55 / 91
連載
170話
しおりを挟む
コテツが立つ噴水中央の女神様像から眩い光が溢れ出る。
見守っていた多くの民から大きな歓声が沸き上がる。
それと同時に、地面に淡い翡翠色の光が一気に広がっていく。
以前は僕の魔力が足りなくて気絶してしまったけど、レベルが上昇したおかげで気絶するまでにはいかなかった。
光がどんどん広がり、聖都を越えて周囲の大地にどんどん広がった。
そして――――僕の周りの景色が歪み始めた。
◆
「ガイア様!」
「お久しぶりです。ワタルくん」
「久しぶりです!」
以前会った時よりもずっと顔色が良いガイア様。
まさかまたガイア様と出会えるとは思いもしなかった。
その時、僕の足元から「ワンワン!」と鳴き声が聞こえた。
「コテツ!? コテツまで呼ばれたの?」
「ワンワン!」
「ふふっ。ワタルくんのおかげで、私の力が大きく増えました。おかげでこうして神界にワタルくんを呼ぶことができます」
ガイア様は聖母のような慈悲深い笑みを浮かべてくれた。
「それと、鬼人族の里を救ってくださり、本当にありがとうございます。救ってくださったというのに、言葉しか送れず申し訳ございませんでした……」
「い、いえ! 頭を上げてください。ガイア様!」
僕に深く頭を下げたガイア様。
長い金色の髪が肩からするりと落ちて地面についてしまった。
「ガイア様から助けてもらった命ですから! ガイア様のためになったのなら凄く嬉しいです。それに鬼人族のみなさんも凄く優しくて家族を大切にしてます。聖都の地もステラさんが長年愛した土地で信頼に値しましたから!」
僕の言葉を聞いたガイア様も嬉しそうに笑顔で頷いた。
遠くの幻想的な絶景と、周囲のホタルのような光が無数に飛び交う中、ガイア様の姿がとても眩しく見えた。
「ガイア様? 次はどこに向かって欲しいとかありますか?」
「ふふっ。本当は聖都にお願いしたかったんです」
「あっ! 先回りしてしまった……」
「まさかああいう乗り物を作るとは思いもしませんでした」
「あはは……偶然なんですけどね」
思いつきでお願いしてみたら、またまたリオくんに出会えて作ってもらえたからね。
「私の力は殆ど回復しました。あとはワタルくんが好きなように世界を生きてください。それで充分です。ですが…………そう遠くない未来、ワタルくんには試練が訪れると思います」
「ネメシス様ですね?」
「はい。彼女はより怒りを深めてワタルくんを狙っています。ワタルくんも彼女にどんどん近づいていってます。どうか……仲間と自分の力を信じて前を進んでください」
「はい! 僕にはコテツも一緒ですから! ね?」
「ワフッ! ワンワン!」
「二人は本当に仲が良いんですね~」
コテツが生まれた時から一緒だから、僕にとっては弟のような存在だからね。
最後にガイア様は僕を抱き締めてくれた。
とても温かい気持ちが伝わってきた。
見守っていた多くの民から大きな歓声が沸き上がる。
それと同時に、地面に淡い翡翠色の光が一気に広がっていく。
以前は僕の魔力が足りなくて気絶してしまったけど、レベルが上昇したおかげで気絶するまでにはいかなかった。
光がどんどん広がり、聖都を越えて周囲の大地にどんどん広がった。
そして――――僕の周りの景色が歪み始めた。
◆
「ガイア様!」
「お久しぶりです。ワタルくん」
「久しぶりです!」
以前会った時よりもずっと顔色が良いガイア様。
まさかまたガイア様と出会えるとは思いもしなかった。
その時、僕の足元から「ワンワン!」と鳴き声が聞こえた。
「コテツ!? コテツまで呼ばれたの?」
「ワンワン!」
「ふふっ。ワタルくんのおかげで、私の力が大きく増えました。おかげでこうして神界にワタルくんを呼ぶことができます」
ガイア様は聖母のような慈悲深い笑みを浮かべてくれた。
「それと、鬼人族の里を救ってくださり、本当にありがとうございます。救ってくださったというのに、言葉しか送れず申し訳ございませんでした……」
「い、いえ! 頭を上げてください。ガイア様!」
僕に深く頭を下げたガイア様。
長い金色の髪が肩からするりと落ちて地面についてしまった。
「ガイア様から助けてもらった命ですから! ガイア様のためになったのなら凄く嬉しいです。それに鬼人族のみなさんも凄く優しくて家族を大切にしてます。聖都の地もステラさんが長年愛した土地で信頼に値しましたから!」
僕の言葉を聞いたガイア様も嬉しそうに笑顔で頷いた。
遠くの幻想的な絶景と、周囲のホタルのような光が無数に飛び交う中、ガイア様の姿がとても眩しく見えた。
「ガイア様? 次はどこに向かって欲しいとかありますか?」
「ふふっ。本当は聖都にお願いしたかったんです」
「あっ! 先回りしてしまった……」
「まさかああいう乗り物を作るとは思いもしませんでした」
