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(32)スーレシアの行動と……(2)
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母と共にこの店に来ている幼い少女に薬草の値段を聞かれた店員のハートセカンドは、ほんの少しだけ考えこんで回答する。
「そうですね……」
「ちょっとサリナ、ごめんなさい。そんな高価な薬草を買う程持ち合わせは無いのです。本当に申し訳ありません」
少女の対応をしているハートセカンドが笑顔で答えようとしている所、母親が慌てて少女……サリナと呼ばれている少女を嗜めてしまったのは、やはり効果を聞いて有り得ない程の金額であると容易に想像できたからだろう。
「いえいえ。その、失礼ですが、ご主人様はお怪我をされてしまったのでしょうか?」
「はい。あっ!でも大丈夫です。何でもこの周辺を開拓するのに夢中になっての自業自得ですから。それに、多少怪我をしていても……お恥ずかしい話、暫く行方不明扱いだったので、帰ってきてくれて嬉しいのです」
「それは何よりです。では、無事の帰還を記念する意味で、鉄貨二枚(200円)で如何でしょうか?」
「はぁ!?」
何故か返事をしたのはスーレシアであり、そのまま固まってしまう。
「え?そんな……本当ですか?」
母親の方も有り得ないとは思っているのだが、実際には夫の怪我はそう軽いものではなかったために正直喉から手が出るほど欲しい薬草であり、その気持ちが答えにあふれ出てしまう。
不安ながらも申し訳ない気持ち、そしてこのチャンスを逃さずに薬草を得て主人を治したい気持ちが混ざり合っている。
「はい。もちろんです。これからこのシンロイ商会を御贔屓にして頂くため、そして共にこのアザヨ町の発展を行っていくためのお手伝いの第一歩です。お姉ちゃんもそれで良いですか?」
「うん!ありがとう、綺麗なお姉ちゃん!」
「ほ、本当に有難うございます。なんとお礼を申し上げれば良いのか……」
「フフフ、実は私達も雇われの身ですので、厚かましいお願いですが感謝の方は私達の雇い主、商会長にして頂ければと思います。そのお方の詳細をお伝えするわけにはまいりませんが、慈愛溢れる、神と言っても過言ではないお方です」
ここでしっかりと表の立場であるシンロイ商会の商会長であるロイについて、詳細は伝えられないながらもしっかりとアピールする事を忘れないハートセカンド。
実はこの店番をしているハートサードやクラブエースも好意的に感じる人物に対しては同じような事をしており、彼等は喜び勇んで家に戻り癒し、一部の者は食材を持ち帰って調理し、寂れ続けていた町に活気が戻る。
未だこの商会に来ていない町に留まっている面々もそのような状況を見聞きし、当然シンロイ商会を称えている町民の話を聞いて半信半疑ながらも続々と来店すると言う好循環になっている。
絶えず客が来ている状態だが、どう見ても大赤字どころか破産一直線の状況を間抜けな顔をして固まったまま見ているスーレシアは、夕方近くになってようやく再起動すると、自分も薬草を購入しようとする。
ショーケースの近くに行って、いつの間にか補充されている薬草を欲しいと願った瞬間にその手に……薬草は現れなかった。
「ちょっと、なんで私の手元に他の連中の様に品物が現れないのよ!」
この不思議なショーケースが品物を手元に転送させる事や劣化を防止するだけの魔道具であるはずがなく、ダイヤ部隊特性の逸品である事から盗難防止、更には悪意の有無まで自動で関知し、疑わしい人材に対しては品物が転送されないようになっている。
この事態に陥ったのはスーレシアが第一号であり、さり気なく状況を確認していたクラブセカンドは、ダイヤ部隊特性魔道具のショーケースがしっかりと機能した事を確認して安堵している。
周囲の者達は転送される薬草を含めた商品を見て驚き、そして嬉しそうに会計に向かって行くのだが、スーレシアは待てど暮らせど手元に薬草だけではなくどの商品も転送されない事に苛立ち、何も手にしていない状況で忙しくなっている会計に並ぶ。
「ちょっと、アンタの所の魔道具なのかしら?他の連中は商品が転送されるよだけれど、私はいくらあの説明書きの様に欲しても手元に来ないのよ!どう言う事よ!」
怒り散らかしているのだが、その原因は悪意の有無も当然この結果に影響しているが、ジンタ町でダイヤキングに顔を見られた上で対応されているので、カード部隊のブラックリストに入っていた。
未だアザヨ町のミレニアの両親が経営する宿に留まっている子飼いの女性も同様にブラックリストに入っているので、今後どこのシンロイ商会に行っても何も購入する事は出来ないだろう。
「実は、あの魔道具のショーケースはお客様を選ぶのです。私達では対応できることはありませんので、申し訳ありませんがお引き取り頂けますか?」
少し前は商品の品質、数量で驚き、その後は値段の対応で動けなくなり、最後にこの様な対応をされて怒り散らしているスーレシアなので、ジンタ町で自分達を差し置いて町民を癒していた人物と瓜二つの存在がこの店の店員として活動している事には頭が回らなかった。
と言うよりも、財産すら失い有り得ない程急転直下で環境が変化したので、その辺りの記憶は曖昧で、この店の店員に関しては見た事もない程に程綺麗な人物程度の認識しかできなかったのだ。
店員に笑顔で訳の分からない事を言われているのだが、周囲の憐みの視線もあるし、今この場にいる客は自分以外が全員アザヨ町の知り合いの様なので露骨にヒソヒソされている為に、いたたまれなくなって慌ててこの場から去って行くスーレシア。
