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ロイエスパーティー、新メンバーを募る(1)
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強力な回復魔法が使えるバミアを失ったロイエスパーティー。
市販薬や魔法に長けているバウサーの魔法でもバミアの行使する魔法と同等の効果を得る事が出来ないので、回復魔法の得意な代替要員を補充する事が急務となっていた。
ロイエス達に称号があれば、いくら評判が悪くともその権力から破格の好待遇になる上に自らのレベル上昇が他のパーティーと比べて容易である事は間違いないので、メンバーは簡単に募集する事が可能だ。
今のロイエス達の噂、冒険者からどう思われているかを理解しているギルドマスターであるホノカは、ダンジョンの件、バミアの件をロイエス達から全て聞いた。
その結果、ギルドマスターのホノカは弟子の功績として称号授与の申請をしたのだが、王都側に実績不足として拒絶されてしまった。
残念ながら希望の称号を得られるほどの功績とは認められなかったのだ。
更には、ロイエス達が勝手に想定していた鉱石の買い取り価格も上がらなかった。
買い取金額に関しては、自分の取り分を多くしたいと考えたホノカによるピンハネであり、弟子も弟子なら師匠も師匠と言った所だ。
称号も買い取り金額も想定通りとならなかった三人は、更なる報酬と実績を求めて活動を再開する事にしていたのだが、やはり高難度の依頼には回復役は必須であるので、急遽正式メンバーの募集を始める事にした。
バミアを失ってから暫くは活動を停止して、各自で好きに過ごす時間としていたのだが……そろそろ活動を行わないと称号は得られないし、お金も無限に持っているわけではないのだ。
「師匠。以前お願いしていた回復が得意な奴、目星は?」
「そう焦るんじゃないよ、ロイ坊。お前達に向けられる視線は理解しているだろう?」
「チッ……」
イジスの正確な報告によって、侮蔑の視線を向けられている事を指摘されているロイエス。
つまり、未だ称号を得ていない今の段階では中々目的の人物は見つけられないと暗に言われているのだ。
実際にロイエス達もギルドマスターであるホノカの力とは別に独自で仲間を広く募っていたのだが、この場に来ている事でわかる通り成果は出ていない。
受付に依頼をしてボードにメンバー募集の張り紙を出したりもしているのだが、今この時点までで応募者はゼロ。
ある日、応募状況を確認しにギルドに来た時にボードに屯していた冒険者達の話が耳に入ったのだが……
「こんなパーティーに入る自殺志願者がいるのかよ?」
「ないない。結局何かあれば、新入りが残りの三人に結束されて見捨てられるだろ?」
「あの三人、なまじ実力があるからな。どう見てもこの公募は失敗だろう。ダンジョン内部は他の視線がないから、襲われては抗いようがないしな」
と、取り付く島もない話が聞こえてきていた。
「チッ、何の苦労も知らねークソ野郎が!」
流石にここまで公の場で暴れるわけにはいかないロイエスは素早く受付に状況を確認して応募が一切ない事を聞くと、わざと大きな足音を立ててボード近辺にいる冒険者を睨みながらギルドを後にしていた。
バミアの一件が無ければ、多少お金に困った人物や早く一流になりたいと言う野心のある冒険者が申し込んでいただろうが、仲間すら簡単に見捨てると言う事実が公表されている以上、本当に命を捨てる事を受け入れられる程の人物か、ロイエス達三人よりも相当な強者でもなければ、このパーティーに加入する事は出来ない。
そんな公募の結果もギルドマスターであるホノカは知っているので、後日同じように状況を確認しに来た弟子であるロイエスにこう告げる。
「安心おし。丁度私のパーティーであった<聖女>ミハルが何やら散財しまくったみたいでね。可愛い弟子のためにこの私が次の依頼に同行するように依頼をしてやったさ」
自分達よりも確実に格上である元勇者パーティーの一員である<聖女>ミハルが同行してくれれば全く憂いなく依頼を達成でき、当然称号を得るのも容易になるだろうと理解しているロイエスは喜ぶ。
もちろんロペスとバウサーも、確実にバミアよりも経験豊かで力のある人物が同行してくれる事に喜びを隠しきれない。
「流石は師匠。頼りになるぜ」
「ホノカ様。ありがとうございます」
「ホノカさん。直接勇者パーティーの動きが見られる事、この上ない経験になります。ありがとうございます」
ホノカと違って<聖女>ミハルは無駄に贅沢な暮らしをし続けているので、報奨金は既に使い果たしてしまったのだ。
しかし、一旦慣れてしまった生活レベルを落とす事は容易ではない。
その結果……称号持ちを雇う際の正しい報酬を提示してきたホノカの願いを聞き入れる事にしたのだ。
実はミハル、ホノカの提示した報酬だけでは長きに渡って実戦から遠ざかった為に依頼を受けようとは思っていなかった。
