52 / 81
第四章 穢土の暗闇
最終回 穢土の暗闇②
しおりを挟む
帯刀と新田らしき浪人の風体をした男達を捕捉したという報告を、清記は千手宿で受けた。早駕籠の前に、飛脚風の男が駆けて来て伝えたのだ。この早駕籠も菊原の手の者なので、その辺りは心得ている。
二人は追撃を避けて、草加宿を出たらしい。目尾組の忍びと、斬り合いを演じたという。その中に主税介もいるのだろうか。気にはなったが、そこまでは聞かなかった。
清記の早駕籠は、草加宿を駆け抜けた。並みの快足ではない。早駕籠の中でも、選りすぐりの韋駄天を集めたのだろう。陽は随分と傾いている。このまま進んでいいのだろうか? との不安を覚えたが、蒲生大橋を渡り終えた辺りで、今度は渡世人に道を遮られた。この者も目尾組の忍びだった。
「平山様、やっと追いつきなされましたな」
「それで、新田はどこへ?」
「若宮様と共に、この先の百姓家に逃げ込んでおります」
「逃げ込んだだと? 逃げる事を諦めたのか?」
「半刻前の新田に一太刀を浴びせたので、急ぐ事が出来なくなったのでしょう。代わりに、こちらは五名も失いました。若宮様一人に」
目尾組とて、凄腕の忍びである。その忍びを五人も仕留めたとなれば、やはり帯刀の腕は尋常ではない。
清記は駕籠から降りると、二人の駕籠舁きに、暫く待つように命じた。
「若宮様は?」
「無傷でございます。このままではこちらの損害が大きくなるばかりですので、今は遠くから囲んでおります」
「わかった。案内しろ」
渡世人風の忍びは頷き、清記を街道から逸れた脇道へと導いた。
暫く竹林が続き、それが途切れた先にある百姓家を指さした。
二人が逃げ込んだ百姓家は、近在の村からは離れていて、まるで孤立したように建っていた。傍には僅かな畠と、小さな池があった。
清記の姿を認めると、百姓や行商の恰好をした男達が、ぱらぱらと木陰から現れた。六名。その中には、合ヶ坂の一件で顔を合わせた者もいた。しかし、その中に主税介の姿はやはり無かった。
「平山様、よくぞおいでくださいました」
行商風の忍びが言った。
「若宮様と新田殿は、家の中だな?」
「左様でございます。近在の者の話では、百姓の女房と子供が二人だけいるようです」
「人質という奴か……」
「さて、二人は中に入ったきりで」
「主税介は?」
「一度も見てはおりませぬ。追っているとは聞きましたが」
「わかった」
帯刀とは立ち合うしかなさそうだ。斬らなくて済むなら、そうしたい。しかし、刀背打ちなど狙えば、こちらがやられかねないほどの相手だ。
清記は慣れた手つきで、扶桑正宗の下げ緒で袖を絞った。
「平山様、お頭の仇を」
案内した渡世人風が言うと、清記は静かに頷いた。
清記は一人歩み寄り、畠を通り過ぎて百姓家の前に立った。
「新田殿はおられるか?」
声を挙げる。すると戸が開いて、浪人風の男が一人だけ出てきた。
薄汚れた格好をしているが、帯刀だった。浪人に変装はしているつもりだが、帯刀からは浪人が放つ獣臭というものが無く、それが無理をしているようで滑稽にだった。どう足掻いても、この男は藩主家の御曹司。香り立つ特権的身分の高貴さは隠せない。
「平山、やはりお前か」
帯刀が言った。新田の姿は無い。
「新田殿は?」
「さてね」
「こちらに引き渡していただきたい」
清記は帯刀の言葉を、敢えて無視をした。
「おいおい、それで『はいそうですか』と引き渡すと思うか?」
「場合によっては。使いたくはない手ではございますが」
「俺の女房と子供を人質にしようってかい?」
