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アルフレドの加入(2)

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 今までの人族は、アルフレドがリアントに対して家族のように接している所を見ると、誰もが眉を顰めていたからだ。

「もちろんですよ。その上で、皆がアルフレドの加入を待ち望んでいるのですよ?【癒しの雫】は素晴らしい方々の集まりです」

 俄に信じられないのだが、ここで【癒しの雫】に向かわないと今迄の貯蓄だけで生活する羽目になり、リアントの分の生活費もある事から直ぐに厳しい状況になる事は目に見えている。

 魔王領には戦闘大好き魔王ゴクドがいるために戻る事は出来ないので、現実的には【癒しの雫】加入以外に生き残る道はないのだ。

 魔王領に戻ろうものなら、リアントをこき使われるうえに、最悪自分も命の危険に晒されるような現場に強制的に向かわせられる可能性が高い。

 そんな中、同士であり雲の上の存在であるフレナブル、そして、顔は見た事は無く名前も初めて聞いた存在である旧魔王クオウと共に行動できると聞いては、やはり断ると言う選択肢はなかった。

「わかりました。宜しくお願いします。リアント、行くから準備して!」

 一応長期の宿泊をしているので、荷物は一纏まりにはなっていない。

 小一時間程荷物整理をして宿のマスターに挨拶を済ませると、二人は【癒しの雫】に向かい、到着した時に出たフレナブルのセリフが既に直っていた入り口を見た感想だった。

「お、帰ったか、フレナブルさん……と、良い面構えをしているじゃねーか、あんたがアルフレドだな?流石はAランカー。そんで、そっちがリアントか。よしよし、きちんと懐いているな」

「お帰りなさい、フレナブルさん。そしてようこそ、アルフレドさんとリアントちゃん。ウフフフ、アルフレドさん、ちょっと撫でても大丈夫ですか?」

 最初に彼らを向かえたのは、丁度扉の確認をしていたミハイルとギルドマスターであるシアだった。

 見た目少女のシアから、まさかリアントを撫でて良いかと聞かれるとは思わなかったアルフレドだが、フレナブルの言っていた通りに自分達を受け入れてくれる人族なのだと嬉しくなった。

「はい。大丈夫です」

「ありがとうございます!よしよし。ウフフフ、なんだかツルツルして奇麗です、初めての手触りです。でもこの子は本当に大人しい子ですね~。」

 余りにも普通に、いや、大歓迎とばかりに使役している魔獣と共に受け入れられているまま、パーティーの準備が整い始めているギルドの中に入る。

 中には全員が揃っており、同じように大歓迎を受けるのだが、流石に同じ種族である魔族のクオウだけは紹介されずとも理解したアルフレド。

 初めて見る尊敬する元魔王クオウの姿に感激している所、シアが忘れていたとばかりにこう告げる。

「あっ、そうだ。今日はアルフレドさんとリアントちゃんの歓迎会も兼ねているんです。ですが、【癒しの雫】はBランク。アルフレドさんはAランクなので、本部に行かないと処理が出来ません。申し訳ありませんが、一旦本部に一緒に行って頂けますか?」

 あまりギルドの仕組みに詳しくないアルフレドは、言われるままにリアントはもちろんの事、シアと引率のクオウと共にギルド本部に向かう。

「クク、クオウ様、お俺、私、アルフレドと申します。そそその……」

「そんなに緊張しないで。俺はアルフレドと同じく、マスターの元に集まった【癒しの雫】の一メンバー。これらよろしく!」

「そうですよ、アルフレドさん。みんな仲良くが【癒しの雫】のモットーですから。楽しく行きましょうね」

 気軽に本部に向かった三人は、そのまま軽い気持ちで受付であるラスカにアルフレドの加入を告げる。

「え?えぇ~?アルフレドさん!ご無事たっだのですね!良かったです」

 ここで漸く、アルフレドが【勇者の館】のルーカスによって疑惑の残る処理をされていた事を思い出したシアとクオウ。

「えっと、ラスカさん。実は今日ウチのギルドに襲撃があったのです。恐らく狙いはギルドその物でありやっかみだと思うのですが、これ以上目立ちたくはないので、今回はこのまま登録だけ済ませる形にしたいのですが」

 少々揉め事の匂いがするので、シアではなくクオウがアルフレドの一件について、【癒しの雫】再登録だけで騒ぎ立てないように頼み込む。

「え?大丈夫だったのですか?」

「はい。何も問題ありません。ありがとうございます」

 そう言えば襲撃についても勢いでサラッと説明してしまったと反省するクオウだが、余り長居はしたくないために、加入登録だけ済ませるようにお願いし、アルフレドは【癒しの雫】Aランカーの冒険者として再登録された。

「ふふ。これで俺も【癒しの雫】の一員ですね」

 ギルドカードの裏面に記載さているギルドの紋章、水滴が円を描くように描かれている紋章を嬉しそうに見つめている。

 表面には自らのランクを示すAランクと言う、普通の冒険者であれば誰しもが憧れる印字があるのだが、そちらには一切の興味を示さない。

 ニヤニヤしながら歩くアルフレドを、何やら落ち着かない様子で見ながら歩く使役魔獣のリアント。

 最近、これ程の笑顔を見せている主人であるアルフレドの姿を見た事が無いので、どう反応して良いのか分からないらしい。
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