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第三章 雨の波瀬川
第四回 空振り①
しおりを挟む 関越道を降り、練馬インターから環八へ。
すでに車の量は多いけど、順調に流れている。
会社に到着。帰庫後の点呼を終えたところで、ルカが出勤してきた。
「ルカ。おはよう。今日はどこまで?」
「おはよう。レイ。夜勤明けね、お疲れ様。私、今日は事務の仕事だけ。」
「がんばってねー、ボクはこれから寝だめだよ。」
「あら、寝だめってあんまり効果ないって話よ。」
「いいのいいの。気分の問題。がんばってねー。」
そんな他愛のない話をして、車の点検と洗車に向かう。
配送から帰って、朝日に光る水しぶきを見ていると、最高に充実した気分になれる。夜の仕事終わりだと、そこまで気分は上がらないけど。
五日間続いた夜勤シフトが終わった。やれやれ。
土曜の朝六時に車を降り、次の乗車は月曜の朝七時。
これから、まるまる四十八時間の休憩+休息。
夜勤は道が空いているし、手当がつくし、好きだというドライバーさんも結構いるけど、ボクはお日さまが上ったら働き、日が沈んだら家に帰って寝る、という自然なサイクルで働きたいな。
夜勤から、昼勤に戻す時の「時差調整」も苦手だし。
スーパーカブに乗り換え、部屋に戻る。カブは人から譲ってもらった年季モノだけど、乗っていて楽しい。前の持ち主だ丁寧に扱っていたのか、今のところ故障なし。
アパートに着き、カブのセンタースタンドを上げて駐輪場に停める。
部屋はメゾネットタイプというやつで(お洒落でしょ?)、家賃の割に広めの部屋で、荷物や家具がそんなにないのでスペースを持て余して気味だけど。
シャワーを浴び、髪を乾かし、パジャマを着る。
通勤リュックから、今日のお楽しみを取り出す。
関越の三芳PAに寄って買った、酒種あんぱん。普通のと「あんバター」を選んだ。これを、オーブントースターで少しだけ焼き、その間、電子レンジで牛乳を温める。
あんぱんとホットミルクの組み合わせ、最高。小さい頃からの大好物。
さて、これから。
四十八時間をどうやってすごそう。
さっきのルカとの会話を思い出す。
「昼勤に体を戻すの、大変なんだよね。」とボクは愚痴る。
「あんまりきちっと戻そうとしなくてもいいんじゃない? かえって気疲れすると思うの。」
「まーそうだね。時間決めてアラームしかけても、結局うまくいかないこと多いし。」
「二日間休めるなら、いっそ、アラームなしで過ごしてみたら。あ、もちろん、出勤前日の夜は『アラーム必』だけど。」
ルカの提案に乗ることにしよう。
アラームなしで、目が覚めたら起きる。眠くなったら寝る。
歯磨きをすると、さっき開けたばかりのカーテンを閉め、ベッドに潜り込む。すぐに睡魔に襲われた。
幼稚園の頃の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めたのは、兄ちゃんと一緒に可愛がっていた、ポメラニアンのタロウが息を引き取った後だった。
小学校の時の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めると、家の中にはお母さんしかいなかった。
お父さんと兄ちゃんは、ボクが寝ている間に出ていった。
そこで、本当に目が覚める。
涙を流しているのがわかる。
壁掛けの時計を見る。暗い部屋で、かろうじて文字盤が読める。
七時?
えーっとさっき寝たの、九時半ごろだよね?
時間が戻った?
寝ぼけている。事実を認めるなら、今は、夕方七時だ。
連続十時間くらい寝た。夜寝坊。
昼間の時間がまるまる消えてしまって、もったいなかったかな。
ベッドの上に座り、ぼーっとしながら、さっきの夢を思い出す。
子供の頃、ボクは昼寝が嫌いだった。
昼寝をしている間に、大事なものが消えてしまう。
だから、「日が昇ったら起き、日が沈んだら寝る」生活を心がけ、大人になってもそうできる仕事がしたいと思っていたんだ。
今でも嫌な夢は、だいた昼間に見る。
サービスエリアで仮眠中に。夜勤シフトの時の家のベッドの中で。
寝過ごして、あわてて車を走らせる夢。
(夢の中で)目が覚めた瞬間、今自分は運転中だと気づく夢。
そんな時は、目が覚めると汗びっしょりで、胸が苦しい。
チュンチュン。
雀の鳴き声?
