湯原と水野のダンジョン創世記

焼納豆

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 ハライチの言葉によれば、眷属との繋がりが非常に良い状態の湯原と水野のダンジョンの性能も比例して良くなっており、魔物や冒険者達から得られる内包魔力の吸収率が非常に高いとの事だった。

 数字的に判断する事は不可能らしいが、眷属の態度からどの程度の効率を持っているかはわかるらしく、<淫魔族>二人の知識からは有りえない程の高い効率を叩き出せる状態にあるらしい湯原と水野のダンジョン。

 この事象を聞いて流石は異世界、不思議な機能があるものだ……と無理やり納得した二人は、再び邪魔にならないように口を噤んで<淫魔族>二人の成り行きを見ている。

「では、エルミラ……でしょうね」

 再び訳の分からない単語が出てきたので湯原と水野は互いの顔を見合わせており、その姿を見たハライチとミズイチは話を中断して、説明する。

「主様、カーリ水野様。エルミラはかなり小さい粘膜の様な魔物です。自然に分裂して繁殖する上、例え岩であろうと粘着性のある非常に歩きにくい土壌に変化させる事が出来ます」

 ある意味アメーバの様な物体なのだろうか?と再び強制的に納得しているダンジョンマスターの二人。

「ですがミズイチ。飛行できる敵が来た場合には足止めが出来ません。ですから、同じ階層の設定で常に激しい雨を降らせて視界を奪う事、そしてその雨に紛れる事が出来る魔物、レイダスを配置しましょう」

 常に反応してしまっては二人の邪魔になると判断しているダンジョンマスターの二人は、今回出て来た不思議な単語、恐らく魔物の種類だと思うレイダスについては敢えて反応せずに、落ち着いた後に聞こうと心に決めていた。

「では地中は、スワームとエルミラの合わせ技、壁を伝ってくる者についてもエルミラ……ですね?」

「これが、少ない内包魔力で足止めできる最も良い組み合わせ……ですね。そうしましょう」

 ある程度万能型の足止め対策の案がまとまったようで、具体的な説明を始めるミズイチ達。

 最終的にここまで丁寧に説明してくれるのであれば、最初から黙っておけばよかったと後悔しつつも話を聞くダンジョンマスターの二人。

「先ずは侵入者がどのようにダンジョンを進むのかですが、敵はダンジョンの中では転移術を使えません。何かの力で存在を隠蔽する事は出来ますが、必ず実体が進行するしかないのです。主様が準備する罠の転移陣を除けば、これは絶対の法則です」

「ですから、基本的には地上、地下、壁伝い、空中浮揚の四通りになるのです。その全を一つの魔物、環境で対策する事は出来ませんので、今回は環境変化と魔物3種で対応する事を提言致します」

 常に大雨の状態にしておき、地中対応として地中に潜む魔物のスワームとアメーバ型の魔物エルミラによって攻撃し、且つ侵攻できないように敵の周辺を固化する。

 空中の対策としてはそもそも雨の勢いで通常の魔物は飛べないが、それでも飛んで来る魔物には、雨に擬態できる水生の魔物であるレイダスが対応する。

 レイダスは自らが浮遊する事も可能で付着した物を固化できるので、雨に紛れて敵の羽を使用不可とする。

 仮に何らかの術で浮揚している場合は、物量に物を言わせてその敵の周辺にエルミラやスワームの補助によって付けられる土・泥等を固化し続けて、視界を奪ったり、重量を重くしたりして飛べなくさせる作戦だ。

 地上を進んで切る場合は、エルミラの力で足場をより悪くし、場合によってはスワームの攻撃も併せて実施する。

 最後に壁伝いだが、こちらもエルミラによって壁の質感を変更させる事で対応できるし、スワームを潜ませる事も可能だ。

 これらの魔物、大雨と言う環境変化の良い所は、<淫魔族>の二人が話していた通りに、四階層の今であればそれほど多くの内包魔力を使用しない事にある。

 大雨程度の環境変化であれば環境変化(中)で済むので、500。

 レベルが異なる魔物50体の召喚は必要な内包魔力が異なるが、各個体とも自然交配や自然分裂で増えてくれるので、一度の召喚で時と共に大幅に個体数を増やせる事になる。

スワーム(レベル5) 250
エルミラ(レベル7) 400
レイダス(レベル6) 400

 環境変化は各階層の拡張部分の一部に行う必要があるので、500×三階層で1500だが、魔物召喚は一度1050の消費で済ませ、その後繁殖した後にダンジョンマスターの力で階層間を転移させる事になっている。

 この環境を整備するのに必要な内包魔力は、2550だ。

 因みに既存の二階層だけを拡張せずに、階層を四階層まで増加して各階を拡張したのは、例え最短距離で進めたとしても階層を追加しておけば、敵は最終階層が何階層かまでは分からないはずであり、消耗を気にして進行速度が落ちる可能性が高いからだ。

 既に湯原と水野二人共ダンジョンのレベルが40近傍になっているので、そのレベル以下の魔物を保管、吸収してもレベルは上昇しないが、内包魔力は増えて行く。

 この内包魔力を使って<淫魔族>の二体が進言する通りに2階層以下の各階層の一部の環境を変化させ、三種類の魔物を一旦2階層にのみに召喚する。

 残りの内包魔力は侵入者対策用に溜め続ける事にしており、ある程度保管できた場合に再び階層拡張を実施する事にしていた。

 その中でも、存在しているだけで内包魔力を増やす事に大きく貢献している魔物に対しては、その魔物に特化した環境を一部のエリアに作成し、その周辺のエリアはその魔物が最も不向きな環境とする事で脱走を防ぐ仕様に変えて行く。

 この作業を進めて行く事で相当各階層の拡張が繰り返されて、召喚ではない強制的に連れ込んでいる内包魔力の発生源になっている魔物の数も増えて来た。

 各個体が勝手に繁殖しているケースも散見されている。
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