷物の中から、二人分の携帯食を取り出す。
何度かの練習でわかったこと。目の前に無いものを『万物創造』で造り出すのには、かなりの量の魔力を持っていかれる。この世界に無いものなら、なおさら。そこで考えたのが、実際に目の前にあるものをコピーし、万物創造する方法。この方法なら魔力が枯渇することはまず無いので、いざという時に魔力不足、という事態に陥らずに済む。
―万物創造
詠唱すれば、失った魔力の代わりに現れた携帯食。コピー元と寸分違わぬそれは新しいコピー元としてしまいこみ、持ち込んだ携帯食の方をブレンに渡す。
「はい、ブレン」
「…」
黙って受け取ったブレンは、文句も言わずにそれを食べ始めた。それを見守って、自分も同じものを口に運ぶが、
「…」
この方法の欠点は、タワー攻略が終わるまで、ひたすら同じものを食べ続けないといけないということ。
「…飽きたら言ってね?」
「?」
その時は、多少無理をしてでも、別の何かを造ろう。
食事を終え、持ち込んだ毛布にくるまれて横になる。しばらくすると、ボス部屋の扉の一つが内から開いた。身を起こすブレン。視線の先、喧騒とともに部屋から出てきたのは10人ほどの男女、そこに、何人かの見知った顔があった―
「おー。なんだ、レオン、お前達、上に行ってたのか。攻略は進んでんのか?」
「ああ、まあな」
集団のリーダーであるレオン、バッシュの気安い問いかけに答える彼の視線はブレンに注がれている。
アイリーやカイ達を含む他のメンバー達が、彼らの拠点に移動していく中、一人だけ集団を離れたレオンが近づいてきた。
「よお。あんたらも来てたんだな。てことは、明日からは同じ60階層を目指すもん同士ってことか」
「…」
ブレンを見る男の目に、初めて見る挑発的な光。
「まあ、お互い、上手くやろうや」
「…」
最後に不敵に笑った男は、こちらを睨み続けているアイリーや仲間の元、攻略拠点に戻って行った。
翌朝、目覚めた時には既にレオンやアイリー達の姿はなかった。ブレン曰く、数時間前には出ていったということだが、そんな時間に彼らの気配で目覚めたらしいブレンの体調の方が心配になる。気にしながらも朝食を終え、いざ出発という段階で、今度は何やらバッシュ達が騒ぎ出した。
「止めるな!俺は行く!」
「俺らの実力じゃ、無理だっつってんだろうが!」
「離せ!」
朝から元気というか、何というか。
「…何やってるの?」
「あー、嬢ちゃんからも言ってくれよ。バッシュのやつ、『デュラハン』に挑むっつって聞かねえんだよ」
「俺は!絶対にこいつらについてくんだ!タワー踏破をこの目で!」
「…」
正直、彼がそこまで本気だとは思っていなかった。ほとんど冗談、冷やかしだろうと思っていたから。
「あのなぁ、俺らじゃついてくのはここらが限度だって」
「うるせー!俺は!」
「…バッシュ、これ以上はついてこないで、あなたを連れては行けない」
「!?」
先程までの大騒ぎが嘘のように、バッシュがピタリと黙り込む。
「…だけど、ボス部屋にはついてきて。ついてきて、ブレンの戦いを見てて」
ブレンと同じことをやれとは言わない。でも、
「少しでも、参考にして。あなた達の攻略の手がかりにして欲しい」
「…嬢ちゃん」
「…ということになっちゃった。ごめん、お願いします、ブレン」
目まで潤ませてしんみりするバッシュとは対照的に、表情の消えてしまったブレン。
本来なら、デュラハンとは私の魔法中心で戦うはずだった。それをブレンにお願いしたのは、バッシュ達のパーティーには―信じられないことに―魔法使いがいないため、私のやり方では参考にさえならない。勝手に決めてしまった話に頭を下げれば、ブレンは嘆息しながらも頷いてくれた。
その後、危なげなくデュラハンを倒したブレンに、バッシュがまた一騒ぎしたりもあったけど。「打倒!デュラハン」を誓った彼らは、一度ここで折り返すことを決めた。
「…ありがとな、姉ちゃん」
「ううん。バッシュ達も、頑張って」
「おう!じゃあな、気を付けて行ってこいよ!下で待ってるからな!戻ってきたら、一番に俺が話を聞いてやる!」
バッシュの言葉に、思い出した―
「そうだ、バッシュ」
「ん?どうした」
「これ、バッシュ達にあげる」
「って!嬢ちゃんこれ!?」
差し出したのは、ここまでのボスドロップ。既にブレンの戦闘の邪魔になり始めたので私が運んでいたそれを、バッシュに手渡した。
「結構嵩張るから、多分、どこかで廃棄することになってたと思う。それよりは、バッシュ達にもらって欲しい」
