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ギルドマスターは思い知る
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スミカが置いた<水剣>に近づいて、震える手でその剣を掴もうとするギルドマスター。
<水剣>から発する力、そして美しさから、この場にある<水剣>がまがい物であるとは決して思えないだろう。
あの震える手を見ると、ギルドマスターも本物の<六剣>であることはわかっている。
そんなギルドマスターを見つつ、相変わらず食事を楽しむ俺達。
「テスラムさん。<水剣>大丈夫ですよね?せっかく通じあえるようになってきたんです。万が一もないですよね?」
「大丈夫ですよ。その証拠はすぐに見られます。よく見ておくといいでしょう」
スミカは、<水剣>所持者がギルドマスターになったりしないかと心配そうだ。
少し悪い事をしたかもしれない。
<無剣>を持つ俺の頼みは断ることができないのかもしれないので、今後彼女にあまり無理なお願いはしない様に気を付けないといけないな。
スミカは、心配そうに<水剣>を見続けており、食事は一切していない。
あれ程食いしん坊だったのに・・・<水剣>もここまで想われて幸せだろう。
「これで俺も英雄だ!!」
勢いよく<水剣>の柄を掴もうとしたギルドマスターだが、その手が柄を触れることは無かった。
所持者であるスミカの<水剣>に対する想い、そして<六剣>を連ねる<無剣>所持者の俺に敵対しているギルドマスター、様々な要因が混ざり、結果として<水剣>から発された<水魔法>の一つによって、ギルドマスターの右手は手首から先がきれいになくなっていた。
だが、切断面から血は噴き出していない。
そこは恩情と言う奴だろうか。
「スミカ殿、御覧の通りです。あ奴は<六剣>が意思を持っていると言う事を理解していないのですな」
スミカは嬉しそうに<水剣>に近づき、柄を手にする。
もちろんスミカに異常があるわけはなく、逆に<水剣>は嬉しさを表現するかのように宝玉が光り輝いている。
「ば、バカな・・・なぜ私が<水剣>を持てていない・・・いや、私の手はどうした?」
<水剣>はかなり恩情をかけてやったようだ。出血もなく、痛みまで取っているらしい。
「フン、お前の薄汚い手はそこにあるだろう?」
アルフォナがつまらなそうにギルドマスターの足元に向かって顎をしゃくる。
「そんな馬鹿な!!」
ギルドマスターの足元には、奇麗に切断された手が転がっている。
こちらも切断面から出血はなく、その手を拾ったギルドマスターは切断面同士を必死で合わせている。
あまりに奇麗に切断されていたので、位置さえあっていればまるで切断などされていないかのような状態になるのだが、くっついていない事実は変えようがない。
ここで、スミカレベルの<回復>が使えれば話は違ってくるだろう。
むしろ、切断状態がいいので接続するのも非常に簡単なのかもしれない。
だが、今のフロキル王国の状態では<回復>を使える人などいやしない。
やがて、どうやっても元に戻らないと理解したギルドマスターは涙を流し始めた。
そんな涙を見ても、俺達には一切関係ない。いや、むしろ復讐ができて喜びを感じているくらいだ。
「おいおい、あれだけいつも偉そうにして、しかも俺やロイドをあれほどの期間差別していやがったくせに、それっぽっちでメソメソすんじゃねーよ」
「まったくだ。騎士道精神がわかっていない」
う~ん、あいつはギルドマスターで騎士ではないから、元からわかっていないと思うぞアルフォナ。
だが、痛みを一切感じずに奇麗に手が切断されたこの状態が、更なる悲劇のきっかけになるとは思ってもいなかった。
俺達は、あのギルドマスターとその僕状態になっている商人崩れの盗賊たちの前で、優雅に食事を楽しんでその場を去った。
もちろん水の一滴すら奴らには渡していない。
「いやロイド、少しすっきりしたぜ。お前はどうだ?」
「あのクズマスターが涙を流すのは予想外だったな。もう少し噛みついてくるかと思ったが・・・<六剣>所持者になれると思っていたところ、突然右手を失ったんだからそうなるか?」
「良いじゃねーか!上げて激しく落とす。基本だろ?」
「そうだな」
人気のない位置まで移動すると、再び<空間転移>を使って俺の部屋に戻って来る。
「フィ~・・・何とか今回はテスラムさんの課題をギリギリ満足することができて良かったぜ」
「フフ、私も<水剣>を手放したときは不安でしたけど、一応はクリアできましたからね」
「お二方は、今回はお疲れさまでした。ですが、私が望んでいるレベルにまではまだまだ達しておりませんな。引き続き継続して修行を行い、高見を目指しましょう」
「「・・・はい」」
突然沈み始める二人。
「何をしょげているんだお二方。良いではないか。自分を極限まで追い込み自らを高める。まさに騎士の本懐ではないか。私は騎士道精神が高見を目指せと沸き立っているぞ」
