殿下、今日こそ帰ります!

黒猫子猫(猫子猫)

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第34羽・鳥の求愛

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 エミリアはぽかんと半ば口が開いたまま、閉じる事も忘れてしまった。後々考えてみても、なんとも間の抜けた反応だったと思ったものである。
 ただ、そんな彼女も可愛いとばかりに、ランスは嬉しそうに微笑んで見つめてくる。そして、彼女が少し後ずさったせいで、思ったよりも傍から離れていたことに気づくと、「もっと傍に」と言って手を取り、引き寄せてしまう。

「ま、ま、待って……」

 頭がついていかないと、エミリアは訴えたかったが、ランスは真剣そのものである。

「待たない。忘れたのか? 俺は昔、お前を妃に迎えると約束したはずだ」
「それは……思い出せていないわねえ……」
「では、もう一度言う。俺はお前を正妃にして、一生可愛がりたい」

 熱烈な求愛に、エミリアの頬は赤く染まった。

「でも……私は孤児よ?」
「俺たちに身分は関係ないと言っただろう。お前が向こうで身体が一時的に滅び、別人になった事は周知の事実だ。渡世鳥の力も、よく知られているからな。孤児のように道端に産まれ落ちていたと聞いても、受け入れられる話だ。それに俺やトリシュナがお前を認めて受け入れている。俺たちは仲間を間違えない」

 ランスはきっぱりと断言し、エミリアの不安を払拭する。

「お前もいつか戻ってきて再誕するだろうと見られていたが……思った以上に時が流れた。最近では焦れた貴族連中が、俺に妾を持てと言い出してきたから、腹立たしくて仕方がなかった」

「それでも……貴方、お茶会に来ていたわね」

無視したみたいだからな。侍従が面白がって数えていた。一度だけ応じれば、もう言わないと奴らが誓ったからだ。貴族連中の機嫌もたまにはとってやらないと、手の上で転がせないしな」

 百回訴えてやっと一度話を聞いてくれる王族が、ご機嫌取りをしたとは誰も思わないに違いない。ただ、考えてみれば、『王子が妾をもって関係を気軽に楽しむ』と言っていたのは、男爵である。

 ランスは一度も、妾という言葉を口にしたことはない。

 当時は女遊びが派手なのだろうと思ったが、彼がトリシュナ以外の女性に気を許している姿を見たこともなかった。

「……てっきり、貴方は私を妾にしたいとばかり思っていたわ」
「誰だ、お前にそんなデタラメを吹き込んだ馬鹿は。斬り捨ててやる」

「えええっと――――」

 男爵だ、とは言いにくい。すでに彼に敵視されて、自家を取り潰されるのではと青い顔をしていた記憶がある。暴露したら男爵が倒れそうな気がして、それも何だか気の毒に思えた。

「――――噂でちょっと聞いたのよ。それに……子供ができないって言うから……遊びなのかしらと思ったのよ」

「お前の身体は本来の状態ではないから、と言っただろう。自我を取り戻したばかりもあったんだろうが、魂と心身の結びつきがあまりに弱かった。だから、俺が直接触れて、力を分けてやったんだ。それでも不安定だったから、トリシュナに相談した」

 エミリアが思わず彼女に視線を向けると、彼女は頷いて見せた。

「殿下から、どうも貴女の心身が安定しないと言うから、もしかして、まだ有海の魂をもっているかもと思ったのよ。もう居てもたってもいられなくて、会いに行ってしまったわ」

 さすがに寝室に行くわけにいかないので、トリシュナは隣の部屋のバルコニーに飛んでみた。エミリアの姿を直接見て、二つの魂が混在していると確信したが、温室で他の魂たちが彼女の不在を寂しがっているのに気づき、慌てて戻ったのだという。

「それで鳥の姿で、バルコニーにいたのね……」

 ようやく理解したエミリアに、ランスは不思議そうだ。

「なんだ、すでにトリシュナの鳥化した姿を見ていたのか」
「えぇ、まあ」
「デカいだろ。どんどん巨大になっていく」

 全く遠慮も何もない言い方に、エミリアは苦笑いしたが、トリシュナはキッと彼を睨みつけた。

「そんな言い方ないじゃない!」
「どうせ母上にも今日、美味い物をたらふく食わされたんだろう」

「待って。今日はそんなに食べてないわ⁉」
「嘘つけ。その腹が証拠だ。何人分食ったんだ。相変わらずの大食いだな」

「まあ! 殿下に言われたくないわ!」
「俺は動くからいいんだよ。お前は鳥化した時に、すでに身体に出ているだろうが」

「だって、私はのも大事なのよ!」
「限度というものがあるだろうが。二階までよく飛べたな」

「必死で頑張ったわ⁉ エミリアに会うためだもの!」
「誰が勝手に会いに行けと言った。寝室に入っていたら、許さなかったところだ」

 エミリアはもう言葉もない。

 繊細な麗人だとばかり思っていたトリシュナが、お相撲さんのように巨大な鳥だったという事だけでも、かつて衝撃を受けたものだが、ぽっこり膨れたお腹は、大食いの結果だという。

