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味方を強くしよう

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 テスラムさんが加わってから俺達の行動はとても効率的になったおかげか、フロキル王国に対する復讐は終了することができた。



 イレギュラー的な逃亡者についても完全に対処できたので、完璧と言ってもいいだろう。



 そして次の復讐は、魔王達になる。



 何度も言うが、これは一筋縄ではいかないだろう。

 慎重に慎重を重ねて行動しようと思う。



 だが、既にフロキル王国の王都周辺に一定数の魔獣や魔族を監禁しているような形になっているので、当初は意図していなかったが、復讐の一端を開始してしまったような形になっている。



 慎重と言う形とは矛盾してしまうが、これは諦めよう。



「テスラムさん、魔王との戦い・・・どう進めるべきか悩んでいるんだが」

「彼らは<六剣>を脅威と認めております。当然搦手も使ってくるでしょう。となると、まずは防衛的な観点で安全を確保する必要があります。つまり、今厄介になっているリスド王国、そしてフロキル王国のキュロス辺境伯。この辺りの戦闘能力を大幅に上げる必要があるでしょう」



「それは、俺達がその場にいるんってわけじゃねーよな。俺達は魔王城に全員で侵攻するんだろ?」

「それはそうだろう。だが、リスド王国もキュロス辺境伯も騎士道精神に溢れているので、少しの修行で相当強くなるのでは?」



「ん、でも悪魔と戦うまでにはならないと思う」

「そうですよね。私も悪魔と戦えるほど我が国の騎士が短期間で強くなれるとは思えません」

「私もお姉ちゃん達と同じです!」



 相変わらずのスミカ。自分の意見はないんかい??

 だが、搦手で来られても良い様に、<六剣>所持者以外で俺達に近い人達を守るための戦力確保が急務になることは間違いない。



「そこで、です。防衛すべき個所はリスド王国とキュロス辺境伯。大した数ではございません。そうなると、彼ら自身の力を上げてしまうのがよろしいでしょう」

「やっぱり修行か?でも、俺達がやったような修行を普通の連中がやると、死んじまうんじゃねーか?」



「でも、私<回復>頑張りますよ?」

「いや、物には限度があんだろ。負傷した全員がお前の傍にいりゃいいが、そうじゃない場合もあるかもしれねーしな」



「となると、各隊に分けて順番に修行になるのでしょうか?リスド王国の騎士達は、一応分隊に分かれていますので問題ありませんが・・・」

「いいえ、その様な必要はございません」



 テスラムさんには、既に考えている案があるようだ。ナユラの提案にきっぱりと否定をしている。

 実を言うと、俺もテスラムさんの言いたいことは理解している。



 <六剣>に与えられる能力の一つを使うんだ。



「皆さんはそれぞれの<六剣>をある程度使いこなせるレベルまで来ることができました。ですので、皆さんと同じような修行を各人に行わせてしまうと、ヘイロン殿の言う通り悲惨な未来が待ち受けているでしょう」

「そりゃそうだよな」



 ヘイロンの突っ込みに頷きつつもテスラムさんは続ける。



「そこで、<六剣>の機能の一つを使います。皆さんは感覚で理解できていると思いますが、それぞれの剣の特性に応じた人数を配下にすることができます。その配下になった者達は強大な力を得ることができるのです」



 ヨナとテスラムさんを除く<六剣>所持者達が、あ!そういえば!!と言う顔をしている。

 実際の所、俺もどの剣がどの程度の人数を配下にできるのか把握していない。



「俺にはわからないけど、どれくらい配下にできるか今の時点でわかっているのか?」

「ああ、配下の件は言われて気が付いたが、何となくだけどわかるぜ。俺の<炎剣>は四人までだな」

「私の<光剣>も四人です」

「私の<水剣>は七人です。多くないですか??」

「私の<闇剣>は五人」

「私の<土剣>も五人だ」

「<風剣>も五人ですな」



 スミカの<水剣>が他と比べて多い。なんでこんなにばらつきがあるのか?



