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14話

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 今日も今日で朝一番に教会を訪れて祈りを捧げる。
 
 教会を出ると、ちょうど僕と同じくらいの年齢のパーティーと出くわした。
 
「ん? そよ風くんじゃん」
 
「ラマくん……ひ、久しぶり」
 
「久しぶりじゃん! 相変わらず荷物持ち頑張ってるのか?」
 
「あはは……ちょっといろいろあって仕事を変えたんだ」
 
 すると目を丸くするラマくん。
 
 後ろには彼と同じ年齢の男女が三人。みんな顔見知りだ。
 
「ふう~ん。最近オルゲンさん達もいなくなったし、街を変えたのか。じゃあ、今はフリーでやってるのか?」
 
「へ? い、いや、街でお仕事をさせてもらってるんだ」
 
「なるほどな……なあ。そよ風。ちょっと頼みがあるんだ」
 
「えっ? 頼み……?」
 
「ああ。そよ風にも悪い話ではないと思う。お前らもそよ風でもいいだろ?」
 
「いいよ~」
 
 杖を持った彼女はミリア。魔法使いの才能を持っている。
 
 まだ仕事まで時間があるので、断る理由も見つからず、ラマくん達と教会を離れて、近くのカフェに入った。
 
「今日は俺が出すから好きなものを頼んでいいぞ」
 
「あ、ありがとう。えっと……僕は水で十分かな……」
 
「おいおい。心配すんな。俺達もDランク冒険者になったから」
 
「Dランク!? もう!?」
 
「ああ。この果実水はどうだ。美味しいぞ」
 
「そ、そっか……うん。それでお願いします」
 
 みんな好きなものを頼むと、すぐに運ばれてきた。
 
「なあ。そよ風。お前、まだ冒険者辞めてないよな?」
 
「えっと……うん。辞めてはいないよ。でも……活動もしてない……かな」
 
「そよ風の力なら仕方ねぇ。冒険者は才能がないと務まらないからな。今日そよ風を呼んだのにはこれが関わってる。そよ風は自分の体よりも何倍も大きい荷物を持てたよな?」
 
「うん……風魔法で軽くすることができるから……」
 
「それだよそれ。俺達がDランクになってから一番困ってたのが、荷物なんだよ」
 
「荷物……?」
 
「ミーゲル達を覚えているだろう? あいつらのパーティーにテイマーがいてさ。魔物で荷物を運んだりするから長期遠征ができるんだ。俺達は全員が戦闘系才能だからよ。荷物持ちなんてできない。だから荷物持ちを雇おうって話になったんだ。でもさ、俺達より年上だとまためんどくさくてよ。そこでそよ風みたいな奴がいいなとちょうど話していたところだ。どうだ? 俺達のパーティーに入らないか? ちゃんと報酬金も均等に分けるからさ」
 
「えっ……!? 荷物持ちに……均等に分けるの?」
 
「ああ。だってよ。荷物持ちがいてくれたら長期遠征もできるし、素材も持ち帰れるし、解体なんてしてくれたら俺達の負担も減って、もっとたくさん魔物が狩れて素材を持ち帰れる。だから均等に分けても俺達の取り分はより大きくなってやつだ。どうだ? そよ風だって冒険者になりたいだろう? 俺達に雇われないか? 何なら俺達はパーティーを組んでもいいんだぜ?」
 
 まさか、パーティーに誘われるなんて夢にも思わなかった。
 
 ラマくん達とは八歳から十歳の才能開花式まで通うことになる教習所で同じクラスだった。
 
 あの頃はみんな仲が良くて……でも十歳の才能開花式でそれぞれ才能が開花してから、みんな変わってしまった。
 
 ラマくんもここにいるメンバーとパーティーを組み、仲が良かった人でも才能が弱いという理由でパーティーを組んではくれなかった。
 
 けれど……それは当然といえば当然だ。
 
 だって……冒険者って常に命が懸かっている。背中を預ける仲間は強い方がいいし、同じ強さのメンバーにならなければ、いずれ不満となり解散となる。
 
「開花式でのことをまだ気にしてるのか? 冒険者は実力主義。才能こそが全てだ。でもそよ風も自分の得意分野を理解すれば俺達とだって肩を並べられる。こんな機会滅多にないと思うぜ? 最弱才能で俺達のような――――上位の才能を持ったパーティーに参加できるんだからよ」
 
 ラマくんの言うこともわかる。僕なんかでは一生彼らとパーティーを組むチャンスなんて……ないはずだ。
 
「なあ。明日時間あるか?」
 
「明日……えっと……うん。一応お仕事は休みだから……」
 
「なら明日一日体験してみようぜ! もちろん長期遠征には出ないが、それを想定してやってみようぜ!」
 
 希望に溢れる表情で語るラマくんを見て、断ることができずに承諾することになった。
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