 人は見かけによらないとはこの事だ。しかも、顔を真っ赤にして、ランスに噛みついている。結構な気の強さである。
 ただ、喧嘩をする二人を見て、黙って話を聞いていた王妃はくすくすと楽し気に笑った。

「確かによく食べる所は、そっくりよね。仲の良い兄妹だわ」
「……え?」

 またしても耳を疑ったエミリアに、王妃は不思議そうな顔をした。

「どうしたの?」
「今……兄妹とおっしゃいましたか?」

「えぇ、そうよ。トリシュナは、ランスの異母妹じゃない」

 何をいまさら、と言わんばかりに王妃は不思議そうだ。

 エミリアは思わずランスとトリシュナを見比べてみるが、やはり母親がちがうせいか、顔だちなどは全く似ていない。ただ異母兄妹という認識の上で見てみれば、確かに仲の良い兄妹がじゃれているだけのようにも思える。

「今日はあの子が初めて力に目覚めた日だって教えてくれたから、お祝いに腕輪をあげたのよ。能力者って貴金属や光っているものを好むの。不思議よね」
「それは何だか納得です……」

 エミリアは、カラスは光る物が好きだと聞いたことがあった。鳥に変わる力があるせいで、少し似ている側面があるのかもしれない。

 頷きつつ、ランスを見れば、今日も彼の右手には指輪が嵌まっている。それ以外にもネックレスや腕輪をつけている時もあった。着飾っているからだろうと思っていたが、単に好みという事もあるのだろう。

 頷くエミリアに、王妃は微笑んだ。

「貴女にも何か素敵な宝石を送ってあげたいけれど、まだだめね。ランスが怒りそうだわ」
「まだ……?」

 何のことだと戸惑ったが、王妃はそれ以上は言わず、まだ喧嘩をしている二人に声をかけた。ランスとトリシュナはまだ言い足りない様子だったが、王妃は二人を宥めた後、更に告げた。

「それでも……エミリアを孤児だと言いがかりをつけてきそうな貴族がいるかもしれないわね」
「誰であろうが、邪魔はさせない。片っ端から潰してやる」
「そうしなさい。手段を選ばなくていいの。私も消してやるわ」

 王族の権力って便利よね、と王妃は意味深な笑みを浮かべ、ランスも一笑で済ませた。冷徹な王族の一面を垣間見てしまったエミリアは、もう目が泳ぐ。そんな怖い親子を見て、素晴らしいわとばかりに目を輝かせるトリシュナは正気だろうか。

 親子の暴走は止まらない。

「腹立たしいのは、男爵がまたエミリアを道具にしようとしていた事だ。奴は以前と同じく、エミリアに近い外見だからという理由で引き取って、こっそり屋敷で育てていた」

「貴方が直々に処罰して、厳しく叱責したはずじゃなかったの?」

「懲りずにまたやっていたんだ。今回はエミリアがあまりに似ていたからだったようだ。本人だから当然だな。だが、つい最近までずっと何も反応しなかったから、使用人たちに世話を丸投げして、放っておいたそうだ」

「潰しなさい。今すぐ」

 王妃はにっこりと笑って、凄まじい暴言を吐く。これにはエミリアも割って入らずにはいられない。

「ま、待ってください。使用人の方々が大事に育ててくれたんです!」
「……そうなの? 気を使ってあげるなんて、貴女は優しいのね」

 王妃は優しく微笑みかけてくれたが、エミリアは顔がひきつるのが止まらない。隣で苦々し気な顏をしているランスもまたいつ男爵に敵意を向けるか、大変怪しい。

 王妃はしぶしぶと言った様子で男爵への敵意を引っ込めたが、ランスに目を向けると、

「でも、本来ならあの男爵の養女になんて、ならなくても良かったのよね。最高位の貴族か、王家に連なる家の養女になれば良いのよ。私欲に走らない賢明な者を選ぶの」
「その手もあるな」

 勘弁してほしいと、エミリアは思った。昔の記憶はゆっくりと蘇ってきているが、なにしろ有海として暮らしていた時間も長かったためか、貴族令嬢などという立場に今一つ、ついていけていない。

