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163話

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 エデンソ王国での滞在も終わり、みなさんに見送られながら僕達はユートピア号でシェーン街に帰って来た。

 空を飛べるからというのもあるけど、そもそもユートピア号の速度が速くて、あっという間に帰って来れた。

 帰ってすぐに休憩~とはできないので、すぐにセレナさんのところを訪れた。

「おかえりなさい。オーナー」

「ただいま。セレナさん。早速仕事の話があります」

「お待ちしておりました……!」

 テーブルに置いてあったベルを鳴らすと、カランカランと心地よい音が部屋に響く。

 即座にドアにノック音がして、三人の従業員が入って来た。

「こちらは各国の支店長候補になります。【ぽよんぽよんリラックス】の全てを叩き込まれており、作業から事務まで全て任せられる人材です」

「は、早いですね……」

「もちろんです。他国のみなさんが【ぽよんぽよんリラックス】で笑顔になるのは知っておりましたから、各国が求めて来るのは至極当然の結果です。既に支店長とも話し合いも終わっておりますし、向こうに出張するスライム達も決まっております」

「ありがとうございます。みなさんも慣れない地になりますが、各国からみなさんの安全最優先にして頂きますので心配しないでください」

「「「はいっ!」」」

「オーナー。各国での立地や環境などは私も一度監修に参りますので、明日は私も同行します」

 あはは……明日とまだ言ってないのに、セレナさんはもう見抜いていたんだね。

「分かりました。では明日朝から向かうことになりますので、よろしくお願いします。距離から最初に帝国、次が王国、次が神聖国になります」

「かしこまりました。しっかりと準備しておきます」

 支店長になる三名の従業員とも挨拶を交わして【ぽよんぽよんリラックス】本店を後にした。



「ワタルくん!」

 後ろから僕を呼ぶエヴァさんの声が聞こえてきた。

 振り向くと、エヴァさんと鬼さんが僕に向かって手を振る。

「エヴァさん」

「ワタルくん。一つお願いがあるんだけど、いいかな?」

「もちろんです!」

「明日にはまた人族の所に行くんでしょう?」

 ユートピア号でエヴァさんには事情を伝えている。

「はい」

「なら、帰って来て早々申し訳ないんだけど、これから私達と一緒に向かって欲しい場所があるの」

「向かって欲しい場所ですか?」

「うん。魔族領の王都――――魔都エラングシアに向かって欲しいの」

「魔都!?」

 意外な提案に、急遽魔都に向かうことになった。

 いつの間にか聞き耳を立てていたエレナちゃんがちゃっかりユートピア号の入口で待っていたので、一緒に魔都に向かうことになった。

 シェーン街から魔都までは馬車で数日も掛かる距離なんだけど、ユートピア号の速さのおかげで真っすぐ突っ切ることで、数時間も掛からずに魔都が見え始めた。
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