子供たちのはしゃぎ声も聞こえる。
もう一度、窓を見る。遮光カーテンの縁がうっすらと明るい。
え!まさか?
スマホの時計を見直す。
『19時』ではなく『7時』だった・・・
丸一日寝ていた!?
夜寝坊どころではなく、一周まわって朝の早起きだ。
ぐう。
どうりでお腹がすいてるわけだ。
ベッドから降りて、トイレ→冷蔵庫に向かおうとした瞬間、そのまま手に持っていたスマホが震える。
「もしもし、レイ?」
「ああ、母さん。朝から何?」
「朝からって、あんた、ここんところ夜に電話しても、つかまらなかったじゃない。」
「夜勤してたからね。」
「大丈夫?ちゃんと寝てる?」
「さっきまで、二十四時間寝てた。」
「・・・それこそ大丈夫?」
「ははは、大丈夫だよ。それより、何の用?」
「あ、そうそう、あんたのお兄さんからお手紙きたの。」
自分の息子なのに、ボクのお兄さん、って言うのか。
「なんて書いてあった?」
「ああ、一緒にチラシが入っていてね、お店始めたから、よかったら来てくださいって。」
「何のお店?」
「パン屋さん。ウチからは遠いけど、あんたの所から近いみたいよ。」
「へー、そしたら、チラシを写メしてLINEで送ってくれる?」
「また、難しいこと言うわね。」
ボクは電話口で、LINEのトークで写真を添付する方法を教えた。説明に十分かかった。トイレ行きたい。
三十分後、母さんからメッセが飛んできた。ちゃんと写真が添付されている。
淡い黄色地のチラシに「あなたの町のパン屋さん、堂々オープン」という冴えないキャッチコピーとともに、店構えの写真、パンのサンプルの写真(これは美味しそうに映っている)と地図、サービスクーポンのQRコードが印刷されていた。
電車で三駅ほど。
兄ちゃん、こんな近くにいたのか。
今日の予定は決まった。ボクは身仕度を済ませると、ワークマンで買った防寒・防水ジャケット(なかなか派手でお洒落だよ)を着て、カブに跨がった。
冷たい風にあたりながら、さっき(?)見た兄の夢を思い出す。父さんと出て行ってから、ボクが中学生の時、一度だけ(元)家族で会った。外で食事をしたけど、人懐っこかった兄ちゃんは、ちょっとよそよそしかった。
野球が得意で、ボクにキャッチボールを教えてくれて、やさしく面倒を見てくれた兄ちゃん。ボクは兄ちゃんみたいになりたいと思っていた。兄ちゃんと離ればなれになってから、余計にそう思った。
あ、別に男の子になりたいってわけじゃないけど。
店の近くまで来て、スマホの地図で確認する。この先の商店街の中だ。
ボクはカブを手で押して店を探す。
「ベーカリー ヒロ」と描いてある看板を見つけた。チラシと同じ、黄色地の看板。ヒロは兄の名前だ。
店先の駐輪スペースにカブを停め、ウィンドウごしに中を覗く。
そんなに広くない店内。ウィンドウに沿った棚には、カゴに入って色々な種類のパンが並んでいる。店の奥の棚にはクッキーなどが並んでいるようだ。
カウンターには、お客さんが選んだパンを受け取り、包装する若い男の人。兄だ。久しぶりだけど、すぐわかった。だって、顔あまり変わっていない。童顔だ。まあ、ボクも童顔だってよく言われるけど。
隣では、レジを打つ若い女の人。アルバイトの人? それとも?
