上 下
99 / 102
最終章

第98話 たった一撃ですか?

しおりを挟む
 『ヴァレン』の速度は『ヴァレンシア』の比にならないくらいに速かった。

 どうやら、復活したアイちゃんが、僕が説得に行ってる短い間に改造したそうだ。

 流石はうちのアイちゃんだね!

 ピエルくんには艦長席に座って貰い、『ヴァレンの艦長』の称号を与えた。

 苦笑いながら、普段から指示出しには慣れているようで、次々組員達に指示を出した。

 組員達も慣れないが目新しい世界にワクワクしながら、直ぐにやり方を覚え、僕達が『ベータ領』に着く頃には全員が完璧に覚えていた。

 ヴァレン町を離れ……既に町はなくなったけど…『ベータ領』に着くのに一時間しか掛からなかったんだから、『ヴァレンシア』の数倍は速かった。

 前方のモニターに『ベータ領』が映し出された。

 まだ超巨大人型古代機械は『ベータ領』に着いてなかったが、そろそろ視界には入りそうな距離だ。

 僕達の高度が『ベータ領』に近づいた頃。

「マスター! 超巨大人型古代機械から超高密度レーザー砲撃の予兆が!」

「アイちゃん! 何が何でも防いで!」

「あいあいさ! 全員しっかり掴まえてて! 行くよー! チェンジフォーム!」



 ◇



「おいおい、あれは何だ?」

「少なくとも……味方ではないみたいね」

「ああ……アレクのやつ……まさか……」

「アレク…………」

 地平線の向こうに超巨大人型古代機械の顔が見え始めていた。

 どう見ても不気味な顔。

 ヘルド達は不安そうに見つめていた。

 見つめる事しか出来なかった。

「アイちゃん端末はまだ反応がないのか!」

「は、はい! まだございません!」

「くっ……アレクのやつ、何をしているんだ!」

 ヘルドは苛立ちを見せる。

 人類最強であっても、あの超巨大人型古代機械には決して勝てない事を知っているからだった。

 その時、向こうに超巨大人型古代機械の顔が赤く光出した。

「ッ!? まさか! ――全員! 伏せろ!!!!」

 ヘルドの叫びが響き、全員がその場に伏せいだ瞬間。

 向こうから赤い超高密度レーザー砲撃が発射された。

 超高速の超高密度レーザー砲撃が辿り着く一瞬。

 上空から、それ・・は降って来た。

 グガガガガ――――

 超高密度レーザー砲撃はそれ・・に当たり、角度を捻じ曲げられ、空の彼方にずらされた。

 『ベータ領』の前には――――超巨大人型古代機械と同じ形の超巨大人型古代機械が立っていた。

 ――そして。

「『ベータ領』の皆へ! アレクより! これから『新生・ヴァレン』により応援する! 超巨大人型古代機械は任せとけ!」

 アレクの声が『ベータ領』に響いた。

「たっく……おせぇんだよ」

「アレク! 無事だったのね!」

 直後、奥義『暗黒ノ魔女』を全開にしたアイリスが、鎖を一瞬で伸ばし、『ヴァレン』に乗り移った。

 一目散に走った先にいたアレクに迷わず抱き付いた。



 ◇



「アイちゃん! ヴァレンメガキャノンの準備良し!」

「あいあいさ! では、相手の超巨大人型古代機械を狙い、ヴァレンメガキャノン! 発射!!」

 ヴァレンの胴体部分が大きく開き、雄々しい光が溢れ出た。

 ――そして、超高密度レーザー砲撃すら比べものにならないほどの砲撃は放たれた。

 超巨大人型古代機械がたったの一撃に消滅するのであった。

 こうして世界は平和に――――



 ◇



 アレクは現在、アイリスと共に、スレイプニルに乗り、全速力で呪われし森の最奥に向かった。

 そこには大きな遺跡があり、遺跡前には多くのダークキャット達で塞がれていた。

「どうやらここみたいね」

「ああ、あの超巨大人型古代機械が遠隔・・操作だというなら、操作しているのは、この中にいるのだろう」

「ええ、ダークキャット達……どうしよう」

 その時、一緒に付いてきたグレンとリラとリルが前方に出た。

「えっ!? グレンくん……いいの? 同族と戦う事になるんだよ?」



「そう……彼らを同族とは思えないのね。分かったわ。どうか無理はしないでね?」

 アイリスはグレンの気持ちを汲み取ると、アレクと共に遺跡に向かって走り出す。

 勿論、ダークキャット達の反撃が始まった。

 即座に反応したグレンとリラ、リル。

 最初にグレンの頭部に付いている宝石が光、黒い稲妻を放つ。

 ダークキャット達の尻尾による触手攻撃を黒い稲妻が全て防いでいく。

