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「これが……凄いな。向こうが見えないぞ!」
「確かに、ここなら住みやすそうだけど……取り敢えず、この建物に入るんだったよな?」
「確かそうだ。そうすれば、一階層の移動は無くせると言う説明だったはずだ」
入口直後の大きな建屋に入る一行。
「お待ちしておりました。では、今回に限り御一人ずつお話しさせて頂きたいと思います。では、こちらへどうぞ」
アイズによって名前やレベル等の詳細は既に把握しているヒカリだが、警戒させないように何も言わずに各自との面談があるかのように振舞い、先ずは回復薬が必要と言っていた中年冒険者の男に問いかける。
「一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
突然ダンジョンの配下である光族の男からこう言われ、中年冒険者は断れるわけがない。
仮にここで機嫌を損ねて、娘の命綱を手放す愚行は絶対にできない。
「何でしょう?」
「ギルドでお話しされていた病気の話ですが、具体的な症状、人数を教えていただけますでしょうか?それと、今そのお方がいる場所も教えていただきたいと思います」
何のためにと思わなくもないが、聞かれた事に素直に答える。
当然その情報を聞いているハライチとミズイチ、そして回復に対して深い知識を持つビーは、二倍希釈レベルでないと完全回復させるのは難しいだろうと判断していた。
レベル99のビーの回復薬を二倍希釈となると、相当悪い状態である事が伺える。
完全に湯原と水野の配下として認識されているヒカリはその情報をすかさずハライチから受け取っているので、話をしながらも内心は相当悪い状態だと悲しく、そして何故か苦しくなるが、表情には一切出さない。
もちろんレベル99になったレインやチェーの力による回復も可能だが、基本的に眷属はダンジョンから出る……主の傍を離れる事を良しとしない。
チェーの分裂体では恐らく対応は難しい事も、呼び寄せるしか方法が無いと判断された一つの要因でもある。
不幸中の幸いと言っても良い所は、イーシャとプリマが宣伝用に持ち歩いていた50倍希釈の回復薬を使えば長期移動にも辛うじて耐えられそうだと言う事。
それでも相当の回復薬なので取り扱いに注意をしてもらう必要はあるのだが、イーシャとプリマが既に公開している以上は、奪われる可能性はゼロではないが、そう危険な状態にはならないだろうと言う結論に達したハライチとミズイチによって、二人の主の許可を得て救出作戦が実行される事になった。
50倍と言わずに希釈倍率を低くすればより確実性が増すが、その情報を何らかの手段で第三者が得てしまえば、その回復薬を奪うために襲われる可能性が高くなる。
そこは難しい匙加減だが、馬車で8日の距離であれば問題ないだろうと言う判断と、2倍希釈と言う破格の性能の回復薬を持ち帰らせる事無く、ダンジョン内部で治療する事が出来る可能性が非常に高いと判断されたので、この方法が選択された。
「わかりました。では僕から一つ提案です。皆様の行動に感動したご主人様の意向で、本当に特別にお助けする手段を提示させて頂きます」
「本当か!何でもする。何でも言ってくれ!」
「落ち着いて下さい。ご存じの通り、僕のご主人様のダンジョンは非常に優秀です。ですが、以前このダンジョンの宣伝の為に王都に持ち込んだ回復薬ですら、ちょっとした奪い合いに発展したと聞いております。残念な事にそのレベルの回復薬でも、今のお話を聞くに、完全回復させる事は不可能でしょう」
持ち上げて落とされた気持ちになっている中年冒険者の男、名前をジッタと言うが、それでも最後まで希望を捨てずに一字一句聞き逃さないようにヒカリの声に耳を傾ける。
「それ以上の回復薬か同等の代替手段を準備させて頂く事は可能なのですが、何れにしても諸事情によりダンジョン内部でしか使う事が出来ません。それ程破格の性能なので、万が一にも外には出せないのです」
