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異大陸
ミーナ無双(1)
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順調な戦績だ。
まぁ、あの訓練を見た後では当然の結果と言えるが・・・
でも、採点の方はどうしようか。
ラムとオルドはある意味瞬殺で終わってしまっている。
違いと言えば、敵の攻撃が発生したかしないかだ。
でも、オルドは攻撃を一切受けたわけではないし・・・
悩ましい。と言ってもまだ戦闘は続くので、悩める時間はあるな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方、魔神サイドは驚愕に包まれている。
あまつさえ神の力を得た魔獣、そして地力も<SS:聖級>であった精鋭たちがなすすべなく瞬殺されているのだ。
いや、一匹は生かされているが、今後の運命は明るくないことは容易に想像できる。
残された三匹の魔獣は動揺を隠しきれていない。
魔神は、自らの配下は弱いレベルから先に戦闘に参加させていると宣言していた。
その宣言は決して嘘ではないのだが、それにしても<アルダ王国>側との力の差がありすぎる。
神の力で鑑定した際に<アルダ王国>の戦闘参加者は一人を除き<SS:聖級>であり、今も鑑定の結果は変わらない。
この戦いを見る前までは、正直彼らを完全な格下に見ていたのは間違いないのだが、立場が逆である事がこの二戦をみてはっきりとわかってしまった。
残された魔獣は魔神に助けを求める。
「魔神様、奴らの強さは想定の遥上を行っています。このままでは我ら犬死ですぞ」
「わかっている。まさか<SS:聖級>に<SSS:神級>が手も足もでんとは誰が想像できようか。だが案ずるな。貴様たちは我の力の一端により、より強大な力を得ることができる。それは、<融合>だ。貴様ら三体を一体に融合することにより力を跳ね上げることができる。意識は一番強い者が持つことになるが犬死よりは良いだろう。どうだ?」
「「「是非もありません」」」
このまま行っても確実な死、または捉えられたとしても碌な扱いを受けないことがわかっている魔獣達には拒否する意思は一切なかった。
魔神が魔獣三匹に対して術を発動すると、大きさは変わらない一匹の魔獣が新たに誕生した。
明らかに異質な強さを持つ魔獣だ。
それを見た<アルダ王国>側の対戦相手が殺気だっている。
魔神サイドは、殺気だった<アルダ王国>の状態を見て落ち着きを取り戻す。
「魔神様、やつら魔神様のお力に恐れ慄いているようですね」
「であろう。まさか更に強化できるとは思ってもみなかったのだろうよ」
「では、魔神様の御前でやつらを全員打ち砕いてご覧にいれます」
「ああ、楽しみにしているぞ」
そう言って新たな魔獣は一歩一歩と歩を進めていく。
この間に、魔神は更なる補助魔法を魔獣に向かって使用することにより、更なる強化を施した。
だが彼らは知らない。
<アルダ王国>側の近衛達が殺気だった本当の理由を・・・
そう、近衛達はこんなやり取りをしてたのだ。
「あの魔神、私の獲物を融合してしまったにゃ」
「俺の獲物もだ!!」
「私の獲物もそうだ」
「でも問題ないにゃ。次の対戦は私だったはずだにゃ。相手がどう変形しようとそれは覆せないにゃ」
「う・・それはそうかもしれないが・・・」
「できれば隊長なので、一応活躍したいのだが・・・」
若干切れと勢いが無くなるハルドと二コラ。
それもそのはずである。
近衛同士の鍛練で勝率が一番高いのはミーナ、そして残りは同列と言った感じなのだ。
そのミーナの圧に少々腰が引けているハルドと二コラ。
当然それぞれに獲物が与えられてた近衛の三人に対して、獲物は融合してしまった一匹、そして対戦時の採点結果により与えられるであろう魔神。
自らの戦いの場を欲している近衛達の殺気は、互いに牽制している殺気であり、決して融合された魔獣に対して出した殺気などではない。
しかし、その殺気の殆どはミーナによるもので、ハルドと二コラは殺気を防御するべく何故か無意識に結界を張っていた。
