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発露
”あいつ”
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「おい、琴音何してんだよ。
もう稽古始まるぞ、早く体育館行こうぜ!」
「あ、うん待って・・・・」
駆け抜けてゆく袴姿の男子は、琴音と同じ剣道仲間らしかった。
「あの子、菅沼 涼介っていうの。
あたしと同じマンションに住んでるんだよ。
クラスも班もあたし達と同じなのよ。
園田君はまだクラスメイトの顔と名前一致しないよね」
「おーい!琴音何してんだよ!
先生に怒られるぞー早くしろよ」
「うんわかったー涼介先に準備しててーすぐ行くからー・・・
じゃあ園田君、あさってまた学校で会おうね。
茜音ちゃんもまたね。
あ、そうだ月曜日の給食のデザートは、なんとプリンなんだよ!
だから絶対に休んじゃだめだからね。
園田君も興味が湧いたら、いつでも剣道の見学に来てみてね。
じゃあまた」
琴音は快活にそう告げると、足早に体育館に向かっていった。
琴音の姿が見えなくなると、蒼音はつまらなさそうに足元の石ころを蹴った。
(・・・・さっきのあいつ、菅沼涼介ってやつ・・・
桜井さんのこと“琴音”って呼んでた。
男子と女子なのに、お互い名前で呼び合ってた。
同じマンションって言ってたから、幼馴染なのかな。
僕達と同じ班のやつなんだ。
なんだか学校行くの気が重いな・・・・・)
わかりやすい蒼音の行動を、先程から黙って見守っていた茜音だが、なんとなく気になって聞いてみた。
『蒼音・・・・・
蒼音は琴音のこと好きなのか?』
「す・・・す・・好きって・・・・・!?
違うよ・・・
た、ただ明るくて話しやすくて、仲良くなれたらいいなーって考えただけだよ。
外見はおしとやかなのに、剣道をやってて、給食に詳しい食いしん坊だなって、普通に親しみを覚えただけだよ。
うん、そうなんだ」
うろたえながら、蒼音は言い訳をつらつら探していた。
『そうなのか・・・
でも蒼音が好きな人は茜音も好き。
琴音優ちいから好き』
月曜日、なんとなく重い足取りで蒼音は登校した。
昨日琴音と秘密を分かち合えたことは嬉しく、登校しなければ琴音に会うことは出来ないとわかっていたが“あいつ”と顔を合わさなければならないことが嫌だった。
「いいか茜音、僕の授業中は絶対に教室に入ってきちゃ駄目だぞ。
僕の気が散るからな。学校は遊びに行くところじゃないんだから、そこのところはけじめをつけさせてもらうよ」
『うん、わかった。約束する』
蒼音は登校前、茜音に固く決まりごとを約束させていた。
「廊下で遊んでいてもいいし、校内を散歩するのはいいけど余計なことはしちゃダメだからな。
ちょっとくらいの時間と距離なら僕から離れることはできるんだろう?」
『うん出来るかも』
「よし!
そのかわりいい子にしていたら、給食のプリンを持って帰ってやるよ」
『プリン!
昨日琴音が言っていたプリン!
プリンって美味ちいのか?蒼音』
「美味しいよ。僕だって大好きだけど、今回は茜音にあげるよ」
『わーい!プリン♪プリン♪』
ひとまず、茜音の件に関しては今のところ問題はなさそうだったが・・・・・
“あいつ”
・・・・菅沼涼介と同じ班だと知った今、教室に行くのはなんとなく気が進まなかった。
けれど、一~三時間目は、慣れない授業進行につていくのがやっとで、それどころではなく、どうにか平穏にやり過ごす事ができた。
が、その日、四時間目の学級会で、蒼音はさらなる現実に落胆する羽目になる。
もう稽古始まるぞ、早く体育館行こうぜ!」
「あ、うん待って・・・・」
駆け抜けてゆく袴姿の男子は、琴音と同じ剣道仲間らしかった。
「あの子、菅沼 涼介っていうの。
あたしと同じマンションに住んでるんだよ。
クラスも班もあたし達と同じなのよ。
園田君はまだクラスメイトの顔と名前一致しないよね」
「おーい!琴音何してんだよ!
先生に怒られるぞー早くしろよ」
「うんわかったー涼介先に準備しててーすぐ行くからー・・・
じゃあ園田君、あさってまた学校で会おうね。
茜音ちゃんもまたね。
あ、そうだ月曜日の給食のデザートは、なんとプリンなんだよ!
だから絶対に休んじゃだめだからね。
園田君も興味が湧いたら、いつでも剣道の見学に来てみてね。
じゃあまた」
琴音は快活にそう告げると、足早に体育館に向かっていった。
琴音の姿が見えなくなると、蒼音はつまらなさそうに足元の石ころを蹴った。
(・・・・さっきのあいつ、菅沼涼介ってやつ・・・
桜井さんのこと“琴音”って呼んでた。
男子と女子なのに、お互い名前で呼び合ってた。
同じマンションって言ってたから、幼馴染なのかな。
僕達と同じ班のやつなんだ。
なんだか学校行くの気が重いな・・・・・)
わかりやすい蒼音の行動を、先程から黙って見守っていた茜音だが、なんとなく気になって聞いてみた。
『蒼音・・・・・
蒼音は琴音のこと好きなのか?』
「す・・・す・・好きって・・・・・!?
違うよ・・・
た、ただ明るくて話しやすくて、仲良くなれたらいいなーって考えただけだよ。
外見はおしとやかなのに、剣道をやってて、給食に詳しい食いしん坊だなって、普通に親しみを覚えただけだよ。
うん、そうなんだ」
うろたえながら、蒼音は言い訳をつらつら探していた。
『そうなのか・・・
でも蒼音が好きな人は茜音も好き。
琴音優ちいから好き』
月曜日、なんとなく重い足取りで蒼音は登校した。
昨日琴音と秘密を分かち合えたことは嬉しく、登校しなければ琴音に会うことは出来ないとわかっていたが“あいつ”と顔を合わさなければならないことが嫌だった。
「いいか茜音、僕の授業中は絶対に教室に入ってきちゃ駄目だぞ。
僕の気が散るからな。学校は遊びに行くところじゃないんだから、そこのところはけじめをつけさせてもらうよ」
『うん、わかった。約束する』
蒼音は登校前、茜音に固く決まりごとを約束させていた。
「廊下で遊んでいてもいいし、校内を散歩するのはいいけど余計なことはしちゃダメだからな。
ちょっとくらいの時間と距離なら僕から離れることはできるんだろう?」
『うん出来るかも』
「よし!
そのかわりいい子にしていたら、給食のプリンを持って帰ってやるよ」
『プリン!
昨日琴音が言っていたプリン!
プリンって美味ちいのか?蒼音』
「美味しいよ。僕だって大好きだけど、今回は茜音にあげるよ」
『わーい!プリン♪プリン♪』
ひとまず、茜音の件に関しては今のところ問題はなさそうだったが・・・・・
“あいつ”
・・・・菅沼涼介と同じ班だと知った今、教室に行くのはなんとなく気が進まなかった。
けれど、一~三時間目は、慣れない授業進行につていくのがやっとで、それどころではなく、どうにか平穏にやり過ごす事ができた。
が、その日、四時間目の学級会で、蒼音はさらなる現実に落胆する羽目になる。
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