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170話

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 コテツが立つ噴水中央の女神様像から眩い光が溢れ出る。

 見守っていた多くの民から大きな歓声が沸き上がる。

 それと同時に、地面に淡い翡翠色の光が一気に広がっていく。

 以前は僕の魔力が足りなくて気絶してしまったけど、レベルが上昇したおかげで気絶するまでにはいかなかった。

 光がどんどん広がり、聖都を越えて周囲の大地にどんどん広がった。

 そして――――僕の周りの景色が歪み始めた。



 ◆



「ガイア様!」

「お久しぶりです。ワタルくん」

「久しぶりです!」

 以前会った時よりもずっと顔色が良いガイア様。

 まさかまたガイア様と出会えるとは思いもしなかった。

 その時、僕の足元から「ワンワン!」と鳴き声が聞こえた。

「コテツ!? コテツまで呼ばれたの?」

「ワンワン!」

「ふふっ。ワタルくんのおかげで、私の力が大きく増えました。おかげでこうして神界にワタルくんを呼ぶことができます」

 ガイア様は聖母のような慈悲深い笑みを浮かべてくれた。

「それと、鬼人族の里を救ってくださり、本当にありがとうございます。救ってくださったというのに、言葉しか送れず申し訳ございませんでした……」

「い、いえ! 頭を上げてください。ガイア様!」

 僕に深く頭を下げたガイア様。

 長い金色の髪が肩からするりと落ちて地面についてしまった。

「ガイア様から助けてもらった命ですから! ガイア様のためになったのなら凄く嬉しいです。それに鬼人族のみなさんも凄く優しくて家族を大切にしてます。聖都の地もステラさんが長年愛した土地で信頼に値しましたから!」

 僕の言葉を聞いたガイア様も嬉しそうに笑顔で頷いた。

 遠くの幻想的な絶景と、周囲のホタルのような光が無数に飛び交う中、ガイア様の姿がとても眩しく見えた。

「ガイア様? 次はどこに向かって欲しいとかありますか?」

「ふふっ。本当は聖都にお願いしたかったんです」

「あっ! 先回りしてしまった……」

「まさかああいう乗り物を作るとは思いもしませんでした」

「あはは……偶然なんですけどね」

 思いつきでお願いしてみたら、またまたリオくんに出会えて作ってもらえたからね。

「私の力は殆ど回復しました。あとはワタルくんが好きなように世界を生きてください。それで充分です。ですが…………そう遠くない未来、ワタルくんには試練が訪れると思います」

「ネメシス様ですね?」

「はい。彼女はより怒りを深めてワタルくんを狙っています。ワタルくんも彼女にどんどん近づいていってます。どうか……仲間と自分の力を信じて前を進んでください」

「はい! 僕にはコテツも一緒ですから! ね?」

「ワフッ! ワンワン!」

「二人は本当に仲が良いんですね~」

 コテツが生まれた時から一緒だから、僕にとっては弟のような存在だからね。

 最後にガイア様は僕を抱き締めてくれた。

 とても温かい気持ちが伝わってきた。
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