 それなのに、最高位の貴族などの養女になったら、それこそ。

 ――――扇を片手に、ごきげんよう、かしら……。

 絶対に似合わない。

 エミリアの目はもう泳ぎまくっており、それに気づいた王妃は察したらしく苦笑した。

「トリシュナ。少し二人きりにしてあげましょうか」
「え? えぇ、分かりましたわ」

「その間、お菓子はいかが?」
「も……もうお腹がいっぱいです!」

「料理人が、エミリアのいた世界のお菓子を作るのが楽しくなったみたいで、貴女にもぜひ振舞いたいそうよ」
「行きますわ!」

 王妃に誘われて、いそいそと部屋を出て行ったトリシュナに、ランスは呆れ顔で「俺とやってる事が一緒だな」と、呟いた。


 二人きりになっても、エミリアはやはり落ち着かない。妾にと求められていたと思えば、実際には正妃にしたいと熱烈に求愛されていたと理解したからだ。

 頬を赤く染めているエミリアを見て、ランスはしばらく見惚れた後、微笑みかけた。

「俺になかなか応えないと思っていたが……妾にされると警戒していたのか?」
「……だから、子ができない、なんて言うからよ」

「今は違うぞ。有海の魂が抜けて、その身体で過ごす時間も長くなって大分馴染んでいるからな」

「そ、そう……。でも……」
「ん?」

 エミリアは優しく見つめ返してくるランスから、目が離せなくなった。包みこまれるような安心感が、ずっと聞けずにいた事を口にする勇気を与えてくれる。

「貴方……右手の薬指に指輪をつけているじゃない……?」
「あぁ、これか」

 ランスは何の気なしに右手に視線を落とし、今にも泣きそうな顔をしているエミリアに、軽く目を見張った。

「なんだ、指輪が欲しかったのか? 早く言えばいいのに、なんで黙っていた。全部の指に買い揃えてやるからな。好きな宝石をつけて贈る。でも……身に着けるのは、こっちが先だぞ?」

 そう言ってエミリアを抱き寄せると、身をかがめて、軽く右耳に口づけた。まただ、とエミリアは思う。ランスはしきりに耳に触れてくる。横に座るときはいつもエミリアの右側――――右耳に近い場所を選ぶ。

 右腕の傷を知られないようにしているかと思ったが。

「……どうして、そこばかり気にするの?」
「俺の伴侶の証しを、早くここに付けたいからだ」

 待ち遠しいと言わんばかりの彼に、エミリアは目を剥いた。

「待って……それって指輪じゃないの⁉」
「どういうことだ?」

 真顔で返されたので、エミリアは答えないわけにいかない。

「……向こうでお母さんから、左手の薬指につけるのは結婚指輪で、右手の物は恋人がいる証しか婚約指輪だと教わったのよ。国によって一概に言えないみたいだけど……でも、良い人がいるって分かるわ」

 異世界の文化の違いに、ランスはようやく納得した様子で頷いた。

「俺の指輪に刻まれているのは王家の紋章で、つまりは王族の身分を示すものだ。他に大した意味はない」
「トリシュナさんに贈ったのは……?」

「自分は妾の子だからと、王宮でも遠慮がちだったからだ。俺と全く同じ指輪を作らせて、自分も王族の一人で、裏に俺がいると誇示させた。黙っていると、他の貴族たちがつけ上がりかねない。今でも嫌味を言ってくる女もいるが、大分減った方だ。最も、あいつは三つ足の紋章が、三人で助け合う俺たちの力を表しているようで好きだと言っていたがな」

 エミリアは真っ赤になった。聞けばよかった、と心から思う。そして、言ってほしかったとも思うが、彼もそんな誤解をされていると思っていなかったようだった。

 そして、ランスの左耳には、緑色の小さな宝石がはめ込まれたピアスが今もついている。じっと見てしまうと、彼は柔らかく笑った。

「男は左、女は右につけるのが習いだ」
「…………」
「若葉の緑は、お前の瞳の色だろう?」

 エミリアは小さく頷いて、なんだか気恥ずかしくなって視線を落とす。そんな彼女を愛おし気に抱きしめて、ランスは静かに尋ねた。

「妬いていたのか?」
「……考えないようにしていたわ」

 エミリアの耳まで赤いのを見て、ランスは目を細めた。

「公の場に出る時、それなりに身なりは整えるがな。俺はお前に見てほしくて、気合を入れて着飾った。給餌行為もしたし、食事の後で時間を作ると言っただろう。あれは求愛の時間だ。それでもまだ、俺がお前しか眼中にないと思わないのか?」
「そういう事は……はっきり言って貰わないと、分からないわ」


「……言っても聞き流されそうだったから、行動で示したつもりだったんだが……間違えたな」

 いかにも女慣れしていそうな男は、眉間に皺を寄せて真剣に悩んでいる。エミリアの表情はどうしても緩んでしまった。そんな彼女に気付いたランスは、微笑みかけた。

「許してくれるなら、いくらでも」
「ほん……とう?」
「俺はずっとお前の帰りを待ち続けたんだぞ。聞き飽きるくらいお前だけが好きだと言ってやるから、覚悟しろ」

 ランスはようやく帰ってきた伴侶に、優しいキスをした。
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