この辺りも、彼ら近衛の結界技術を押し上げた要因なのかもしれない。情けないが・・・
そんな状態を知るわけもなく、<アルダ王国>の対戦相手であるミーナが警戒の殺気を出していると勘違いしている魔獣は、より恐怖を与えるつもりでわざとゆっくりと歩を進める。
対してミーナは、殺気を収めて嬉しそうに、それこそスキップでもしそうな勢いで対戦相手に向かって行く。
一方残されたハルドと二コラは絶望の顔をしている。
「隊長、これってもしかして俺達出番がないという事ですかね?」
「言うなハルド。あの魔獣なんぞミーナにしたら雑魚も良い所だ。精々遊んでも数分持たないだろう。そしてこの対戦が始まる前の採点・・・当然我らは戦闘すらしていないので採点されない。なんて理不尽な!!」
「こうなったら、魔獣に少しアドバイスでもしますかね?」
こんな会話をしながらも、ミーナの実戦を見て少しでも自らの力とする努力は忘れない。
当然既に戦闘を終わっているオルドとラムも同様だ。
やがて同じように両者が近接し、マーニカ隊長と魔神が結界を張った。
両者が戦闘開始前に近接した瞬間、近衛の面々は最早この勝負はついてしまったと空を見上げていた。
その仕草を見た魔獣は、死地へ赴いた仲間を思う行動だと勘違いしており、
「おい、お前の仲間たちが何か絶望の顔をして祈っているぞ?お前の無事を祈っているか?だが、それはかなわんだろうな」
そうミーナに告げる。
ミーナ自体は近衛達の意図がわかるため、好戦的な笑みを近衛達に向けている。
対戦相手である自分から視線を完全に外して仲間を見ているミーナを目前にし、魔獣は大きな一撃を入れようと拳を握り<SSS:神級>の圧縮魔法を付与した力でミーナに向かって攻撃した。
したのだが・・・魔獣は一瞬でミーナを見失い、天地がわからなくなったと思った直後に自分が結界の位置まで吹き飛ばされたのを把握した。
魔獣は激しく動揺した。
そっぽを向いた状態の相手に不意打ちしたにもかかわらず、攻撃を視認できない反撃を受けたのだ。
決して油断などはしていない。
それに、前の二人の対戦相手は何やら魔道具のような武具が変形してかなりの力を得ていたようだが、対戦相手であるミーナは黄色のガントレット、茶色のソルレットはしているが、体が金色に変化する等の状態ではない。
動揺した魔獣ではあるが、魔神の補助魔法や<融合>による強化により、大きなダメージは負っていない。
つまり、今の状態であれば致命傷などは受けない事を瞬時に理解した魔獣は落ち着きを取り戻し、改めてミーナに向かう。
当の対戦相手であるミーナは、
「うん?あの程度だとダメージは無いかにゃ?とすると、私も解放して行かないとだめかにゃ?」
近衛騎士であるミーナが持つ武具の一段目の開放を行うと、黄色のガントレットは黄金、茶色のソルレットは黒に変色し、ガントレットからは魔力の衝撃波や防御壁、土魔法を付与した攻撃も可能となる上、ソルレットは大幅な脚力強化をもたらす。
他の近衛達と違い一段目の開放だけで戦闘を行うミーナは、改めて魔獣を見る。
魔獣側はミーナの状態を神の力で把握したようで、腰を落として臨戦態勢だ。
一方観戦しているハルドと二コラは冷静な分析をしている。
「おい、距離が空いたぞ。しかもミーナ、一段解放しかしていない。これは魔獣唯一のチャンスか?」
「そうだな。魔獣にしてみたら今を逃すと攻撃のチャンスはないだろうな」
その声が聞こえたのかわからないが、魔獣は魔法を発動した。
無数の短剣が魔獣の背後から表れて、ミーナに襲い掛かる。
更には魔獣の拳から繰り出された衝撃波と、地面からは土魔法を使用した攻撃が同時に行われる。
「ああ、そんなんじゃ攻撃が届くわけないだろ?」
「そうだ。おいお前、ちゃんと敵の分析をしながら戦ってるのか?この見掛け倒しが!!」
傍から見ると、防御も避けることもできそうにない魔獣の攻撃だが、ハルドと二コラは魔獣に対して厳しい駄目だしをしている。
最早どちらの味方かわからない状態だ。更には本音が口から漏れ出してしまう。
