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46話 水浴び(セレナ視点あり)

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 訓練が終わって、久しぶりに全身汗だく状態になった。

 コーンラビットではあったが、狩りでもここまで酷くはならないのに、それくらいブレインさんとの訓練が激しかったことを指す。

「ん~風呂とか入りたいな~」

「!?」

「ん? どうした? セレナ」

 一歩近づくと一歩下がるセレナ。

 ま、まさか……! ぼ、僕の加齢臭!? いやいやいやいや! この体はまだ若い。そんなことは…………加齢臭ではないが、やはり汗臭い。

「の、ノアっ! それ以上近づかないでっ!」

「!?」

 せ、セレナが僕を……拒否…………。

「こらこら。あまり女の子をイジメるなよ? 女の子は自分の汗に匂いに敏感だから」

「えっ? 自分の?」

「エリナとひとっ走りしてきたんだろう。だから彼女にあまり意地悪したらダメだぞ?」

 あ、ああ……そういうことか。僕は全然気にしないんだが、やっぱり女の子は気にしちゃうかな?

「ノア? この先に泉があったんだ。そ、その……体を洗えそうだったよ」

「そっか。じゃあ、泉で汗を流して来ようか」

「私も行きたいです~!」

 ミレイちゃんも手を上げて、だだだっとセレナの手を握った。

「私は支度しておくのでいってらっしゃい~」

 ライラさんはポンちゃんを抱いて、一緒に手を振ってくれた。

 セレナから案内を受けた泉は、夜の明かりを受けてキラキラと光り輝いていた。

「中には魔物もいないし、安全みたい」

「じゃあ、みんなが終わるまで、僕とブレインさんで見守っているね」

「「は~い」」

 セレナとミレイちゃん、エリナさん、シズルさんが泉の前で服を脱ぐ音がここまで聞こえて来る。

 すぐに泉の中に入る音と共に「気持ちいい~」と声が聞こえて来た。

「…………」

「…………」

「なあ。ノアくん」

「ダメですよ」

「…………」

「…………」

 おっさんの考えることくらい、同じおっさんとして分かる。

「なあ。ノアくん」

「ダメですって。怒られますよ?」

「ちょっとだけよ、ちょっとだけ! ほら、セレナちゃんの裸が見たくないかい?」

「っ!?」

 そ、想像してしまった…………十歳の時でも美少女だったのに、十二歳になって、より大人びた成長を遂げたセレナは、世界で一番可愛い。

「それなら尚更ダメです」

「どうしてだよ!」

「セレナの裸を他の男に見せたくないので」

「……なるほど。そう言われればそうだな。ああ~今日も・・・無理か~」

 小さくクスッと笑みがこぼれた。

 ブレインさんだって、普段盗み見なんてしてないじゃないですか。



 ◇セレナ視点◇



「エリ姉? どうしたの?」

 周りをキョロキョロ見始めるエリ姉に釣られて、私も周りをキョロキョロと見回す。

「あのおっさん。私達の裸を盗み見する時があるからね」

「あはは……ブレインさんってそういうのが好きなんだね」

「基本的にはおっさんだからね」

「エリちゃん? そんなこと言うと誤解しちゃうよ? あの時は、魔物から吹き飛ばされたから仕方なかったって言ってたよね?」

「そ、それはそうなんだけど……」

 何となくエリ姉たちに何があったのか理解できた。

「ノアくんもいるんだし、覗きなんてしないわよ」

「そうかな~? ノアくんも十二歳だよね? 見たい年頃だと思うんだけど~」

「!?」

 ノアって……女性の裸に興味あるのかな!?

「ふふっ。いっそのこと裸を見せてしまって、ノアくんをうちのメンバーに……!」

「それは良いアイデア……でも…………」

「でも?」

 二人は私を見つめる。

「多分……勝てないわよ?」

「そ、そっか……セレナちゃん可愛いもんね」

「そ、そんなことは……」

「セレナお姉ちゃん凄く可愛い~」

 泳いでいたミレイちゃんがやってきて、私に抱き着く。

「それにしても、ミレイちゃんって凄い才能だね。泉で遊んでいても、水魔法で服の洗濯までしちゃうなんて」

 私達の視線が上を向くと、いつも皿を洗うのと同じ要領で大きな水玉に私達の服が入れられて、ぐるぐると回っていた。

 ミレイちゃん曰く、洗濯タライと同じ要領で回しているらしい。

「洗濯タライも必要ないミレイちゃん……凄いっ! 私も【自然魔法】頑張らないと……!」

「期待してるよ~」

 シズ姉が何か覚悟を決めたようだ。

 私達の水浴びが終わって、洗濯が終わった服を今度は暖かい風の魔法ですぐに乾かしてくれて、すぐに着れた。

 ミレイちゃん一人でここまでできるんだから、本当に凄い子なのかも知れない。

「ノア~私達は終わったよ~」

 すると奥から恥ずかしそうに笑うノアとブレインさんが出て来た。

「交代ね~」

「ああ」

 今度はノア達が水浴びで泉に入った。

「…………」

 の、ノアの裸…………。

 想像しただけで顔が火照るのを感じた。
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