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ルーカスの依頼(3)
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街道奥の魔獣も狩ると提案しているシアは、依頼を実行する冒険者の安全もきちんと考慮している。
魔族の二人はもとより、シルバとカスミもミハイル達三人の作る武具、フレナブルから受けている戦闘訓練によってAランク相当の力を得ているので、少々危険が伴う行動も出来る事を知っている。
シアの積極的な行動に対する問いかけに対し、【癒しの雫】の冒険者四人は各々の想いを告げる。
「問題ありません、シア様。行ける限り、行きましょうか?」
「俺はあまり深くまではいけない……かな?安全を確保できるギリギリの所までは行くけれど、フレナブルさんと同じレベルはどう考えても無理だな~」
「私もシルバと同じですね。ですが、シルバと共に頑張りますよ!」
「俺はどうしましょうか?シルバさんとカスミさんのフォローに入りますか?」
この意見に、シアは経験豊かなクオウの意見を求めた。
冒険者の命に係わる事なので、今自分が下そうとしている判断が正しいのかを確認しているのだ。
シアの考えとしては、フレナブルは単独で進めるだけ進んでも全く問題ない。
寧ろ魔獣を狩りつくして、他の冒険者の仕事が無くならないかを心配する事になる可能性すらあると思っている。
続くシルバとカスミも、普段から行動を共にしているのでペアで動いてもらい、安全を担保しつつ出来る所まで攻めて貰えばよい。
熟練の冒険者であり、既にギルドで認定できる最上位ランクであるBランクにしている二人であれば、当然引き際も弁えているからだ。
最後に、シルバとカスミのフォローに入ろうかと言っているアルフレド。
実力は間違いないと思ってはいるが、使役しているリアントと共にどう動いてもらうのが効率的なのか分からず、同僚であったクオウの判断を求めるに至ったのだ。
「マスター、アルフレドならリアントと共に個別で動かした方が良いと思いますよ」
あっさりと全員の行動が決まった。
【癒しの雫】の依頼書が張られるボードには、本部指名依頼の依頼書が大々的に張られている。
その前でシアが嬉しそうに宣言する。
「では、皆さん明日から、依頼遂行をお願いします!でも、安全第一ですよ。それと……フレナブルさんとアルフレドさんは、少しだけやりすぎないように注意が必要かもしれません」
「フフフフ、任せて下さい、シア様。狩りすぎないように気を付けておきますね」
「俺も、マスターの期待に応えられるようにリアントと頑張ります!」
「流石はフレナブルさんとアルフレドさんだ。俺達も無理のない範囲ではあるけれど、頑張ろうな、カスミ!」
「もちろんよ、シルバ!」
「皆さん、ありがとうございます。いつもの通りですと、数時間以内にお三方から武具が渡されるかと思いますので、改めてチェックしてください。明朝、一旦本部に向かい、その後街道に進みます」
「あれ?【癒しの雫】から街道に直接向かった方が早いよね?態々町の中央部まで行って、こっちまで戻ってくるのかな?マスター」
「ごめんなさい、シルバさん。合同依頼のために顔合わせと言う無駄な作業があるのです。門で行えば良いのですが、依頼元である本部立会になっているので、向かう事になりました。申し訳ありませんがよろしくお願いします」
確かに通常の流れであれば、本部で合同依頼を受けた者達の顔合わせを行う事はある。
今回もそれに倣っているので何ら不思議はないのだが、ルーカスはその場で【癒しの雫】の戦力の確認を行いたいと言う思惑があった。
必要に応じて、足がつかない程度に【闇夜の月】のフォローに回せる人員を選定しようと思っていたので、【勇者の館】に近いギルド本部での顔合わせを秘密裏に要求していたのだ。
その思惑の中、翌朝に【癒しの雫】冒険者四人とシアが本部にやってきた。
「おや?今日、クオウは来ていないのですかね?」
「クオウさんはギルドで作業中です。今回の顔合わせは実行部隊との事で、ギルドマスターである私だけがここまで同行させて頂いております。ルーカスさん」
小娘に“様”以外の敬称で呼ばれて一瞬だけ殺気が籠るルーカスだが、想定通りにアルフレドを含む冒険者全てがこの場にいるために、ギルドに残るのであろう人材は予定通りに雑魚ばかりである事が確認できたので、何とか心を落ち着かせる。
そして、そのメンバーであれば【闇夜の月】に対しての補助は何ら必要ないと判断した。
「皆さんおそろいですね。今日から一週間、街道安全確保のための合同依頼、よろしくお願いします。二つのギルドでの合同作業、ギルド本部としても大変期待しておりますので、よろしくお願いします。魔獣に関しては、通常の買い取りと同様となります。質問はございますか?」
本部マスターのツイマが最終確認をするが、どちらのギルドからも何も無かった。
「では一週間宜しくお願い致します。討伐証明素材に関しましては、毎日戻ってこられても構いませんし、現地で宿泊して纏めて納品でも構いません。ジャロリア王国発展のために、よろしくお願いします」
