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供にいきたい
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翌日、謁見の間において、第三王女コレットと、属国の王リーシュは初対面した。
王の傍には、後継者となる第一王女ロベリアの姿もあった。コレットを含め王族は、リーシュが――ライナスが挨拶の口上を述べている間も、ぴくりとも表情を変えず、およそ重苦しい。
ライナスの背後には彼の部下達がいたが、居心地の悪さを感じると共に、表には出さないものの警戒心は最高潮である。なにしろ、室内には宰相や大勢の護衛が控えて彼らを威圧していたからだ。
その中で、ライナスはやはり一人泰然としていたし、必死で感情を殺しているコレットを見て抱きしめたいと葛藤したのは一度や二度ではない。ただ、その中でも彼が細心の注意を払って動向をうかがっていた者がいる。
一人は、コレットからの伝書鳩を捕えていた男だった。温和な顔をした青年で、整った顔だちをしていながらも、なんとも気配が薄い。簡単に大勢の中に紛れるだろう。だから、間違いない。
――――この男は《盾》だな。
道中、己を繰り返し襲ってきた暗殺者達もまた、この男と同じく気配をほとんど感じさせない者ばかりだった。裏で暗躍する者達であるというし、自然とそうなるのだろう。
そして、ライナスがもう一人注視していたのは、精悍な顔立ちをした長身痩躯の男だった。むろん、王の前であるし一切口を開かないものの、鋭い眼光でこちらを威圧してくる。隣の盾の男と、昨夜何やら親し気に話していたが、同じ質の者とは思えない。
――――だとしたら、こっちは《剣》か。
いずれも王家を守る精鋭である。そんな双翼を控えさせている時点で怪しいと思っていたし、一通りの話が終わると、王はこう切り出した。
「ところで、そなたは中々の剣の腕前だと聞いておる」
「めっそうも―――」
「ぜひ、その腕前を見たい。可愛い娘を嫁がせる親心だと思ってくれるか」
ライナスが謙遜する暇も与えない。冷然と笑うその眼差しは、すでに拒絶を許さない目だ。宗主国の王令は、余程の事がなければ断れない。
そこにずっと黙っていたコレットが口を開いた。
「お待ちください、陛下――」
「そなたも、夫となる男の強さを知りたいだろう。コレット」
静かな声であったにも関わらず、有無を言わさぬ強引さがある。彼女はいつもこうやって黙らされてきたのだと思うと、ライナスは怒りを抑えるのに苦労した。
心なしかコレットの顔が青いのも、彼の心を騒めかせたが、彼女は弱弱しい声ながらも訴えた。
「……えぇ。ですから、もしも陛下に認められるような素晴らしい猛者であるなら、リーシュ様が帰国される時に共に参りたいのですが、お許しいただけますか」
「……なに?」
静寂が包んでいた室内がわずかに騒めいた。王族の結婚ともなれば、数々の段階を踏む。しかも、二人は『初対面』のはずだから、コレットがライナスについていきたいと切望する理由が分からない。
この場でも、二人は短い挨拶を交わしただけである。
王は黙って娘を見据えていたが、小刻みに震えている身体を見て、冷笑した。
「供にいきたいと言うのか?」
「はい。少しでもお役に立ちたいのです」
「……よかろう」
嘲りの混じった父の言葉を、コレットは粛々と受け止めた。
王は先にコレットを退室させ、続いてライナス達に支度の時間を与えるため下がらせた。護衛達も追い払い、室内に残ったのは、王と長女ロベリア、そして宰相だけだ。必要最低限の事しか口にしない宰相は黙って傍にひかえていたが、ロベリアはそうではない。
「――――どういうおつもりですの? コレットにあのような事をお許しになるなんて」
「《治癒》の力を使い果たした王家のお荷物が、それでも役に立ちたいと言うのだ。健気なものではないか」
妹の治癒の力を酷使させた男を眼前にして、ロベリアは一切表情を変えない。