「貰えねえよ!他のもんはともかく『デュラハンの鞭』なんざ、俺たちじゃ手に入らねえ。貰っちまったら、返すことも出来んだろうが!」
別に、返してもらう気は全く無かったのだけれど―
「じゃあ、『いつか』。バッシュ達がデュラハンを倒した時に、返してくれればいい」
「…俺達が、か。そうだな、次、あいつをやるのは俺達の番、だな?」
バッシュの瞳に見えるのは、ブレンがよく見せる―昨夜はレオンも垣間見せていた―闘争の光。どうやら、バッシュにも火がついたらしい。
「あと、一つだけお願いがあって。アイテムの換金は、レイヒャー商会でして欲しい」
「そりゃ、構わないが」
「ありがとう。これで、私達もアイテムを無駄にしなくて済む」
バッシュ達に別れを告げ、歩き出す。
「…死ぬんじゃねぇぞ」
背後から聞こえた声に、振り向いて、手を振った。
最初の挑戦から三日後、最低限の準備を整え、タワー100階層踏破に挑む日が来た。しばらくは街を不在にするため、一応、レイヒャーのところにも挨拶に顔を出したのだが―
「ミア殿!ブレン殿!ご武運を!お戻りになられた際には、是非是非、私ども、レイヒャー商会に!」
「…」
商売っ気を前面に押し出しながらも、私達の成功には微塵の疑いも抱いていなさそうなレイヒャー。その満面の笑顔に、先日決めた「ドロップ品ほぼ無し」の可能性は告げられないまま、店を後にした。
その後、タワーまでは何事もなくすんなりとたどり着けたのだが、
「…荷物持ちの件は断ったはずだけど」
「気にするな。勝手についていくだけだ」
「おう。俺達はバッシュにつき合ってるだけだからな。こっちも気にすんな」
「…」
どうやら待ち構えていたらしいバッシュ達につかまった。タワーに着いた瞬間から後をついてくる彼らのことは、極力気にしないことにして、向かったタワー上層への階段、ダンジョンの入口、
「カードの提示をお願いします」
「はい」
「パーティー『星影』のミアさんと、ブレンさんでお間違い無いですか?」
「はい」
受付の確認の言葉に頷けば、周囲にざわめきが起きた。
「?」
何が起きたのかと、周囲を見回せば、
「おうおう、注目されてんなあ、嬢ちゃん達!」
「今や『星影』は、期待の新鋭!一躍時の人ってやつだな!」
「…」
私達をその「時の人」にした一端を確実に担っているだろうバッシュ達の冷やかし。ブレンの機嫌が急降下していく。
「…行こう、ブレン」
出発前からこれでは、道中が思いやられると危惧していたのだが―
予感はある意味的中し、バッシュ達を鬱陶しがったブレンは、鬱憤は晴らすかの勢いでモンスターをなぎ倒しながら突き進んでいく。おかげで何もすることのない私は、ただ置いていかれないようについていくだけなのだけど、
―ちょっと、予想外
早々に振りきれるだろうと思っていたバッシュ達がぴったりとついてくる。中々振りきることの出来ない彼らに、ブレンが鬱陶しそうに向けた視線、バッシュ達がニヤリと笑って応えた。
「おうおう!俺達もくさっても上位冒険者!50階層までなら、何度だってのぼってんだ!見くびんなよ!」
「兄ちゃんが露払いしてくれるおかげで、モンスターとの遭遇も全然無いからなあ」
「…」
ボス戦闘で引き離したと思っても、気付けはバッシュ達に追い付かれている状況に―不機嫌は変わらないが―ブレンもとうとう諦めたらしい。移動のスピードも幾分緩やかになった。
そしてもう一つ、前回と違ってブレンを鬱陶しがらせるもの、ボス階層に入った際のアナウンス―
そこで流れる『星影』の名に、ボス階層にたどり着いた途端、その場の視線が一斉にこちらを向くという現象が起きた。それだけならまだしも、私達がボス部屋に入れば、少なくない数のパーティーが後から入ってきてはブレンの戦いを見学していく。ブレンの戦い方―ほとんどが一刀両断―では、何の参考にもならないと思うのだけれど。
そんな前回との違いにブレンが若干荒れたりもしたが、階層が上がるにつれて徐々に冒険者の数も減っていき、50階層にたどり着いた頃には、ブレンの機嫌も何とか持ち直していた。
結局、50階層にたどり着いたのは私達とバッシュのパーティーのみ。あとは、50階層に元から常駐しているらしい『ガイラスの夜明け』のパーティーが一組居るだけだった。
時計で確かめれば、前回より到着時間は幾分早い。それでも、
「…今日はここで夜営だね。明日、『デュラハン』を倒してから上に行こう」
「ああ」
壁際、夜営のための場所を確保したところで、バッシュが近づいてきた。
