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ルーカスの籠城
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冒険者の二人としては、バーミルを守ると言う行動をとる必要が無い事が分かっているので、負担は一切なく、むしろ武具の性能がさらに良くなるために快諾する。
非日常的な事が行われているが、これが日常の【癒しの雫】。
その後カスミが作ったスープがクオウを始めとした全員から褒められて非常に機嫌を良くしているのを見たシルバは、カスミが、明日は気分が乗って暴走する可能性が高いと苦笑いだ。
ーーー翌日ーーー
「ようこそお越しくださいました」
「お久しぶりです、シルバ様、カスミ様、バーミル様」
リビル公爵と娘のリリアが【癒しの雫】三人を出迎えるのだが、リリアの視線は三人ではなく周囲を泳いでいる。
「……リリアさん……リアントちゃんはアルフレドさんと別の依頼を受けているので、今日は来ていませんよ」
カスミの一言で露骨に落ち込むリリアを苦笑いで見つめている父親のサステナ・リビル公爵は、【癒しの雫】を応接間に迎え入れる。
「既に聞いていると思いますが、私の領地の一部が魔獣の通過経路に非常に近いのです。領民が心配しているので、対処していただきたいと思いまして」
「お任せください、リビル様。今回は、私とシルバ、バーミルさんが出撃します」
どのメンバーだろうが絶大な戦闘力を持っている事に疑いの余地はないので、笑顔でお礼を伝えるリビル公爵だ。
その後……もちろん依頼は瞬時に完遂されて、その結果により魔王国側もどの程度までがフレナブルの攻撃対象になるのかがわかり始めているのだが、最終的にジャロリア王国への攻撃の手は緩める事はしていない。
「ルーカス、貴様いつになったら出撃するのだ!!」
「そ、それは……戦闘中は裏切者のフレナブル達に背中を見せる事と同義です。流石の我らもあれ程の大群を相手にしているさなか、味方であるはずの国家側、背中に意識を回す余裕はありません。出撃には【癒しの雫】が絶対に攻撃をしてこないと言う確証が必要です」
「……むっ、一理ある。ツイマよ、貴様の力で楔を打つがよかろう」
「お、お言葉ながら、奴ら【癒しの雫】はジャロリア王国ギルド本部の管轄でございますれば、当ギルドでは何も制約を課す事ができません」
「グ……であれば、あの場所、【癒しの雫】の場所を明け渡すように交渉するのはどうだ?」
「それも残念ながら、正規の方法で入手されている土地であり、強制没収はできないかと……仮に強硬策に出た場合、あの力を抑え込める者はジャロリア王国にはおりません」
ギルドマスターであるツイマの言っている事は正論であり、流石の国王も反論できない中で、ツイマとルーカスは打ち合わせ通りに事が進んだと安堵する。
国王から言われるであろう事を事前に想定して、ルーカスが出撃しないようにするにはどうするべきかを検討していたのだ。
悪知恵だけは回る二人は、何とか国王との謁見を乗り越えて再びギルドに戻るのだが、それぞれのギルド、本部と【勇者の館】では全く出動しないルーカス達に対する厳しい指摘で溢れている。
なぜか【勇者の館】所属ではない冒険者たちがなだれ込み、受付にいるエリザに食って掛かっているほどだ。
「貴様ら、何をしている!」
「ルーカス様!」
そこに帰ってきたルーカス……魔獣や魔族では腰が引けるが、人族相手には今まで通りに振舞えるので、豪華な武具をちらつかせながらエリザに絡んでいる冒険者に向かっていく。
「ルーカス!Sランカーのくせに、ここまで国が危機的状況になっても出撃しないとはどう言う事だ!この腰抜けが!」
「そうだ。お前が出撃しないおかげで、この王都から出られるのは【癒しの雫】がある門だけになっているんだぞ!」
【癒しの雫】という言葉が聞こえた瞬間に抜剣し、騒いでいる二人の冒険者の首を切って捨てたルーカス。
突然の目の前の凶行に、エリザも目を大きく見開いてはいるのだが……
「この程度の攻撃を避ける事すらできない輩が、偉そうな事を言うな!そこのゴミ共を片付けておけ」
Sランカーの特権の一つで、身の危険を感じた人族を始末できる特権がある。
その特権を無駄に使って騒いでいる二人の冒険者を始末して見せたルーカス。
ジロリと周辺の【勇者の館】ではない冒険者達を睨みつけると、受付の奥に消えていくルーカス。
「やはり、Sランカーは伊達ではないと言う事……か。あれほどの強さがあって、なぜ出撃しない」
「そうだな。はっ!まさか……籠城しているふりをして、獲物をおびき寄せているのか!」
この冒険者が話している事は納得できる部分もあり、今まで魔王領になかなか侵攻できない事実を踏まえた作戦の一環だと判断したのだ。
その声をいやでも聞かされていたこの場にいる冒険者達は、それぞれ所属するギルドに戻って、ルーカスがなぜ出撃しないかをそれぞれのマスターに伝えている。