 アレク達が遺跡の中に消えてった直後、リラとリルの口から黒いブレスが吐かれる。

 二匹のブレスは混じり合い、一際大きいブレスとなり、ダークキャット達に襲い掛かった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

赤毛のアンナ 〜極光の巫女〜

桐乃 藍
ファンタジー
幼馴染の神代アンナと共に異世界に飛ばされた成瀬ユウキ。 彼が命の危機に陥る度に発動する[先読みの力]。 それは、終焉の巫女にしか使えないと伝えられる世界最強の力の一つだった。 世界の終わりとされる約束の日までに世界を救うため、ユウキとアンナの冒険が今、始まる! ※2020年8月17日に完結しました(*´꒳`*) 良かったら、お気に入り登録や感想を下さいませ^ ^ ------------------------------------------------------ ※各章毎に1枚以上挿絵を用意しています(★マーク)。 表紙も含めたイラストは全てinstagramで知り合ったyuki.yukineko様に依頼し、描いて頂いています。 (私のプロフィール欄のURLより、yuki.yukineko 様のインスタに飛べます。綺麗で素敵なイラストが沢山あるので、そちらの方もご覧になって下さい)

猫カフェを異世界で開くことにした

茜カナコ
ファンタジー
猫カフェを異世界で開くことにしたシンジ。猫様達のため、今日も奮闘中です。

僕のおつかい

麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。 東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。 少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。 彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。 そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※一話約1000文字前後に修正しました。 他サイト様にも投稿しています。

蒼穹(そうきゅう)の約束

星 陽月
ライト文芸
 会社の上司と不倫をつづける紀子は、田嶋正吉という太平洋戦争に従軍した経験を持つ老人と公園で出会う。  その正吉とベンチで会話を交わす紀子。  そして、その正吉とまた公園で会うことを約束をして別れた。  だが、別れてすぐに、正吉は胸を抑えて倒れてしまった。  紀子も同乗した救急車の中で息をひきとってしまった正吉。  その正吉は、何故か紀子に憑依してしまったのだった。  正吉が紀子に憑依した理由とはいったい何なのか。  遠き日の約束とは……。  紀子のことが好きな谷口と、オカマのカオルを巻き込んで巻き起こるハートフル・ヒューマン・ドラマ!  

元四天王は貧乏令嬢の使用人 ~冤罪で国から追放された魔王軍四天王。貧乏貴族の令嬢に拾われ、使用人として働きます~

大豆茶
ファンタジー
『魔族』と『人間族』の国で二分された世界。 魔族を統べる王である魔王直属の配下である『魔王軍四天王』の一人である主人公アースは、ある事情から配下を持たずに活動しいていた。 しかし、そんなアースを疎ましく思った他の四天王から、魔王の死を切っ掛けに罪を被せられ殺されかけてしまう。 満身創痍のアースを救ったのは、人間族である辺境の地の貧乏貴族令嬢エレミア・リーフェルニアだった。 魔族領に戻っても命を狙われるだけ。 そう判断したアースは、身分を隠しリーフェルニア家で使用人として働くことに。 日々を過ごす中、アースの活躍と共にリーフェルニア領は目まぐるしい発展を遂げていくこととなる。

異世界転生した、くま

くま
ファンタジー
異世界転生した、オタクの番外編です!

異世界生活研修所~その後の世界で暮らす事になりました~

まきノ助
ファンタジー
 清水悠里は先輩に苛められ会社を辞めてしまう。異世界生活研修所の広告を見て10日間の研修に参加したが、女子率が高くテンションが上がっていた所、異世界に連れて行かれてしまう。現地実習する普通の研修生のつもりだったが事故で帰れなくなり、北欧神話の中の人に巻き込まれて強くなっていく。ただ無事に帰りたいだけなのだが。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

処理中です...