「で、でも、娘……リエッタは、ここまで来るだけの体力が……」
結局ダメかと沈み始める中年冒険者ジッタだが、一気に光明が差す。
「はい。そこも理解しております。ですので、既に公になっているレベルの回復薬を数本お渡しします。これがあれば、娘さんはここまで到着する事が出来るでしょう。症状が悪化した雰囲気を感じ取った際に摂取させてください。ですが、当然秘匿でお願いします。ここまで無事にお話しが出来ましたので、残りのお二方、ジッタ様のご子息の方ですね。お二人の面談は不要です」
アイズによる鑑定情報が継続して流れてきており、残りの二人ハリアムとポガルと言う冒険者は目の前の男ジッタの身内、息子である事が判明している。
ハリアルとポガルが第三者の立場であればこの話は完全に秘匿させる必要があるために個別面談を装ったのだが、身内であれば纏めて話をしても良かったと少しだけ後悔するヒカリと、完全な救済手段を何の見返り無しに提示してもらった立場になっているジッタ。
何故名乗っていない自分の名前や息子達との関係が明らかになっているのか……少々気になる所はあるのだが、それ以上に娘を助けて貰える事で、何も言えずに涙を流す。
「ジッダさん。僕も……娘さんと少々事情は異なりますが、自由が無い存在でした。そこから救い出していただけるのを待っているのです。さぁ、これを……隠してお持ちください。次にお会いする時は、娘さんが治る時ですよ」
「ありがとう、ありがとう!!」
机の上には、見た事もないような回復薬が五本並んでいる。
ヒカリの隠せと言う指示は、この回復薬を奪いに来る輩から守り切れと言っている事位は分かるジッタは、立ち上がり深く一礼すると、大切そうに回復薬五本を懐の奥にしまい込むと、部屋を出て行く。
「ふ~、思わず感情移入してしまいました。無事な帰還をお待ちしています」
誰もいない出口に向かって呟くヒカリは、立ち上がり仕事に戻る。
「確かに、ここなら住みやすそうだけど……取り敢えず、この建物に入るんだったよな?」
「確かそうだ。そうすれば、一階層の移動は無くせると言う説明だったはずだ」
入口直後の大きな建屋に入る一行。
「お待ちしておりました。では、今回に限り御一人ずつお話しさせて頂きたいと思います。では、こちらへどうぞ」
アイズによって名前やレベル等の詳細は既に把握しているヒカリだが、警戒させないように何も言わずに各自との面談があるかのように振舞い、先ずは回復薬が必要と言っていた中年冒険者の男に問いかける。
「一つお伺いしてもよろしいでしょうか?」
突然ダンジョンの配下である光族の男からこう言われ、中年冒険者は断れるわけがない。
仮にここで機嫌を損ねて、娘の命綱を手放す愚行は絶対にできない。
「何でしょう?」
「ギルドでお話しされていた病気の話ですが、具体的な症状、人数を教えていただけますでしょうか?それと、今そのお方がいる場所も教えていただきたいと思います」
何のためにと思わなくもないが、聞かれた事に素直に答える。
当然その情報を聞いているハライチとミズイチ、そして回復に対して深い知識を持つビーは、二倍希釈レベルでないと完全回復させるのは難しいだろうと判断していた。
レベル99のビーの回復薬を二倍希釈となると、相当悪い状態である事が伺える。
完全に湯原と水野の配下として認識されているヒカリはその情報をすかさずハライチから受け取っているので、話をしながらも内心は相当悪い状態だと悲しく、そして何故か苦しくなるが、表情には一切出さない。
もちろんレベル99になったレインやチェーの力による回復も可能だが、基本的に眷属はダンジョンから出る……主の傍を離れる事を良しとしない。
チェーの分裂体では恐らく対応は難しい事も、呼び寄せるしか方法が無いと判断された一つの要因でもある。
不幸中の幸いと言っても良い所は、イーシャとプリマが宣伝用に持ち歩いていた50倍希釈の回復薬を使えば長期移動にも辛うじて耐えられそうだと言う事。
それでも相当の回復薬なので取り扱いに注意をしてもらう必要はあるのだが、イーシャとプリマが既に公開している以上は、奪われる可能性はゼロではないが、そう危険な状態にはならないだろうと言う結論に達したハライチとミズイチによって、二人の主の許可を得て救出作戦が実行される事になった。
50倍と言わずに希釈倍率を低くすればより確実性が増すが、その情報を何らかの手段で第三者が得てしまえば、その回復薬を奪うために襲われる可能性が高くなる。
そこは難しい匙加減だが、馬車で8日の距離であれば問題ないだろうと言う判断と、2倍希釈と言う破格の性能の回復薬を持ち帰らせる事無く、ダンジョン内部で治療する事が出来る可能性が非常に高いと判断されたので、この方法が選択された。
「わかりました。では僕から一つ提案です。皆様の行動に感動したご主人様の意向で、本当に特別にお助けする手段を提示させて頂きます」
「本当か!何でもする。何でも言ってくれ!」
「落ち着いて下さい。ご存じの通り、僕のご主人様のダンジョンは非常に優秀です。ですが、以前このダンジョンの宣伝の為に王都に持ち込んだ回復薬ですら、ちょっとした奪い合いに発展したと聞いております。残念な事にそのレベルの回復薬でも、今のお話を聞くに、完全回復させる事は不可能でしょう」
持ち上げて落とされた気持ちになっている中年冒険者の男、名前をジッタと言うが、それでも最後まで希望を捨てずに一字一句聞き逃さないようにヒカリの声に耳を傾ける。
「それ以上の回復薬か同等の代替手段を準備させて頂く事は可能なのですが、何れにしても諸事情によりダンジョン内部でしか使う事が出来ません。それ程破格の性能なので、万が一にも外には出せないのです」
「で、でも、娘……リエッタは、ここまで来るだけの体力が……」
結局ダメかと沈み始める中年冒険者ジッタだが、一気に光明が差す。
「はい。そこも理解しております。ですので、既に公になっているレベルの回復薬を数本お渡しします。これがあれば、娘さんはここまで到着する事が出来るでしょう。症状が悪化した雰囲気を感じ取った際に摂取させてください。ですが、当然秘匿でお願いします。ここまで無事にお話しが出来ましたので、残りのお二方、ジッタ様のご子息の方ですね。お二人の面談は不要です」
アイズによる鑑定情報が継続して流れてきており、残りの二人ハリアムとポガルと言う冒険者は目の前の男ジッタの身内、息子である事が判明している。
ハリアルとポガルが第三者の立場であればこの話は完全に秘匿させる必要があるために個別面談を装ったのだが、身内であれば纏めて話をしても良かったと少しだけ後悔するヒカリと、完全な救済手段を何の見返り無しに提示してもらった立場になっているジッタ。
何故名乗っていない自分の名前や息子達との関係が明らかになっているのか……少々気になる所はあるのだが、それ以上に娘を助けて貰える事で、何も言えずに涙を流す。
「ジッダさん。僕も……娘さんと少々事情は異なりますが、自由が無い存在でした。そこから救い出していただけるのを待っているのです。さぁ、これを……隠してお持ちください。次にお会いする時は、娘さんが治る時ですよ」
「ありがとう、ありがとう!!」
机の上には、見た事もないような回復薬が五本並んでいる。
ヒカリの隠せと言う指示は、この回復薬を奪いに来る輩から守り切れと言っている事位は分かるジッタは、立ち上がり深く一礼すると、大切そうに回復薬五本を懐の奥にしまい込むと、部屋を出て行く。
「ふ~、思わず感情移入してしまいました。無事な帰還をお待ちしています」
誰もいない出口に向かって呟くヒカリは、立ち上がり仕事に戻る。
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