「あはは……偶然なんですけどね」
思いつきでお願いしてみたら、またまたリオくんに出会えて作ってもらえたからね。
「私の力は殆ど回復しました。あとはワタルくんが好きなように世界を生きてください。それで充分です。ですが…………そう遠くない未来、ワタルくんには試練が訪れると思います」
「ネメシス様ですね?」
「はい。彼女はより怒りを深めてワタルくんを狙っています。ワタルくんも彼女にどんどん近づいていってます。どうか……仲間と自分の力を信じて前を進んでください」
「はい! 僕にはコテツも一緒ですから! ね?」
「ワフッ! ワンワン!」
「二人は本当に仲が良いんですね~」
コテツが生まれた時から一緒だから、僕にとっては弟のような存在だからね。
最後にガイア様は僕を抱き締めてくれた。
とても温かい気持ちが伝わってきた。
120
お気に入りに追加
4,845
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました
ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】
ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です
※自筆挿絵要注意⭐
表紙はhake様に頂いたファンアートです
(Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco
異世界召喚などというファンタジーな経験しました。
でも、間違いだったようです。
それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。
誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!?
あまりのひどい仕打ち!
私はどうしたらいいの……!?
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
無能と蔑まれた七男、前世は史上最強の魔法使いだった!?
青空一夏
ファンタジー
ケアニー辺境伯爵家の七男カイルは、生まれつき魔法を使えず、家族から蔑まれて育った。しかし、ある日彼の前世の記憶が蘇る――その正体は、かつて世界を支配した史上最強の大魔法使いアーサー。戸惑いながらも、カイルはアーサーの知識と力を身につけていき、次第に自らの道を切り拓く。
魔法を操れぬはずの少年が最強の魔法を駆使し、自分を信じてくれる商店街の仲間のために立ち上げる。やがてそれは貴族社会すら揺るがす存在へと成長していくのだった。こちらは無自覚モテモテの最強青年になっていく、ケアニー辺境伯爵家の七男カイルの物語。
※こちらは「異世界ファンタジー × ラブコメ」要素を兼ね備えた作品です。メインは「異世界ファンタジー」ですが、恋愛要素やコメディ要素も兼ねた「ラブコメ寄りの異世界ファンタジー」になっています。カイルは複数の女性にもてますが、主人公が最終的には選ぶのは一人の女性です。一夫多妻のようなハーレム系の結末ではありませんので、女性の方にも共感できる内容になっています。異世界ファンタジーで男性主人公なので男性向けとしましたが、男女関係なく楽しめる内容を心がけて書いていきたいです。よろしくお願いします。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!
饕餮
ファンタジー
書籍化決定!
2024/08/中旬ごろの出荷となります!
Web版と書籍版では一部の設定を追加しました!
今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。
救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。
一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。
そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。
だが。
「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」
森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。
ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。
★主人公は口が悪いです。
★不定期更新です。
★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。