「私はそんな真似はしませんよ。菊原様は知りませんが」
「冗談でも言っていい事と悪い事があるぜ? しかも、その冗談で人がひとり死んでいる」
乙吉の事だろうか。いくら帯刀が斬ってほっとしたと言っても、いざ面と向かうと怒りが込み上がる。それと同時に、いずれ斬っただろう自分に、怒る権利も無いと清記は思った。
「帯刀様。素直に新田殿を引き渡してくれなければ、少々手荒な真似をせねばなりません」
「少々? 少々で済むかな」
帯刀がまた笑った。まだ殺気は感じない。のらりくらりとしている様は、風に揺れる稲穂のようだ。
「わかりました。不本意ですが、お相手いたします」
「最初からそう言えばいいんだよ」
帯刀が刀を抜いたのに合わせて、清記も扶桑正宗を抜いた。
その瞬間、帯刀の殺気が爆ぜた。猛烈な圧に、思わず顔を背けたくなるほどだ。
だが、これほどの男が過去にいなかったわけではない。そして、自分はそうした敵を斃してきた。何の事もない。そう自分に言い聞かせ、清記は下段に構えた。
一方の帯刀が正眼に取った。切っ先をやや上げ気味で、重心を落としている。綺麗な構えだった。
これで、藩主家の人間に刀を向けたのは二度目になる。恐れ多いという、気持ちがないわけではなかった。しかし、これは御手先役としての役目。藩主から政事を任された、執政府の命令だからこそ許される行為だ。もしそうでなければ、切腹では済まされない。
対峙となった。四歩の距離だ。陽は翳りを見せ、もう夕闇が辺りを支配している。特に、このような竹林に囲まれた辺鄙な場所では、より一層薄暗い。
清記は潮合いを待ちながら、帯刀の隙を探っていた。それは斬る為の隙ではなく、斬らずに済ます為の隙である。
清記は帯刀が苦手だった。好きではないと言ってもいい。馴れ馴れしい態度と、心の奥を見せない言動が、どうにも不快なのだ。善人なのか、悪人なのか、それすら判別は出来なかった。
静寂も束の間、一陣の風が吹いて、竹林の騒がしい音が鳴った。それに合わせて、帯刀が地摺りで前に踏み出す。三歩半の距離。あと何歩で、帯刀は斬撃を放ってくるのか?
待つしかない。そう清記は決めていた。自分から動けば、斬ってしまいそうだ。時として、意思よりも先に扶桑正宗が動いてしまう事がある。特に、帯刀のような男なら、尚更だった。
ふと、血臭が香った。それが次第に強くなる。帯刀の圧が急に萎むと、鼻を鳴らして構えを解いた。
「糞ったれめ」
唾棄するように言い放つと、持っていた刀を腰に納めた。
「如何いたしたのですか?」
清記も構えを解くと、帯刀に訊いた。
「どうもこうも無い。俺の負けよ」
「負けとは?」
と、清記の問いに応えるよりも先に、帯刀は視線を百姓家の方へ向けた。
家の裏から、主税介が現れた。左手には、新田の首を持っている。
「主税介、その首は?」
「新田とやらが、裏口から逃がしたようで。そこを私が張っていたのですよ」
「なるほど、よくやった」
清記は扶桑正宗を腰に戻すと、帯刀に目を向けた。
「それでは役目を果たしたので、私どもはこれにて……」
「ああ、お役目ご苦労なこった」
清記が合図をすると、主税介は生首をぶら下げたまま、清記の後を追った。
「ちょっと待て」
帯刀に呼び止められ、清記は踵を返した。
「何でしょうか?」
「お前じゃねぇよ。穴水、お前だ」
帯刀の言葉に、主税介が表情も変えずに振り返った。
「穴水、俺と来る気はねぇか?」
「ほう……」
主税介の顔に冷笑が浮かぶ。清記は帯刀が何を言っているのか、清記は瞬時に理解し、そして愕然とした。その一言は、主税介に最も言ってはならないものだったのだ。
