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【潜入】衝撃の舞台裏、みんなの憧れの学園でまさかの… ▶15話
#5 エマージェンシー…
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(…今日も、安定のボッチ…)
移動教室を終え、留学受け入れクラスである二年淑女科教室への廊下を歩く。エルは二年魔法科への留学だから、本当のボッチ。お昼を一緒に食べる相手さえいない。
(…私も魔法科が良かった。)
一緒にお昼は無理でも、同じ教室にエルが居るだけで違うのに。魔法科には「実技演習」があると知ったルキが、「危ねぇだろ!?」の一言で一蹴してしまった。…男女混合クラスだったせいではない、と思いたい。
「…あ。」
(なんでこんなところに…?)
廊下の突き当り、右に曲がれば教室というその場所に、何故かフローラの姿。しかも、彼女は一人ではなく─
「はっきりおっしゃって下さい、フローラ様。マルクス様とはただのご友人だと。」
「…それは、勿論、マルクスはただの友人よ。」
「っ!?ならば、何故、マルクス様を呼び捨てになさるのです!?マルクス様は、フレデリカのっ!」
「それに!毎日毎日、マルクス様を呼び出しているそうじゃないですか!?フレデリカはマルクス様にお会いすることすら出来ていないんですよ!?」
「…それは、私のせいでは。…彼がどこで何をしたいか、決めるのはマルクス本人でしょ?」
(うわー…)
フローラはどうやら、フレデリカさんとご友人の二人に呼び出し?をくらっているらしい。
(…その割には随分と、堂々とした態度。)
今も、「困ったわー」程度の困惑具合で、フレデリカチームと対峙している。そのどこか緊迫感のない態度が、余計にフレデリカチームを煽るらしい。段々ヒートアップしていく三人に、どうしたものかと思ったけれど、
(…ここは、三人を止めに入って、フローラに取り入るべき?)
懐に飛び込むチャンスかもしれない。だったらと、気合を入れて近づいた。
「…あのー、すみません。」
「っ!?」
「お話の内容はともかくですが、やはり多勢に無勢はどうかと思います。」
「っ!?なっ!?誰なのあなた!?」
「通りすがりの、」
言いかけたところで、背後からこちらへ向かって駆けて来る足音が聞こえた。振り向いた先には、鬼気迫る表情の─
「どけっ!邪魔だ!」
「っ!?」
思いっきり、押しのけられた。倒れはしなかったものの、よろめいた身体を、壁に手をついて支える。
「フローラ!っ!貴様ら!妹に何をしているっ!?」
「っ!リーンハルト様、…私達はただ、フローラ様に態度を改めて頂きたく、お願いにあがっただけで…」
「態度だと?フローラの何かを非難できるほど、貴様たちが偉いとういのか?」
「…申し訳ありません。ですが、フローラさまが親しくされているマルクス様は、こちらのフレデリカと婚約している身なのです。どうか、フローラ様にも節度ある、」
「今度は節度か?勘違いも甚だしい!一体、フローラがマルクスに何をしたというのだ?友人として親しくすることになんの問題がある。マルクスが、それ以上の気持ちをフローラに抱いているというのなら、それはあの男の問題だろう!」
「っ!?」
「…マル、クス様には、既に一度、お願いを…」
「ふん。それで、願いを聞かぬからと、今度はフローラに脅しをかけに来たわけか。…浅ましい。そんなもの、マルクスを引き留められぬ貴様の不徳であろう?」
「っ!」
(ヒドい…)
とうとうフレデリカ嬢が泣きだした。そのまま逃げ出してしまったフレデリカ嬢を、残りの二人が慌てて追う。最後にフローラをひと睨みしていったお友達はなかなか根性があると思った。
「…おい、何を見ている。」
「え…?」
「チッ、これだから下賤の血は。」
「…」
(えー…)
「貴様、どうやらアイツらの仲間ではないようだが、フローラに何をするつもりだった?」
「…あの、一応、仲裁を、」
「余計な手出しをするな。」
「え…?」
「貴様のことは調べた。カレンと言ったか。隣国から留学して来たといのは事実らしいが、貴様、平民だそうだな。」
「はい。…それが何か問題ですか?」
この学園でも、成績優秀な者であれば、平民の入学は許されている。差別が全くないわけではないけれど、表向き生徒はみな平等。だから、私の淑女科への留学も許されている。
(…偽名は使ってるけど。)
「…ふん。大方、どこぞでフローラが平民育ちだという噂でも聞きつけたんだろう?それをネタにフローラに取り入ろうという腹だろうが、貴様とフローラではそもそもの生まれが違う。貴様ごときがフローラと同じ人間だと思うな。」
「…」
(えー…)
「いいか、二度とフローラに近寄るなよ。」
言うだけ言って気の済んだらしいリーンハルトが、フローラをエスコートしてその場を後にする。
(何それ、何それ、何それ…)
憤懣やるかたない。下心ありとはいえ、一応、正義の行いをしようとしていた身としては、高慢男の発言は腹が立つなんてものじゃなかった。
内心で、高慢男への罵詈雑言を吐きながら、教室へと歩き出す。自席に着いた時には、一通りの呪詛を吐き終わって、若干、心も癒された。
(…疲れた。…ちょっと、休憩。)
取り出した教科書を眺めるふりで、周囲の女の子達の会話をさりげなく拾っていく。一番の目的は、フローラに関する話題。フローラの新たな犠牲者の名前があがらないか、こういうことは、女の子の方が情報が早かったりするから。本来なら、校舎のあちこちに顔を出して、情報を拾い集めるべきなんだけど、
(今日は、手抜き…)
そう決めて、学内をうろつくことはせずに、教室の会話に専念する。ちょっと、休憩。その、つもりだったのに─
「やっぱり、ルキ先生、かっこいいー!」
(っ!?)
「えー、でも、所詮、平民でしょ?S級冒険者って言っても、ねー?」
突然のルキの名前、しかも、褒められてディスられてる。
(…どっちも嫌。)
ルキが「カッコいい」と言われるのも、馬鹿にされるのも。無関心でいてくれればいいのに、ルキのカッコよさがそれを許してくれないらしい。
「あら、S級冒険者と言えば、隣国では二十人しか存在しないエリート中のエリートよ?王侯貴族に拝謁する権利もあるんだから。」
「えっ!?そうなの!?じゃあ、ルキ先生、やっぱり凄い人なんだ!」
ルキを称賛してくれたご令嬢の言葉に、再び、場が盛り上がる。
(…あの人。)
称賛してくれることには感謝するけれど、それ以上に嫉妬が勝るから、ご令嬢の顔をさりげなくチェックしておく。
(…後で、名前も調べよう…)
「あーあ。ルキ先生、このままずっと、学園の先生してくれないかなー。」
「でも、ルキ先生、婚約者いるんでしょ?無理めじゃない?」
「そうなんだよねー。」
ルキのおかげか、ルキの容姿に騒いでも、本気ではなさそうなクラス女子たちの雰囲気に安堵、する間もなく─
「無理じゃないわよ?」
「え!?」
(え!?)
「私、先生の秘密知ってるの。それを使えば、ルキ先生だって、きっと、ね?」
「えー!なにそれ!気になるー!」
(私もっ…!!)
「だーめ、流石に言えない。…これは、私と先生だけの秘密だから。」
「えー!?」
(ひ、みつ…、ルキと…、秘密…)
顔だけでなく、早急にご令嬢の名前を確認しなくちゃいけない事態が発生した─
移動教室を終え、留学受け入れクラスである二年淑女科教室への廊下を歩く。エルは二年魔法科への留学だから、本当のボッチ。お昼を一緒に食べる相手さえいない。
(…私も魔法科が良かった。)
一緒にお昼は無理でも、同じ教室にエルが居るだけで違うのに。魔法科には「実技演習」があると知ったルキが、「危ねぇだろ!?」の一言で一蹴してしまった。…男女混合クラスだったせいではない、と思いたい。
「…あ。」
(なんでこんなところに…?)
廊下の突き当り、右に曲がれば教室というその場所に、何故かフローラの姿。しかも、彼女は一人ではなく─
「はっきりおっしゃって下さい、フローラ様。マルクス様とはただのご友人だと。」
「…それは、勿論、マルクスはただの友人よ。」
「っ!?ならば、何故、マルクス様を呼び捨てになさるのです!?マルクス様は、フレデリカのっ!」
「それに!毎日毎日、マルクス様を呼び出しているそうじゃないですか!?フレデリカはマルクス様にお会いすることすら出来ていないんですよ!?」
「…それは、私のせいでは。…彼がどこで何をしたいか、決めるのはマルクス本人でしょ?」
(うわー…)
フローラはどうやら、フレデリカさんとご友人の二人に呼び出し?をくらっているらしい。
(…その割には随分と、堂々とした態度。)
今も、「困ったわー」程度の困惑具合で、フレデリカチームと対峙している。そのどこか緊迫感のない態度が、余計にフレデリカチームを煽るらしい。段々ヒートアップしていく三人に、どうしたものかと思ったけれど、
(…ここは、三人を止めに入って、フローラに取り入るべき?)
懐に飛び込むチャンスかもしれない。だったらと、気合を入れて近づいた。
「…あのー、すみません。」
「っ!?」
「お話の内容はともかくですが、やはり多勢に無勢はどうかと思います。」
「っ!?なっ!?誰なのあなた!?」
「通りすがりの、」
言いかけたところで、背後からこちらへ向かって駆けて来る足音が聞こえた。振り向いた先には、鬼気迫る表情の─
「どけっ!邪魔だ!」
「っ!?」
思いっきり、押しのけられた。倒れはしなかったものの、よろめいた身体を、壁に手をついて支える。
「フローラ!っ!貴様ら!妹に何をしているっ!?」
「っ!リーンハルト様、…私達はただ、フローラ様に態度を改めて頂きたく、お願いにあがっただけで…」
「態度だと?フローラの何かを非難できるほど、貴様たちが偉いとういのか?」
「…申し訳ありません。ですが、フローラさまが親しくされているマルクス様は、こちらのフレデリカと婚約している身なのです。どうか、フローラ様にも節度ある、」
「今度は節度か?勘違いも甚だしい!一体、フローラがマルクスに何をしたというのだ?友人として親しくすることになんの問題がある。マルクスが、それ以上の気持ちをフローラに抱いているというのなら、それはあの男の問題だろう!」
「っ!?」
「…マル、クス様には、既に一度、お願いを…」
「ふん。それで、願いを聞かぬからと、今度はフローラに脅しをかけに来たわけか。…浅ましい。そんなもの、マルクスを引き留められぬ貴様の不徳であろう?」
「っ!」
(ヒドい…)
とうとうフレデリカ嬢が泣きだした。そのまま逃げ出してしまったフレデリカ嬢を、残りの二人が慌てて追う。最後にフローラをひと睨みしていったお友達はなかなか根性があると思った。
「…おい、何を見ている。」
「え…?」
「チッ、これだから下賤の血は。」
「…」
(えー…)
「貴様、どうやらアイツらの仲間ではないようだが、フローラに何をするつもりだった?」
「…あの、一応、仲裁を、」
「余計な手出しをするな。」
「え…?」
「貴様のことは調べた。カレンと言ったか。隣国から留学して来たといのは事実らしいが、貴様、平民だそうだな。」
「はい。…それが何か問題ですか?」
この学園でも、成績優秀な者であれば、平民の入学は許されている。差別が全くないわけではないけれど、表向き生徒はみな平等。だから、私の淑女科への留学も許されている。
(…偽名は使ってるけど。)
「…ふん。大方、どこぞでフローラが平民育ちだという噂でも聞きつけたんだろう?それをネタにフローラに取り入ろうという腹だろうが、貴様とフローラではそもそもの生まれが違う。貴様ごときがフローラと同じ人間だと思うな。」
「…」
(えー…)
「いいか、二度とフローラに近寄るなよ。」
言うだけ言って気の済んだらしいリーンハルトが、フローラをエスコートしてその場を後にする。
(何それ、何それ、何それ…)
憤懣やるかたない。下心ありとはいえ、一応、正義の行いをしようとしていた身としては、高慢男の発言は腹が立つなんてものじゃなかった。
内心で、高慢男への罵詈雑言を吐きながら、教室へと歩き出す。自席に着いた時には、一通りの呪詛を吐き終わって、若干、心も癒された。
(…疲れた。…ちょっと、休憩。)
取り出した教科書を眺めるふりで、周囲の女の子達の会話をさりげなく拾っていく。一番の目的は、フローラに関する話題。フローラの新たな犠牲者の名前があがらないか、こういうことは、女の子の方が情報が早かったりするから。本来なら、校舎のあちこちに顔を出して、情報を拾い集めるべきなんだけど、
(今日は、手抜き…)
そう決めて、学内をうろつくことはせずに、教室の会話に専念する。ちょっと、休憩。その、つもりだったのに─
「やっぱり、ルキ先生、かっこいいー!」
(っ!?)
「えー、でも、所詮、平民でしょ?S級冒険者って言っても、ねー?」
突然のルキの名前、しかも、褒められてディスられてる。
(…どっちも嫌。)
ルキが「カッコいい」と言われるのも、馬鹿にされるのも。無関心でいてくれればいいのに、ルキのカッコよさがそれを許してくれないらしい。
「あら、S級冒険者と言えば、隣国では二十人しか存在しないエリート中のエリートよ?王侯貴族に拝謁する権利もあるんだから。」
「えっ!?そうなの!?じゃあ、ルキ先生、やっぱり凄い人なんだ!」
ルキを称賛してくれたご令嬢の言葉に、再び、場が盛り上がる。
(…あの人。)
称賛してくれることには感謝するけれど、それ以上に嫉妬が勝るから、ご令嬢の顔をさりげなくチェックしておく。
(…後で、名前も調べよう…)
「あーあ。ルキ先生、このままずっと、学園の先生してくれないかなー。」
「でも、ルキ先生、婚約者いるんでしょ?無理めじゃない?」
「そうなんだよねー。」
ルキのおかげか、ルキの容姿に騒いでも、本気ではなさそうなクラス女子たちの雰囲気に安堵、する間もなく─
「無理じゃないわよ?」
「え!?」
(え!?)
「私、先生の秘密知ってるの。それを使えば、ルキ先生だって、きっと、ね?」
「えー!なにそれ!気になるー!」
(私もっ…!!)
「だーめ、流石に言えない。…これは、私と先生だけの秘密だから。」
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