「婚前の支度も全て終えてもいない内に嫁ぐなど、王家の面子に関わります。嫌なことから逃げているだけですわ」
「良いではないか。供にいきたいと言うのだ」
「…………」
「兵を広場に集めよ。最高の《盾》をリーシュに送ってやれ」
笑って王は手を振って、ロベリアを下がらせた。
謁見の間を後にしたロベリアに、控えていた侍女達が無言で後に続いたが、彼女の自室前まで来るとロベリアは侍女達に控えているように命じた。
そして最後尾に視線を向け、
「お前はお入り」
と告げる。
侍女達が訝しげに主人の視線を追い、いつの間にか自分達に紛れ込んでいた男に初めて気づき、絶句する。《盾》の一人にして、同隊で史上最強と言われる青年だった。
男は一礼すると、ロベリアに続いて部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた。ロベリアは黙って中を進み、やがて振り返って、扉の傍から離れない青年を見据える。
外で誰かが聞き耳を立てていないか様子を見ているのだと、聞かずとも分かった。青年が自ら口を開いた時が合図でもある。
「何の御用でしょうか」
「お前が勝手についてきたのでしょう」
「お呼びになるかと思いまして」
にっこりと笑う青年を見据え、ロベリアは冷笑した。
「相変わらず嫌な男ね」
「それは私への最大の誉め言葉です、殿下」
「…………。コレットは毒に勘づいているわよ」
「おやおや」
平然と返す男を見据え、ロベリアは言葉を重ねる。
「分かっているわね? 陛下が『供に逝きたいのか』と尋ねた意味が」
「…………」
「妹を呼ぶわ」
ロベリアの言う『妹』はコレットではない。幽閉状態にある、三姉妹の真ん中の姫だ。ありとあらゆる外傷を治癒する異能の持ち主でもある。万が一の時に備えてだろうと青年は察し苦笑を堪えつつ、ため息まじりに告げる。
「そうなりますと《剣》も黙っていませんね」
国王を初めとして三姉妹まで同席するとなると、王家を護衛する《剣》も必ず傍にいる。その中で最も厄介だと思っているあの男も、間違いなく来るだろう。
リーシュに易々と鳩を渡してしまったあの男が、黙って見ているとも思えない。
苦々し気な青年に、ロベリアは宣告した。
「失敗は許さない」
冷徹な声で告げられた青年は、黙って一礼した。
王の号令のもと、王宮前の広場に大勢の兵士達が集められた。四方を兵が取り囲み、その後ろに王族達がずらりと顔を揃える。彼らがいるのは高台で、広場を見渡せる好位置である。豪奢な椅子が並べられ、控えた従者達がそれぞれ後ろから大きな日傘をさし、侍女達が扇で仰ぐ。
見世物を見にきたと言わんばかりの彼らの姿に、ライナスの部下達は不快感を募らせたが、それよりも広場の中央でたった一人立つ己らの王の事が心配でたまらなかった。
腕前を見るだけという名目であったから、ライナスは軽装だった。剣を穿いてこそいたが、防具らしいものは無い。一歩間違えれば、命取りだ。
それにも関わらず、主君は仁王立ちしている。頼もしいと思うところだが、なぜかのんびりと空を見上げていて、部下達は頭を抱えた。
末席に座るコレットもまた、気が気ではなかった。
兵達の中から、ライナスの前に一人ゆっくりと進み出た《盾》の青年は、やはり予想通りの者だったからだ。そして、彼の腰から長剣とともに下がっていた短剣は、紐で縛り付けられて封をされている。毒刃が仕込まれているのは想像に容易い。
手が小刻みに震えたが、隣席にいた次姉がそれに気づいたのか、小さな声で励ましてくれた。
「大丈夫。私がいるわ」
滅多に塔から出してもらえない次姉の肌は色白で、細い体も相まって、よりいっそう儚げに見えたが、その声音は強い。コレットは目に涙が浮かびそうになったが、ふと視線に気づき、広場を見つめた。
初めてライナスと目があった。
そしてすぐに逸らされて、彼の視線は天へと向いた。
コレットの二羽の伝書鳩が、仲良く飛んでいた。
盾の手から逃れられたのか、再会を喜びあうように、供に歌う。
そして一羽に導かれるように、飛び去って行った。