その情報は、余す事無くペトロによって【癒しの雫】に共有される。
非日常的な事が行われているが、これが日常の【癒しの雫】。
その後カスミが作ったスープがクオウを始めとした全員から褒められて非常に機嫌を良くしているのを見たシルバは、カスミが、明日は気分が乗って暴走する可能性が高いと苦笑いだ。
ーーー翌日ーーー
「ようこそお越しくださいました」
「お久しぶりです、シルバ様、カスミ様、バーミル様」
リビル公爵と娘のリリアが【癒しの雫】三人を出迎えるのだが、リリアの視線は三人ではなく周囲を泳いでいる。
「……リリアさん……リアントちゃんはアルフレドさんと別の依頼を受けているので、今日は来ていませんよ」
カスミの一言で露骨に落ち込むリリアを苦笑いで見つめている父親のサステナ・リビル公爵は、【癒しの雫】を応接間に迎え入れる。
「既に聞いていると思いますが、私の領地の一部が魔獣の通過経路に非常に近いのです。領民が心配しているので、対処していただきたいと思いまして」
「お任せください、リビル様。今回は、私とシルバ、バーミルさんが出撃します」
どのメンバーだろうが絶大な戦闘力を持っている事に疑いの余地はないので、笑顔でお礼を伝えるリビル公爵だ。
その後……もちろん依頼は瞬時に完遂されて、その結果により魔王国側もどの程度までがフレナブルの攻撃対象になるのかがわかり始めているのだが、最終的にジャロリア王国への攻撃の手は緩める事はしていない。
「ルーカス、貴様いつになったら出撃するのだ!!」
「そ、それは……戦闘中は裏切者のフレナブル達に背中を見せる事と同義です。流石の我らもあれ程の大群を相手にしているさなか、味方であるはずの国家側、背中に意識を回す余裕はありません。出撃には【癒しの雫】が絶対に攻撃をしてこないと言う確証が必要です」
「……むっ、一理ある。ツイマよ、貴様の力で楔を打つがよかろう」
「お、お言葉ながら、奴ら【癒しの雫】はジャロリア王国ギルド本部の管轄でございますれば、当ギルドでは何も制約を課す事ができません」
「グ……であれば、あの場所、【癒しの雫】の場所を明け渡すように交渉するのはどうだ?」
「それも残念ながら、正規の方法で入手されている土地であり、強制没収はできないかと……仮に強硬策に出た場合、あの力を抑え込める者はジャロリア王国にはおりません」
ギルドマスターであるツイマの言っている事は正論であり、流石の国王も反論できない中で、ツイマとルーカスは打ち合わせ通りに事が進んだと安堵する。
国王から言われるであろう事を事前に想定して、ルーカスが出撃しないようにするにはどうするべきかを検討していたのだ。
悪知恵だけは回る二人は、何とか国王との謁見を乗り越えて再びギルドに戻るのだが、それぞれのギルド、本部と【勇者の館】では全く出動しないルーカス達に対する厳しい指摘で溢れている。
なぜか【勇者の館】所属ではない冒険者たちがなだれ込み、受付にいるエリザに食って掛かっているほどだ。
「貴様ら、何をしている!」
「ルーカス様!」
そこに帰ってきたルーカス……魔獣や魔族では腰が引けるが、人族相手には今まで通りに振舞えるので、豪華な武具をちらつかせながらエリザに絡んでいる冒険者に向かっていく。
「ルーカス!Sランカーのくせに、ここまで国が危機的状況になっても出撃しないとはどう言う事だ!この腰抜けが!」
「そうだ。お前が出撃しないおかげで、この王都から出られるのは【癒しの雫】がある門だけになっているんだぞ!」
【癒しの雫】という言葉が聞こえた瞬間に抜剣し、騒いでいる二人の冒険者の首を切って捨てたルーカス。
突然の目の前の凶行に、エリザも目を大きく見開いてはいるのだが……
「この程度の攻撃を避ける事すらできない輩が、偉そうな事を言うな!そこのゴミ共を片付けておけ」
Sランカーの特権の一つで、身の危険を感じた人族を始末できる特権がある。
その特権を無駄に使って騒いでいる二人の冒険者を始末して見せたルーカス。
ジロリと周辺の【勇者の館】ではない冒険者達を睨みつけると、受付の奥に消えていくルーカス。
「やはり、Sランカーは伊達ではないと言う事……か。あれほどの強さがあって、なぜ出撃しない」
「そうだな。はっ!まさか……籠城しているふりをして、獲物をおびき寄せているのか!」
この冒険者が話している事は納得できる部分もあり、今まで魔王領になかなか侵攻できない事実を踏まえた作戦の一環だと判断したのだ。
その声をいやでも聞かされていたこの場にいる冒険者達は、それぞれ所属するギルドに戻って、ルーカスがなぜ出撃しないかをそれぞれのマスターに伝えている。
その情報は、余す事無くペトロによって【癒しの雫】に共有される。
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