「よお、嬢ちゃん達。どうだ?こっちで一緒に飯にしねえか」
彼が、親切で言っているのだろうことはわかるけれど、
「…ごめん、遠慮しとく」
「付き合い悪いやつらだなぁ」
そう言いながらも、バッシュは笑って仲間の元へ帰っていく。
「…」
その背中に少しは気が咎めたが、彼らと一緒では、食事さえままならないから。
荷物の中から、二人分の携帯食を取り出す。
何度かの練習でわかったこと。目の前に無いものを『万物創造』で造り出すのには、かなりの量の魔力を持っていかれる。この世界に無いものなら、なおさら。そこで考えたのが、実際に目の前にあるものをコピーし、万物創造する方法。この方法なら魔力が枯渇することはまず無いので、いざという時に魔力不足、という事態に陥らずに済む。
―万物創造
詠唱すれば、失った魔力の代わりに現れた携帯食。コピー元と寸分違わぬそれは新しいコピー元としてしまいこみ、持ち込んだ携帯食の方をブレンに渡す。
「はい、ブレン」
「…」
黙って受け取ったブレンは、文句も言わずにそれを食べ始めた。それを見守って、自分も同じものを口に運ぶが、
「…」
この方法の欠点は、タワー攻略が終わるまで、ひたすら同じものを食べ続けないといけないということ。
「…飽きたら言ってね?」
「?」
その時は、多少無理をしてでも、別の何かを造ろう。
食事を終え、持ち込んだ毛布にくるまれて横になる。しばらくすると、ボス部屋の扉の一つが内から開いた。身を起こすブレン。視線の先、喧騒とともに部屋から出てきたのは10人ほどの男女、そこに、何人かの見知った顔があった―
「おー。なんだ、レオン、お前達、上に行ってたのか。攻略は進んでんのか?」
「ああ、まあな」
集団のリーダーであるレオン、バッシュの気安い問いかけに答える彼の視線はブレンに注がれている。
アイリーやカイ達を含む他のメンバー達が、彼らの拠点に移動していく中、一人だけ集団を離れたレオンが近づいてきた。
「よお。あんたらも来てたんだな。てことは、明日からは同じ60階層を目指すもん同士ってことか」
「…」
ブレンを見る男の目に、初めて見る挑発的な光。
「まあ、お互い、上手くやろうや」
「…」
最後に不敵に笑った男は、こちらを睨み続けているアイリーや仲間の元、攻略拠点に戻って行った。
翌朝、目覚めた時には既にレオンやアイリー達の姿はなかった。ブレン曰く、数時間前には出ていったということだが、そんな時間に彼らの気配で目覚めたらしいブレンの体調の方が心配になる。気にしながらも朝食を終え、いざ出発という段階で、今度は何やらバッシュ達が騒ぎ出した。
「止めるな!俺は行く!」
「俺らの実力じゃ、無理だっつってんだろうが!」
「離せ!」
朝から元気というか、何というか。
「…何やってるの?」
「あー、嬢ちゃんからも言ってくれよ。バッシュのやつ、『デュラハン』に挑むっつって聞かねえんだよ」
「俺は!絶対にこいつらについてくんだ!タワー踏破をこの目で!」
「…」
正直、彼がそこまで本気だとは思っていなかった。ほとんど冗談、冷やかしだろうと思っていたから。
「あのなぁ、俺らじゃついてくのはここらが限度だって」
「うるせー!俺は!」
「…バッシュ、これ以上はついてこないで、あなたを連れては行けない」
「!?」
先程までの大騒ぎが嘘のように、バッシュがピタリと黙り込む。
「…だけど、ボス部屋にはついてきて。ついてきて、ブレンの戦いを見てて」
ブレンと同じことをやれとは言わない。でも、
「少しでも、参考にして。あなた達の攻略の手がかりにして欲しい」
「…嬢ちゃん」
「…ということになっちゃった。ごめん、お願いします、ブレン」
目まで潤ませてしんみりするバッシュとは対照的に、表情の消えてしまったブレン。
本来なら、デュラハンとは私の魔法中心で戦うはずだった。それをブレンにお願いしたのは、バッシュ達のパーティーには―信じられないことに―魔法使いがいないため、私のやり方では参考にさえならない。勝手に決めてしまった話に頭を下げれば、ブレンは嘆息しながらも頷いてくれた。
その後、危なげなくデュラハンを倒したブレンに、バッシュがまた一騒ぎしたりもあったけど。「打倒!デュラハン」を誓った彼らは、一度ここで折り返すことを決めた。
「…ありがとな、姉ちゃん」
「ううん。バッシュ達も、頑張って」
「おう!じゃあな、気を付けて行ってこいよ!下で待ってるからな!戻ってきたら、一番に俺が話を聞いてやる!」