ホノカからの依頼を達成できれば、数カ月は同じ生活レベルを維持する事が出来るにも拘らず……だ。
当然依頼を受けたのには訳がある。
市販薬や魔法に長けているバウサーの魔法でもバミアの行使する魔法と同等の効果を得る事が出来ないので、回復魔法の得意な代替要員を補充する事が急務となっていた。
ロイエス達に称号があれば、いくら評判が悪くともその権力から破格の好待遇になる上に自らのレベル上昇が他のパーティーと比べて容易である事は間違いないので、メンバーは簡単に募集する事が可能だ。
今のロイエス達の噂、冒険者からどう思われているかを理解しているギルドマスターであるホノカは、ダンジョンの件、バミアの件をロイエス達から全て聞いた。
その結果、ギルドマスターのホノカは弟子の功績として称号授与の申請をしたのだが、王都側に実績不足として拒絶されてしまった。
残念ながら希望の称号を得られるほどの功績とは認められなかったのだ。
更には、ロイエス達が勝手に想定していた鉱石の買い取り価格も上がらなかった。
買い取金額に関しては、自分の取り分を多くしたいと考えたホノカによるピンハネであり、弟子も弟子なら師匠も師匠と言った所だ。
称号も買い取り金額も想定通りとならなかった三人は、更なる報酬と実績を求めて活動を再開する事にしていたのだが、やはり高難度の依頼には回復役は必須であるので、急遽正式メンバーの募集を始める事にした。
バミアを失ってから暫くは活動を停止して、各自で好きに過ごす時間としていたのだが……そろそろ活動を行わないと称号は得られないし、お金も無限に持っているわけではないのだ。
「師匠。以前お願いしていた回復が得意な奴、目星は?」
「そう焦るんじゃないよ、ロイ坊。お前達に向けられる視線は理解しているだろう?」
「チッ……」
イジスの正確な報告によって、侮蔑の視線を向けられている事を指摘されているロイエス。
つまり、未だ称号を得ていない今の段階では中々目的の人物は見つけられないと暗に言われているのだ。
実際にロイエス達もギルドマスターであるホノカの力とは別に独自で仲間を広く募っていたのだが、この場に来ている事でわかる通り成果は出ていない。
受付に依頼をしてボードにメンバー募集の張り紙を出したりもしているのだが、今この時点までで応募者はゼロ。
ある日、応募状況を確認しにギルドに来た時にボードに屯していた冒険者達の話が耳に入ったのだが……
「こんなパーティーに入る自殺志願者がいるのかよ?」
「ないない。結局何かあれば、新入りが残りの三人に結束されて見捨てられるだろ?」
「あの三人、なまじ実力があるからな。どう見てもこの公募は失敗だろう。ダンジョン内部は他の視線がないから、襲われては抗いようがないしな」
と、取り付く島もない話が聞こえてきていた。
「チッ、何の苦労も知らねークソ野郎が!」
流石にここまで公の場で暴れるわけにはいかないロイエスは素早く受付に状況を確認して応募が一切ない事を聞くと、わざと大きな足音を立ててボード近辺にいる冒険者を睨みながらギルドを後にしていた。
バミアの一件が無ければ、多少お金に困った人物や早く一流になりたいと言う野心のある冒険者が申し込んでいただろうが、仲間すら簡単に見捨てると言う事実が公表されている以上、本当に命を捨てる事を受け入れられる程の人物か、ロイエス達三人よりも相当な強者でもなければ、このパーティーに加入する事は出来ない。
そんな公募の結果もギルドマスターであるホノカは知っているので、後日同じように状況を確認しに来た弟子であるロイエスにこう告げる。
「安心おし。丁度私のパーティーであった<聖女>ミハルが何やら散財しまくったみたいでね。可愛い弟子のためにこの私が次の依頼に同行するように依頼をしてやったさ」
自分達よりも確実に格上である元勇者パーティーの一員である<聖女>ミハルが同行してくれれば全く憂いなく依頼を達成でき、当然称号を得るのも容易になるだろうと理解しているロイエスは喜ぶ。
もちろんロペスとバウサーも、確実にバミアよりも経験豊かで力のある人物が同行してくれる事に喜びを隠しきれない。
「流石は師匠。頼りになるぜ」
「ホノカ様。ありがとうございます」
「ホノカさん。直接勇者パーティーの動きが見られる事、この上ない経験になります。ありがとうございます」
ホノカと違って<聖女>ミハルは無駄に贅沢な暮らしをし続けているので、報奨金は既に使い果たしてしまったのだ。
しかし、一旦慣れてしまった生活レベルを落とす事は容易ではない。
その結果……称号持ちを雇う際の正しい報酬を提示してきたホノカの願いを聞き入れる事にしたのだ。
実はミハル、ホノカの提示した報酬だけでは長きに渡って実戦から遠ざかった為に依頼を受けようとは思っていなかった。
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