「もしお前が、兄貴を差し置いて御手先役になりてぇんなら、俺と一緒に来い」
「これは面白い。私は、その言葉を待っていましたよ」
そう主税介が言うと、清記は思わずその肩を掴んでいた。
「兄上にはわかりませんよ」
清記の手を払い、帯刀の方へ一歩踏み出した。
「主税介、戯言に耳を貸すな」
「兄上にしてみれば戯言でしょうが、私にとっては金言でしてね」
「何?」
主税介が、新田の首を放り投げた。首は転がって清記の足元で止まり、半開きの眼が無念そうにこちらを見つめた。
「兄上の義理は、この首で果たした事になりませんかね」
「お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
主税介が鼻を鳴らして、肩を竦めた。
「帯刀様に組するという事は、大和様に加担するという事だ。しかし、この政争では勝ち目はない。奥寺派は泥船だぞ」
「奥寺様を勝たせるのが私の役目。梅岳の走狗である兄上とは違うんです」
梅岳の走狗。その一言に、清記の何かが切れた。
扶桑正宗の光が、逢魔が時の闇を切り裂いた。意思よりも先に、腰の一刀が鞘走っていた。
主税介の身体を、二つに断った。確かにそう見えた。しかし、手ごたえは無かった。すると主税介の姿が霧散し、その奥に立ってた。
念真流の秘奥の一つ、朧。相手を斬ったと錯覚させるほどの見切りである。主税介は、それを会得していたという事か。
「先に抜いたのは兄上という事をお忘れなく」
軽く目を伏せ、踵を返した。そして、帯刀のもとへ歩き出す。
「清記、お前にゃ兄を超えようとする弟の気持ちなんぞわからねぇさ」
そう言った帯刀を無視して、清記は主税介の名を叫んだ。しかし、弟からの返事は無かった。
〔第四章 了〕
二人は追撃を避けて、草加宿を出たらしい。目尾組の忍びと、斬り合いを演じたという。その中に主税介もいるのだろうか。気にはなったが、そこまでは聞かなかった。
清記の早駕籠は、草加宿を駆け抜けた。並みの快足ではない。早駕籠の中でも、選りすぐりの韋駄天を集めたのだろう。陽は随分と傾いている。このまま進んでいいのだろうか? との不安を覚えたが、蒲生大橋を渡り終えた辺りで、今度は渡世人に道を遮られた。この者も目尾組の忍びだった。
「平山様、やっと追いつきなされましたな」
「それで、新田はどこへ?」
「若宮様と共に、この先の百姓家に逃げ込んでおります」
「逃げ込んだだと? 逃げる事を諦めたのか?」
「半刻前の新田に一太刀を浴びせたので、急ぐ事が出来なくなったのでしょう。代わりに、こちらは五名も失いました。若宮様一人に」
目尾組とて、凄腕の忍びである。その忍びを五人も仕留めたとなれば、やはり帯刀の腕は尋常ではない。
清記は駕籠から降りると、二人の駕籠舁きに、暫く待つように命じた。
「若宮様は?」
「無傷でございます。このままではこちらの損害が大きくなるばかりですので、今は遠くから囲んでおります」
「わかった。案内しろ」
渡世人風の忍びは頷き、清記を街道から逸れた脇道へと導いた。
暫く竹林が続き、それが途切れた先にある百姓家を指さした。
二人が逃げ込んだ百姓家は、近在の村からは離れていて、まるで孤立したように建っていた。傍には僅かな畠と、小さな池があった。
清記の姿を認めると、百姓や行商の恰好をした男達が、ぱらぱらと木陰から現れた。六名。その中には、合ヶ坂の一件で顔を合わせた者もいた。しかし、その中に主税介の姿はやはり無かった。
「平山様、よくぞおいでくださいました」
行商風の忍びが言った。
「若宮様と新田殿は、家の中だな?」
「左様でございます。近在の者の話では、百姓の女房と子供が二人だけいるようです」
「人質という奴か……」
「さて、二人は中に入ったきりで」
「主税介は?」
「一度も見てはおりませぬ。追っているとは聞きましたが」
「わかった」
帯刀とは立ち合うしかなさそうだ。斬らなくて済むなら、そうしたい。しかし、刀背打ちなど狙えば、こちらがやられかねないほどの相手だ。
清記は慣れた手つきで、扶桑正宗の下げ緒で袖を絞った。
「平山様、お頭の仇を」
案内した渡世人風が言うと、清記は静かに頷いた。
清記は一人歩み寄り、畠を通り過ぎて百姓家の前に立った。
「新田殿はおられるか?」
声を挙げる。すると戸が開いて、浪人風の男が一人だけ出てきた。
薄汚れた格好をしているが、帯刀だった。浪人に変装はしているつもりだが、帯刀からは浪人が放つ獣臭というものが無く、それが無理をしているようで滑稽にだった。どう足掻いても、この男は藩主家の御曹司。香り立つ特権的身分の高貴さは隠せない。
「平山、やはりお前か」
帯刀が言った。新田の姿は無い。
「新田殿は?」
「さてね」
「こちらに引き渡していただきたい」
清記は帯刀の言葉を、敢えて無視をした。
「おいおい、それで『はいそうですか』と引き渡すと思うか?」
「場合によっては。使いたくはない手ではございますが」
「俺の女房と子供を人質にしようってかい?」
「私はそんな真似はしませんよ。菊原様は知りませんが」
「冗談でも言っていい事と悪い事があるぜ? しかも、その冗談で人がひとり死んでいる」
乙吉の事だろうか。いくら帯刀が斬ってほっとしたと言っても、いざ面と向かうと怒りが込み上がる。それと同時に、いずれ斬っただろう自分に、怒る権利も無いと清記は思った。
「帯刀様。素直に新田殿を引き渡してくれなければ、少々手荒な真似をせねばなりません」
「少々? 少々で済むかな」
帯刀がまた笑った。まだ殺気は感じない。のらりくらりとしている様は、風に揺れる稲穂のようだ。
「わかりました。不本意ですが、お相手いたします」
「最初からそう言えばいいんだよ」
帯刀が刀を抜いたのに合わせて、清記も扶桑正宗を抜いた。
その瞬間、帯刀の殺気が爆ぜた。猛烈な圧に、思わず顔を背けたくなるほどだ。
だが、これほどの男が過去にいなかったわけではない。そして、自分はそうした敵を斃してきた。何の事もない。そう自分に言い聞かせ、清記は下段に構えた。
一方の帯刀が正眼に取った。切っ先をやや上げ気味で、重心を落としている。綺麗な構えだった。
これで、藩主家の人間に刀を向けたのは二度目になる。恐れ多いという、気持ちがないわけではなかった。しかし、これは御手先役としての役目。藩主から政事を任された、執政府の命令だからこそ許される行為だ。もしそうでなければ、切腹では済まされない。
対峙となった。四歩の距離だ。陽は翳りを見せ、もう夕闇が辺りを支配している。特に、このような竹林に囲まれた辺鄙な場所では、より一層薄暗い。
清記は潮合いを待ちながら、帯刀の隙を探っていた。それは斬る為の隙ではなく、斬らずに済ます為の隙である。
清記は帯刀が苦手だった。好きではないと言ってもいい。馴れ馴れしい態度と、心の奥を見せない言動が、どうにも不快なのだ。善人なのか、悪人なのか、それすら判別は出来なかった。
静寂も束の間、一陣の風が吹いて、竹林の騒がしい音が鳴った。それに合わせて、帯刀が地摺りで前に踏み出す。三歩半の距離。あと何歩で、帯刀は斬撃を放ってくるのか?
