61 / 153
ルーカスの依頼(6)
しおりを挟む
絡んできた二人の元同僚を躱し、リアントと共にサクサク奥に進んで行くアルフレド。
自分自身、そしてリアントの能力で高ランクの魔獣を探しながら進んでいる。
自分達にとっては大した事の無い相手であるAランクの魔獣でも、街道を通る人々には脅威以外の何物でもないので、自分達ではなく人族の目線に立って魔獣を選別している。
その結果、担当したこの周辺には、ランドルとサル型の魔獣であるゴスモンキしか生息していない事を確認した。
「リアント、ゴスモンキ……あいつら群れるから、ちょっと面倒なんだよね?」
少しだけ苦い顔をするアルフレド。
ゴスモンキは確かに森の中で群れて生活をしており、その屈強な手足の力を使って遠距離では投擲を、近距離ではその体を使った物理的な攻撃を主な攻撃手段にしている。
魔獣のレベルはBに分類されてはいるが、群れで行動をしているのでBの中でもAより、ある意味B+と言った魔獣だ。
「個体数の少ないAランクのランドルよりも、群れのゴスモンキの方が街道に対しては脅威かな?ランドルも、あの二人が戦っている個体以外には数体しかいなさそうだし……」
とその時、マスターであるシアが持っている魔道具が発動し、念話魔術によってギルドに襲撃があった事を理解した。
『アルフレド、リアントを使ってシルバを回収。私はカスミを回収して即ギルドに帰還します。急いでください!』
どう考えても人族であるシルバとカスミは移動速度が遅い為、魔族の二人が夫々人族の二人を抱えて移動するとフレナブルより指示が飛んできた。
アルフレドは自分が最もギルドに近い位置にいる為、そのまま高速でギルドを目指す……のだが、そこにゴスモンキが集団で襲い掛かってきたのだ。
「くっ、この忙しい時に……」
身体能力をフルに使って、殴り飛ばし、蹴り飛ばし、時には魔術を行使してゴスモンキを始末しているアルフレド。
『何をしているの!早く離脱しなさい』
その間、既にフレナブルとリアントは人族二人の仲間を連れてきており、アルフレドの近くにまで戻ってきたようだ。
『わかりました!』
目くらましの魔術を行使し、四人とリアントは全速力で町に戻るのだが、町に到着した時に、クオウより全員の無事と、以降は自分が対処するので街道の依頼に戻るよう指示があった。
クオウがいるのであれば、自分達が無理に行っても逆に足手纏いになる事は分かり切っているので、ホッと息を吐きつつも、さっさと依頼に戻る事にしたフレナブルとアルフレド。
もちろん担がれて移動していたシルバとカスミからはギルドに戻らなくて良いのかと確認されたが、事実戻っても何もする事は無いはずなので、ありのままを伝えて街道に消えていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アルフレドには逃げられ、Aランク魔獣ランドル二体を相手にしているドリアスとハンナ。
「これでどうだ!」
「燃えなさい!」
ダンジョン内部とは違い、森の中ではあるが自由に動き回れる環境である事や、ルーカスの指示によって配られた高ランクの武具によって良い戦いをしている二人。
剣術と炎魔術によって夫々がランドルを相手取り、優勢に戦いを進めている。
「今度こそ、これで終わりだ!」
ランドルの斬撃を避けながら、流れるように懐に潜り込んで首を切断するドリアス。
「こっちも終わりました」
横には、ハンナによって燃えカスになっているランドルがいた。
「はぁ、はぁ、雑魚の癖に……ハンナ、申し訳ないが、回復を頼みたい」
ハンナもだが、ドリアスも浅くない傷を負っており、仮にこれが毒等の付与がなされている攻撃であれば、勝敗は逆になっていただろう。
「腐ってもAランクの魔獣ですね。ですが、この魔道具があれば必ず勝てるという事が証明されました」
回復術を行使しつつ、満足そうに新たな杖を掲げるハンナ。
確かにこの環境であれば勝利する事は出来るが、あくまで一対一の通常の個体のみという事だ。
アルフレドに対しては、武具の性能で身の丈を超える力を得ているとこき下ろしていたが、正に自分達がその状況に陥っている事は分からない。
「ですが、アルフレドは見失ってしまったので、私達も戻りましょうか?」
「そうだな。アルフレドの奴……次に会ったらどうしてやろうか。ふ~、だけど、ここにいても臆病者のアルフレドは姿を現さないだろうから、一旦討伐隊に合流しよう」
異なる街道を選択しているルーカスの元に戻ろうと移動を始めた二人の前に、群れの一部を蹂躙されて怒り心頭のゴスモンキが襲い掛かった。
「キキィ~!」「キキッ、キキ!」
自分自身、そしてリアントの能力で高ランクの魔獣を探しながら進んでいる。
自分達にとっては大した事の無い相手であるAランクの魔獣でも、街道を通る人々には脅威以外の何物でもないので、自分達ではなく人族の目線に立って魔獣を選別している。
その結果、担当したこの周辺には、ランドルとサル型の魔獣であるゴスモンキしか生息していない事を確認した。
「リアント、ゴスモンキ……あいつら群れるから、ちょっと面倒なんだよね?」
少しだけ苦い顔をするアルフレド。
ゴスモンキは確かに森の中で群れて生活をしており、その屈強な手足の力を使って遠距離では投擲を、近距離ではその体を使った物理的な攻撃を主な攻撃手段にしている。
魔獣のレベルはBに分類されてはいるが、群れで行動をしているのでBの中でもAより、ある意味B+と言った魔獣だ。
「個体数の少ないAランクのランドルよりも、群れのゴスモンキの方が街道に対しては脅威かな?ランドルも、あの二人が戦っている個体以外には数体しかいなさそうだし……」
