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【緊張】好きな人の帰省についていったら…/実家ご挨拶/地元の友人/豊漁祭/ ▶17話
#5 その痛みを想像することしか出来ないけれど(ルキ視点)
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セリと分かれて向かったのは、いつもの溜まり場。酒を飲めるようになってから入り浸っていた飲み屋には、今でも帰省の度に顔を出している。
その店の、一番奥、人目の無い席にカッシュを押し込み、早々に切り出す。
「…で?別れたってのは?どういうことだ?子どもは?」
「…生まれた、先月。」
「っ!だったらっ!?」
「ガキの目が、青かったんだよ…」
「っ!?」
カッシュの言葉に息をのんだ。この地域の住人のほとんどは目が赤い。遺伝的にそうなるらしい自分達の目の色は、例え他の色が混ざろうと─
「…青って、お前、それ、何かの間違いとか…」
「んなもん、間違いようねぇだろ。」
「…けど、なんで、んなことに…?」
「…ガキの目ぇ見てから、リリーから聞き出した。俺が単独で依頼受けてる時に、王都で知り合った男と何度か会ってたらしい。」
「…はぁー、マジか…」
「…俺とのことで悩んで、んで、色々相談してるうちに、っつってたけどな。」
「…それで?子どもは?…リリーもだけど、どうした?」
「あ?どうしたって、相手の男が、絶対子どももリリーも大切にするって言うから、ボコって、渡してきた。」
「…」
軽く言うカッシュの、その胸の内の痛みが言葉通りではないと分かるから、かける言葉を失う。
「…籍、入れたばっかだったんだけどさ。」
「…」
「今年は、リリーと子どもの顔、親父とおふくろに見せてやるつもりで…」
カッシュの声の弱さに、過去の自分の言動を悔やむ。
「…悪かった、無責任なこと言った。親父さん安心させてやれとか…」
「あ?なんで、お前が謝んだよ。たり前のこと言っただけだろ?リリーがそんなんしでかしてるとは思わねぇだろ?…俺だって気づかなかったのによ…」
「…」
「…まあ、いいや、俺のことは。報告は以上。」
言って、カッシュがエールを飲み干した。
「…で?お前の方はどうなってんの?」
「…」
「あの、セリって子、女だったんだな。」
セリ、という言葉に、意識が一気に持っていかれる。
「…お前、セリって分かって、声かけたのか?」
「あ?だけど?」
「…よく分かったな?あの格好のセリとお前の知ってるセリじゃ、繋がんねぇだろ?」
「ああ。声かける前に、お前らがジャレてんの見てたからな?まぁ、それで、分かった。」
「そういうことか…」
セリが女だという情報が、既に母親辺りから広がったのかと思ったが、それなら確かにと納得する。
「あの子一人じゃ、分かんなかったな。完全に騙されてた。ってか、言われりゃ、似てる?ってなんだけど、魔導師姿ん時の顔がイマイチなぁ、綺麗な顔してたなって記憶はあんだけど…」
「あんま詳しく言えねぇけど、ローブに認識阻害の術式が組み込んであるらしい。…あと、セリ見て綺麗とか言うな。」
「…は?」
「それ言っていいのは、俺だけだから。」
「…」
カッシュの呆れを含んだ視線が痛い。
肩をすくめて見せたカッシュが、
「そういや、お前は、なんであの子が女だって分かったんだよ?試験時までは、男だって信じてただろ?」
「っ!」
「…なに?もしかして、お前、襲った?無理やりローブ脱がせ、」
「やんねぇーよっ!」
カッシュに突っ込まれ、カッコ悪いことまで全部吐かされて、大笑いされて─
昔と同じような時間を過ごしながら、少しでも早く、この男の胸の痛みが消えてくれることを願った。
その店の、一番奥、人目の無い席にカッシュを押し込み、早々に切り出す。
「…で?別れたってのは?どういうことだ?子どもは?」
「…生まれた、先月。」
「っ!だったらっ!?」
「ガキの目が、青かったんだよ…」
「っ!?」
カッシュの言葉に息をのんだ。この地域の住人のほとんどは目が赤い。遺伝的にそうなるらしい自分達の目の色は、例え他の色が混ざろうと─
「…青って、お前、それ、何かの間違いとか…」
「んなもん、間違いようねぇだろ。」
「…けど、なんで、んなことに…?」
「…ガキの目ぇ見てから、リリーから聞き出した。俺が単独で依頼受けてる時に、王都で知り合った男と何度か会ってたらしい。」
「…はぁー、マジか…」
「…俺とのことで悩んで、んで、色々相談してるうちに、っつってたけどな。」
「…それで?子どもは?…リリーもだけど、どうした?」
「あ?どうしたって、相手の男が、絶対子どももリリーも大切にするって言うから、ボコって、渡してきた。」
「…」
軽く言うカッシュの、その胸の内の痛みが言葉通りではないと分かるから、かける言葉を失う。
「…籍、入れたばっかだったんだけどさ。」
「…」
「今年は、リリーと子どもの顔、親父とおふくろに見せてやるつもりで…」
カッシュの声の弱さに、過去の自分の言動を悔やむ。
「…悪かった、無責任なこと言った。親父さん安心させてやれとか…」
「あ?なんで、お前が謝んだよ。たり前のこと言っただけだろ?リリーがそんなんしでかしてるとは思わねぇだろ?…俺だって気づかなかったのによ…」
「…」
「…まあ、いいや、俺のことは。報告は以上。」
言って、カッシュがエールを飲み干した。
「…で?お前の方はどうなってんの?」
「…」
「あの、セリって子、女だったんだな。」
セリ、という言葉に、意識が一気に持っていかれる。
「…お前、セリって分かって、声かけたのか?」
「あ?だけど?」
「…よく分かったな?あの格好のセリとお前の知ってるセリじゃ、繋がんねぇだろ?」
「ああ。声かける前に、お前らがジャレてんの見てたからな?まぁ、それで、分かった。」
「そういうことか…」
セリが女だという情報が、既に母親辺りから広がったのかと思ったが、それなら確かにと納得する。
「あの子一人じゃ、分かんなかったな。完全に騙されてた。ってか、言われりゃ、似てる?ってなんだけど、魔導師姿ん時の顔がイマイチなぁ、綺麗な顔してたなって記憶はあんだけど…」
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「…は?」
「それ言っていいのは、俺だけだから。」
「…」
カッシュの呆れを含んだ視線が痛い。
肩をすくめて見せたカッシュが、
「そういや、お前は、なんであの子が女だって分かったんだよ?試験時までは、男だって信じてただろ?」
「っ!」
「…なに?もしかして、お前、襲った?無理やりローブ脱がせ、」
「やんねぇーよっ!」
カッシュに突っ込まれ、カッコ悪いことまで全部吐かされて、大笑いされて─
昔と同じような時間を過ごしながら、少しでも早く、この男の胸の痛みが消えてくれることを願った。
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