「お前が少しでもダメージを与えられたら、まだ俺達にもチャンスがあるかもしれないんだ」
「そうだ。お前程度では決して勝てるわけはないが、ミーナが本気を出していないこのチャンスに大きくなくていい、かすり傷程度のダメージ位与えて見せろ!!」
そんな本音が戦闘中のミーナに聞こえないわけもなく、
「ハルドと隊長少しうるさいにゃ。この後お説教にゃ」
「うっ、くそ、あの魔獣のせいだぞ」
そんなやり取りをしながら、ミーナは足元からの土魔法による攻撃を難なくかわしながら、飛来する短剣を全て叩き落して見せた。
そして、衝撃波はミーナの拳で相殺し全ての攻撃を難なく無効化して見せたのだ。
「もう少し強い攻撃は無いのかにゃ?」
息も一切乱さずに、本心から魔獣に問いかけるミーナ。
魔獣は、確かに全力ではないが全力に近い力で多数の攻撃を仕掛けていたのに、一切ダメージを与えることができなかった事実に絶望の顔をしている。
「おい、そこの魔獣、お前奥の手位当然あるんだろ?最後に意地を見せてみろ?」
煽っているのか、自分の戦闘のチャンスを得る為かはわからないが、二コラ隊長は魔獣に叫ぶ。
しかし魔獣は完全に戦意を喪失してしまっている。
魔獣と同様に、魔神も動揺を隠しきれなくなってきた。
<融合>までした<SSS:神級>三匹が<SS:聖級>に手も足も出ないのだ。しかも対戦相手であるミーナは明らかに手を抜いている。
自分が本気で戦えば今のあの猫獣人には勝てるだろうが、本気を出されるとどうなるかわからないと思っている。
当然魔神は奥の手である<神殺し>を持っているが、これは多数の生贄によって一回のみ発動できる状態になっている。
もし発動するなら、神が集合している場所で発動しないと、本来の目的である自らを封印した神への復讐は果たせない。
もちろん神をも殺せる威力の攻撃であり、神以外にも有効なので、この場所で発動しても問題はないが、<アルダ王国>側の戦力は<アルダ王国>や他の大陸にも分散している事を知っているので、発動を躊躇している。
その間に、<融合>された魔獣はミーナにより捕縛され、いつの間にか魔神が展開した結界も破壊されていた。
まぁ、あの訓練を見た後では当然の結果と言えるが・・・
でも、採点の方はどうしようか。
ラムとオルドはある意味瞬殺で終わってしまっている。
違いと言えば、敵の攻撃が発生したかしないかだ。
でも、オルドは攻撃を一切受けたわけではないし・・・
悩ましい。と言ってもまだ戦闘は続くので、悩める時間はあるな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
一方、魔神サイドは驚愕に包まれている。
あまつさえ神の力を得た魔獣、そして地力も<SS:聖級>であった精鋭たちがなすすべなく瞬殺されているのだ。
いや、一匹は生かされているが、今後の運命は明るくないことは容易に想像できる。
残された三匹の魔獣は動揺を隠しきれていない。
魔神は、自らの配下は弱いレベルから先に戦闘に参加させていると宣言していた。
その宣言は決して嘘ではないのだが、それにしても<アルダ王国>側との力の差がありすぎる。
神の力で鑑定した際に<アルダ王国>の戦闘参加者は一人を除き<SS:聖級>であり、今も鑑定の結果は変わらない。
この戦いを見る前までは、正直彼らを完全な格下に見ていたのは間違いないのだが、立場が逆である事がこの二戦をみてはっきりとわかってしまった。
残された魔獣は魔神に助けを求める。
「魔神様、奴らの強さは想定の遥上を行っています。このままでは我ら犬死ですぞ」
「わかっている。まさか<SS:聖級>に<SSS:神級>が手も足もでんとは誰が想像できようか。だが案ずるな。貴様たちは我の力の一端により、より強大な力を得ることができる。それは、<融合>だ。貴様ら三体を一体に融合することにより力を跳ね上げることができる。意識は一番強い者が持つことになるが犬死よりは良いだろう。どうだ?」
「「「是非もありません」」」
このまま行っても確実な死、または捉えられたとしても碌な扱いを受けないことがわかっている魔獣達には拒否する意思は一切なかった。