バッシュの言葉に、思い出した―
「そうだ、バッシュ」
「ん?どうした」
「これ、バッシュ達にあげる」
「って!嬢ちゃんこれ!?」
差し出したのは、ここまでのボスドロップ。既にブレンの戦闘の邪魔になり始めたので私が運んでいたそれを、バッシュに手渡した。
「結構嵩張るから、多分、どこかで廃棄することになってたと思う。それよりは、バッシュ達にもらって欲しい」
「貰えねえよ!他のもんはともかく『デュラハンの鞭』なんざ、俺たちじゃ手に入らねえ。貰っちまったら、返すことも出来んだろうが!」
別に、返してもらう気は全く無かったのだけれど―
「じゃあ、『いつか』。バッシュ達がデュラハンを倒した時に、返してくれればいい」
「…俺達が、か。そうだな、次、あいつをやるのは俺達の番、だな?」
バッシュの瞳に見えるのは、ブレンがよく見せる―昨夜はレオンも垣間見せていた―闘争の光。どうやら、バッシュにも火がついたらしい。
「あと、一つだけお願いがあって。アイテムの換金は、レイヒャー商会でして欲しい」
「そりゃ、構わないが」
「ありがとう。これで、私達もアイテムを無駄にしなくて済む」
バッシュ達に別れを告げ、歩き出す。
「…死ぬんじゃねぇぞ」
背後から聞こえた声に、振り向いて、手を振った。
33
お気に入りに追加
2,328
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
【完結】転生したら少女漫画の悪役令嬢でした〜アホ王子との婚約フラグを壊したら義理の兄に溺愛されました〜
まほりろ
恋愛
ムーンライトノベルズで日間総合1位、週間総合2位になった作品です。
【完結】「ディアーナ・フォークト! 貴様との婚約を破棄する!!」見目麗しい第二王子にそう言い渡されたとき、ディアーナは騎士団長の子息に取り押さえられ膝をついていた。王子の側近により読み上げられるディアーナの罪状。第二王子の腕の中で幸せそうに微笑むヒロインのユリア。悪役令嬢のディアーナはユリアに斬りかかり、義理の兄で第二王子の近衛隊のフリードに斬り殺される。
三日月杏奈は漫画好きの普通の女の子、バナナの皮で滑って転んで死んだ。享年二十歳。
目を覚ました杏奈は少女漫画「クリンゲル学園の天使」悪役令嬢ディアーナ・フォークト転生していた。破滅フラグを壊す為に義理の兄と仲良くしようとしたら溺愛されました。
私の事を大切にしてくれるお義兄様と仲良く暮らします。王子殿下私のことは放っておいてください。
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
ざまぁ を目指すショートショート
リコピン
恋愛
「簡潔で鮮やかなざまぁ」を目標に掲げたショートショート集です。
・一話完結です
・一万字以下を目指しています
・タイトルがあらすじです
・不定期更新です
【完結】記憶が戻ったら〜孤独な妻は英雄夫の変わらぬ溺愛に溶かされる〜
凛蓮月
恋愛
【完全完結しました。ご愛読頂きありがとうございます!】
公爵令嬢カトリーナ・オールディスは、王太子デーヴィドの婚約者であった。
だが、カトリーナを良く思っていなかったデーヴィドは真実の愛を見つけたと言って婚約破棄した上、カトリーナが最も嫌う醜悪伯爵──ディートリヒ・ランゲの元へ嫁げと命令した。
ディートリヒは『救国の英雄』として知られる王国騎士団副団長。だが、顔には数年前の戦で負った大きな傷があった為社交界では『醜悪伯爵』と侮蔑されていた。
嫌がったカトリーナは逃げる途中階段で足を踏み外し転げ落ちる。
──目覚めたカトリーナは、一切の記憶を失っていた。
王太子命令による望まぬ婚姻ではあったが仲良くするカトリーナとディートリヒ。
カトリーナに想いを寄せていた彼にとってこの婚姻は一生に一度の奇跡だったのだ。
(記憶を取り戻したい)
(どうかこのままで……)
だが、それも長くは続かず──。
【HOTランキング1位頂きました。ありがとうございます!】
※このお話は、以前投稿したものを大幅に加筆修正したものです。
※中編版、短編版はpixivに移動させています。
※小説家になろう、ベリーズカフェでも掲載しています。
※ 魔法等は出てきませんが、作者独自の異世界のお話です。現実世界とは異なります。(異世界語を翻訳しているような感覚です)
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる