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prologue

プロローグ

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花が燃えていた。

王宮の奥深く、次期聖女を選出するための試練の庭で、私の育てた紫のカトレアが赤い炎に舐め尽くされ、風にあおられた灰色の花弁が宙を舞う。

「……どうして」

一体、なぜこんなことに――
並ぶ五つの花壇の中で、最も見劣りしていた私の花達。それでも、懸命に咲かせた花が瞬く間にその命を失っていく。

茫然と立ち尽くせば、手からブリキの如雨露が滑り落ちた。ガランと音を立てて転がった如雨露の先、残されていた僅かな水が零れ落ちていく。





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