魔神が魔獣三匹に対して術を発動すると、大きさは変わらない一匹の魔獣が新たに誕生した。
明らかに異質な強さを持つ魔獣だ。
それを見た<アルダ王国>側の対戦相手が殺気だっている。
魔神サイドは、殺気だった<アルダ王国>の状態を見て落ち着きを取り戻す。
「魔神様、やつら魔神様のお力に恐れ慄いているようですね」
「であろう。まさか更に強化できるとは思ってもみなかったのだろうよ」
「では、魔神様の御前でやつらを全員打ち砕いてご覧にいれます」
「ああ、楽しみにしているぞ」
そう言って新たな魔獣は一歩一歩と歩を進めていく。
この間に、魔神は更なる補助魔法を魔獣に向かって使用することにより、更なる強化を施した。
だが彼らは知らない。
<アルダ王国>側の近衛達が殺気だった本当の理由を・・・
そう、近衛達はこんなやり取りをしてたのだ。
「あの魔神、私の獲物を融合してしまったにゃ」
「俺の獲物もだ!!」
「私の獲物もそうだ」
「でも問題ないにゃ。次の対戦は私だったはずだにゃ。相手がどう変形しようとそれは覆せないにゃ」
「う・・それはそうかもしれないが・・・」
「できれば隊長なので、一応活躍したいのだが・・・」
若干切れと勢いが無くなるハルドと二コラ。
それもそのはずである。
近衛同士の鍛練で勝率が一番高いのはミーナ、そして残りは同列と言った感じなのだ。
そのミーナの圧に少々腰が引けているハルドと二コラ。
当然それぞれに獲物が与えられてた近衛の三人に対して、獲物は融合してしまった一匹、そして対戦時の採点結果により与えられるであろう魔神。
自らの戦いの場を欲している近衛達の殺気は、互いに牽制している殺気であり、決して融合された魔獣に対して出した殺気などではない。
しかし、その殺気の殆どはミーナによるもので、ハルドと二コラは殺気を防御するべく何故か無意識に結界を張っていた。
この辺りも、彼ら近衛の結界技術を押し上げた要因なのかもしれない。情けないが・・・
そんな状態を知るわけもなく、<アルダ王国>の対戦相手であるミーナが警戒の殺気を出していると勘違いしている魔獣は、より恐怖を与えるつもりでわざとゆっくりと歩を進める。
対してミーナは、殺気を収めて嬉しそうに、それこそスキップでもしそうな勢いで対戦相手に向かって行く。
一方残されたハルドと二コラは絶望の顔をしている。
「隊長、これってもしかして俺達出番がないという事ですかね?」
「言うなハルド。あの魔獣なんぞミーナにしたら雑魚も良い所だ。精々遊んでも数分持たないだろう。そしてこの対戦が始まる前の採点・・・当然我らは戦闘すらしていないので採点されない。なんて理不尽な!!」
「こうなったら、魔獣に少しアドバイスでもしますかね?」
こんな会話をしながらも、ミーナの実戦を見て少しでも自らの力とする努力は忘れない。
当然既に戦闘を終わっているオルドとラムも同様だ。
やがて同じように両者が近接し、マーニカ隊長と魔神が結界を張った。
両者が戦闘開始前に近接した瞬間、近衛の面々は最早この勝負はついてしまったと空を見上げていた。
その仕草を見た魔獣は、死地へ赴いた仲間を思う行動だと勘違いしており、
「おい、お前の仲間たちが何か絶望の顔をして祈っているぞ?お前の無事を祈っているか?だが、それはかなわんだろうな」
そうミーナに告げる。
ミーナ自体は近衛達の意図がわかるため、好戦的な笑みを近衛達に向けている。
対戦相手である自分から視線を完全に外して仲間を見ているミーナを目前にし、魔獣は大きな一撃を入れようと拳を握り<SSS:神級>の圧縮魔法を付与した力でミーナに向かって攻撃した。
したのだが・・・魔獣は一瞬でミーナを見失い、天地がわからなくなったと思った直後に自分が結界の位置まで吹き飛ばされたのを把握した。
魔獣は激しく動揺した。
そっぽを向いた状態の相手に不意打ちしたにもかかわらず、攻撃を視認できない反撃を受けたのだ。
決して油断などはしていない。
それに、前の二人の対戦相手は何やら魔道具のような武具が変形してかなりの力を得ていたようだが、対戦相手であるミーナは黄色のガントレット、茶色のソルレットはしているが、体が金色に変化する等の状態ではない。
