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三章

第68話 ヘルドさん!剣を仕舞ってくださいませんか?

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 僕達の目の前に、元の姿のまま現れた『大型破壊兵器ヴァレンシア』。

 現れた瞬間、ヘルドさんが剣を抜いた。

 ――――いや! 条件反射早すぎるから!

 信じられないものを見る目で僕と『大型破壊兵器ヴァレンシア』を交互に見ながら焦るヘルドさん。

 中々普段見れない貴重なヘルドさんを見れた気がするよ。


 あ、それと、町民達が物凄く騒ぎ始めた。

 そりゃそうよね……こんなデカブツがいきなり町の外に現れたらね。

 えっと、一先ず剣を僕に向けているヘルドさんは剣を仕舞って……。

 あー、町民さん達! これは僕のモノなので、気にしなくていいですよ~


 一時間程、騒ぎを落ち着かせるのに大変だった。



 ◇



 何とか周りが落ち着いて、再度ヘルドさん達と『大型破壊兵器ヴァレンシア』の前に集まった。

 折角なので、このまま出しっぱなしにしていたら、通りかかったダークエルフの一人が勘違いして、ダークエルフ族総出で助けに来てくれた。

 ごめんなさい……本当にありがとうね。

 誤解って事を伝えて、豚肉とカニ肉を山盛りに渡すと、そのまま町民達と宴会を始めた。

 ――まだ昼過ぎなのに宴会始まったよ…………。


「くっ、アレク。お前の事だった……甘く見過ぎた」

 今でもチラチラと『大型破壊兵器ヴァレンシア』を見つめるヘルドさん。

 余程嫌なんだろうね。

 その時だった。

 僕の前に『例のモノ』が降って来た。


「ヘルドさん!! 剣を抜かないで!! それと君もいきなり出て来ちゃダメだって言ったでしょう!!!」


 僕達の前には、あの時、ヘルドさんが粉々にした『守護神』が立っている。

「マスター、マテナクテ、モウシワケ、ゴザイマセン」

 うお!? 守護神さんって喋れたの!?

「ア、アレク! こいつもその『ゴミのリサイクル』というやつで復活させたのか!?」

 ちょっと怒り気味で、僕に剣を向けたヘルドさんが叫んだ。

「ですよ! ほら、攻撃とか全くしてこないでしょう!? 大丈夫ですって! だからあれだけ驚かないでくださいって言ったんですよ!」

 僕の言葉に、アースさんとアイリス、シーマくんが大笑いした。

 いやいや、笑っている場合じゃないから!

 誰か!

 ヘルドさんに剣を仕舞うように言ってくれよ!!



 ◇



 奥義『ゴミのリサイクル』。

 最初、言葉の意味が分からず、取り敢えず、何でもいいから発動してくれと念じて発動させてみた。

 外ではこれといって何も起こらなかったけど、発動から僅か三秒後には『ゴミ箱』の中の異変に気付いた。

 たった三十秒。

 その短い間に、僕が収集していた『元大型破壊兵器ヴァレンシアの破片』達がくっつき始め……三十秒後には元の姿に戻っていた。

 しかも、完全新品同様の姿になっている。

 何となく、中を覗いてみたけど、この『大型破壊兵器ヴァレンシア』は、大気中にある『怨念』を吸って、砲台から強力な黒炎を噴射する仕組みになっているみたい。

 ここで一番大事な所。

 普段なら『怨念』を吸って、『ヴァレンシア』内部の『エネルギー』という部分の数値が貯まり、それを黒炎に変えるのだが――――『ゴミのリサイクル』で、何故か・・・この『エネルギー』まで最大値まで回復出来た。

 ――――つまり、いつでもあの広範囲黒炎を使えるって事だ。

 なんという恐ろしさ……。



 一応、正直にヘルドさんにも伝えた。

 あれ? 気の所為かな?

 ヘルドさん、いま一瞬剣を抜こうとしてなかったか?
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