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ボクと"オナジ"にユメヲミタ。
ボクと未知とのソウグウ。
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「はーいどうも初めまして~」
カラカラと笑う目の前の男子生徒に,僕は目を丸くして頬杖にしていた右手から顔を少しあげた。
朝から転校生の知らせに教室が沸き立つ。
スタイルも顔もよくノリも軽い転校生を見て,女の子は特にひそひそ声が1.5倍になっていた。
……どおりで見慣れない生徒だと思ったわけだ。
どう見ても真っ直ぐ僕を見て,悪戯に成功した子供みたいな笑顔を向けているのは,先日ワークを回収した後の廊下で僕にぶつかったおっちょこちょいな相手。
「黒田 和寧。彼女ナシ。趣味でアチコチ転校してたので,方言めちゃくちゃで~す。しばらくは慣れないと思うけど,ヨロシクね」
慣れたようにあちこち手を振る転校生。
嫌みのないその態度に,クラスメートは興奮したり呆れたりと様々だった。
僕はちらりと後ろの席をみる。
数日前にいきなり設置された空席は,たぶんこの日のためだったんだろう。
親の転勤でも何でもなく,転校が趣味って……
変なやつが僕の後ろに来たものだと,僕はちょっぴり浅くため息をついた。
黒田 和寧。
白板にかかれた漢字を,机でなぞる。
名前は,すごく綺麗だな。
僕は口の中で反芻してみた。
紹介が終わると,黒田は軽い足取りで向かってくる。
「伊織くん」
「は?」
「違った? この前そう呼ばれてたやろ。僕,あの日説明受けに来てて」
ああ,そう言えば。
リューに呼び掛けられたような気が,するようなしないような。
「よろしく。和か和寧って呼んで」
後ろに座った黒田の提案に渋々頷きながらも,僕は差し出された手をとらなかった。
僕は根っからの人見知り。
チャラそうなやつも,馴れ馴れしいやつもあんまり好きじゃない。
僕じゃなくても,和寧ならすぐに馴染むだろうと。
僕は会話もそこそこに前を向いた。
「んー。冷たいな」
思案するような言葉が聞こえたけど,その意味を問いただす前にHRは終わってしまった。
「なー。伊織はこの辺だとどこ行くん。なんか上手い店とか知らんと?」
「行かない。知らない」
「じゃあ一緒に探しに行かない? 僕の観光に付き合ってよ」
「行かない。やだ。……もーいい加減付きまとってこないでよ!」
「そんなこと言って~。さっきから何だかんだつき合ってくれてるやん~」
「それは……っ!!!」
なーなーねーねーと。
どれだけ冷たくあしらってもめげない和寧に僕はとうとう勢いよく振り返る。
和寧が話しかけてくるからだろ……っっ!!!
僕は喉にでかかった言葉を飲み込んだ。
それを口にしたところで,もっと付け上がるだけに決まってる。
「そんな意味不明な近寄り方してたら女の子に嫌われるよ。怖がられるから絶対やめなね」
「わー。忠告ありがとー」
適当な返事を返して,なにか思うところでもあったのか,和寧は大きな声でクラスメートを呼んだ。
「桜ちゃーん。僕のことすきーー??」
なっと和寧を見上げる。
突然何を言い出すのかと,飯島桜さんも目を丸くしていた。
けれど気を悪くするような態度は見せずに,あははと笑う。
「嫌いじゃないよー」
「ねーー。女の子は僕のこと好きだよね~」
僕ははくはくと口を動かして,お腹の中がひっくり返りそうな衝動を押さえた。
こいつ,意味が分からない……!!!
僕の言葉に対する当て付けに,いきなりこんなことをするなんて正気じゃない。
僕にとって未知との遭遇。
僕は咄嗟に,怖いとまで思った。
「分かったから!! もう僕に話しかけないでよ。和寧がうるさくてさっきの授業も全然聞こえなかったんだから」
本当は分かるくせに,分からないふりをしては僕に話しかけて。
そうすれば僕が無視できないと分かってて,いい迷惑だ。
「あはは。ごめん。一々反応してくれるのが面白くて。結局名前もちゃんと呼んでくれるし」
優しいねーと上から目線でからかわれる。
僕の人生においてこんなに適当でむかつくやつは今まで1人もいなかった。
図太くて図々しくてその上厚かましい。
「うるさいっっ」
僕がなけなしの声で叫ぶと,聞き付けたスズが苦笑いで寄ってくる。
「伊織がここまで怒るなんて珍しいな。あっても三太に眉間寄せてるくらいだったのに」
とんとんと自身の眉間をつついて見せるスズに,僕はふーと息をはいた。
そうだ。
そうだ。
こんな事でむきになるなんて僕らしくない。
何をしていたんだろうと,恥ずかしくなった僕は腕を擦る。
「俺も和寧って呼んでいい? 俺は鈴村 亮介。スズでも亮介でも好きに呼んでよ」
「じゃ,亮介で。よろしく」
僕はそんな二人の様子を見てそっと離れた。
「じゃあスズ。あとはよろしく」
僕はこんな意味の分からない転校生のお守りなんてごめんだ。
スズが変わってくれるなら,僕は敦のところにでも行こうと手をはたく。
「えなんで。いいじゃん3人でも」
すかさず挟まった声に,僕はノーと答えた。
「やだ。僕にはあと3人友達がいるし,君とはべつに仲良くなりたくない」
1人はコミュ力おばけ。
もう1人は片想い相手。
もう1人も想われ中。
僕は少し思うところがありながらも,そんなこと知る由もないのだからと振り向きながら胸を張って拒絶した。
そんな僕をスズが窘める。
「まあまあ。いいじゃん伊織。まだお互いなんにも知らないし。ところで,なんで和寧は伊織に懐いてんの。こんなに嫌がられてるのに」
「嫌がられてるって……心外だな~。僕はただ伊織が好きなだけだよ。ね」
ちらりと目線をやられて,僕は頭から発火しそうになった。
ふるふると拳を握り,和寧を睨む。
「だから! そういう事を恥ずかしげもなく口にするな……っっっ!!!!!」
うおっと目を丸くしたスズをおいて,僕はそのまま教室を出た。
しばらくぷんすかと怒りながら,顔を洗い冷静になる。
深い意味はないと分かっていたのに,最近はその手の言葉を聞きすぎて過剰な反応をしてしまった。
女の子なんかはたまに言い合っていたりするけど,僕にとってその言葉は1度も軽かったことはない。
男同士のコミュニティーで口にしたり耳にすることは少なく,僕自身そんな風にべたべたする質じゃないから。
僕には和寧がどうしてあんなに友好的に接してくるのか分からなかった。
接点があるとすれば,ただ1度ぶつかっただけ。
それだけであんな風になるだろうか。
もっと普通に近づいてきてくれたら,僕だって多少は受け入れられたかもしれないのに。
まるで僕が一方的にふてくされているようなスズの態度にも納得が行かない。
「伊織」
「リュー……」
「大丈夫か?」
僕は蛇口を捻ってみずを止める。
わざわざ様子を見に来てくれたリューに,僕はわざとらしく肩を落とした。
「大丈夫じゃないよ。話が通じないんだもん。話してて疲れる……悪いけど少しの間,そっちに行ってもいい? 三太とかも呼んで,ちょっと喋ろ」
こんな風に誰かを突き放すのは好きじゃないけど。
でも言って分からないなら,向こうから近寄れないようにするしかない。
と。
僕はリューに頼む。
リューは
「いいけど」
と短く答えた。
教室に戻ると入り口には丁度敦がいる。
声をかけようとして,その奥の三太に目を向けげんなりとする。
いつの間にか,三太は和寧の前で楽しそうにはしゃいでいた。
僕が少し外している隙に……っ
分かってはいた。
三太は人見知りするタイプではないし,寧ろ懐っこくて直ぐに誰にでも話しかけられるやつだから。
「敦はいいのか」
なんて僕はちょっぴり拗ねたような声を出してしまう。
敦は僕を見て,こくりと頷いた。
「ああ,別に」