とその時、マスターであるシアが持っている魔道具が発動し、念話魔術によってギルドに襲撃があった事を理解した。
『アルフレド、リアントを使ってシルバを回収。私はカスミを回収して即ギルドに帰還します。急いでください!』
どう考えても人族であるシルバとカスミは移動速度が遅い為、魔族の二人が夫々人族の二人を抱えて移動するとフレナブルより指示が飛んできた。
アルフレドは自分が最もギルドに近い位置にいる為、そのまま高速でギルドを目指す……のだが、そこにゴスモンキが集団で襲い掛かってきたのだ。
「くっ、この忙しい時に……」
身体能力をフルに使って、殴り飛ばし、蹴り飛ばし、時には魔術を行使してゴスモンキを始末しているアルフレド。
『何をしているの!早く離脱しなさい』
その間、既にフレナブルとリアントは人族二人の仲間を連れてきており、アルフレドの近くにまで戻ってきたようだ。
『わかりました!』
目くらましの魔術を行使し、四人とリアントは全速力で町に戻るのだが、町に到着した時に、クオウより全員の無事と、以降は自分が対処するので街道の依頼に戻るよう指示があった。
クオウがいるのであれば、自分達が無理に行っても逆に足手纏いになる事は分かり切っているので、ホッと息を吐きつつも、さっさと依頼に戻る事にしたフレナブルとアルフレド。
もちろん担がれて移動していたシルバとカスミからはギルドに戻らなくて良いのかと確認されたが、事実戻っても何もする事は無いはずなので、ありのままを伝えて街道に消えていく。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アルフレドには逃げられ、Aランク魔獣ランドル二体を相手にしているドリアスとハンナ。
「これでどうだ!」
「燃えなさい!」
ダンジョン内部とは違い、森の中ではあるが自由に動き回れる環境である事や、ルーカスの指示によって配られた高ランクの武具によって良い戦いをしている二人。
剣術と炎魔術によって夫々がランドルを相手取り、優勢に戦いを進めている。
「今度こそ、これで終わりだ!」
ランドルの斬撃を避けながら、流れるように懐に潜り込んで首を切断するドリアス。
「こっちも終わりました」
横には、ハンナによって燃えカスになっているランドルがいた。
「はぁ、はぁ、雑魚の癖に……ハンナ、申し訳ないが、回復を頼みたい」
ハンナもだが、ドリアスも浅くない傷を負っており、仮にこれが毒等の付与がなされている攻撃であれば、勝敗は逆になっていただろう。
「腐ってもAランクの魔獣ですね。ですが、この魔道具があれば必ず勝てるという事が証明されました」
回復術を行使しつつ、満足そうに新たな杖を掲げるハンナ。
確かにこの環境であれば勝利する事は出来るが、あくまで一対一の通常の個体のみという事だ。
アルフレドに対しては、武具の性能で身の丈を超える力を得ているとこき下ろしていたが、正に自分達がその状況に陥っている事は分からない。
「ですが、アルフレドは見失ってしまったので、私達も戻りましょうか?」
「そうだな。アルフレドの奴……次に会ったらどうしてやろうか。ふ~、だけど、ここにいても臆病者のアルフレドは姿を現さないだろうから、一旦討伐隊に合流しよう」
異なる街道を選択しているルーカスの元に戻ろうと移動を始めた二人の前に、群れの一部を蹂躙されて怒り心頭のゴスモンキが襲い掛かった。
「キキィ~!」「キキッ、キキ!」
0
お気に入りに追加
90
あなたにおすすめの小説
NineRing~捕らわれし者たち~
吉備津 慶
ファンタジー
岡山県の南、海の側に住んでいる高校二年生の響が、夜遅く家を飛び出し一人浜辺を歩いていると『我をおさめよ、されば導かれん』の声がする。
その声の先には一つのリングが輝いていた。リングを指にはめてみると、目の前にスタイル抜群のサキュバスが現れる。
そのサキュバスが言うには、秘宝を解放するために九つのリングを集め、魔王様と魔族の世界を造るとの事。
そのために、お前を魔族の仲間に引き入れ、秘宝を手に入れる手助けをさせると、連れ去られそうになった時、サキュバスに雷が落ちて難を逃れ、サキュバスが彼の下僕となる。しかしサキュバスの魔封じのクリスタルで、何の力も持たない響は連れ去られてしまう。
しかし、おっちょこちょいなサキュバスのおかげで、現代から未来世界に渡り。未来世界の力を得た響が、その後異世界に渡り、リングを探す事になる。
世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する
平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。
しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。
だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。
そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜
平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。
途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。
さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。
魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる