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四章
第90話 聖女と元勇者ですか?
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僕の屋敷が完成していた。
うわぁ…………滅茶苦茶デカい……。
どうやらシーマくんが勝手に進めたらしく、元々こじんまりとした僕の住処がとんでもない大豪邸になっている。
何だか最近周りの人が増えてるから、宿屋を借りるよりは良いのか?
取り敢えず、勇者軍の連中は全員釈放して、元王国に帰してやった。
クラフトくんはうちの清掃員になっている。
聖女アクィラは、僕の屋敷で待っていた。
聖剣の隣が自分の居場所ですわって言っていたけど、いや、僕がいらないんだよね。
「シーマくん、いらっしゃい」
「よう、おかえり。まだそれほど経っていないが……随分と成長したように見えるな?」
「あはは……まぁ、色々あって……」
「それで? 隣の聖女様や屋敷で清掃員になっている勇者様についても教えてくれるよな?」
「勿論だよ。実は僕のゴミ収集で『聖剣』を収集して僕の剣にしたんだ」
「なっ!? 『聖剣』を!?」
試しに『聖剣』を見せるととても驚いてくれた。
隣にいる聖女の目がハートになっている。
こいつ……聖剣目当てなのは間違いないよね……。
「あ、それとついでに『魔剣』も貰って来たよ」
「ま、魔剣!?」
今度は『聖剣』を閉まって『魔剣』を取り出した。
禍々しいオーラに流石のシーマくんも引き攣った顔になった。
――そして。
「ま、魔王!? 許さない! 今すぐ成敗してやる!」
聖女がいきなり喚き始めた。
何だか……めんどくさいなこの人。
本気で戦う気満々で武装展開する聖女。
「ほら、聖剣だぞ?」
『魔剣』を仕舞い、『聖剣』を取り出した。
「勇者様! 私は貴方様のモノですわ!」
おい、また目がハートになっているぞ。
さっきのいかついた顔はどこにいった?
今度は『魔剣』を出す。
うわー凄いしかめっ面。
今度は『聖剣』を出す。
うわーめちゃ顔が緩んでる。
今度は『魔剣』。
今度は『聖剣』。
新たな玩具が見つかった。
◇
「聖女さん」
「アクィラと呼んでくださいまし」
ああ……めんどくさ……。
「えっと……、アクィラ」
「はいっ! 何でしょうか! 私の身体がご所望ですか!?」
ほんと、お前はぶれないな!?
「違う! アイリス! 違うから! というか、君が関わっている事を聞こうとしてるから!」
右手を握り、燃えていたアイリスが、ポカーンとした表情になった。
「私?」
「そうだよ。アクィラ。君はどうしてあんなに魔女が嫌いだったの?」
「ええ、私の母親は元々聖職者でしたの。私が六歳の時、母親は魔女の討伐に向かって帰らぬ人となりましたの……だから、私は復讐を誓いましたの。だから魔女狩りの為に組織まで作りましたから」
「えっと……まさか……その組織って……『ロキ』って名前じゃないよね?」
「あら? アレク様、どうして分かりますの?」
「「お前も元凶か!!!」」
◇
「クラフトくん」
「おお~親分!」
クラフトくんは『ゴミの祝福』で、すっかり大人しくなっており、意外と掃除が楽しいらしく、いつでも掃除を行っていた。
「ちょっと聞きたい事があるんだけどさ」
「はい? 何でしょう?」
「クラフトくんの両親はどういう人だったの?」
「俺の両親ですか? 両親なんていませんよ? 幼い頃、俺を捨てたらしいですから、そんな親なんて親とも思ってないですけど?」
「えっ…………あのさ……母親が魔族に殺さ――」
「あはは、そんな訳ないじゃないですか! 両親は俺を捨ててどっか行ったみたいですよ? 理由は知りませんが捨てた事実は変わりませんし、今どこで何をしているのかも知りませんし、知りたいとも思わないっすね~」
「そ、そう……悪かったね、変な事聞いて」
「いえいえ! 親分になら何でも話しますから! また何かあったら声かけてください!」
「わ、分かった! 仕事頑張ってね!」
「はい! 楽しい掃除~掃除~」
どうやらクラフトくんは親の仇とは全く知らなかったらしい……。
実の所、クラフトを任せ囮となった母親のたった一通の手紙があったのだが、クラフトを引き取った母親の親戚はその手紙から彼が勇者と知ると、その事を全て隠し、クラフトが十歳の時、高額で領主に売ろうとして、捕まり牢獄生活を送っているのだった。
うわぁ…………滅茶苦茶デカい……。
どうやらシーマくんが勝手に進めたらしく、元々こじんまりとした僕の住処がとんでもない大豪邸になっている。
何だか最近周りの人が増えてるから、宿屋を借りるよりは良いのか?