「何よ、こんな町!さっさと出て行ってやるわ!」
「そうですね……」
「ちょっとサリナ、ごめんなさい。そんな高価な薬草を買う程持ち合わせは無いのです。本当に申し訳ありません」
少女の対応をしているハートセカンドが笑顔で答えようとしている所、母親が慌てて少女……サリナと呼ばれている少女を嗜めてしまったのは、やはり効果を聞いて有り得ない程の金額であると容易に想像できたからだろう。
「いえいえ。その、失礼ですが、ご主人様はお怪我をされてしまったのでしょうか?」
「はい。あっ!でも大丈夫です。何でもこの周辺を開拓するのに夢中になっての自業自得ですから。それに、多少怪我をしていても……お恥ずかしい話、暫く行方不明扱いだったので、帰ってきてくれて嬉しいのです」
「それは何よりです。では、無事の帰還を記念する意味で、鉄貨二枚(200円)で如何でしょうか?」
「はぁ!?」
何故か返事をしたのはスーレシアであり、そのまま固まってしまう。
「え?そんな……本当ですか?」
母親の方も有り得ないとは思っているのだが、実際には夫の怪我はそう軽いものではなかったために正直喉から手が出るほど欲しい薬草であり、その気持ちが答えにあふれ出てしまう。
不安ながらも申し訳ない気持ち、そしてこのチャンスを逃さずに薬草を得て主人を治したい気持ちが混ざり合っている。
「はい。もちろんです。これからこのシンロイ商会を御贔屓にして頂くため、そして共にこのアザヨ町の発展を行っていくためのお手伝いの第一歩です。お姉ちゃんもそれで良いですか?」
「うん!ありがとう、綺麗なお姉ちゃん!」
「ほ、本当に有難うございます。なんとお礼を申し上げれば良いのか……」
「フフフ、実は私達も雇われの身ですので、厚かましいお願いですが感謝の方は私達の雇い主、商会長にして頂ければと思います。そのお方の詳細をお伝えするわけにはまいりませんが、慈愛溢れる、神と言っても過言ではないお方です」
ここでしっかりと表の立場であるシンロイ商会の商会長であるロイについて、詳細は伝えられないながらもしっかりとアピールする事を忘れないハートセカンド。
実はこの店番をしているハートサードやクラブエースも好意的に感じる人物に対しては同じような事をしており、彼等は喜び勇んで家に戻り癒し、一部の者は食材を持ち帰って調理し、寂れ続けていた町に活気が戻る。
未だこの商会に来ていない町に留まっている面々もそのような状況を見聞きし、当然シンロイ商会を称えている町民の話を聞いて半信半疑ながらも続々と来店すると言う好循環になっている。
絶えず客が来ている状態だが、どう見ても大赤字どころか破産一直線の状況を間抜けな顔をして固まったまま見ているスーレシアは、夕方近くになってようやく再起動すると、自分も薬草を購入しようとする。
ショーケースの近くに行って、いつの間にか補充されている薬草を欲しいと願った瞬間にその手に……薬草は現れなかった。
「ちょっと、なんで私の手元に他の連中の様に品物が現れないのよ!」
この不思議なショーケースが品物を手元に転送させる事や劣化を防止するだけの魔道具であるはずがなく、ダイヤ部隊特性の逸品である事から盗難防止、更には悪意の有無まで自動で関知し、疑わしい人材に対しては品物が転送されないようになっている。
この事態に陥ったのはスーレシアが第一号であり、さり気なく状況を確認していたクラブセカンドは、ダイヤ部隊特性魔道具のショーケースがしっかりと機能した事を確認して安堵している。
周囲の者達は転送される薬草を含めた商品を見て驚き、そして嬉しそうに会計に向かって行くのだが、スーレシアは待てど暮らせど手元に薬草だけではなくどの商品も転送されない事に苛立ち、何も手にしていない状況で忙しくなっている会計に並ぶ。
「ちょっと、アンタの所の魔道具なのかしら?他の連中は商品が転送されるよだけれど、私はいくらあの説明書きの様に欲しても手元に来ないのよ!どう言う事よ!」
怒り散らかしているのだが、その原因は悪意の有無も当然この結果に影響しているが、ジンタ町でダイヤキングに顔を見られた上で対応されているので、カード部隊のブラックリストに入っていた。
未だアザヨ町のミレニアの両親が経営する宿に留まっている子飼いの女性も同様にブラックリストに入っているので、今後どこのシンロイ商会に行っても何も購入する事は出来ないだろう。
「実は、あの魔道具のショーケースはお客様を選ぶのです。私達では対応できることはありませんので、申し訳ありませんがお引き取り頂けますか?」
少し前は商品の品質、数量で驚き、その後は値段の対応で動けなくなり、最後にこの様な対応をされて怒り散らしているスーレシアなので、ジンタ町で自分達を差し置いて町民を癒していた人物と瓜二つの存在がこの店の店員として活動している事には頭が回らなかった。
と言うよりも、財産すら失い有り得ない程急転直下で環境が変化したので、その辺りの記憶は曖昧で、この店の店員に関しては見た事もない程に程綺麗な人物程度の認識しかできなかったのだ。
店員に笑顔で訳の分からない事を言われているのだが、周囲の憐みの視線もあるし、今この場にいる客は自分以外が全員アザヨ町の知り合いの様なので露骨にヒソヒソされている為に、いたたまれなくなって慌ててこの場から去って行くスーレシア。
「何よ、こんな町!さっさと出て行ってやるわ!」
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