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【鋭利な盾】と四席狙いの三人の魔族(2)
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「こりゃ~、チトまずいかもしれんの。フィライト、エン、ここは儂が食い止める。一旦王城に戻って危機的状況を伝えろ」
Sランクギルドとしての責務を重々理解しているこの場の三人。
この場を片腕になってしまっているホスフォだけで収められるわけはない事位はわかっているが、この状況を知らせる事も任務と割り切って動き出す。
ホスフォが雷魔術を多数行使し、その隙に盾持ちのフィライトが隠密術を行使しながら王都方面に移動するエンをカバーする。
「ケケケケケ、そんな簡単には行かせない」
そこに細身ながら長身のレベニが、その赤目を輝かせながら魔術を行使する。
水魔術による攻撃を行い盾を含めてフィライトとエンを吹き飛ばすが、追撃は来なかった。
ホスフォが同じく水魔術を行使して、レベニの魔術を相殺したからだ。
その隙に必死でこの場を離脱するフィライトとエンだが、ただの一撃を食らっただけでAランカーの二人が満身創痍になってしまっていた。
ただただ気力で、ギルドマスターの想いに応えるために必死で足を動かす。
既にどちらかが攻撃された場合、少しでも時間を稼ぐために迎撃して残された方が王城に向かうと互いに認識していた。
王城に情報を持ち帰る事が何よりも優先されると、確固たる意志を持っているSランクギルド【鋭利な盾】。
同じくSランクギルドであった【勇者の館】とは根本から大きく違っていた。
逃走している二人の背後からは、魔族二人の笑い声の他には轟音と振動、そしてホスフォが得意としている雷魔術の雷鳴が絶え間なく聞こえていた。
悔し涙を流しながらも、必死で足を動かす二人の視線の先には城門が見え、倒れ込むように内部に入る。
「城門を閉じて、厳戒態勢を取れ!早く!!」
Sランクギルドとして有名なメンバーが、これ程満身創痍な状態で必死に指示を出している事から、警報を出して周囲の人を避難させ、急ぎ門を閉める。
残されたホスフォは、最早抗う手立てはないと理解できている。
数度着弾した雷魔術だが、魔族二人は少々嫌そうな顔をするだけでダメージを負っているようには見えなかった。
「儂はここまでの様じゃの。まっ、長く現役でやってこられた事は幸せじゃな。最後の花道、堂々と進んで見せようぞ!」
時間的に二人は王都に到着した頃だろうと思い、残りの魔力・生命力すら捧げる魔術を発動する。
大気はビリビリと振動し、流石の魔族二人も一旦ホスフォから距離を取ったが、余裕の表情は崩さない。
「おいおい、ジジィが最後っ屁か?」
「これは楽しみだ」
と、ホスフォが練っている魔力と、これから発動される魔術に対する期待さえ示して見せたのだが、徐々に膨れる魔術の力に少なからずダメージを受ける可能性があると判断する。
「アバヨ、ジジィ!」
肉体派のカロラが、魔力の渦で非常に近接が難しくなっているホスフォに瞬時に近接して、その首を一気に刈り取った。
ホスフォとしては、最後の魔術起動時には魔力が溢れ出ており、その魔力が防御も同時に行える人生最後の術を起動していたのだが、その防御が突破されてしまうのであれば、魔術の発動に意識を持って行っている分隙だらけになっている。
そこを突かれて、あっけなく首を境に二つに分離して倒れ込む。
「はぁ~、油断はするもんじゃねーな。死なねーまでも、食らったら相当痛かっただろうからよ!」
「ケケケケケケ、痛いのはゴメンだ、だけど、これで俺達は確実に四星。早速帰って報告するとしよう」
倒した相手がギルドマスターと名乗っていたのだから、ギルド壊滅の命令は達成したと判断し、追撃は行わなかった。
首だけを持ち帰って魔王国に向かう二人。
その頃、王城ではフィライトとエンによってホスフォがおそらく既に死亡していると言う報告が行われていた。
SランクギルドのAランカーがこのような状態でSランカーの死亡を告げてくる事に、愕然とする国王以下家臣達。
その後対策を話し合うも、Sランカーが死亡する相手にどう対処するのか結論は出ず、一先ず警戒態勢を取るように指示を出す事にして、各国にも情報が開示された。
自国の戦力減少を公開する事に異を唱える者達もいたが、そんなレベルの話ではないと言う意見が大勢を占め、その結果、ジャロリア王国からSランカーであり、元魔王を討伐した実績のあるルーカス達を迎え入れる事に成功したのだ。
その後ルーカス達【勇者の館】が到着するまでの間、いつも通りの魔獣の襲来は有れど、魔族の襲撃はなく、何とか通常通りに生活できていたアルゾナ王国の人々や冒険者達。
その間、【鋭利な盾】所属の高ランク冒険者達が慎重に魔族と戦闘した場所を調査した結果、首が無くなっているSランカーであり、ギルドマスターでもあるホスフォの亡骸を発見した。
この短い間にホスフォは今までの功績を称えられて国葬とされ、【鋭利な盾】のギルドマスターは暫定的に空席になっている。
その数日後、ようやく待望の戦力であるルーカス率いる【勇者の館】がアルゾナ王国に到着した。