店にそっと入る。パンが入ったカゴを見て回る。クロワッサン、カレーパン、ミニバケット、メロンパン・・・どれもこれも美味しそうだけど、『店長おすすめ』のPOPがついているカゴに目が止まった。
丸っこくて、きつね色のツヤツヤした頭に、ゴマとケシが乗っかっている。ボクはトレイに、あんパンとミニバケットを一つずつ乗せ、レジに向かう。
「いらっしゃい・・・お! レイか?」
「うん、久しぶり。」
「来てくれてありがとな・・・今包むからな。」
「あ、あの、あそこで食べてっていい?」
ボクは店の一角の、ワンテーブルだけのイートインコーナーの方を向く。
「ああ、いいよ、消費税高くなっちゃうけど。」
「そんなのいいよ。」
ボクは支払いを済ませている間、兄ちゃんがあんパンを皿に乗せ、ミニバケットを紙袋に入れてくれた。
イートインの椅子に座る。あんパンを手に取って食べようとしたところ、レジの女の人が来た。
「こちら、店長からのサービスです。あんパンの消費税分だそうよ。」
その人がテーブルに置いてくれたのは、ホットミルクが入ったマグカップ。
お客さんの相手をしながらも、兄ちゃんはこっちを見て目配せしてくれた。
ボクの大好物、覚えててくれたんだ。
お店を出ると、カブで町中を乗り回し、昼はファミレスでランチセットを食べ、部屋に帰った。
結局、あの女の人は誰なのか、聞けずじまいだった。
午後はラノベ三昧、スマホでアニメ三昧で過ごした。
夕ご飯は、ツナ缶にマヨネーズをまぜ、ミニバケットを真っ二つに切り、それを挟んで食べた。
夜は久々に小説を書いた。時々ネットに投稿するけど、今日書いているのは、誰かに読んでもらうアテはない。トラックの仕事を通じて知り合った、ルカ、ラナ、リョウ、ロマンのエピソード。みんなネタの宝庫だ。
そしてボクと兄ちゃんのこと。
根拠はないけれど、これから昼に寝ても、嫌な夢は見ないような気がする。
すでに車の量は多いけど、順調に流れている。
会社に到着。帰庫後の点呼を終えたところで、ルカが出勤してきた。
「ルカ。おはよう。今日はどこまで?」
「おはよう。レイ。夜勤明けね、お疲れ様。私、今日は事務の仕事だけ。」
「がんばってねー、ボクはこれから寝だめだよ。」
「あら、寝だめってあんまり効果ないって話よ。」
「いいのいいの。気分の問題。がんばってねー。」
そんな他愛のない話をして、車の点検と洗車に向かう。
配送から帰って、朝日に光る水しぶきを見ていると、最高に充実した気分になれる。夜の仕事終わりだと、そこまで気分は上がらないけど。
五日間続いた夜勤シフトが終わった。やれやれ。
土曜の朝六時に車を降り、次の乗車は月曜の朝七時。
これから、まるまる四十八時間の休憩+休息。
夜勤は道が空いているし、手当がつくし、好きだというドライバーさんも結構いるけど、ボクはお日さまが上ったら働き、日が沈んだら家に帰って寝る、という自然なサイクルで働きたいな。
夜勤から、昼勤に戻す時の「時差調整」も苦手だし。
スーパーカブに乗り換え、部屋に戻る。カブは人から譲ってもらった年季モノだけど、乗っていて楽しい。前の持ち主だ丁寧に扱っていたのか、今のところ故障なし。
アパートに着き、カブのセンタースタンドを上げて駐輪場に停める。
部屋はメゾネットタイプというやつで(お洒落でしょ?)、家賃の割に広めの部屋で、荷物や家具がそんなにないのでスペースを持て余して気味だけど。
シャワーを浴び、髪を乾かし、パジャマを着る。
通勤リュックから、今日のお楽しみを取り出す。
関越の三芳PAに寄って買った、酒種あんぱん。普通のと「あんバター」を選んだ。これを、オーブントースターで少しだけ焼き、その間、電子レンジで牛乳を温める。
あんぱんとホットミルクの組み合わせ、最高。小さい頃からの大好物。
さて、これから。
四十八時間をどうやってすごそう。
さっきのルカとの会話を思い出す。
「昼勤に体を戻すの、大変なんだよね。」とボクは愚痴る。
「あんまりきちっと戻そうとしなくてもいいんじゃない? かえって気疲れすると思うの。」
「まーそうだね。時間決めてアラームしかけても、結局うまくいかないこと多いし。」
「二日間休めるなら、いっそ、アラームなしで過ごしてみたら。あ、もちろん、出勤前日の夜は『アラーム必』だけど。」
ルカの提案に乗ることにしよう。
アラームなしで、目が覚めたら起きる。眠くなったら寝る。
歯磨きをすると、さっき開けたばかりのカーテンを閉め、ベッドに潜り込む。すぐに睡魔に襲われた。
幼稚園の頃の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めたのは、兄ちゃんと一緒に可愛がっていた、ポメラニアンのタロウが息を引き取った後だった。
小学校の時の夢を見た。
(夢の中で)昼寝から覚めると、家の中にはお母さんしかいなかった。
お父さんと兄ちゃんは、ボクが寝ている間に出ていった。
そこで、本当に目が覚める。
涙を流しているのがわかる。
壁掛けの時計を見る。暗い部屋で、かろうじて文字盤が読める。
七時?
えーっとさっき寝たの、九時半ごろだよね?
時間が戻った?
寝ぼけている。事実を認めるなら、今は、夕方七時だ。
連続十時間くらい寝た。夜寝坊。
昼間の時間がまるまる消えてしまって、もったいなかったかな。
ベッドの上に座り、ぼーっとしながら、さっきの夢を思い出す。
子供の頃、ボクは昼寝が嫌いだった。
昼寝をしている間に、大事なものが消えてしまう。
だから、「日が昇ったら起き、日が沈んだら寝る」生活を心がけ、大人になってもそうできる仕事がしたいと思っていたんだ。
今でも嫌な夢は、だいた昼間に見る。
サービスエリアで仮眠中に。夜勤シフトの時の家のベッドの中で。
寝過ごして、あわてて車を走らせる夢。
(夢の中で)目が覚めた瞬間、今自分は運転中だと気づく夢。
そんな時は、目が覚めると汗びっしょりで、胸が苦しい。
チュンチュン。
雀の鳴き声?
子供たちのはしゃぎ声も聞こえる。
もう一度、窓を見る。遮光カーテンの縁がうっすらと明るい。
え!まさか?
スマホの時計を見直す。
『19時』ではなく『7時』だった・・・
丸一日寝ていた!?
夜寝坊どころではなく、一周まわって朝の早起きだ。
ぐう。
どうりでお腹がすいてるわけだ。
ベッドから降りて、トイレ→冷蔵庫に向かおうとした瞬間、そのまま手に持っていたスマホが震える。
「もしもし、レイ?」
「ああ、母さん。朝から何?」
「朝からって、あんた、ここんところ夜に電話しても、つかまらなかったじゃない。」
「夜勤してたからね。」
「大丈夫?ちゃんと寝てる?」
「さっきまで、二十四時間寝てた。」
「・・・それこそ大丈夫?」
「ははは、大丈夫だよ。それより、何の用?」
「あ、そうそう、あんたのお兄さんからお手紙きたの。」
自分の息子なのに、ボクのお兄さん、って言うのか。
「なんて書いてあった?」
「ああ、一緒にチラシが入っていてね、お店始めたから、よかったら来てくださいって。」
「何のお店?」
「パン屋さん。ウチからは遠いけど、あんたの所から近いみたいよ。」
「へー、そしたら、チラシを写メしてLINEで送ってくれる?」
「また、難しいこと言うわね。」
ボクは電話口で、LINEのトークで写真を添付する方法を教えた。説明に十分かかった。トイレ行きたい。
三十分後、母さんからメッセが飛んできた。ちゃんと写真が添付されている。
淡い黄色地のチラシに「あなたの町のパン屋さん、堂々オープン」という冴えないキャッチコピーとともに、店構えの写真、パンのサンプルの写真(これは美味しそうに映っている)と地図、サービスクーポンのQRコードが印刷されていた。
電車で三駅ほど。
兄ちゃん、こんな近くにいたのか。
今日の予定は決まった。ボクは身仕度を済ませると、ワークマンで買った防寒・防水ジャケット(なかなか派手でお洒落だよ)を着て、カブに跨がった。
冷たい風にあたりながら、さっき(?)見た兄の夢を思い出す。父さんと出て行ってから、ボクが中学生の時、一度だけ(元)家族で会った。外で食事をしたけど、人懐っこかった兄ちゃんは、ちょっとよそよそしかった。
野球が得意で、ボクにキャッチボールを教えてくれて、やさしく面倒を見てくれた兄ちゃん。ボクは兄ちゃんみたいになりたいと思っていた。兄ちゃんと離ればなれになってから、余計にそう思った。
あ、別に男の子になりたいってわけじゃないけど。
店の近くまで来て、スマホの地図で確認する。この先の商店街の中だ。
ボクはカブを手で押して店を探す。
「ベーカリー ヒロ」と描いてある看板を見つけた。チラシと同じ、黄色地の看板。ヒロは兄の名前だ。
店先の駐輪スペースにカブを停め、ウィンドウごしに中を覗く。
そんなに広くない店内。ウィンドウに沿った棚には、カゴに入って色々な種類のパンが並んでいる。店の奥の棚にはクッキーなどが並んでいるようだ。
カウンターには、お客さんが選んだパンを受け取り、包装する若い男の人。兄だ。久しぶりだけど、すぐわかった。だって、顔あまり変わっていない。童顔だ。まあ、ボクも童顔だってよく言われるけど。
隣では、レジを打つ若い女の人。アルバイトの人? それとも?
