バグ発見~モブキャラの私にレベルキャップが存在しなかった~

リコピン

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後編 タワー編

2-5. Side B

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2-5. 

視線が、鬱陶しい―

「やるなあ、あんた!あんだけの動きが出来る人間なんざ初めて見たぜ!」

「ねえ、ブレン?お願い、うちのギルドに入ってよ。あなたがいれば、絶対にタワーを攻略出来る!」

胸くそ悪くなる目で、こいつを見るな―

「あなたが望むなら、この女からあなたを自由にしてあげる!うちのギルドには、それくらいの力、財力だってあるんだよ?」

こいつは、俺のもんだ―

「ねえ!ブレン!?聞いてる!?」

「…」

やかましい雑音の向こうで、ミアを見る男の視線が気にくわない。

「ねえ、ブレン?あなたなら、もっと強くなれるんだよ?この女に奴隷にされちゃったせいで、レベルだって上がってないんでしょう?」

「…」

その一言に、ミアを向いていた男の視線が女に向けられた。同時に、周囲が煩くなる。

「そういや、50階層ボスまで一人でやったってのに、兄ちゃん、レベル上がってねえな」

「…アイリー、どういうことだ?」

「わからないけど、ブレンは本当なら、もっと強いはずなの」

お前が、俺の何を知るという―

「なのに、この女がブレンを奴隷にしたせいで、彼は弱くなってる」

勝手に人のことを語りだした女を鼻で笑う。

「…ブレン、わかっていないのかもしれないけど、私なら、あなたをもっと強くしてあげられるんだよ?レベル30だって越えられるんだから」

こちらへと、女の手が伸びてくる。

「ブレン、ね?私の手をとって」

「…ミア、行くぞ」

「!?ちょっと!ブレン!」

「…」

女の怒声に下を向いたミア。誰とも顔を合わせないようにして店を出る。

「ミア?」

「ふふ。ごめん、おかしくって」

「?」

「アイリーに笑っちゃった。私って性格悪いから」

「…」

ミアが何を笑っているのかはわからないが、その表情には安堵が見える。

あの男の視線にミアが気づいていないなら、あの男を気にかけていないなら、それでいい。

「…ミア、アイテム回収は最低限た。無理なものは全て諦める」

「…ボスドロップも?」

「ああ」

「…うん、わかった」




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