バグ発見~モブキャラの私にレベルキャップが存在しなかった~

リコピン

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後編 タワー編

1-5. Side B

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1-5.

扉の向こうに消えたミア。立ち上がり、後を追おうとして、先程の「二人にしろ」の言葉がそれを阻んだ。立ち上がったまま、ミアの気配が間違いなく隣、壁一枚向こうにあることを確かめる。声までは聞こえない、が、気配は探れる。

何かあれば、壁一つぶち抜いて飛び込むと決め、部屋の中を歩き回る。そうやって無為な時間をやり過ごしていれば、

「ブレン殿、少々落ち着かれてはいかがかな?」

存在さえ忘れていた男の言葉。

「全く、困ったものですなぁ」

己を見て吐かれた男の言葉が、神経をザラつかせる。

「時に、ブレン殿。ミア殿は、未だ『赤竜の瞳』をお持ちですか?」

「…」

「彼女は、金欠と仰りながら、なぜ、あれを手離さないのでしょうね?」

思いも到らなかった男の言葉。だが、確かに―

「正直申し上げますと、あのオークションでの取引は、私ども、非常に儲けさせて頂きました。ミア殿が選んだ『赤竜の瞳』では、我々、些か頂きすぎ、でございましたな」

「…何だと?」

聞き咎めた言葉を問い返せば、大袈裟に反応する男、

「おやおや!ですが、ミア殿はそれをご承知の上で、それでも質的に落ちるあの『赤竜の瞳』をお手元に残されたようですよ?」

「…どういう意味だ?」

「さあ?あの『赤竜の瞳』にどういった経緯があるのかを私、存じ上げませんので、どういう意味があるのかはわかりかねますな」

「…」

煙に巻く男の態度に、これ以上は関わるまいと決める。

「…ミア殿に、直接、尋ねられてはいかがでしょう?恐らく、お二人にとっては大事なことではないかと。老婆心ながら、愚考いたしますよ?」

「…」

最後にそう告げた男の、それまでとは違う言葉の響きが、妙に耳に残った。




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