「私も、<光剣>との絆が太くなっているのが実感できています。修行は大変ですが、この絆が更に太くなるのであれば、喜んで修行させていただきましょう」
ヨナは頷いているだけだ・・・
「ああ、わかってるさ!!」
「私もです」
一応ヘイロンとスミカも修行自体は賛成のようだな。
「ロイド様、少々面白い事態になりました」
テスラムさんは、すかさず映像を映し出す。
「あのギルドマスター、<水剣>を手にできると思った瞬間に手がなくなりました。そのショックと空腹、そして魔獣に囲われているという極限状態から自らの手を食べました」
「うぇ、さすがにそりゃ無しだ。とうとう狂っちまったか?」
「いえ、涙を流しながらですので、精神状態は非常に不安定ながらも、正常の範囲と言えるでしょう。ですが、それを見た周りにいる元商人はどう思ったでしょう?」
「なんで自分だけ飯食ってんだ!!と言った所じゃねーか?」
「大正解ですヘイロン殿。褒章として次の修行では新たな技をご教示いたしましょう」
「ぐぇ~・・・・それが褒章??」
そんなヘイロンを無視して、テスラムさんは続ける。
「ギルドマスターは、そのままあの場所を移動しました。目的地は定めていないようですが・・・そこに残された元商人は、まともに動けないながらもお互いを食料とみなしたのです」
さすがにここまで一気に来るとは思っていなかったので、一瞬動揺してしまった。
だが、俺は母さんのためにあいつらに復讐すると決めたんだ。
この位で心を乱されるわけにはいかない。
「ロイド、お前ひとりじゃないぞ。俺達<六剣>がいるんだ」
「そう。ロイド様。彼らは自業自得。これでもまだ生ぬるいです」
「うむ、ヨナ殿の言う通りだ。あ奴らには今の状況すら生ぬるいと断言できるぞ」
「私も元王族として、市民を長期間ないがしろにする者達には当然の処罰だと思います。ここで甘い顔をしてしまっては更なる事態を招くでしょう」
「私もお姉ちゃん達と一緒です」
「と言う事ですな。これが<六剣>の総意です。ロイド様が気に病む必要などあるはずもありません」
俺の真の仲間であるヘイロン、ヨナ、アルフォナ、ナユラ、そして相変わらず難しい事がわからないスミカ、最後にテスラムさんだ。
少々動揺してしまった表情を読み取ってくれたのだろう。
「ありがとう。大丈夫だ。まだまだ復讐は続くからな。こんな所で折れるわけにはいかない」
再び映像に目を移す。
そこには、必死で相手を倒そうとしている元商人達。
だが動きは非常に散漫で、子供でも逃げられるような攻撃だ。
しかし、互いが非常に消耗している為、動きの遅い攻撃を避けることができずにその身に直接受け、通常ならば一気に絶命するような攻撃でも、攻撃自体が弱いせいで致命傷にはならずに長く苦しんでいる。
こいつらは、既に放っておいても問題ないだろう。
だが、あのドロップアイテムの武器だけは後で回収しておくべきだな。
<水剣>から発する力、そして美しさから、この場にある<水剣>がまがい物であるとは決して思えないだろう。
あの震える手を見ると、ギルドマスターも本物の<六剣>であることはわかっている。
そんなギルドマスターを見つつ、相変わらず食事を楽しむ俺達。
「テスラムさん。<水剣>大丈夫ですよね?せっかく通じあえるようになってきたんです。万が一もないですよね?」
「大丈夫ですよ。その証拠はすぐに見られます。よく見ておくといいでしょう」
スミカは、<水剣>所持者がギルドマスターになったりしないかと心配そうだ。
少し悪い事をしたかもしれない。
<無剣>を持つ俺の頼みは断ることができないのかもしれないので、今後彼女にあまり無理なお願いはしない様に気を付けないといけないな。
スミカは、心配そうに<水剣>を見続けており、食事は一切していない。
あれ程食いしん坊だったのに・・・<水剣>もここまで想われて幸せだろう。
「これで俺も英雄だ!!」
勢いよく<水剣>の柄を掴もうとしたギルドマスターだが、その手が柄を触れることは無かった。
所持者であるスミカの<水剣>に対する想い、そして<六剣>を連ねる<無剣>所持者の俺に敵対しているギルドマスター、様々な要因が混ざり、結果として<水剣>から発された<水魔法>の一つによって、ギルドマスターの右手は手首から先がきれいになくなっていた。
だが、切断面から血は噴き出していない。
そこは恩情と言う奴だろうか。
「スミカ殿、御覧の通りです。あ奴は<六剣>が意思を持っていると言う事を理解していないのですな」
スミカは嬉しそうに<水剣>に近づき、柄を手にする。
もちろんスミカに異常があるわけはなく、逆に<水剣>は嬉しさを表現するかのように宝玉が光り輝いている。
「ば、バカな・・・なぜ私が<水剣>を持てていない・・・いや、私の手はどうした?」
<水剣>はかなり恩情をかけてやったようだ。出血もなく、痛みまで取っているらしい。
「フン、お前の薄汚い手はそこにあるだろう?」
アルフォナがつまらなそうにギルドマスターの足元に向かって顎をしゃくる。
