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前編 学園編

3-4.

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3-4.

闘技場を後にしながら、気になっていたことをブレンに訊ねる。

「ブレン、一回くらいは、攻撃受けた?」

「そんなわけがあるか」

返ってきた返事は、ある意味予想通りで。

「…それは、ちょっと、やり過ぎだったんじゃ」

「何だ?お前が言ったんだろうが、圧倒しろと」

「いや、まあ、そうなんだけど」

私とブレンの『圧倒』に差があり過ぎることを失念していた。終わったことだからと諦めながらも、何か問題になることはないだろうかと悩み始めたところで、真剣味を帯びたブレンの声、

「…ミア、あの女だが、少し妙な気がする。なるべく、あいつには近寄るなよ」

「妙?」

「ああ。試合バトル前に、レベルについて妙なことを口走っていた」

「試合前か、何て?」

中でどんな会話がなされたか、ドームで覆われた後では、外からは全くわからない。

「俺に対してだと思うが、『レベル24は【バグ】。弱体化している』、みたいなことだな」

「!?」

ブレンはアイリーの言葉をそのまま口にしたのだろう、こちらの世界では耳馴染みの無い『バグ』という単語が、いやに耳に触る。しかもその言い方からすると、どうやら本来のブレンのレベルまでも知っていたらしい。ならやはり、ほぼ間違いなく、彼女も転生者―

「気を付けろ」と再び忠告してくるブレンに頷いて、その顔を見上げた。

アイリーのことについては、この際、放っておこうと思っている。彼女に対して何かするつもりはないから、下手に動く必要もないだろう。ただ、自己防衛として、こちらの情報は出来るだけ秘匿しておきたい。

だとしたら、やはり、次の試合は―

ブレンの顔を、もう一度見上げる。

今日の試合は、ブレンがそう言うのだから、きっとかなりの圧勝だったはずだ。それは、ゲームにおいても確かにそうだった。なら、

―どう、思っていたんだろう?

ブレンは、レベル上限の無いヒロインのことを―

一度は力で圧倒した相手が、やすやすと自分を越えていく。レベル上限で停滞することも、苦しむことも無いヒロインという存在。ブレンの目には一体、彼女がどう映っていたのだろう―?




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