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26話
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精霊魔法が少し使えるようになって、オリアナさんに毎日庭園で魔法を見てもらいながら、少しずつ使い方を修正していく日々を送った。
僕が今まで使ってきた風魔法と違うところは、常にモモ達の意志を感じる必要がある。
難しいかというと、全然難しくはないけど、オリアナさん曰く、精霊魔法は、僕の風魔法とモモ達の力を二重に使うため、厳密に言えば、ダブルスペルという二つの魔法を同時に繰り出す行為と同じだという。さらにダブルスペルを融合させているから通常ダブルスペルよりも遥かに難しいことをやっているみたい。
と言っても、僕はモモ達も精霊契約を交わしているからスムーズに行えて、シングルスペルを使っているときとあまり変わらない。
それより難しいのは、モモ達の力を融合させて、より大きな魔法にするときがとても難しい。
今ではジロウとゴロウの『大旋風』。サブロウとシロウの『台風』。イチロウとロクロウの『久遠の風』の三つのパターンが使えるようになった。
中でも『大旋風』は一番使い勝手がよくて、一点集中型攻撃魔法だ。
もう一つの『台風』は強力なんだけど、広範囲攻撃魔法だから使いどころが限られる感じ。
最後の『久遠の風』はよくわからない。攻撃魔法ではなくてどんな効果があるのかもよくわからなくて、どのタイミングで使っていい魔法なのかはまだ不明だ。しかも、この魔法自体は一か所に設置しておくことができて、設置しておくとずっと『久遠の風』が周囲に吹き続ける。それだけ。消費魔力もかなり多くて一度使うと、その日は攻撃魔法はもう使えないくらいになる。
それも相まって、僕はずっと『大旋風』の使い方を練習し続けている。
魔法は反復練習が最も大切だから、魔法を繰り返し使うことで咄嗟に使うこともできるし、より的確に使えるようになるし、より強力にもなっていくはずだ。
それから――――魔法の修練を初めてから一か月が経過した。
今日もいつもと変わらない日々を繰り返す。
仕事のために庭園に向かう道中、レストラン『エルドラド』が見えた。
普通のメニューの値段は高いけど、毎日特別メニューがあって、数量限定だけどとても安価で美味しいこともあって、噂が噂になり、毎日が大盛況だ。
大通りを通り過ぎて庭園が見える道に入ったときだった。
一人の男が僕達の前を塞いだ。
「キヒヒヒ」
「リーゼ! 僕の後ろに!」
「う、うん!」
口から涎を垂らしながら、顔は横に倒れており、血走った眼を見開いて僕を睨み付ける。
「あ、貴方は! コワさん!?」
僕が長年荷物持ちとして働いていたパーティーリーダーのオルゲンさんの友人だ。
以前にも僕に突っかかってきたけど、そのときはモモ達が助けてくれて……あれからコワさんを見たことがなかった。
お金を預けるために冒険者ギルドに訪れたとき、周りを見ても姿が見えなかった。
オルゲンさん達は罰で強制労働でどこかに移送されたと聞いたから、コワさんもどこか別の街に行ったとばかり思っていた。
なのに、普通の様子ではない。
「お、おい……オルゲンがああなってるのに……てめぇだけ幸せそうにしてるとは……ふざけるなあああああ!」
僕の後ろに隠れたリーゼが体を震わせる。
コワさんだって強い冒険者の一人。そんな人からここまで強い殺気をぶつけられたら、誰だって怖い。
「あれはしかるべき処置です!」
「しかるべきだあ!? しかるべきはてめぇが奴隷みたいに働き続けることなんだよ! キヒヒ……だがな。もうそれはいい。全てはてめぇが悪いんだ……キヒヒヒヒ!」
「何をするつもりなんですか!」
「そよ風の分際で幸せな顔をしやがって……てめぇなんか一生地べたに這いつくばっているべきだったんだ! てめぇが幸せになったからこれからソレイユ街がどうなるのか、一生後悔していろ! キャハハハハ!」
高らかとそう話すコワさんは、懐から拳サイズの黒い水晶を取り出した。
