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屋敷で待っていると、チャイムの音が聞こえてきた。
「は~い」
扉を開くと、そこには初めてみる方が佇んで僕を見下ろしていた。
エヴァさんと同じくデモン族なのが分かる頭の角と背中の羽根。髪の毛が少し白髪なので年齢はだいぶ上のようだ。
「初めまして。ワタル様」
「初めまして~」
「急な訪問に応えてくださりありがとうございます。私はデモン族のエンゲージと申します。少しだけ時間を頂けませんか?」
「いいですよ~もし良かったら中にどうぞ」
本当は家の中に案内するべきなんだろうけど、実は庭にエレナちゃんとコテツとスライムたちが集まっている。
それを見たエンゲージさんはぜひ庭ってことで、庭にあるテーブルと椅子のところに案内した。
何も言わなかったけど、エレナちゃんが家の中から紅茶を持ってきてくれた。
いつもエレナちゃんの優しさに大助かりだ。
「美味しい紅茶をありがとうございます」
紅茶を一口飲んだエンゲージさんが笑みを浮かべて話してくれた。
「えへへ~」
「なるほど。街を彩るスライムがワタル様に従魔だという噂は本当だったのですね」
「はい。最近どんどん増えてくれて、僕も色々助かってます」
いまやシェーン街の【ぽよんぽよんリラックス】は大きな観光目的となっているからね。
スライムたちが脚光を浴びるのは嬉しいことだ。
「色んな魔族から愛されている人族……なんて素晴らしい光景でしょう。魔族の一人としてとても嬉しく思います」
エヴァさんに聞いたデモン族って少し難しい人が多いと聞いていたのに、喜んでくれるエンゲージさんを見て、やっぱり人族も魔族も関係ないと思う。
「それでは私が本日訪れた理由ですが、私は魔族領に洋服屋を営んでおります」
「「洋服屋?」」
「シェーン街にも支店がございます」
そういや、僕達がやってきたその日に猫耳族のために洋服を提供してくれた店があった。
「猫耳族が来たときに洋服をくださったお店ですね!」
エンゲージさんが顔いっぱいの笑みを浮かべた。
「はい」
「あの時は猫耳族も大変だったので、ものすごく助かりました。ありがとうございます」
「いえいえ。エヴァ様を助けてくださった猫耳族とワタル様に、当然のことをしたまでです。それで、本日訪れた本題になりますが、白狐族の毛変わりで毛玉を受けられたと聞きまして」
庭の傍らに置かれた毛玉を見つめる。大きすぎて外からでも見える程だ。
それをエレナちゃんと僕は指を指す。
「「ありますよ~」」
「ふふっ。お二人はとても仲が良いのですね。さて、あの毛玉で私どもに洋服を作らせて頂けませんか? 白狐族の抜け毛は魔族にとって一番の防具になるのです」
「防具ですか? 服が?」
「ええ。防具と聞くと大体の方が鎧や盾、兜を想像すると思います。ですが防具はこうあるべき姿だから防具という訳ではありません。敵からの攻撃を防いでくれるものこそが防具なのです。姿形は関係ないのです。そこで白狐族の抜け毛で作った服に一番良いのは――――魔族にとって一番の天敵である雷魔法と光魔法に対する絶対的な耐性を持っていることです」
「白狐族って雷を撃ちますもんね」
「ええ。それだけでなく、彼らは女神様に愛された種族。雷を体内から生成して武器として使える唯一の種族であります。雷は光の象徴で、世界では白狐族と勇者しか使うことが許されておりません」
以前、勇者と戦ったあとも聞いたことがある。雷は勇者だけが操ることができて、魔族にとっては大きな脅威になっていると。
「これだけの量ですと、シェーン街に住んでいる全ての魔族達を守るだけの服を作れると思います。買取価格はワタル様の言い値で構いません。どうかよろしくお願いします」
「…………一つ聞いてもいいですか?」
そして、僕はエンゲージさんに疑問を一つぶつけた。
彼は満面の笑顔で僕が一番聞きたかった答えを言ってくれた。
