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四章
第86話 収集して良かったんですか?
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包帯幼女魔族との会談から数日。
アイちゃんにお願いして、ヘルドさんには一度国に帰って貰い、現状を広めて貰う事にし、僕とアイリスは親交を深める為に魔王国に残る事にした。
あれから暫く包帯幼女魔族は忙しそうに、あちらこちらに出掛けていたが、十日程して落ち着いたように魔王城に残るようになっていた。
それと僕の『ゴミ収集』が大変気に入ったみたいで、色んな町のゴミを収集してくれないかと頼まれ、僕は快く承諾した。
だって――僕には良い事しかないからね!
ヘルドさんからの迎えが来るまでの間。
魔族の生態について、色々知る事が出来た。
端的に言えば、人間と何ら変わりのない生活を送っていた。
子供が元気よく遊んでいるし、勉強して大人になっていく。
大人は子供を守り、守る為に仕事に励む。
形が少し違うだけで、人間と違う所など、何一つないのだ。
ヘルドさんの迎えが来る二日前の朝。
僕は頼まれたように、いつもの『ゴミ超収集』を行った。
――――そして。
この事により、僕の人生は大きく変わる事となるのであった。
「あれ? アレク? どうしたの? 顔色悪いよ?」
「あ、あ、あ、あ、あ、え、え、え、え??」
「アレクったら、何を焦っているの? ほら、落ち着いて! ほら~深呼吸、すーはーすーはー」
「すーはーすーぐはっ、ゲホゲホ」
「もう~どうしちゃったのよ!」
「あ、ああ……その……ゴミ箱にとんでもないモノが入って……」
アイリスとそんなやり取りをしていると、犯人と思われる魔族が近づいて来た。
「ふふふっ、その様子なら、無事に回収出来なようじゃな?」
「エヴァ! これは君の仕業だろう!」
実は包帯幼女魔族から、名前で且つ呼び捨てしろと言われていた。
まあ、幼女だし? エヴァちゃんと呼ぶべきかと悩んだけど、恥ずかしそうに、ちゃんはやめろと言われた。
「そうじゃ、私の仕業じゃ。そうかそうか~本当に回収出来たのじゃな? これは大助かりじゃ~」
「ん? エヴァは何をしたの? アレクの顔色凄く悪いよ?」
「ふふっ、そんなに悪い事でもなかろう? 大丈夫じゃ、アレクになら安心して任せられるのじゃ」
驚きすぎて過呼吸になっている僕の背中を、アイリスが優しく摩ってくれる。
そんな合間にエヴァが僕の頭を優しくなでなでする。
幼女になでなでされる気分も悪くなくけど……なんだかな……。
「は、はぁ……どうしてエヴァがこんなもん持ってるんだよ」
「ん? 話してなかったか? それは元々私の物じゃから。ちゃんとそやつの許可も取ってあるからな?」
「あ……やっぱり、こっちにも意志……あるんだね?」
「勿論じゃ。何せ、聖剣に唯一対抗出来る魔族の切り札じゃからの!」
「んも~私にも分かるように説明しなさい~!」
拗ねてるアイリスが可愛い。
これ以上怒らせると、魔女パンチが飛んできそうなので……。
「えっとね。さっきのゴミ超収集で……ゴミ箱の中に…………『魔剣ヘルハザード』が入っていたんだよ……」
「えええええ!? 魔剣って、魔族にとっての聖剣じゃ?」
「ああ、そうみたい。何故かエヴァが持っていたみたいで……それを難なくくれるんだから……はぁ」
「あはは~それはこちらの台詞じゃ、難なく貰えるお主が凄いのじゃ」
「まあ……『ゴミ』と判断付けば……ね。まあ、一旦取り出すか~聖剣も癖ありありだったけど……魔剣はどうなんだろう……」
僕は左手に魔剣を召喚した。
僕の左手に禍々しい剣とオーラが溢れ出した。
ううっ……僕の左手が疼く……!
【其方が我の新たな主人か……前主人のエヴァからは念を押されている。これから宜しく頼む、ご主人】
あれ?
魔剣さんは聖剣さんよりもずっと常識的?