その言葉にほんの少し安堵して,僕は敦を見上げる。
「さっき少し話したから」
でも,僕の期待した肯首では無かったようで。
僕はむっと唇を引き絞った。
あっそ。
なんて,心の中で毒づいてみる。
「伊織?」
何でもないよ。
別に,僕だってそんなに物分かりが悪いわけじゃない。
僕が近寄りたくないからって,皆までそうする理由はないし。
皆と仲良くする和寧だって,何も悪いところはない。
でも,だとしても。
「そんなに気にしなくても大丈夫だ。俺たちだって誰でも彼でも輪に入れてやるわけじゃないから」
敦は僕と目を合わさないように,独り言みたいにして言った。
その気遣いにカッと,引き絞った唇に力が入る。
「僕はそんなつもりじゃ」
「ああ。分かってる」
皆のそばは,僕がようやく手に入れた僕の居場所。
敦がくれた,敦のいる居場所。
そんなところに安易に立ち入られたくないなんて,そんなこと思ってたわけじゃない。
強がって出した否定の言葉を,敦はあっさりと受け流した。
それが気に入らなくて,コツンと小さく敦を小突く。
「……伊織。敦も。そろそろ座った方がいいんじゃないか。教科担当来てるけど」
「そうか? じゃあそろそろ座るか」
「うん。僕も。準備しなきゃ」
廊下を見ながら告げたリューに頷いて,僕は再度前を向いた。
「ふぅん?」
「何だよ」
バチリとあった和寧の視線に,どこか不快に思った僕はつい喧嘩腰になってしまう。
「まぁまぁまぁまあ」
そこにスズがやって来て,スズは僕を回収するように掴んで引っ張った。
だから。
「どうして僕なんだっ」
「一々くってかかんなって。ほら,準備終わってないんだろ」
「そうだけど!!」
どう考えても意味ありげに何か言ってきた和寧が悪いのに。
納得いかない……!!!
僕はむすっとして,その後後ろから声をかけてきた和寧を2回も無視した。
カラカラと笑う目の前の男子生徒に,僕は目を丸くして頬杖にしていた右手から顔を少しあげた。
朝から転校生の知らせに教室が沸き立つ。
スタイルも顔もよくノリも軽い転校生を見て,女の子は特にひそひそ声が1.5倍になっていた。
……どおりで見慣れない生徒だと思ったわけだ。
どう見ても真っ直ぐ僕を見て,悪戯に成功した子供みたいな笑顔を向けているのは,先日ワークを回収した後の廊下で僕にぶつかったおっちょこちょいな相手。
「黒田 和寧。彼女ナシ。趣味でアチコチ転校してたので,方言めちゃくちゃで~す。しばらくは慣れないと思うけど,ヨロシクね」
慣れたようにあちこち手を振る転校生。
嫌みのないその態度に,クラスメートは興奮したり呆れたりと様々だった。
僕はちらりと後ろの席をみる。
数日前にいきなり設置された空席は,たぶんこの日のためだったんだろう。
親の転勤でも何でもなく,転校が趣味って……
変なやつが僕の後ろに来たものだと,僕はちょっぴり浅くため息をついた。
黒田 和寧。
白板にかかれた漢字を,机でなぞる。
名前は,すごく綺麗だな。
僕は口の中で反芻してみた。
紹介が終わると,黒田は軽い足取りで向かってくる。
「伊織くん」
「は?」
「違った? この前そう呼ばれてたやろ。僕,あの日説明受けに来てて」
ああ,そう言えば。
リューに呼び掛けられたような気が,するようなしないような。
「よろしく。和か和寧って呼んで」
後ろに座った黒田の提案に渋々頷きながらも,僕は差し出された手をとらなかった。
僕は根っからの人見知り。
チャラそうなやつも,馴れ馴れしいやつもあんまり好きじゃない。
僕じゃなくても,和寧ならすぐに馴染むだろうと。
僕は会話もそこそこに前を向いた。
「んー。冷たいな」
思案するような言葉が聞こえたけど,その意味を問いただす前にHRは終わってしまった。
「なー。伊織はこの辺だとどこ行くん。なんか上手い店とか知らんと?」
「行かない。知らない」
「じゃあ一緒に探しに行かない? 僕の観光に付き合ってよ」
「行かない。やだ。……もーいい加減付きまとってこないでよ!」
「そんなこと言って~。さっきから何だかんだつき合ってくれてるやん~」
「それは……っ!!!」
なーなーねーねーと。
どれだけ冷たくあしらってもめげない和寧に僕はとうとう勢いよく振り返る。
和寧が話しかけてくるからだろ……っっ!!!