ようやくコレットの顔がほころんで、小さく頷いて見せた。
「――――始めよ!」
王の号令の下、ライナスは剣を引き抜いた。
王の傍には、後継者となる第一王女ロベリアの姿もあった。コレットを含め王族は、リーシュが――ライナスが挨拶の口上を述べている間も、ぴくりとも表情を変えず、およそ重苦しい。
ライナスの背後には彼の部下達がいたが、居心地の悪さを感じると共に、表には出さないものの警戒心は最高潮である。なにしろ、室内には宰相や大勢の護衛が控えて彼らを威圧していたからだ。
その中で、ライナスはやはり一人泰然としていたし、必死で感情を殺しているコレットを見て抱きしめたいと葛藤したのは一度や二度ではない。ただ、その中でも彼が細心の注意を払って動向をうかがっていた者がいる。
一人は、コレットからの伝書鳩を捕えていた男だった。温和な顔をした青年で、整った顔だちをしていながらも、なんとも気配が薄い。簡単に大勢の中に紛れるだろう。だから、間違いない。
――――この男は《盾》だな。
道中、己を繰り返し襲ってきた暗殺者達もまた、この男と同じく気配をほとんど感じさせない者ばかりだった。裏で暗躍する者達であるというし、自然とそうなるのだろう。
そして、ライナスがもう一人注視していたのは、精悍な顔立ちをした長身痩躯の男だった。むろん、王の前であるし一切口を開かないものの、鋭い眼光でこちらを威圧してくる。隣の盾の男と、昨夜何やら親し気に話していたが、同じ質の者とは思えない。
――――だとしたら、こっちは《剣》か。
いずれも王家を守る精鋭である。そんな双翼を控えさせている時点で怪しいと思っていたし、一通りの話が終わると、王はこう切り出した。
「ところで、そなたは中々の剣の腕前だと聞いておる」
「めっそうも―――」
「ぜひ、その腕前を見たい。可愛い娘を嫁がせる親心だと思ってくれるか」
ライナスが謙遜する暇も与えない。冷然と笑うその眼差しは、すでに拒絶を許さない目だ。宗主国の王令は、余程の事がなければ断れない。
そこにずっと黙っていたコレットが口を開いた。
「お待ちください、陛下――」
「そなたも、夫となる男の強さを知りたいだろう。コレット」
静かな声であったにも関わらず、有無を言わさぬ強引さがある。彼女はいつもこうやって黙らされてきたのだと思うと、ライナスは怒りを抑えるのに苦労した。
心なしかコレットの顔が青いのも、彼の心を騒めかせたが、彼女は弱弱しい声ながらも訴えた。
「……えぇ。ですから、もしも陛下に認められるような素晴らしい猛者であるなら、リーシュ様が帰国される時に共に参りたいのですが、お許しいただけますか」
「……なに?」
静寂が包んでいた室内がわずかに騒めいた。王族の結婚ともなれば、数々の段階を踏む。しかも、二人は『初対面』のはずだから、コレットがライナスについていきたいと切望する理由が分からない。
この場でも、二人は短い挨拶を交わしただけである。
王は黙って娘を見据えていたが、小刻みに震えている身体を見て、冷笑した。
「供にいきたいと言うのか?」
「はい。少しでもお役に立ちたいのです」
「……よかろう」
嘲りの混じった父の言葉を、コレットは粛々と受け止めた。
王は先にコレットを退室させ、続いてライナス達に支度の時間を与えるため下がらせた。護衛達も追い払い、室内に残ったのは、王と長女ロベリア、そして宰相だけだ。必要最低限の事しか口にしない宰相は黙って傍にひかえていたが、ロベリアはそうではない。
「――――どういうおつもりですの? コレットにあのような事をお許しになるなんて」
「《治癒》の力を使い果たした王家のお荷物が、それでも役に立ちたいと言うのだ。健気なものではないか」
妹の治癒の力を酷使させた男を眼前にして、ロベリアは一切表情を変えない。
「婚前の支度も全て終えてもいない内に嫁ぐなど、王家の面子に関わります。嫌なことから逃げているだけですわ」
「良いではないか。供にいきたいと言うのだ」
「…………」
