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42話 デコボコパーティー
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「香ばしい匂い~!」
「深みのある味~!」
「最高の焼き加減~!」
「「「美味しい過ぎる~!」」」
何かのコントかってくらい三人の声が揃う。
丁度食事が終わった三人は、出されたお茶を飲みながら、食べ終わった焼肉を褒めちぎっていた。
そんな中、セレナが興味津々のようで、質問を送る。
「みなさんは冒険者なんですか?」
「はい。冒険者やってますよ~」
若い女性のうち一人、茶色のショートヘアで、元気っ子な女性が笑顔で答える。
彼女は首元にかけていたプレートを見せてくれた。
「これでもCランク冒険者なんです!」
「わあ! Cランク冒険者といえば、冒険者の中でもかなり上じゃないですか!」
冒険者は基本的にこなした依頼の難易度でランクが上がっていくシステムだ。
最初はEランクから始まって、Dランク、Cランク、Bランクと上がっていき、Aランクが最高ランクとなる。
駆け出し冒険者はEランクだが、実はEランク冒険者が一番多い。
Dランクに上がるのも難しく、中でもDランクとCランクでは絶大な壁があると言われている。
巷では衛兵と騎士の間の壁くらい違うと言っていた。
つまり、彼らは一国の騎士にもなれる実力の持ち主であるのが分かる。
「えへへ~うちはメンバー相性がいいからね。一人一人の能力ならそんなに高くないのよ~」
なるほど。冒険者って一人一人というより、依頼達成による成績になるから、パーティーメンバーの相性が良ければ、ランクも上がりやすいのかも知れない。
「こちらのおっちゃんがブレイン。一応リーダーですよ」
「一応リーダーをやってるブレインだ……トホホ……」
見るからに気が弱そうで、腰にはロングソードが掛けられている。剣士系の才能かな?
身長は百七十と、異世界でも平均的な男性で体は衣服の上からも分かるくらい細マッチョ系で、見た目は四十くらいのおじさんだ。
「私はエリナ! こちらはシスルです!」
「ど、どうも!」
エリナさんが一番活発で、シスルさんは魔法使いっぽい格好だけど、悪い印象はない。
「剣士と魔法使いとレンジャーのパーティーなんです。冒険者としては一番相性の良い構成かな?」
ふむふむ。前衛、中衛、後衛の方式か。なるほど……。
うちは前衛がセレナ。中衛がポンちゃんと僕、後衛がミレイちゃんとライラさん。
実は戦いになったら意外と相性が良いのか? まあ、セレナ一人で終わる気もするが……。
「それにしても、まさかこんな場所でこんなにも美味しい料理が食べられるとは思いもしませんでした!」
「えっへん! うちのノアは凄いんですから!」
「わあ、うちのリーダーと交換しません?」
「俺を交換するなあああ!」
「冗談よ?」
「いや、マジの目だった!」
「えっ? バレちゃった? てへっ」
「てへっ、じゃねぇええええ!」
デコボココンビにクスッと笑いがこぼれた。
「こんなに美味しい食事をご馳走になったんだ。今日の夜番は俺達に任せてくれ」
「えっ!? いいんですか?」
「もちろんだ。最初は定食一つに大銅貨一枚は高いと思っていたが、食べてみると寧ろ安いとすら感じる。そのお礼だよ」
元々セレナとポンちゃんを主軸に夜番を回す予定だったので丁度良かった。
「では明日の朝食をご馳走するので、よろしくお願いします」
「おお! それはありがたい。ぜひ頼む!」
セレナにも休める時に休んで貰いたいから、いいタイミングだ。
皿は全部ミレイちゃんが綺麗に洗ってくれて、僕達はブレインさんの厚意によって、みんなでテントの中でゆっくりと眠りについた。
何も言わなかったけど、ポンちゃんもセレナも警戒し続けてくれる。
初めての野営は、慌ただしく時間が過ぎた。
「深みのある味~!」
「最高の焼き加減~!」
「「「美味しい過ぎる~!」」」
何かのコントかってくらい三人の声が揃う。
丁度食事が終わった三人は、出されたお茶を飲みながら、食べ終わった焼肉を褒めちぎっていた。
そんな中、セレナが興味津々のようで、質問を送る。
「みなさんは冒険者なんですか?」
「はい。冒険者やってますよ~」
若い女性のうち一人、茶色のショートヘアで、元気っ子な女性が笑顔で答える。
彼女は首元にかけていたプレートを見せてくれた。
「これでもCランク冒険者なんです!」
「わあ! Cランク冒険者といえば、冒険者の中でもかなり上じゃないですか!」
冒険者は基本的にこなした依頼の難易度でランクが上がっていくシステムだ。
最初はEランクから始まって、Dランク、Cランク、Bランクと上がっていき、Aランクが最高ランクとなる。
駆け出し冒険者はEランクだが、実はEランク冒険者が一番多い。
Dランクに上がるのも難しく、中でもDランクとCランクでは絶大な壁があると言われている。
巷では衛兵と騎士の間の壁くらい違うと言っていた。
つまり、彼らは一国の騎士にもなれる実力の持ち主であるのが分かる。
「えへへ~うちはメンバー相性がいいからね。一人一人の能力ならそんなに高くないのよ~」
なるほど。冒険者って一人一人というより、依頼達成による成績になるから、パーティーメンバーの相性が良ければ、ランクも上がりやすいのかも知れない。
「こちらのおっちゃんがブレイン。一応リーダーですよ」
「一応リーダーをやってるブレインだ……トホホ……」
見るからに気が弱そうで、腰にはロングソードが掛けられている。剣士系の才能かな?
身長は百七十と、異世界でも平均的な男性で体は衣服の上からも分かるくらい細マッチョ系で、見た目は四十くらいのおじさんだ。
「私はエリナ! こちらはシスルです!」
「ど、どうも!」
エリナさんが一番活発で、シスルさんは魔法使いっぽい格好だけど、悪い印象はない。
「剣士と魔法使いとレンジャーのパーティーなんです。冒険者としては一番相性の良い構成かな?」
ふむふむ。前衛、中衛、後衛の方式か。なるほど……。
うちは前衛がセレナ。中衛がポンちゃんと僕、後衛がミレイちゃんとライラさん。
実は戦いになったら意外と相性が良いのか? まあ、セレナ一人で終わる気もするが……。
「それにしても、まさかこんな場所でこんなにも美味しい料理が食べられるとは思いもしませんでした!」
「えっへん! うちのノアは凄いんですから!」
「わあ、うちのリーダーと交換しません?」
「俺を交換するなあああ!」
「冗談よ?」
「いや、マジの目だった!」
「えっ? バレちゃった? てへっ」
「てへっ、じゃねぇええええ!」
デコボココンビにクスッと笑いがこぼれた。
「こんなに美味しい食事をご馳走になったんだ。今日の夜番は俺達に任せてくれ」
「えっ!? いいんですか?」
「もちろんだ。最初は定食一つに大銅貨一枚は高いと思っていたが、食べてみると寧ろ安いとすら感じる。そのお礼だよ」
元々セレナとポンちゃんを主軸に夜番を回す予定だったので丁度良かった。
「では明日の朝食をご馳走するので、よろしくお願いします」
「おお! それはありがたい。ぜひ頼む!」
セレナにも休める時に休んで貰いたいから、いいタイミングだ。
皿は全部ミレイちゃんが綺麗に洗ってくれて、僕達はブレインさんの厚意によって、みんなでテントの中でゆっくりと眠りについた。
何も言わなかったけど、ポンちゃんもセレナも警戒し続けてくれる。
初めての野営は、慌ただしく時間が過ぎた。
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