僕は喉にでかかった言葉を飲み込んだ。
それを口にしたところで,もっと付け上がるだけに決まってる。
「そんな意味不明な近寄り方してたら女の子に嫌われるよ。怖がられるから絶対やめなね」
「わー。忠告ありがとー」
適当な返事を返して,なにか思うところでもあったのか,和寧は大きな声でクラスメートを呼んだ。
「桜ちゃーん。僕のことすきーー??」
なっと和寧を見上げる。
突然何を言い出すのかと,飯島桜さんも目を丸くしていた。
けれど気を悪くするような態度は見せずに,あははと笑う。
「嫌いじゃないよー」
「ねーー。女の子は僕のこと好きだよね~」
僕ははくはくと口を動かして,お腹の中がひっくり返りそうな衝動を押さえた。
こいつ,意味が分からない……!!!
僕の言葉に対する当て付けに,いきなりこんなことをするなんて正気じゃない。
僕にとって未知との遭遇。
僕は咄嗟に,怖いとまで思った。
「分かったから!! もう僕に話しかけないでよ。和寧がうるさくてさっきの授業も全然聞こえなかったんだから」
本当は分かるくせに,分からないふりをしては僕に話しかけて。
そうすれば僕が無視できないと分かってて,いい迷惑だ。
「あはは。ごめん。一々反応してくれるのが面白くて。結局名前もちゃんと呼んでくれるし」
優しいねーと上から目線でからかわれる。
僕の人生においてこんなに適当でむかつくやつは今まで1人もいなかった。
図太くて図々しくてその上厚かましい。
「うるさいっっ」
僕がなけなしの声で叫ぶと,聞き付けたスズが苦笑いで寄ってくる。
「伊織がここまで怒るなんて珍しいな。あっても三太に眉間寄せてるくらいだったのに」
とんとんと自身の眉間をつついて見せるスズに,僕はふーと息をはいた。
そうだ。
そうだ。
こんな事でむきになるなんて僕らしくない。
何をしていたんだろうと,恥ずかしくなった僕は腕を擦る。
「俺も和寧って呼んでいい? 俺は鈴村 亮介。スズでも亮介でも好きに呼んでよ」
「じゃ,亮介で。よろしく」
僕はそんな二人の様子を見てそっと離れた。
「じゃあスズ。あとはよろしく」
僕はこんな意味の分からない転校生のお守りなんてごめんだ。
スズが変わってくれるなら,僕は敦のところにでも行こうと手をはたく。
「えなんで。いいじゃん3人でも」
すかさず挟まった声に,僕はノーと答えた。
「やだ。僕にはあと3人友達がいるし,君とはべつに仲良くなりたくない」
1人はコミュ力おばけ。
もう1人は片想い相手。
もう1人も想われ中。
僕は少し思うところがありながらも,そんなこと知る由もないのだからと振り向きながら胸を張って拒絶した。
そんな僕をスズが窘める。
「まあまあ。いいじゃん伊織。まだお互いなんにも知らないし。ところで,なんで和寧は伊織に懐いてんの。こんなに嫌がられてるのに」
「嫌がられてるって……心外だな~。僕はただ伊織が好きなだけだよ。ね」
ちらりと目線をやられて,僕は頭から発火しそうになった。
ふるふると拳を握り,和寧を睨む。
「だから! そういう事を恥ずかしげもなく口にするな……っっっ!!!!!」
うおっと目を丸くしたスズをおいて,僕はそのまま教室を出た。
しばらくぷんすかと怒りながら,顔を洗い冷静になる。
深い意味はないと分かっていたのに,最近はその手の言葉を聞きすぎて過剰な反応をしてしまった。
女の子なんかはたまに言い合っていたりするけど,僕にとってその言葉は1度も軽かったことはない。
