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12話 伝える
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次の日の朝。
「おはよう~!」
元気よく挨拶してくれるセレナ。
セレナって意外と早起きだな? もしかしてショートスリーパーなのか?
僕も「おはよう」と挨拶を交わして洗面台で顔を洗う。
「セレナ。朝食は宿屋の朝食を食べよう。少し物足りないかも知れないけど、足りない分は狩りに行ってからまた作ってあげるよ」
「分かった。ありがとう。ノア」
ん? 少し雰囲気が変わった?
なんかいつもとは違うような、そうでもないような返事に少しだけ戸惑いつつも、昨晩の彼女のことを考えれば、何か心境の変化もあっても無理はないと思う。
一階に降りると予想通り盛況でテーブル一つ以外は全部埋まっていた。
さすが人気宿屋。個室が全部埋まってるだけのことはあるな。
テーブルに座るとすぐに看板娘さんが飲み水を運んでくれた。
「この朝食セットを二つ。一つは特盛でお願いします」
「と、特盛ですか? うち、自慢じゃないですが、盛りには自信がありますよ?」
そう話すくらいだから余程自信があるのだろう。僕が「お願いします」と答えると「かしこまりました~! お待ちください~」と笑顔を向けてくれた。
彼女が厨房に向かうと、大きく「朝食二つ! 普通盛りと特盛!」と言う声が聞こえてきた。
いつもならソワソワしたり、新しいものに興味を示すセレナが少し落ち着いて、僕を見ていた。
「ん?」
目が合うと、何も言わずニコッと笑う。
うむ。やっぱりセレナは可愛いな。我が子は世界一可愛いって感じ。
すぐに厨房から看板娘さんが運んでくれたプレートには、美味しそうな朝食が非常に食べ応えありそうな盛りでやってきた。
目一杯朝食が乗ったプレートをセレナの前に置く。
続いて、さっきのプレートが可愛く見えるくらいのサイズのプレートに山盛りになった朝食を運んできた。
それを見た周りの冒険者達が唸り声を上げる。もちろん僕も。
テーブルに着く前に急いでセレナのプレートを僕に移す。
「特盛、僕じゃなくてこの子にお願いします」
「!? し、失礼しました」
どの世界でも男性の方が食べるという常識は健在のようだ。
前世でもそうだったけど、華奢な女性がとんでもない量をペロリと食べる姿は多くの人に勇気をもたらし、美味しそうに食べる姿に癒される社会人も多くいた。もちろん、僕もその一人だった。
だから、セレナが美味しそうに食べる姿は個人的にとても好きなのだ。
「こんなに食べていいの?」
「もちろん。とても安いから値段なんて気にせずに食べてくれ」
「分かった! ありがとうね。ノア」
「あ、ああ」
ん? やっぱり何かいつも違う気が……?
目の前の山盛りの朝食をパクパクと美味しそうに食べるセレナ。
僕もフォークを伸ばして朝食を食べ始めた。
いつもセレナと歩幅を合わせるためにゆっくりと嚙みしめながら食べる。もう癖になってきた。
途中「美味しいね!」と話す彼女の笑顔には、朝から癒されるものがある。
二十分程で特盛の朝食を平らげた彼女は満面の笑顔で「ご馳走様でした!」と声を上げた。
心なしか、周りの冒険者達も彼女が美味しそうに食べる姿を微笑ましく見守っていた気がする。
看板娘さんと厨房の料理長にも「ご馳走様でした」と声を掛けて、僕達はシーラー街の外を目指した。
「おはよう~!」
元気よく挨拶してくれるセレナ。
セレナって意外と早起きだな? もしかしてショートスリーパーなのか?
僕も「おはよう」と挨拶を交わして洗面台で顔を洗う。
「セレナ。朝食は宿屋の朝食を食べよう。少し物足りないかも知れないけど、足りない分は狩りに行ってからまた作ってあげるよ」
「分かった。ありがとう。ノア」
ん? 少し雰囲気が変わった?
なんかいつもとは違うような、そうでもないような返事に少しだけ戸惑いつつも、昨晩の彼女のことを考えれば、何か心境の変化もあっても無理はないと思う。
一階に降りると予想通り盛況でテーブル一つ以外は全部埋まっていた。
さすが人気宿屋。個室が全部埋まってるだけのことはあるな。
テーブルに座るとすぐに看板娘さんが飲み水を運んでくれた。
「この朝食セットを二つ。一つは特盛でお願いします」
「と、特盛ですか? うち、自慢じゃないですが、盛りには自信がありますよ?」
そう話すくらいだから余程自信があるのだろう。僕が「お願いします」と答えると「かしこまりました~! お待ちください~」と笑顔を向けてくれた。
彼女が厨房に向かうと、大きく「朝食二つ! 普通盛りと特盛!」と言う声が聞こえてきた。
いつもならソワソワしたり、新しいものに興味を示すセレナが少し落ち着いて、僕を見ていた。
「ん?」
目が合うと、何も言わずニコッと笑う。
うむ。やっぱりセレナは可愛いな。我が子は世界一可愛いって感じ。
すぐに厨房から看板娘さんが運んでくれたプレートには、美味しそうな朝食が非常に食べ応えありそうな盛りでやってきた。
目一杯朝食が乗ったプレートをセレナの前に置く。
続いて、さっきのプレートが可愛く見えるくらいのサイズのプレートに山盛りになった朝食を運んできた。
それを見た周りの冒険者達が唸り声を上げる。もちろん僕も。
テーブルに着く前に急いでセレナのプレートを僕に移す。
「特盛、僕じゃなくてこの子にお願いします」
「!? し、失礼しました」
どの世界でも男性の方が食べるという常識は健在のようだ。
前世でもそうだったけど、華奢な女性がとんでもない量をペロリと食べる姿は多くの人に勇気をもたらし、美味しそうに食べる姿に癒される社会人も多くいた。もちろん、僕もその一人だった。
だから、セレナが美味しそうに食べる姿は個人的にとても好きなのだ。
「こんなに食べていいの?」
「もちろん。とても安いから値段なんて気にせずに食べてくれ」
「分かった! ありがとうね。ノア」
「あ、ああ」
ん? やっぱり何かいつも違う気が……?
目の前の山盛りの朝食をパクパクと美味しそうに食べるセレナ。
僕もフォークを伸ばして朝食を食べ始めた。
いつもセレナと歩幅を合わせるためにゆっくりと嚙みしめながら食べる。もう癖になってきた。
途中「美味しいね!」と話す彼女の笑顔には、朝から癒されるものがある。
二十分程で特盛の朝食を平らげた彼女は満面の笑顔で「ご馳走様でした!」と声を上げた。
心なしか、周りの冒険者達も彼女が美味しそうに食べる姿を微笑ましく見守っていた気がする。
看板娘さんと厨房の料理長にも「ご馳走様でした」と声を掛けて、僕達はシーラー街の外を目指した。
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