地位や権力にしか興味が無いツイマも、街道の安全は本気で確保したいと思っていた。
魔族の二人はもとより、シルバとカスミもミハイル達三人の作る武具、フレナブルから受けている戦闘訓練によってAランク相当の力を得ているので、少々危険が伴う行動も出来る事を知っている。
シアの積極的な行動に対する問いかけに対し、【癒しの雫】の冒険者四人は各々の想いを告げる。
「問題ありません、シア様。行ける限り、行きましょうか?」
「俺はあまり深くまではいけない……かな?安全を確保できるギリギリの所までは行くけれど、フレナブルさんと同じレベルはどう考えても無理だな~」
「私もシルバと同じですね。ですが、シルバと共に頑張りますよ!」
「俺はどうしましょうか?シルバさんとカスミさんのフォローに入りますか?」
この意見に、シアは経験豊かなクオウの意見を求めた。
冒険者の命に係わる事なので、今自分が下そうとしている判断が正しいのかを確認しているのだ。
シアの考えとしては、フレナブルは単独で進めるだけ進んでも全く問題ない。
寧ろ魔獣を狩りつくして、他の冒険者の仕事が無くならないかを心配する事になる可能性すらあると思っている。
続くシルバとカスミも、普段から行動を共にしているのでペアで動いてもらい、安全を担保しつつ出来る所まで攻めて貰えばよい。
熟練の冒険者であり、既にギルドで認定できる最上位ランクであるBランクにしている二人であれば、当然引き際も弁えているからだ。
最後に、シルバとカスミのフォローに入ろうかと言っているアルフレド。
実力は間違いないと思ってはいるが、使役しているリアントと共にどう動いてもらうのが効率的なのか分からず、同僚であったクオウの判断を求めるに至ったのだ。
「マスター、アルフレドならリアントと共に個別で動かした方が良いと思いますよ」
あっさりと全員の行動が決まった。
【癒しの雫】の依頼書が張られるボードには、本部指名依頼の依頼書が大々的に張られている。
その前でシアが嬉しそうに宣言する。
「では、皆さん明日から、依頼遂行をお願いします!でも、安全第一ですよ。それと……フレナブルさんとアルフレドさんは、少しだけやりすぎないように注意が必要かもしれません」
「フフフフ、任せて下さい、シア様。狩りすぎないように気を付けておきますね」
「俺も、マスターの期待に応えられるようにリアントと頑張ります!」
「流石はフレナブルさんとアルフレドさんだ。俺達も無理のない範囲ではあるけれど、頑張ろうな、カスミ!」
「もちろんよ、シルバ!」
「皆さん、ありがとうございます。いつもの通りですと、数時間以内にお三方から武具が渡されるかと思いますので、改めてチェックしてください。明朝、一旦本部に向かい、その後街道に進みます」
「あれ?【癒しの雫】から街道に直接向かった方が早いよね?態々町の中央部まで行って、こっちまで戻ってくるのかな?マスター」
「ごめんなさい、シルバさん。合同依頼のために顔合わせと言う無駄な作業があるのです。門で行えば良いのですが、依頼元である本部立会になっているので、向かう事になりました。申し訳ありませんがよろしくお願いします」
確かに通常の流れであれば、本部で合同依頼を受けた者達の顔合わせを行う事はある。
今回もそれに倣っているので何ら不思議はないのだが、ルーカスはその場で【癒しの雫】の戦力の確認を行いたいと言う思惑があった。
必要に応じて、足がつかない程度に【闇夜の月】のフォローに回せる人員を選定しようと思っていたので、【勇者の館】に近いギルド本部での顔合わせを秘密裏に要求していたのだ。
その思惑の中、翌朝に【癒しの雫】冒険者四人とシアが本部にやってきた。
「おや?今日、クオウは来ていないのですかね?」
「クオウさんはギルドで作業中です。今回の顔合わせは実行部隊との事で、ギルドマスターである私だけがここまで同行させて頂いております。ルーカスさん」
小娘に“様”以外の敬称で呼ばれて一瞬だけ殺気が籠るルーカスだが、想定通りにアルフレドを含む冒険者全てがこの場にいるために、ギルドに残るのであろう人材は予定通りに雑魚ばかりである事が確認できたので、何とか心を落ち着かせる。
そして、そのメンバーであれば【闇夜の月】に対しての補助は何ら必要ないと判断した。
「皆さんおそろいですね。今日から一週間、街道安全確保のための合同依頼、よろしくお願いします。二つのギルドでの合同作業、ギルド本部としても大変期待しておりますので、よろしくお願いします。魔獣に関しては、通常の買い取りと同様となります。質問はございますか?」
本部マスターのツイマが最終確認をするが、どちらのギルドからも何も無かった。
「では一週間宜しくお願い致します。討伐証明素材に関しましては、毎日戻ってこられても構いませんし、現地で宿泊して纏めて納品でも構いません。ジャロリア王国発展のために、よろしくお願いします」
地位や権力にしか興味が無いツイマも、街道の安全は本気で確保したいと思っていた。
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