33 / 85
連載
148話
しおりを挟む
鬼人族の里のダンジョンを攻略して、数日掛けてみんなでシェーン街に戻って来た。
もちろん、僕達は飛べるので一足先に戻っていて、帰って来たゲラルトさんにエリアナさんが抱き着いたのは少し嬉しい。いつも気の強いエリアナさんだけど、やっぱりゲラルドさんのことが大好きなんだなと分かる。
それから鬼さんや謎の仮面さんも街に帰ってきてすぐにお酒を飲んで攻略を祝った。
それくらいダンジョンでの戦いは長かったからね。
シェーン街も平穏が訪れるかと思っていた矢先、次なる問題が起きた。
「「毛?」」
僕とエレナちゃんの声が被る。
『そうなんだ。僕達はこの時期になると毛がいっぱい抜けてしまうんだけど、他の種族からいつも苦情がくるんだ』
アルトくんの相談にエヴァさんは表情を曇らせた。
「エヴァさん?」
「それは困ったわね。白狐族の毛変わりは…………大変よ!」
「「ええええ!?」」
毛変わりが大変?
エヴァさんは「こうしてはいられないわ! 知らせてくれてありがとうね! アルトくん!」と言い残してその場を後にした。
僕達も気になって急いで白狐族が過ごしている区にやってきた。
白狐たちが外でひなたぼっこをしていて、それを見て癒されている観光客が大勢いた。
一応、見世物とかそういう類ではないので観光客には遠くの場所から眺めるようにしている。
「グレースさん」
『ワタルくん。来てくれたのね』
「ええ。アルトくんから報告をもらって、何か大変なことが起きると……」
『そうね。私達白狐族の毛変わり時期でね。私達の毛が一気に抜けてしまう時期なのよ』
「毛変わりがそんなに大変なんですか?」
『そうね。人族は毛変わりがないし、他の種族もそれほど大変ではないものね。私達もどちらかというと大変ではないの。ただ、周りが大変になるだけね』
「周りが?」
遠くからエヴァさんが声を響かせる魔道具を使って周りに声を拡げていた。
「みんなあああ~! 白狐族が毛変わりするらしいので、白狐族の住処には決して近づかないように! 特に子供達を近づかせないでちょうだい!」
すると、周りにいた大勢の人達がその場から離れ始めた。
観光客の魔族さんたちもみんな当然のようにそこから離れて行った。
「ワタルくんたちも離れるのよ!?」
「えっ? 一体何が起きるんですか!?」
「ワンワン!」
僕と同時にコテツが吠えると、エヴァさんが驚いた表情を見せた。
「えっ? それは本当? コテツくん」
「ワフッ!」
エヴァさんとコテツが何かを話し合うと、少しびっくりしたエヴァさんが僕の隣にやってきた。
エレナちゃんと一緒に並んでコテツを見つめる。
「本当に信じていいのね?」
「ワンワン!」
「分かった。それなら私も近くで見るわね?」
「ワン!」
今度はコテツが僕を見つめた。
「ワンワン!」
「えっ!? 勇者モードになりたいの?」
「ワフン」
どうやら勇者モードになりたいらしくて、理由は分からないけどコテツがそう言うならばと、聖剣エクスカリバーを召喚してあげると、コテツが勇者モードに変わった。
普段あまり使わなくなった空飛ぶマントも着用して、その場から浮き上がって白狐族の前にやってきた。
何が起きるのか楽しみにしていると、白狐たちから何やら怪しい動きが見え始めた。
もちろん、僕達は飛べるので一足先に戻っていて、帰って来たゲラルトさんにエリアナさんが抱き着いたのは少し嬉しい。いつも気の強いエリアナさんだけど、やっぱりゲラルドさんのことが大好きなんだなと分かる。
それから鬼さんや謎の仮面さんも街に帰ってきてすぐにお酒を飲んで攻略を祝った。
それくらいダンジョンでの戦いは長かったからね。
シェーン街も平穏が訪れるかと思っていた矢先、次なる問題が起きた。
「「毛?」」
僕とエレナちゃんの声が被る。
『そうなんだ。僕達はこの時期になると毛がいっぱい抜けてしまうんだけど、他の種族からいつも苦情がくるんだ』
アルトくんの相談にエヴァさんは表情を曇らせた。
「エヴァさん?」
「それは困ったわね。白狐族の毛変わりは…………大変よ!」
「「ええええ!?」」
毛変わりが大変?
エヴァさんは「こうしてはいられないわ! 知らせてくれてありがとうね! アルトくん!」と言い残してその場を後にした。
僕達も気になって急いで白狐族が過ごしている区にやってきた。
白狐たちが外でひなたぼっこをしていて、それを見て癒されている観光客が大勢いた。
一応、見世物とかそういう類ではないので観光客には遠くの場所から眺めるようにしている。
「グレースさん」
『ワタルくん。来てくれたのね』
「ええ。アルトくんから報告をもらって、何か大変なことが起きると……」
『そうね。私達白狐族の毛変わり時期でね。私達の毛が一気に抜けてしまう時期なのよ』
「毛変わりがそんなに大変なんですか?」
『そうね。人族は毛変わりがないし、他の種族もそれほど大変ではないものね。私達もどちらかというと大変ではないの。ただ、周りが大変になるだけね』
「周りが?」
遠くからエヴァさんが声を響かせる魔道具を使って周りに声を拡げていた。
「みんなあああ~! 白狐族が毛変わりするらしいので、白狐族の住処には決して近づかないように! 特に子供達を近づかせないでちょうだい!」
すると、周りにいた大勢の人達がその場から離れ始めた。
観光客の魔族さんたちもみんな当然のようにそこから離れて行った。
「ワタルくんたちも離れるのよ!?」
「えっ? 一体何が起きるんですか!?」
「ワンワン!」
僕と同時にコテツが吠えると、エヴァさんが驚いた表情を見せた。
「えっ? それは本当? コテツくん」
「ワフッ!」
エヴァさんとコテツが何かを話し合うと、少しびっくりしたエヴァさんが僕の隣にやってきた。
エレナちゃんと一緒に並んでコテツを見つめる。
「本当に信じていいのね?」
「ワンワン!」
「分かった。それなら私も近くで見るわね?」
「ワン!」
今度はコテツが僕を見つめた。
「ワンワン!」
「えっ!? 勇者モードになりたいの?」
「ワフン」
どうやら勇者モードになりたいらしくて、理由は分からないけどコテツがそう言うならばと、聖剣エクスカリバーを召喚してあげると、コテツが勇者モードに変わった。
普段あまり使わなくなった空飛ぶマントも着用して、その場から浮き上がって白狐族の前にやってきた。
何が起きるのか楽しみにしていると、白狐たちから何やら怪しい動きが見え始めた。
235
お気に入りに追加
4,844
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。