禍々しいオーラが立ち上り、見ただけで全身に悪寒が走る。
そして、コワさんは――――
その水晶を地面に叩き割った。
僕が今まで使ってきた風魔法と違うところは、常にモモ達の意志を感じる必要がある。
難しいかというと、全然難しくはないけど、オリアナさん曰く、精霊魔法は、僕の風魔法とモモ達の力を二重に使うため、厳密に言えば、ダブルスペルという二つの魔法を同時に繰り出す行為と同じだという。さらにダブルスペルを融合させているから通常ダブルスペルよりも遥かに難しいことをやっているみたい。
と言っても、僕はモモ達も精霊契約を交わしているからスムーズに行えて、シングルスペルを使っているときとあまり変わらない。
それより難しいのは、モモ達の力を融合させて、より大きな魔法にするときがとても難しい。
今ではジロウとゴロウの『大旋風』。サブロウとシロウの『台風』。イチロウとロクロウの『久遠の風』の三つのパターンが使えるようになった。
中でも『大旋風』は一番使い勝手がよくて、一点集中型攻撃魔法だ。
もう一つの『台風』は強力なんだけど、広範囲攻撃魔法だから使いどころが限られる感じ。
最後の『久遠の風』はよくわからない。攻撃魔法ではなくてどんな効果があるのかもよくわからなくて、どのタイミングで使っていい魔法なのかはまだ不明だ。しかも、この魔法自体は一か所に設置しておくことができて、設置しておくとずっと『久遠の風』が周囲に吹き続ける。それだけ。消費魔力もかなり多くて一度使うと、その日は攻撃魔法はもう使えないくらいになる。
それも相まって、僕はずっと『大旋風』の使い方を練習し続けている。
魔法は反復練習が最も大切だから、魔法を繰り返し使うことで咄嗟に使うこともできるし、より的確に使えるようになるし、より強力にもなっていくはずだ。
それから――――魔法の修練を初めてから一か月が経過した。
今日もいつもと変わらない日々を繰り返す。
仕事のために庭園に向かう道中、レストラン『エルドラド』が見えた。
普通のメニューの値段は高いけど、毎日特別メニューがあって、数量限定だけどとても安価で美味しいこともあって、噂が噂になり、毎日が大盛況だ。
大通りを通り過ぎて庭園が見える道に入ったときだった。
一人の男が僕達の前を塞いだ。
「キヒヒヒ」
「リーゼ! 僕の後ろに!」
「う、うん!」
口から涎を垂らしながら、顔は横に倒れており、血走った眼を見開いて僕を睨み付ける。
「あ、貴方は! コワさん!?」
僕が長年荷物持ちとして働いていたパーティーリーダーのオルゲンさんの友人だ。
以前にも僕に突っかかってきたけど、そのときはモモ達が助けてくれて……あれからコワさんを見たことがなかった。
お金を預けるために冒険者ギルドに訪れたとき、周りを見ても姿が見えなかった。
オルゲンさん達は罰で強制労働でどこかに移送されたと聞いたから、コワさんもどこか別の街に行ったとばかり思っていた。
なのに、普通の様子ではない。
「お、おい……オルゲンがああなってるのに……てめぇだけ幸せそうにしてるとは……ふざけるなあああああ!」
僕の後ろに隠れたリーゼが体を震わせる。
コワさんだって強い冒険者の一人。そんな人からここまで強い殺気をぶつけられたら、誰だって怖い。
「あれはしかるべき処置です!」
「しかるべきだあ!? しかるべきはてめぇが奴隷みたいに働き続けることなんだよ! キヒヒ……だがな。もうそれはいい。全てはてめぇが悪いんだ……キヒヒヒヒ!」
「何をするつもりなんですか!」
「そよ風の分際で幸せな顔をしやがって……てめぇなんか一生地べたに這いつくばっているべきだったんだ! てめぇが幸せになったからこれからソレイユ街がどうなるのか、一生後悔していろ! キャハハハハ!」
高らかとそう話すコワさんは、懐から拳サイズの黒い水晶を取り出した。
禍々しいオーラが立ち上り、見ただけで全身に悪寒が走る。
そして、コワさんは――――
その水晶を地面に叩き割った。
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