当時の魔王国では、人族に対して衝撃的な事件を引き起こした二人、レベニとカロラの四星着任が行われており、各国家に追撃を行うような事はしていなかった。
Sランクギルドとしての責務を重々理解しているこの場の三人。
この場を片腕になってしまっているホスフォだけで収められるわけはない事位はわかっているが、この状況を知らせる事も任務と割り切って動き出す。
ホスフォが雷魔術を多数行使し、その隙に盾持ちのフィライトが隠密術を行使しながら王都方面に移動するエンをカバーする。
「ケケケケケ、そんな簡単には行かせない」
そこに細身ながら長身のレベニが、その赤目を輝かせながら魔術を行使する。
水魔術による攻撃を行い盾を含めてフィライトとエンを吹き飛ばすが、追撃は来なかった。
ホスフォが同じく水魔術を行使して、レベニの魔術を相殺したからだ。
その隙に必死でこの場を離脱するフィライトとエンだが、ただの一撃を食らっただけでAランカーの二人が満身創痍になってしまっていた。
ただただ気力で、ギルドマスターの想いに応えるために必死で足を動かす。
既にどちらかが攻撃された場合、少しでも時間を稼ぐために迎撃して残された方が王城に向かうと互いに認識していた。
王城に情報を持ち帰る事が何よりも優先されると、確固たる意志を持っているSランクギルド【鋭利な盾】。
同じくSランクギルドであった【勇者の館】とは根本から大きく違っていた。
逃走している二人の背後からは、魔族二人の笑い声の他には轟音と振動、そしてホスフォが得意としている雷魔術の雷鳴が絶え間なく聞こえていた。
悔し涙を流しながらも、必死で足を動かす二人の視線の先には城門が見え、倒れ込むように内部に入る。
「城門を閉じて、厳戒態勢を取れ!早く!!」
Sランクギルドとして有名なメンバーが、これ程満身創痍な状態で必死に指示を出している事から、警報を出して周囲の人を避難させ、急ぎ門を閉める。
残されたホスフォは、最早抗う手立てはないと理解できている。
数度着弾した雷魔術だが、魔族二人は少々嫌そうな顔をするだけでダメージを負っているようには見えなかった。
「儂はここまでの様じゃの。まっ、長く現役でやってこられた事は幸せじゃな。最後の花道、堂々と進んで見せようぞ!」
時間的に二人は王都に到着した頃だろうと思い、残りの魔力・生命力すら捧げる魔術を発動する。
大気はビリビリと振動し、流石の魔族二人も一旦ホスフォから距離を取ったが、余裕の表情は崩さない。
「おいおい、ジジィが最後っ屁か?」
「これは楽しみだ」
と、ホスフォが練っている魔力と、これから発動される魔術に対する期待さえ示して見せたのだが、徐々に膨れる魔術の力に少なからずダメージを受ける可能性があると判断する。
「アバヨ、ジジィ!」
肉体派のカロラが、魔力の渦で非常に近接が難しくなっているホスフォに瞬時に近接して、その首を一気に刈り取った。
ホスフォとしては、最後の魔術起動時には魔力が溢れ出ており、その魔力が防御も同時に行える人生最後の術を起動していたのだが、その防御が突破されてしまうのであれば、魔術の発動に意識を持って行っている分隙だらけになっている。
そこを突かれて、あっけなく首を境に二つに分離して倒れ込む。
「はぁ~、油断はするもんじゃねーな。死なねーまでも、食らったら相当痛かっただろうからよ!」
「ケケケケケケ、痛いのはゴメンだ、だけど、これで俺達は確実に四星。早速帰って報告するとしよう」
倒した相手がギルドマスターと名乗っていたのだから、ギルド壊滅の命令は達成したと判断し、追撃は行わなかった。
首だけを持ち帰って魔王国に向かう二人。
その頃、王城ではフィライトとエンによってホスフォがおそらく既に死亡していると言う報告が行われていた。
SランクギルドのAランカーがこのような状態でSランカーの死亡を告げてくる事に、愕然とする国王以下家臣達。
その後対策を話し合うも、Sランカーが死亡する相手にどう対処するのか結論は出ず、一先ず警戒態勢を取るように指示を出す事にして、各国にも情報が開示された。
自国の戦力減少を公開する事に異を唱える者達もいたが、そんなレベルの話ではないと言う意見が大勢を占め、その結果、ジャロリア王国からSランカーであり、元魔王を討伐した実績のあるルーカス達を迎え入れる事に成功したのだ。
その後ルーカス達【勇者の館】が到着するまでの間、いつも通りの魔獣の襲来は有れど、魔族の襲撃はなく、何とか通常通りに生活できていたアルゾナ王国の人々や冒険者達。
その間、【鋭利な盾】所属の高ランク冒険者達が慎重に魔族と戦闘した場所を調査した結果、首が無くなっているSランカーであり、ギルドマスターでもあるホスフォの亡骸を発見した。
この短い間にホスフォは今までの功績を称えられて国葬とされ、【鋭利な盾】のギルドマスターは暫定的に空席になっている。
その数日後、ようやく待望の戦力であるルーカス率いる【勇者の館】がアルゾナ王国に到着した。
当時の魔王国では、人族に対して衝撃的な事件を引き起こした二人、レベニとカロラの四星着任が行われており、各国家に追撃を行うような事はしていなかった。
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