店にそっと入る。パンが入ったカゴを見て回る。クロワッサン、カレーパン、ミニバケット、メロンパン・・・どれもこれも美味しそうだけど、『店長おすすめ』のPOPがついているカゴに目が止まった。
丸っこくて、きつね色のツヤツヤした頭に、ゴマとケシが乗っかっている。ボクはトレイに、あんパンとミニバケットを一つずつ乗せ、レジに向かう。
「いらっしゃい・・・お! レイか?」
「うん、久しぶり。」
「来てくれてありがとな・・・今包むからな。」
「あ、あの、あそこで食べてっていい?」
ボクは店の一角の、ワンテーブルだけのイートインコーナーの方を向く。
「ああ、いいよ、消費税高くなっちゃうけど。」
「そんなのいいよ。」
ボクは支払いを済ませている間、兄ちゃんがあんパンを皿に乗せ、ミニバケットを紙袋に入れてくれた。
イートインの椅子に座る。あんパンを手に取って食べようとしたところ、レジの女の人が来た。
「こちら、店長からのサービスです。あんパンの消費税分だそうよ。」
その人がテーブルに置いてくれたのは、ホットミルクが入ったマグカップ。
お客さんの相手をしながらも、兄ちゃんはこっちを見て目配せしてくれた。
ボクの大好物、覚えててくれたんだ。
お店を出ると、カブで町中を乗り回し、昼はファミレスでランチセットを食べ、部屋に帰った。
結局、あの女の人は誰なのか、聞けずじまいだった。
午後はラノベ三昧、スマホでアニメ三昧で過ごした。
夕ご飯は、ツナ缶にマヨネーズをまぜ、ミニバケットを真っ二つに切り、それを挟んで食べた。
夜は久々に小説を書いた。時々ネットに投稿するけど、今日書いているのは、誰かに読んでもらうアテはない。トラックの仕事を通じて知り合った、ルカ、ラナ、リョウ、ロマンのエピソード。みんなネタの宝庫だ。
そしてボクと兄ちゃんのこと。
根拠はないけれど、これから昼に寝ても、嫌な夢は見ないような気がする。
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『家族愛と人の心』『個性と社会性』をテーマにした三国志の大河小説です。
三国志を知らない方も楽しんでいただけるよう意識して書きました。
全体の文量はかなり多いのですが、半分以上は様々な人物を中心にした短編・中編の集まりです。
本編がちょっと長いので、お試しで読まれる方は後ろの方の短編・中編から読んでいただいても良いと思います。
おすすめは『小覇王の暗殺者(ep.216)』『呂布の娘の嫁入り噺(ep.239)』『段煨(ep.285)』あたりです。
本編では蜀において諸葛亮孔明に次ぐ官職を務めた許靖という人物を取り上げています。
戦乱に翻弄され、中国各地を放浪する波乱万丈の人生を送りました。
歴史ものとはいえ軽めに書いていますので、歴史が苦手、三国志を知らないという方でもぜひお気軽にお読みください。
※人名が分かりづらくなるのを避けるため、アザナは一切使わないことにしました。ご了承ください。
※切りのいい時には完結設定になっていますが、三国志小説の執筆は私のライフワークです。生きている限り話を追加し続けていくつもりですので、ブックマークしておいていただけると幸いです。
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