待つしかない。そう清記は決めていた。自分から動けば、斬ってしまいそうだ。時として、意思よりも先に扶桑正宗が動いてしまう事がある。特に、帯刀のような男なら、尚更だった。
ふと、血臭が香った。それが次第に強くなる。帯刀の圧が急に萎むと、鼻を鳴らして構えを解いた。
「糞ったれめ」
唾棄するように言い放つと、持っていた刀を腰に納めた。
「如何いたしたのですか?」
清記も構えを解くと、帯刀に訊いた。
「どうもこうも無い。俺の負けよ」
「負けとは?」
と、清記の問いに応えるよりも先に、帯刀は視線を百姓家の方へ向けた。
家の裏から、主税介が現れた。左手には、新田の首を持っている。
「主税介、その首は?」
「新田とやらが、裏口から逃がしたようで。そこを私が張っていたのですよ」
「なるほど、よくやった」
清記は扶桑正宗を腰に戻すと、帯刀に目を向けた。
「それでは役目を果たしたので、私どもはこれにて……」
「ああ、お役目ご苦労なこった」
清記が合図をすると、主税介は生首をぶら下げたまま、清記の後を追った。
「ちょっと待て」
帯刀に呼び止められ、清記は踵を返した。
「何でしょうか?」
「お前じゃねぇよ。穴水、お前だ」
帯刀の言葉に、主税介が表情も変えずに振り返った。
「穴水、俺と来る気はねぇか?」
「ほう……」
主税介の顔に冷笑が浮かぶ。清記は帯刀が何を言っているのか、清記は瞬時に理解し、そして愕然とした。その一言は、主税介に最も言ってはならないものだったのだ。
「もしお前が、兄貴を差し置いて御手先役になりてぇんなら、俺と一緒に来い」
「これは面白い。私は、その言葉を待っていましたよ」
そう主税介が言うと、清記は思わずその肩を掴んでいた。
「兄上にはわかりませんよ」
清記の手を払い、帯刀の方へ一歩踏み出した。
「主税介、戯言に耳を貸すな」
「兄上にしてみれば戯言でしょうが、私にとっては金言でしてね」
「何?」
主税介が、新田の首を放り投げた。首は転がって清記の足元で止まり、半開きの眼が無念そうにこちらを見つめた。
「兄上の義理は、この首で果たした事になりませんかね」
「お前、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
主税介が鼻を鳴らして、肩を竦めた。
「帯刀様に組するという事は、大和様に加担するという事だ。しかし、この政争では勝ち目はない。奥寺派は泥船だぞ」
「奥寺様を勝たせるのが私の役目。梅岳の走狗である兄上とは違うんです」
梅岳の走狗。その一言に、清記の何かが切れた。
扶桑正宗の光が、逢魔が時の闇を切り裂いた。意思よりも先に、腰の一刀が鞘走っていた。
主税介の身体を、二つに断った。確かにそう見えた。しかし、手ごたえは無かった。すると主税介の姿が霧散し、その奥に立ってた。
念真流の秘奥の一つ、朧。相手を斬ったと錯覚させるほどの見切りである。主税介は、それを会得していたという事か。
「先に抜いたのは兄上という事をお忘れなく」
軽く目を伏せ、踵を返した。そして、帯刀のもとへ歩き出す。
「清記、お前にゃ兄を超えようとする弟の気持ちなんぞわからねぇさ」
そう言った帯刀を無視して、清記は主税介の名を叫んだ。しかし、弟からの返事は無かった。
〔第四章 了〕
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
仇討ちの娘
サクラ近衛将監
歴史・時代
父の仇を追う姉弟と従者、しかしながらその行く手には暗雲が広がる。藩の闇が仇討ちを様々に妨害するが、仇討の成否や如何に?娘をヒロインとして思わぬ人物が手助けをしてくれることになる。
毎週木曜日22時の投稿を目指します。
女奉行 伊吹千寿
大澤伝兵衛
歴史・時代
八代将軍徳川吉宗の治世において、女奉行所が設置される事になった。