「は~い」
扉を開くと、そこには初めてみる方が佇んで僕を見下ろしていた。
エヴァさんと同じくデモン族なのが分かる頭の角と背中の羽根。髪の毛が少し白髪なので年齢はだいぶ上のようだ。
「初めまして。ワタル様」
「初めまして~」
「急な訪問に応えてくださりありがとうございます。私はデモン族のエンゲージと申します。少しだけ時間を頂けませんか?」
「いいですよ~もし良かったら中にどうぞ」
本当は家の中に案内するべきなんだろうけど、実は庭にエレナちゃんとコテツとスライムたちが集まっている。
それを見たエンゲージさんはぜひ庭ってことで、庭にあるテーブルと椅子のところに案内した。
何も言わなかったけど、エレナちゃんが家の中から紅茶を持ってきてくれた。
いつもエレナちゃんの優しさに大助かりだ。
「美味しい紅茶をありがとうございます」
紅茶を一口飲んだエンゲージさんが笑みを浮かべて話してくれた。
「えへへ~」
「なるほど。街を彩るスライムがワタル様に従魔だという噂は本当だったのですね」
「はい。最近どんどん増えてくれて、僕も色々助かってます」
いまやシェーン街の【ぽよんぽよんリラックス】は大きな観光目的となっているからね。
スライムたちが脚光を浴びるのは嬉しいことだ。
「色んな魔族から愛されている人族……なんて素晴らしい光景でしょう。魔族の一人としてとても嬉しく思います」
エヴァさんに聞いたデモン族って少し難しい人が多いと聞いていたのに、喜んでくれるエンゲージさんを見て、やっぱり人族も魔族も関係ないと思う。
「それでは私が本日訪れた理由ですが、私は魔族領に洋服屋を営んでおります」
「「洋服屋?」」
「シェーン街にも支店がございます」
そういや、僕達がやってきたその日に猫耳族のために洋服を提供してくれた店があった。
「猫耳族が来たときに洋服をくださったお店ですね!」
エンゲージさんが顔いっぱいの笑みを浮かべた。
「はい」
「あの時は猫耳族も大変だったので、ものすごく助かりました。ありがとうございます」
「いえいえ。エヴァ様を助けてくださった猫耳族とワタル様に、当然のことをしたまでです。それで、本日訪れた本題になりますが、白狐族の毛変わりで毛玉を受けられたと聞きまして」
庭の傍らに置かれた毛玉を見つめる。大きすぎて外からでも見える程だ。
それをエレナちゃんと僕は指を指す。
「「ありますよ~」」
「ふふっ。お二人はとても仲が良いのですね。さて、あの毛玉で私どもに洋服を作らせて頂けませんか? 白狐族の抜け毛は魔族にとって一番の防具になるのです」
「防具ですか? 服が?」
「ええ。防具と聞くと大体の方が鎧や盾、兜を想像すると思います。ですが防具はこうあるべき姿だから防具という訳ではありません。敵からの攻撃を防いでくれるものこそが防具なのです。姿形は関係ないのです。そこで白狐族の抜け毛で作った服に一番良いのは――――魔族にとって一番の天敵である雷魔法と光魔法に対する絶対的な耐性を持っていることです」
「白狐族って雷を撃ちますもんね」
「ええ。それだけでなく、彼らは女神様に愛された種族。雷を体内から生成して武器として使える唯一の種族であります。雷は光の象徴で、世界では白狐族と勇者しか使うことが許されておりません」
以前、勇者と戦ったあとも聞いたことがある。雷は勇者だけが操ることができて、魔族にとっては大きな脅威になっていると。
「これだけの量ですと、シェーン街に住んでいる全ての魔族達を守るだけの服を作れると思います。買取価格はワタル様の言い値で構いません。どうかよろしくお願いします」
「…………一つ聞いてもいいですか?」
そして、僕はエンゲージさんに疑問を一つぶつけた。
彼は満面の笑顔で僕が一番聞きたかった答えを言ってくれた。
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