男同士のコミュニティーで口にしたり耳にすることは少なく,僕自身そんな風にべたべたする質じゃないから。
僕には和寧がどうしてあんなに友好的に接してくるのか分からなかった。
接点があるとすれば,ただ1度ぶつかっただけ。
それだけであんな風になるだろうか。
もっと普通に近づいてきてくれたら,僕だって多少は受け入れられたかもしれないのに。
まるで僕が一方的にふてくされているようなスズの態度にも納得が行かない。
「伊織」
「リュー……」
「大丈夫か?」
僕は蛇口を捻ってみずを止める。
わざわざ様子を見に来てくれたリューに,僕はわざとらしく肩を落とした。
「大丈夫じゃないよ。話が通じないんだもん。話してて疲れる……悪いけど少しの間,そっちに行ってもいい? 三太とかも呼んで,ちょっと喋ろ」
こんな風に誰かを突き放すのは好きじゃないけど。
でも言って分からないなら,向こうから近寄れないようにするしかない。
と。
僕はリューに頼む。
リューは
「いいけど」
と短く答えた。
教室に戻ると入り口には丁度敦がいる。
声をかけようとして,その奥の三太に目を向けげんなりとする。
いつの間にか,三太は和寧の前で楽しそうにはしゃいでいた。
僕が少し外している隙に……っ
分かってはいた。
三太は人見知りするタイプではないし,寧ろ懐っこくて直ぐに誰にでも話しかけられるやつだから。
「敦はいいのか」
なんて僕はちょっぴり拗ねたような声を出してしまう。
敦は僕を見て,こくりと頷いた。
「ああ,別に」
その言葉にほんの少し安堵して,僕は敦を見上げる。
「さっき少し話したから」
でも,僕の期待した肯首では無かったようで。
僕はむっと唇を引き絞った。
あっそ。
なんて,心の中で毒づいてみる。
「伊織?」
何でもないよ。
別に,僕だってそんなに物分かりが悪いわけじゃない。
僕が近寄りたくないからって,皆までそうする理由はないし。
皆と仲良くする和寧だって,何も悪いところはない。
でも,だとしても。
「そんなに気にしなくても大丈夫だ。俺たちだって誰でも彼でも輪に入れてやるわけじゃないから」
敦は僕と目を合わさないように,独り言みたいにして言った。
その気遣いにカッと,引き絞った唇に力が入る。
「僕はそんなつもりじゃ」
「ああ。分かってる」
皆のそばは,僕がようやく手に入れた僕の居場所。
敦がくれた,敦のいる居場所。
そんなところに安易に立ち入られたくないなんて,そんなこと思ってたわけじゃない。
強がって出した否定の言葉を,敦はあっさりと受け流した。
それが気に入らなくて,コツンと小さく敦を小突く。
「……伊織。敦も。そろそろ座った方がいいんじゃないか。教科担当来てるけど」
「そうか? じゃあそろそろ座るか」
「うん。僕も。準備しなきゃ」
廊下を見ながら告げたリューに頷いて,僕は再度前を向いた。
「ふぅん?」
「何だよ」
バチリとあった和寧の視線に,どこか不快に思った僕はつい喧嘩腰になってしまう。
「まぁまぁまぁまあ」
そこにスズがやって来て,スズは僕を回収するように掴んで引っ張った。
だから。
「どうして僕なんだっ」
「一々くってかかんなって。ほら,準備終わってないんだろ」
「そうだけど!!」
どう考えても意味ありげに何か言ってきた和寧が悪いのに。
納得いかない……!!!
僕はむすっとして,その後後ろから声をかけてきた和寧を2回も無視した。
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