動揺した魔獣ではあるが、魔神の補助魔法や<融合>による強化により、大きなダメージは負っていない。
つまり、今の状態であれば致命傷などは受けない事を瞬時に理解した魔獣は落ち着きを取り戻し、改めてミーナに向かう。
当の対戦相手であるミーナは、
「うん?あの程度だとダメージは無いかにゃ?とすると、私も解放して行かないとだめかにゃ?」
近衛騎士であるミーナが持つ武具の一段目の開放を行うと、黄色のガントレットは黄金、茶色のソルレットは黒に変色し、ガントレットからは魔力の衝撃波や防御壁、土魔法を付与した攻撃も可能となる上、ソルレットは大幅な脚力強化をもたらす。
他の近衛達と違い一段目の開放だけで戦闘を行うミーナは、改めて魔獣を見る。
魔獣側はミーナの状態を神の力で把握したようで、腰を落として臨戦態勢だ。
一方観戦しているハルドと二コラは冷静な分析をしている。
「おい、距離が空いたぞ。しかもミーナ、一段解放しかしていない。これは魔獣唯一のチャンスか?」
「そうだな。魔獣にしてみたら今を逃すと攻撃のチャンスはないだろうな」
その声が聞こえたのかわからないが、魔獣は魔法を発動した。
無数の短剣が魔獣の背後から表れて、ミーナに襲い掛かる。
更には魔獣の拳から繰り出された衝撃波と、地面からは土魔法を使用した攻撃が同時に行われる。
「ああ、そんなんじゃ攻撃が届くわけないだろ?」
「そうだ。おいお前、ちゃんと敵の分析をしながら戦ってるのか?この見掛け倒しが!!」
傍から見ると、防御も避けることもできそうにない魔獣の攻撃だが、ハルドと二コラは魔獣に対して厳しい駄目だしをしている。
最早どちらの味方かわからない状態だ。更には本音が口から漏れ出してしまう。
「お前が少しでもダメージを与えられたら、まだ俺達にもチャンスがあるかもしれないんだ」
「そうだ。お前程度では決して勝てるわけはないが、ミーナが本気を出していないこのチャンスに大きくなくていい、かすり傷程度のダメージ位与えて見せろ!!」
そんな本音が戦闘中のミーナに聞こえないわけもなく、
「ハルドと隊長少しうるさいにゃ。この後お説教にゃ」
「うっ、くそ、あの魔獣のせいだぞ」
そんなやり取りをしながら、ミーナは足元からの土魔法による攻撃を難なくかわしながら、飛来する短剣を全て叩き落して見せた。
そして、衝撃波はミーナの拳で相殺し全ての攻撃を難なく無効化して見せたのだ。
「もう少し強い攻撃は無いのかにゃ?」
息も一切乱さずに、本心から魔獣に問いかけるミーナ。
魔獣は、確かに全力ではないが全力に近い力で多数の攻撃を仕掛けていたのに、一切ダメージを与えることができなかった事実に絶望の顔をしている。
「おい、そこの魔獣、お前奥の手位当然あるんだろ?最後に意地を見せてみろ?」
煽っているのか、自分の戦闘のチャンスを得る為かはわからないが、二コラ隊長は魔獣に叫ぶ。
しかし魔獣は完全に戦意を喪失してしまっている。
魔獣と同様に、魔神も動揺を隠しきれなくなってきた。
<融合>までした<SSS:神級>三匹が<SS:聖級>に手も足も出ないのだ。しかも対戦相手であるミーナは明らかに手を抜いている。
自分が本気で戦えば今のあの猫獣人には勝てるだろうが、本気を出されるとどうなるかわからないと思っている。
当然魔神は奥の手である<神殺し>を持っているが、これは多数の生贄によって一回のみ発動できる状態になっている。
もし発動するなら、神が集合している場所で発動しないと、本来の目的である自らを封印した神への復讐は果たせない。
もちろん神をも殺せる威力の攻撃であり、神以外にも有効なので、この場所で発動しても問題はないが、<アルダ王国>側の戦力は<アルダ王国>や他の大陸にも分散している事を知っているので、発動を躊躇している。
その間に、<融合>された魔獣はミーナにより捕縛され、いつの間にか魔神が展開した結界も破壊されていた。
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