「そんな馬鹿な!!」
ギルドマスターの足元には、奇麗に切断された手が転がっている。
こちらも切断面から出血はなく、その手を拾ったギルドマスターは切断面同士を必死で合わせている。
あまりに奇麗に切断されていたので、位置さえあっていればまるで切断などされていないかのような状態になるのだが、くっついていない事実は変えようがない。
ここで、スミカレベルの<回復>が使えれば話は違ってくるだろう。
むしろ、切断状態がいいので接続するのも非常に簡単なのかもしれない。
だが、今のフロキル王国の状態では<回復>を使える人などいやしない。
やがて、どうやっても元に戻らないと理解したギルドマスターは涙を流し始めた。
そんな涙を見ても、俺達には一切関係ない。いや、むしろ復讐ができて喜びを感じているくらいだ。
「おいおい、あれだけいつも偉そうにして、しかも俺やロイドをあれほどの期間差別していやがったくせに、それっぽっちでメソメソすんじゃねーよ」
「まったくだ。騎士道精神がわかっていない」
う~ん、あいつはギルドマスターで騎士ではないから、元からわかっていないと思うぞアルフォナ。
だが、痛みを一切感じずに奇麗に手が切断されたこの状態が、更なる悲劇のきっかけになるとは思ってもいなかった。
俺達は、あのギルドマスターとその僕状態になっている商人崩れの盗賊たちの前で、優雅に食事を楽しんでその場を去った。
もちろん水の一滴すら奴らには渡していない。
「いやロイド、少しすっきりしたぜ。お前はどうだ?」
「あのクズマスターが涙を流すのは予想外だったな。もう少し噛みついてくるかと思ったが・・・<六剣>所持者になれると思っていたところ、突然右手を失ったんだからそうなるか?」
「良いじゃねーか!上げて激しく落とす。基本だろ?」
「そうだな」
人気のない位置まで移動すると、再び<空間転移>を使って俺の部屋に戻って来る。
「フィ~・・・何とか今回はテスラムさんの課題をギリギリ満足することができて良かったぜ」
「フフ、私も<水剣>を手放したときは不安でしたけど、一応はクリアできましたからね」
「お二方は、今回はお疲れさまでした。ですが、私が望んでいるレベルにまではまだまだ達しておりませんな。引き続き継続して修行を行い、高見を目指しましょう」
「「・・・はい」」
突然沈み始める二人。
「何をしょげているんだお二方。良いではないか。自分を極限まで追い込み自らを高める。まさに騎士の本懐ではないか。私は騎士道精神が高見を目指せと沸き立っているぞ」
「私も、<光剣>との絆が太くなっているのが実感できています。修行は大変ですが、この絆が更に太くなるのであれば、喜んで修行させていただきましょう」
ヨナは頷いているだけだ・・・
「ああ、わかってるさ!!」
「私もです」
一応ヘイロンとスミカも修行自体は賛成のようだな。
「ロイド様、少々面白い事態になりました」
テスラムさんは、すかさず映像を映し出す。
「あのギルドマスター、<水剣>を手にできると思った瞬間に手がなくなりました。そのショックと空腹、そして魔獣に囲われているという極限状態から自らの手を食べました」
「うぇ、さすがにそりゃ無しだ。とうとう狂っちまったか?」
「いえ、涙を流しながらですので、精神状態は非常に不安定ながらも、正常の範囲と言えるでしょう。ですが、それを見た周りにいる元商人はどう思ったでしょう?」
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さすがにここまで一気に来るとは思っていなかったので、一瞬動揺してしまった。
だが、俺は母さんのためにあいつらに復讐すると決めたんだ。
この位で心を乱されるわけにはいかない。
「ロイド、お前ひとりじゃないぞ。俺達<六剣>がいるんだ」
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「私もお姉ちゃん達と一緒です」
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俺の真の仲間であるヘイロン、ヨナ、アルフォナ、ナユラ、そして相変わらず難しい事がわからないスミカ、最後にテスラムさんだ。
少々動揺してしまった表情を読み取ってくれたのだろう。
「ありがとう。大丈夫だ。まだまだ復讐は続くからな。こんな所で折れるわけにはいかない」
再び映像に目を移す。
そこには、必死で相手を倒そうとしている元商人達。
だが動きは非常に散漫で、子供でも逃げられるような攻撃だ。
しかし、互いが非常に消耗している為、動きの遅い攻撃を避けることができずにその身に直接受け、通常ならば一気に絶命するような攻撃でも、攻撃自体が弱いせいで致命傷にはならずに長く苦しんでいる。
こいつらは、既に放っておいても問題ないだろう。
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