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24話 報酬の裏事情
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「初めまして。此度のギルド内のいさこさに巻き込んでしまい、大変申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げるのは、冒険者ギルドのマスターの中年男性。冒険者というよりは、いかにもサラリーマンみたいな格好だ。
「いえいえ。こちらもたまたまでしたので」
実は冒険者ギルドから報酬の件でと誘いがあったが断った。そしたら、まさかマスターご本人が宿屋まで来てくれたのだ。
ロビーで挨拶をして、食堂にあるテーブルに座らせてもらった。
僕とセレナが並んで座り、向かいにマスター。ライラさんとミレイちゃんは別席だ。
「こちらは今回の謝罪と感謝を込めた報奨金になります」
「えっ!? い、いいえ。そんないただけません」
「ど、どうかいただけませんでしょうか!? 冒険者ギルドから追いかけた冒険者によって、冒険者でもない一般人の方に被害が出た今回の事件は、我々冒険者ギルドにとって一番あってはならないことでして…………」
あ…………これって、手切れ金的なあれか。
ギルドマスターも「分かるでしょう?」的な視線を何度も送ってくれる。
「分かりました。ではこれ以上はこの件に関わらないということで」
「ありがとうございます!」
ギルドマスターの方から感謝されるって不思議だなと思いながらも、確かに自分のところの冒険者が民間人を襲ったのは只事じゃないのは確かだ。
「それと、ノア様のおかげで裏取引の実情まで掴むことができました。おかげで裏取引を行っていた冒険者達も摘発することができて、これからは正常に戻ることになります」
みんなで結託して肉をギルドに卸さなかったと聞いていたけど、やはりそうだったんだね。
「その礼金として、こちらをどうぞ」
前に出されたのは、通行証として渡されていた棒と同じ形をした金色の棒だった。
「こちらは冒険者ギルドが発行しているもので、通行料を全て冒険者ギルドが受け持ちます。どうぞ、ご自由に使ってください」
「えええ!? こんな大きなものは貰えません!」
「いえ。こちらは……正しいことを行った正義の者が、正しく評価されて報酬を得ることになります。ど、どうか貰って下さい! そうじゃないと他の者達に示しが付かないのです! どうかお願いします!」
またもや押し付けられる。
確かに、良い事をしてこんな良い報酬を貰ったとなれば、これから良い行いをしようとする者も現れるだろうし、そうじゃなくても正しく評価されたという噂は広まりやすい。そういう狙いもあるのだろう。
「分かりました。ではこの通行証も貰っておきます」
そう話すとギルドマスターから何度も頭を下げられた。
わざわざここまで訪れたってことは、それなりの理由があると思ったけど、まさか報酬を押し付けるためだったとはね。
ギルドマスターが帰ってから、席でぐだっとしていると、看板娘のセイナちゃんがメニュー表を持って笑顔でやってきた。
「美味しい飲み物はいかがですか~」
あはは……この子も商売上手というか、丁度欲しかったくらいだ。
「ありがとうございます。貰います。みんなも好きなの飲んでくれ。セレナのモノは特盛サイズでお願いします」
「かしこまりました~!」
みんなそれぞれ好きな果実水を頼んで、暫く宿屋の食堂でゆっくり時間を過ごした。
深々と頭を下げるのは、冒険者ギルドのマスターの中年男性。冒険者というよりは、いかにもサラリーマンみたいな格好だ。
「いえいえ。こちらもたまたまでしたので」
実は冒険者ギルドから報酬の件でと誘いがあったが断った。そしたら、まさかマスターご本人が宿屋まで来てくれたのだ。
ロビーで挨拶をして、食堂にあるテーブルに座らせてもらった。
僕とセレナが並んで座り、向かいにマスター。ライラさんとミレイちゃんは別席だ。
「こちらは今回の謝罪と感謝を込めた報奨金になります」
「えっ!? い、いいえ。そんないただけません」
「ど、どうかいただけませんでしょうか!? 冒険者ギルドから追いかけた冒険者によって、冒険者でもない一般人の方に被害が出た今回の事件は、我々冒険者ギルドにとって一番あってはならないことでして…………」
あ…………これって、手切れ金的なあれか。
ギルドマスターも「分かるでしょう?」的な視線を何度も送ってくれる。
「分かりました。ではこれ以上はこの件に関わらないということで」
「ありがとうございます!」
ギルドマスターの方から感謝されるって不思議だなと思いながらも、確かに自分のところの冒険者が民間人を襲ったのは只事じゃないのは確かだ。
「それと、ノア様のおかげで裏取引の実情まで掴むことができました。おかげで裏取引を行っていた冒険者達も摘発することができて、これからは正常に戻ることになります」
みんなで結託して肉をギルドに卸さなかったと聞いていたけど、やはりそうだったんだね。
「その礼金として、こちらをどうぞ」
前に出されたのは、通行証として渡されていた棒と同じ形をした金色の棒だった。
「こちらは冒険者ギルドが発行しているもので、通行料を全て冒険者ギルドが受け持ちます。どうぞ、ご自由に使ってください」
「えええ!? こんな大きなものは貰えません!」
「いえ。こちらは……正しいことを行った正義の者が、正しく評価されて報酬を得ることになります。ど、どうか貰って下さい! そうじゃないと他の者達に示しが付かないのです! どうかお願いします!」
またもや押し付けられる。
確かに、良い事をしてこんな良い報酬を貰ったとなれば、これから良い行いをしようとする者も現れるだろうし、そうじゃなくても正しく評価されたという噂は広まりやすい。そういう狙いもあるのだろう。
「分かりました。ではこの通行証も貰っておきます」
そう話すとギルドマスターから何度も頭を下げられた。
わざわざここまで訪れたってことは、それなりの理由があると思ったけど、まさか報酬を押し付けるためだったとはね。
ギルドマスターが帰ってから、席でぐだっとしていると、看板娘のセイナちゃんがメニュー表を持って笑顔でやってきた。
「美味しい飲み物はいかがですか~」
あはは……この子も商売上手というか、丁度欲しかったくらいだ。
「ありがとうございます。貰います。みんなも好きなの飲んでくれ。セレナのモノは特盛サイズでお願いします」
「かしこまりました~!」
みんなそれぞれ好きな果実水を頼んで、暫く宿屋の食堂でゆっくり時間を過ごした。
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