「テスラムさん、なんでそれぞれで人数が違うか知ってるか?」

「申し訳ございません、ロイド様。残念ながらわかりません。初代<無剣>の次代からこの数は変わっていないようなので、修練度と言う訳でもなさそうです」



 そうすると、もともとの剣の性能だと考えた方が良いかもしれない。

 だから何だと言う話だが・・・



「じゃあ、早速誰がどこの面々を配下にするかを決めておくか」



 俺達は、いつもの通り俺の部屋でワイワイやっている。



「細かい編成はお任せしますが、私が重要と思うのは、キュロス辺境伯ご本人、キルハ国王陛下、リアナ殿と言ったところでしょうか」

「国王を配下にするのか??まずくないか?どう思うナユラ??」

「問題ないと思いますよロイド様。それに、周りが強くなっても本人がある程度強くならないと色々と問題があるのではないでしょうか?」



 もし俺が配下を作る事になったとしたら、絶対に国王を配下にするなんてことはしない。

 きっとヘイロンやアルフォナも同じ気持ちだろう。

 アルフォナなんかは俺達よりも拒否感が強そうだ。



 とすると、キルハ国王を配下にするのは<光剣>のナユラになるんじゃないだろうか。



 そして、他の重要人物・・・キュロス辺境伯は確か<炎>の基礎属性だったはずだ。

 とすると、相性がいいヘイロンか?



 姉さんについてはよくわからないから、アルフォナって所かな?



 勝手な意見を伝えるだけ伝えて、後は皆に任せることにした。

 どのみち俺は、<六剣>以外を配下にすることはできないのだから、実際に配下とする面々が検討してもらった方が良いと思ったのだ。



 決して面倒くさくなったからではない。



 少々ボーっとしていると、気が利くヨナが飲み物を渡してくれた。



「いつも悪いな。俺は大丈夫だから誰を配下にするか決めてきていいぞ」



 微笑みながら<六剣>の輪に戻るヨナ。

 ヨナとしても誰でも良いのだろうが、一応話は聞いておこうと言う所だろうか?



 そんな<六剣>所持者同士の話が付いたのか、配下につける面々が確定した。



  ヘイロンの<炎剣>には、

   キュロス辺境伯、辺境伯騎士二人、キルハ王国騎士一人。

  ナユラの<光剣>には、

   キルハ国王、キルハ国王騎士一人、辺境伯騎士二人。

  スミカの<水剣>には、

   キュロス辺境伯の騎士三人、キルハ王国騎士四人。

  ヨナの<闇剣>は、

   キュロス辺境伯騎士とキルハ王国騎士に二人ずつとし、残り一人の枠は開けておく。

  アルフォナの<土剣>は、

   リアナ姉さん、辺境伯騎士一人、キルハ王国騎士三人。

  テスラムさんの<風剣>は、

   キュロス辺境伯騎士に二人、キルハ王国騎士に三人。



 とした。



 ヨナの<闇剣>配下の一人の枠は、<闇魔法>は情報収集能力に長けているので、今後の作戦展開時に同行や先行してもらう可能性もありそうなので、各国の守りに使用しない人を対象にすることにして、今は枠を開けてある。



「それでは決まりましたな。騎士以外のキュロス辺境伯、キルハ国王陛下、そしてリアナ殿につきましては即配下としてもいいのではないでしょうか?如何されますかロイド様?」

「ああ、そうしよう。キルハ国王とリアナ姉さんにはナユラとアルフォナ頼むよ。事情も説明しておいて。それとヘイロン、悪いけど俺と一緒にキュロス辺境伯の所に来てくれ」

「了解っと」



 ヘイロンは”どっこいしょ”というセリフが聞こえてきそうな動きで立ち上がった。



「も~、ヘイロンさん!お爺ちゃんじゃないんだから、しっかりしてください!」



 スミカに尻を叩かれている。



 そんなヘイロンを連れて、キュロス辺境伯の元に転移した。

 もちろんスライムを使って事前に・・・と言っても直前だけど、連絡したぞ。
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