好印象のまま、僕は魔剣と共に、右手に聖剣を召喚してみた。
アイちゃんにお願いして、ヘルドさんには一度国に帰って貰い、現状を広めて貰う事にし、僕とアイリスは親交を深める為に魔王国に残る事にした。
あれから暫く包帯幼女魔族は忙しそうに、あちらこちらに出掛けていたが、十日程して落ち着いたように魔王城に残るようになっていた。
それと僕の『ゴミ収集』が大変気に入ったみたいで、色んな町のゴミを収集してくれないかと頼まれ、僕は快く承諾した。
だって――僕には良い事しかないからね!
ヘルドさんからの迎えが来るまでの間。
魔族の生態について、色々知る事が出来た。
端的に言えば、人間と何ら変わりのない生活を送っていた。
子供が元気よく遊んでいるし、勉強して大人になっていく。
大人は子供を守り、守る為に仕事に励む。
形が少し違うだけで、人間と違う所など、何一つないのだ。
ヘルドさんの迎えが来る二日前の朝。
僕は頼まれたように、いつもの『ゴミ超収集』を行った。
――――そして。
この事により、僕の人生は大きく変わる事となるのであった。
「あれ? アレク? どうしたの? 顔色悪いよ?」
「あ、あ、あ、あ、あ、え、え、え、え??」
「アレクったら、何を焦っているの? ほら、落ち着いて! ほら~深呼吸、すーはーすーはー」
「すーはーすーぐはっ、ゲホゲホ」
「もう~どうしちゃったのよ!」
「あ、ああ……その……ゴミ箱にとんでもないモノが入って……」
アイリスとそんなやり取りをしていると、犯人と思われる魔族が近づいて来た。
「ふふふっ、その様子なら、無事に回収出来なようじゃな?」
「エヴァ! これは君の仕業だろう!」
実は包帯幼女魔族から、名前で且つ呼び捨てしろと言われていた。
まあ、幼女だし? エヴァちゃんと呼ぶべきかと悩んだけど、恥ずかしそうに、ちゃんはやめろと言われた。
「そうじゃ、私の仕業じゃ。そうかそうか~本当に回収出来たのじゃな? これは大助かりじゃ~」
「ん? エヴァは何をしたの? アレクの顔色凄く悪いよ?」
「ふふっ、そんなに悪い事でもなかろう? 大丈夫じゃ、アレクになら安心して任せられるのじゃ」
驚きすぎて過呼吸になっている僕の背中を、アイリスが優しく摩ってくれる。
そんな合間にエヴァが僕の頭を優しくなでなでする。
幼女になでなでされる気分も悪くなくけど……なんだかな……。
「は、はぁ……どうしてエヴァがこんなもん持ってるんだよ」
「ん? 話してなかったか? それは元々私の物じゃから。ちゃんとそやつの許可も取ってあるからな?」
「あ……やっぱり、こっちにも意志……あるんだね?」
「勿論じゃ。何せ、聖剣に唯一対抗出来る魔族の切り札じゃからの!」
「んも~私にも分かるように説明しなさい~!」
拗ねてるアイリスが可愛い。
これ以上怒らせると、魔女パンチが飛んできそうなので……。
「えっとね。さっきのゴミ超収集で……ゴミ箱の中に…………『魔剣ヘルハザード』が入っていたんだよ……」
「えええええ!? 魔剣って、魔族にとっての聖剣じゃ?」
「ああ、そうみたい。何故かエヴァが持っていたみたいで……それを難なくくれるんだから……はぁ」
「あはは~それはこちらの台詞じゃ、難なく貰えるお主が凄いのじゃ」
「まあ……『ゴミ』と判断付けば……ね。まあ、一旦取り出すか~聖剣も癖ありありだったけど……魔剣はどうなんだろう……」
僕は左手に魔剣を召喚した。
僕の左手に禍々しい剣とオーラが溢れ出した。
ううっ……僕の左手が疼く……!
【其方が我の新たな主人か……前主人のエヴァからは念を押されている。これから宜しく頼む、ご主人】
あれ?
魔剣さんは聖剣さんよりもずっと常識的?
好印象のまま、僕は魔剣と共に、右手に聖剣を召喚してみた。
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