「兵を広場に集めよ。最高の《盾》をリーシュに送ってやれ」
笑って王は手を振って、ロベリアを下がらせた。
謁見の間を後にしたロベリアに、控えていた侍女達が無言で後に続いたが、彼女の自室前まで来るとロベリアは侍女達に控えているように命じた。
そして最後尾に視線を向け、
「お前はお入り」
と告げる。
侍女達が訝しげに主人の視線を追い、いつの間にか自分達に紛れ込んでいた男に初めて気づき、絶句する。《盾》の一人にして、同隊で史上最強と言われる青年だった。
男は一礼すると、ロベリアに続いて部屋に入り、後ろ手に扉を閉めた。ロベリアは黙って中を進み、やがて振り返って、扉の傍から離れない青年を見据える。
外で誰かが聞き耳を立てていないか様子を見ているのだと、聞かずとも分かった。青年が自ら口を開いた時が合図でもある。
「何の御用でしょうか」
「お前が勝手についてきたのでしょう」
「お呼びになるかと思いまして」
にっこりと笑う青年を見据え、ロベリアは冷笑した。
「相変わらず嫌な男ね」
「それは私への最大の誉め言葉です、殿下」
「…………。コレットは毒に勘づいているわよ」
「おやおや」
平然と返す男を見据え、ロベリアは言葉を重ねる。
「分かっているわね? 陛下が『供に逝きたいのか』と尋ねた意味が」
「…………」
「妹を呼ぶわ」
ロベリアの言う『妹』はコレットではない。幽閉状態にある、三姉妹の真ん中の姫だ。ありとあらゆる外傷を治癒する異能の持ち主でもある。万が一の時に備えてだろうと青年は察し苦笑を堪えつつ、ため息まじりに告げる。
「そうなりますと《剣》も黙っていませんね」
国王を初めとして三姉妹まで同席するとなると、王家を護衛する《剣》も必ず傍にいる。その中で最も厄介だと思っているあの男も、間違いなく来るだろう。
リーシュに易々と鳩を渡してしまったあの男が、黙って見ているとも思えない。
苦々し気な青年に、ロベリアは宣告した。
「失敗は許さない」
冷徹な声で告げられた青年は、黙って一礼した。
王の号令のもと、王宮前の広場に大勢の兵士達が集められた。四方を兵が取り囲み、その後ろに王族達がずらりと顔を揃える。彼らがいるのは高台で、広場を見渡せる好位置である。豪奢な椅子が並べられ、控えた従者達がそれぞれ後ろから大きな日傘をさし、侍女達が扇で仰ぐ。
見世物を見にきたと言わんばかりの彼らの姿に、ライナスの部下達は不快感を募らせたが、それよりも広場の中央でたった一人立つ己らの王の事が心配でたまらなかった。
腕前を見るだけという名目であったから、ライナスは軽装だった。剣を穿いてこそいたが、防具らしいものは無い。一歩間違えれば、命取りだ。
それにも関わらず、主君は仁王立ちしている。頼もしいと思うところだが、なぜかのんびりと空を見上げていて、部下達は頭を抱えた。
末席に座るコレットもまた、気が気ではなかった。
兵達の中から、ライナスの前に一人ゆっくりと進み出た《盾》の青年は、やはり予想通りの者だったからだ。そして、彼の腰から長剣とともに下がっていた短剣は、紐で縛り付けられて封をされている。毒刃が仕込まれているのは想像に容易い。
手が小刻みに震えたが、隣席にいた次姉がそれに気づいたのか、小さな声で励ましてくれた。
「大丈夫。私がいるわ」
滅多に塔から出してもらえない次姉の肌は色白で、細い体も相まって、よりいっそう儚げに見えたが、その声音は強い。コレットは目に涙が浮かびそうになったが、ふと視線に気づき、広場を見つめた。
初めてライナスと目があった。
そしてすぐに逸らされて、彼の視線は天へと向いた。
コレットの二羽の伝書鳩が、仲良く飛んでいた。
盾の手から逃れられたのか、再会を喜びあうように、供に歌う。
そして一羽に導かれるように、飛び去って行った。
ようやくコレットの顔がほころんで、小さく頷いて見せた。
「――――始めよ!」
王の号令の下、ライナスは剣を引き抜いた。
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