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四章

第84話 魔王軍との話し合いですか?

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 魔族に聖剣の誓いなんて言ったから、逆上するのかなと思ったけど、意外とそういう事はなかった。

 向こうからイケメン魔族一人と、エロい服の綺麗な魔族一人、後方にボロボロ状態の包帯に巻かれている魔族が一人とその魔族を囲うように鎧の魔族三人が両脇側と後ろ側に立っていた。

 見る感じ交渉役二人と、お偉いさん(何故包帯にぐる巻きに?)とその守り三人って感じだ。

 最初は交渉役の二人が近づいて来た。

 一応念の為といい、彼らから「聖剣を離れた所に刺して欲しい」と言われたので、聖剣を離れに刺し込んできた。

 まあ、僕には離れていてもあまり意味ないけどね。

 いつでもゴミ・・収集が出来るから。



「お、驚いた……本当に勇者クラフトではなく、新しい勇者なのか?」

 イケメン魔族が驚く。

「クラフトくんはうちの清掃員になって貰いましたよ。なので、今までみたいにクラフトくんが突っ込んでくる事はありませんから心配しないでください。もし見たいのなら見せますが?」

「い、いや、大丈夫だ。寧ろ、其方が聖剣を手に、溢れんばかりの光を出している所を目撃している……それが最も大きな証拠だろう」

 イケメンなのに……物凄く仕事が出来る人な雰囲気の魔族さんだ。

「それで……其方はどうして話し合いを? あれほど聖剣が使えたのなら……今の我々なんぞ一ひねりだろう……」

「えっと……実はちょっと事情がありまして……長くなりますが聞きます?」

「あ、ああ、ぜひとも聞きたい……がその前に少し待って貰えるか?」

「え? ええ、いいですよ?」

 イケメン魔族が後ろの包帯魔族に向かい、何かを話すと、包帯魔族も話し合いの場に参加した。

 護衛の鎧三人は後方に残したままなのだから、イケメン魔族の判断の良さには感服だ。

 こうして、ヘルドさん、僕、アイリスの三人と、イケメン魔族、エロ魔族、包帯魔族の三人の六人会談が始まった。

 先ず、会場となる『魔王城』前の平原にリサイクルで作ったテーブルを出した。

 そこに椅子を二つ……出そうとしたら、どうやら包帯魔族が一番前に来るようで僕用の椅子だけ出した。

 後ろで一緒に参加しているヘルドさんとアイリス、イケメン魔族、エロ魔族の四人分のソファーも出してあげた。

 慌てる魔族達にアイリスが笑ながら、「アレクはいつもこういう感じだから気にしないで~」と話して納得させていた。

 いつもこういう感じってどういう意味なのだ……。



「こほん、では改めて、僕が代表を務めますアレクです。一応後ろにいるヘルドさんが代表者なんですけど、この件に関して全任させて頂いてますので、僕が全権交渉役となります」

 次に包帯魔族が離した。

「私はエヴァという。私も全権交渉役として参加させて貰おう」

 包帯でぐる巻きにされてるから分からなかったけど、この魔族、どうやら女性魔族のようだ。

 しかも、身体の大きさからみて、アイちゃんと同じくらいのサイズな感じが……幼女では? と思える。

 本当にこの幼女で大丈夫か?

 ふとイケメン魔族に目線をやると、大きく頷いた。

 本当に良いんだな……。

 それと、彼女の紹介の時、ヘルドさんが分かりやすくビクッとなってたけど、知り合いなのかな?

「こほん、では、先ず僕達人間側に広まっている話から話しますね」

 包帯幼女魔族が小さく頷いた。

 僕は、最初に魔族が人間を襲った為、防衛の為に魔族を討伐するべきという事が広まっている事を説明した。

 包帯幼女魔族は静かに拳を握り震えていた。

 次に、防衛の為に王国が勇者を魔王国へ派遣した事を話した。

 次に、王国と自由連邦国という国を我々『自由国』が滅ぼし、人間の中に新たな国が出来た事を説明する。

 包帯幼女魔族は感服したように、目をキラキラさせながら頷いた。

 最後に、建国から一年が経った数日前――――北側空に大爆発が見えて、その脅威を取り除く為にここに来た事、そして、魔王城に辿り着くまで多くの魔族の町が壊滅状態だった事を話した。

 目に見えるくらい両手を握りしめ、包帯の隙間から動揺した目が覗けた。

 そんな状況に、人間側に壊滅状態になった町がなかった事、元勇者クラフトがクズ人間である事から、もしかして、この戦いは人間側から仕掛けたモノなのではと推測しており、この戦いを止められるならとの想いで、この会談を望んだ事を話した。

 包帯幼女魔族は静かに目を瞑り話を聞いていた。
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