享保の改革の一環として吉宗が大奥の人員を削減しようとした際、それに協力する代わりとして大奥を去る美女を中心として結成されたのだ。
どうせ何も出来ないだろうとたかをくくられていたのだが、逆に大した議論がされずに奉行が設置されることになった結果、女性の保護の任務に関しては他の奉行を圧倒する凄まじい権限が与えられる事になった。
そして奉行を務める美女、伊吹千寿の下には、〝熊殺しの女傑〟江沢せん、〝今板額〟城之内美湖、〝うらなり軍学者〟赤尾陣内等の一癖も二癖もある配下が集う。
権限こそあれど予算も人も乏しい彼女らであったが、江戸の町で女たちの生活を守るため、南北町奉行と時には反目、時には協力しながら事件に挑んでいくのであった。
信忠 ~“奇妙”と呼ばれた男~
佐倉伸哉
歴史・時代
その男は、幼名を“奇妙丸”という。人の名前につけるような単語ではないが、名付けた父親が父親だけに仕方がないと思われた。
父親の名前は、織田信長。その男の名は――織田信忠。
稀代の英邁を父に持ち、その父から『天下の儀も御与奪なさるべき旨』と認められた。しかし、彼は父と同じ日に命を落としてしまう。
明智勢が本能寺に殺到し、信忠は京から脱出する事も可能だった。それなのに、どうして彼はそれを選ばなかったのか? その決断の裏には、彼の辿って来た道が関係していた――。
◇この作品は『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n9394ie/)』『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093085367901420)』でも同時掲載しています◇
信乃介捕物帳✨💕 平家伝説殺人捕物帳✨✨鳴かぬなら 裁いてくれよう ホトトギス❗ 織田信長の末裔❗ 信乃介が天に代わって悪を討つ✨✨
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
歴史・時代
信長の末裔、信乃介が江戸に蔓延る悪を成敗していく。
信乃介は平家ゆかりの清雅とお蝶を助けたことから平家の隠し財宝を巡る争いに巻き込まれた。
母親の遺品の羽子板と千羽鶴から隠し財宝の在り処を掴んだ清雅は信乃介と平賀源内等とともに平家の郷へ乗り込んだ。
【受賞作】小売り酒屋鬼八 人情お品書き帖
筑前助広
歴史・時代
幸せとちょっぴりの切なさを感じるお品書き帖です――
野州夜須藩の城下・蔵前町に、昼は小売り酒屋、夜は居酒屋を営む鬼八という店がある。父娘二人で切り盛りするその店に、六蔵という料理人が現れ――。
アルファポリス歴史時代小説大賞特別賞「狼の裔」、同最終候補「天暗の星」ともリンクする、「夜須藩もの」人情ストーリー。
日日晴朗 ―異性装娘お助け日記―
優木悠
歴史・時代
―男装の助け人、江戸を駈ける!―
栗栖小源太が女であることを隠し、兄の消息を追って江戸に出てきたのは慶安二年の暮れのこと。
それから三カ月、助っ人稼業で糊口をしのぎながら兄をさがす小源太であったが、やがて由井正雪一党の陰謀に巻き込まれてゆく。
蘭癖高家
八島唯
歴史・時代
一八世紀末、日本では浅間山が大噴火をおこし天明の大飢饉が発生する。当時の権力者田沼意次は一〇代将軍家治の急死とともに失脚し、その後松平定信が老中首座に就任する。
遠く離れたフランスでは革命の意気が揚がる。ロシアは積極的に蝦夷地への進出を進めており、遠くない未来ヨーロッパの船が日本にやってくることが予想された。
時ここに至り、老中松平定信は消極的であるとはいえ、外国への備えを画策する。
大権現家康公の秘中の秘、後に『蘭癖高家』と呼ばれる旗本を登用することを――
※挿絵はAI作成です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる