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第二部 第二章
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初めのダンジョン鉱脈を掘り終わった後、続けて、一階層の他の二か所でも採掘を行った。途中、他の冒険者と顔を合わせることはなかったけれど、全部で三体いるゴーレムが全て倒されていたことから、入口を開けた冒険者か他の冒険者が同じ階層を回っていることは把握できた。ただ、幸いなことに鉱脈は手つかず、今のところ、私の独占状態だった。
(それも、いつまでかは分からないけれど……)
ダンジョンに人が増え続ければ、私のように採掘に手を出す人もいるだろう。イロン曰く、ダンジョン鉱脈で高品質の石を手にするにはそれなりの採掘スキルが必要なため、冒険者ではなく同じ採掘士が増える可能性もある。
それまでに、できるだけ多くの石を掘ってレベルを上げておきたい。
「あれー?アリシア、もう帰るの?」
三か所目の鉱脈を回ったところで元来た道を戻り始めた私に、イロンが首を傾げる。それに、笑って答えた。
「帰るんじゃないよ。最初に掘ったダンジョン鉱脈を確かめておこうと思って」
「確かめる?」
「そう。最初に掘ってから、一時間経ったでしょう?鉱脈が復活していないか確認しに行くの」
クールダウン時間を把握できれば、より効率的に採掘を行うことができる。そう伝えれば、イロンは胸の前で両腕を組んで「うんうん」と頷き始めた。
「流石、僕のアリシア!ゲームの体力回復時間に合わせてタイマーをセットしていた頃を思い出すね!」
「……あれは、お休みの日だけだよ?」
イロンの言葉を消極的に否定する。タイマーまでセットして体力管理をしていたのは仕事が無い日だけだ。仕事のある日は流石に、休憩時間にしかゲームは開かなかった。私の言葉に、イロンがクフフと笑う。
「でも、そのおかげで僕のレベルはカンストしたんだから。今度はアリシアの番だねー」
「うーん、別に、そこまで採掘を極めるつもりはないんだけど……」
ただ、ダンジョン鉱脈のように採掘レベルによって結果が変わる場合、「最高レベルではどんなものが出てくるんだろう?」という好奇心はある。青ジェムガチャにしてもそう。見たこともない品質の、見たこともない鉱石を見てみたいという欲求は抑えきれなかった。
「とりあえず、やれるところまで、やってみようかな?」
「いいね、いいね!目指せ、伝説の採掘士!」
イロンの言葉に小さく笑いながら、ダンジョンの暗闇の中を歩く。
十分もしない内にたどり着いた最初の鉱脈は、残念ながら、まだ復活していなかった。一時間後、もう一度確認に訪れることにして、今度は最初の部屋、そこにある二階層へ続く階段へと向かった。
「うーん、まだ復活しないのかー」
三階層まで、全部で九つの鉱脈を回り終えるのに、今回は前回以上に時間がかかった。鉱脈を掘るのに慣れ、採掘だけなら一か所ニ十分もあれば事足りるようになったのだが、移動時間や青ジェムの回収時間、更には、一時間ごとに最初の鉱脈を確認していた分のロスにより、今回掛かったのは五時間。それでも、最初の鉱脈はまだ復活していない。
「アリシアー、諦めて、青ジェムガチャ引いちゃった方がいいんじゃなーい?」
「そう、だね」
青ジェムの保持は六時間が限界。最初の青ジェムが生成されたのが五時間以上前だから、そろそろガチャを引いてしまわないと、消滅し始めるタイミングだった。
「うん、よし、やってみよう!」
腰のポシェットには鉱脈で採れた宝石類を収納しているため、青ジェムはバックパックの中に無造作に放り込んである。バックパックをひっくり返し、中からザラザラと青ジェムを取り出した。平らな地面に零れ落ちた青い石を並べていく。
「……拾う時に大雑把に数えていた感じだと、百七十個はあると思うの」
大台の二百には届かなかったけれど、目標である百五十個は超えることができた。今回は、検証のため、百五十個ちょうどでガチャを回してみたい。暗闇の中、夜目のありがたさを痛感しながら、青ジェムを数え、百五十の山を作った。残りは二十ニ個。合計で百七十二の青ジェムが採れていた。
「イロン、お願いします」
百五十個の青ジェムを前にイロンに頼めば、彼は嬉しそうに笑った。
「うん!じゃあ、百五十ガチャ、いってみよー!」
言って、ジェムに向かって両手をかざすイロン。彼の両手から、魔力の光が溢れ出す。
(それも、いつまでかは分からないけれど……)
ダンジョンに人が増え続ければ、私のように採掘に手を出す人もいるだろう。イロン曰く、ダンジョン鉱脈で高品質の石を手にするにはそれなりの採掘スキルが必要なため、冒険者ではなく同じ採掘士が増える可能性もある。
それまでに、できるだけ多くの石を掘ってレベルを上げておきたい。
「あれー?アリシア、もう帰るの?」
三か所目の鉱脈を回ったところで元来た道を戻り始めた私に、イロンが首を傾げる。それに、笑って答えた。
「帰るんじゃないよ。最初に掘ったダンジョン鉱脈を確かめておこうと思って」
「確かめる?」
「そう。最初に掘ってから、一時間経ったでしょう?鉱脈が復活していないか確認しに行くの」
クールダウン時間を把握できれば、より効率的に採掘を行うことができる。そう伝えれば、イロンは胸の前で両腕を組んで「うんうん」と頷き始めた。
「流石、僕のアリシア!ゲームの体力回復時間に合わせてタイマーをセットしていた頃を思い出すね!」
「……あれは、お休みの日だけだよ?」
イロンの言葉を消極的に否定する。タイマーまでセットして体力管理をしていたのは仕事が無い日だけだ。仕事のある日は流石に、休憩時間にしかゲームは開かなかった。私の言葉に、イロンがクフフと笑う。
「でも、そのおかげで僕のレベルはカンストしたんだから。今度はアリシアの番だねー」
「うーん、別に、そこまで採掘を極めるつもりはないんだけど……」
ただ、ダンジョン鉱脈のように採掘レベルによって結果が変わる場合、「最高レベルではどんなものが出てくるんだろう?」という好奇心はある。青ジェムガチャにしてもそう。見たこともない品質の、見たこともない鉱石を見てみたいという欲求は抑えきれなかった。
「とりあえず、やれるところまで、やってみようかな?」
「いいね、いいね!目指せ、伝説の採掘士!」
イロンの言葉に小さく笑いながら、ダンジョンの暗闇の中を歩く。
十分もしない内にたどり着いた最初の鉱脈は、残念ながら、まだ復活していなかった。一時間後、もう一度確認に訪れることにして、今度は最初の部屋、そこにある二階層へ続く階段へと向かった。
「うーん、まだ復活しないのかー」
三階層まで、全部で九つの鉱脈を回り終えるのに、今回は前回以上に時間がかかった。鉱脈を掘るのに慣れ、採掘だけなら一か所ニ十分もあれば事足りるようになったのだが、移動時間や青ジェムの回収時間、更には、一時間ごとに最初の鉱脈を確認していた分のロスにより、今回掛かったのは五時間。それでも、最初の鉱脈はまだ復活していない。
「アリシアー、諦めて、青ジェムガチャ引いちゃった方がいいんじゃなーい?」
「そう、だね」
青ジェムの保持は六時間が限界。最初の青ジェムが生成されたのが五時間以上前だから、そろそろガチャを引いてしまわないと、消滅し始めるタイミングだった。
「うん、よし、やってみよう!」
腰のポシェットには鉱脈で採れた宝石類を収納しているため、青ジェムはバックパックの中に無造作に放り込んである。バックパックをひっくり返し、中からザラザラと青ジェムを取り出した。平らな地面に零れ落ちた青い石を並べていく。
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