取り敢えず、勇者軍の連中は全員釈放して、元王国に帰してやった。
クラフトくんはうちの清掃員になっている。
聖女アクィラは、僕の屋敷で待っていた。
聖剣の隣が自分の居場所ですわって言っていたけど、いや、僕がいらないんだよね。
「シーマくん、いらっしゃい」
「よう、おかえり。まだそれほど経っていないが……随分と成長したように見えるな?」
「あはは……まぁ、色々あって……」
「それで? 隣の聖女様や屋敷で清掃員になっている勇者様についても教えてくれるよな?」
「勿論だよ。実は僕のゴミ収集で『聖剣』を収集して僕の剣にしたんだ」
「なっ!? 『聖剣』を!?」
試しに『聖剣』を見せるととても驚いてくれた。
隣にいる聖女の目がハートになっている。
こいつ……聖剣目当てなのは間違いないよね……。
「あ、それとついでに『魔剣』も貰って来たよ」
「ま、魔剣!?」
今度は『聖剣』を閉まって『魔剣』を取り出した。
禍々しいオーラに流石のシーマくんも引き攣った顔になった。
――そして。
「ま、魔王!? 許さない! 今すぐ成敗してやる!」
聖女がいきなり喚き始めた。
何だか……めんどくさいなこの人。
本気で戦う気満々で武装展開する聖女。
「ほら、聖剣だぞ?」
『魔剣』を仕舞い、『聖剣』を取り出した。
「勇者様! 私は貴方様のモノですわ!」
おい、また目がハートになっているぞ。
さっきのいかついた顔はどこにいった?
今度は『魔剣』を出す。
うわー凄いしかめっ面。
今度は『聖剣』を出す。
うわーめちゃ顔が緩んでる。
今度は『魔剣』。
今度は『聖剣』。
新たな玩具が見つかった。
◇
「聖女さん」
「アクィラと呼んでくださいまし」
ああ……めんどくさ……。
「えっと……、アクィラ」
「はいっ! 何でしょうか! 私の身体がご所望ですか!?」
ほんと、お前はぶれないな!?
「違う! アイリス! 違うから! というか、君が関わっている事を聞こうとしてるから!」
右手を握り、燃えていたアイリスが、ポカーンとした表情になった。
「私?」
「そうだよ。アクィラ。君はどうしてあんなに魔女が嫌いだったの?」
「ええ、私の母親は元々聖職者でしたの。私が六歳の時、母親は魔女の討伐に向かって帰らぬ人となりましたの……だから、私は復讐を誓いましたの。だから魔女狩りの為に組織まで作りましたから」
「えっと……まさか……その組織って……『ロキ』って名前じゃないよね?」
「あら? アレク様、どうして分かりますの?」
「「お前も元凶か!!!」」
◇
「クラフトくん」
「おお~親分!」
クラフトくんは『ゴミの祝福』で、すっかり大人しくなっており、意外と掃除が楽しいらしく、いつでも掃除を行っていた。
「ちょっと聞きたい事があるんだけどさ」
「はい? 何でしょう?」
「クラフトくんの両親はどういう人だったの?」
「俺の両親ですか? 両親なんていませんよ? 幼い頃、俺を捨てたらしいですから、そんな親なんて親とも思ってないですけど?」
「えっ…………あのさ……母親が魔族に殺さ――」
「あはは、そんな訳ないじゃないですか! 両親は俺を捨ててどっか行ったみたいですよ? 理由は知りませんが捨てた事実は変わりませんし、今どこで何をしているのかも知りませんし、知りたいとも思わないっすね~」
「そ、そう……悪かったね、変な事聞いて」
「いえいえ! 親分になら何でも話しますから! また何かあったら声かけてください!」
「わ、分かった! 仕事頑張ってね!」
「はい! 楽しい掃除~掃除~」
どうやらクラフトくんは親の仇とは全く知らなかったらしい……。
実の所、クラフトを任せ囮となった母親のたった一通の手紙があったのだが、クラフトを引き取った母親の親戚はその手紙から彼が勇者と知ると、その事を全て隠し、クラフトが十歳の時、高額で領主に売ろうとして、捕まり牢獄生活を送っているのだった。
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