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三章

第55話 大型破壊兵器をギッチョンですか?

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 守護神をヘルドさん、飛ぶ丸いモノ達をアイリスが対応して、僕は一人、大型破壊兵器『ヴァレンシア』に辿り着いた。

 目の前に広がっている山のような『ヴァレンシア』に圧倒される。

 大きくて太い『砲台』と言われているモノが中々に立派だ。

 急いで、ギッチョンにしてあげないとね。


 意外と『ヴァレンシア』本体の周辺には、王国軍の姿は見えなかった。

 守護神と丸いモノ達で十分だと判断しているのだろうね。

 ヘルドさんから二度敗北していると聞かされたから、自信満々だったのかも知れない。

 三度目の正直って言葉を知らないのかな?


 さて、僕も一仕事と行きますか!

「スキル、ゴミ召喚! 特! 大! 斬! 鉄! 剣!」

 立派な砲台の上に特大サイズの斬鉄剣を召喚した。

 今までの斬鉄剣なら、あのまま重力で加速して斬るというか、押しつぶす感じだけど、今は違う。

 特殊召喚のおかげで、斬鉄剣は重力の重さではなく、重力の重さに加えて、物凄い勢いで下に『斬る』ようになった。

 僕は右腕を上から下に振り下ろした。


 ――――サクッ。


 立派な砲台は一瞬でギッチョンになった。

 ひぃ…………。

 何故か分からないけど、僕自身もちょっと身構えてしまった。


 数秒後、巨大な砲台の筒は、胴体から切り離され地面に落ちた。

 その衝撃から周辺に物凄い爆音と共に、風圧が吹き荒れた。

 えっと……取り敢えず、あの砲台ってゴミ収集出来ないかな?

 あっ……出来た……。

 僕のゴミ箱の中に『巨大で立派な砲台の筒』が格納された。


 では、もう一発!

「スキル、ゴミ召喚! 特! 大! 斬! 鉄! 剣!」

 今度は『ヴァレンシア』の頭部分を横薙ぎ払いで一閃してあげた。


 ――――サクッ。


 ひぃ!?!?

 何故かあの音を聞く度に、僕自身も身を構えてしまう。

 何となく……大事な所を守りたくな――――。


 胴体から筒がなくなった頭部分が切り落とされ、筒同様に爆風と爆音が響き渡った。

 まさか……あれもゴミ収集…………出来るのかよ…………。

 戦利品的なイメージだったけど、落とされた瞬間に『ゴミ』になるみたい。

 こうして、僕のゴミ箱の中には、『巨大で立派な砲台の筒と頭』が入っている。

 くっきり見えている訳ではないけど、僕のゴミ箱の中でも存在感溢れている。

 これって……もしかして、『斬鉄剣』みたいに『斬鉄棒』とかで召喚したら面白そうだ。

 棒だから斬るではないか。


 じゃあ…………「スキル、ゴミ召喚! 脳天割り!!」


 何となく、残った胴体に向けて『巨大で立派な砲台の筒』を召喚して、振り下ろしてみた。

 金属同士がぶつかる音と共に、爆音爆風も勿論の事、今度は爆炎も混ざり、『ヴァレンシア』周辺は大変な状態になった。



 ◇



 ◆????◆

「ねえ、ヴァーリ」

「なんだよ、ナルヴィ」

「三ヵ月前に何が何でも殺っておくべきだったんじゃ……」

「言うな、あの時も女が混ざってきたら俺らにも多少の不安があったから」

「そうなんだけどさ…………これからあれを殺ってくれと言われても……多分、無理だよ?」

 ヴァーリと呼ばれた男性と、ナルヴィと呼ばれた女性は深く溜息を吐いた。

 彼女達が溜息を吐くのは、非常に珍しい事なのだが、当事者達にその事を知る由もなかった。

「マスターになんて報告すりゃいいのよ……」

「諦めるしかないだろうな」

「はあ……この前のアースクエイクとの戦いでも、二人堕ちたらしいじゃん」

「ふん、どうせの連中だろうがな」

「そうだね。私達五本指・・・にしてみれば、ただの雑魚だしね」

「そういう事だ。取り敢えず、マスターに報告だな」

「ああ~、今日はおやつ没収されそう」

「いいよ、今日は俺が出してやるから」

「ほんと!? やった!!!」

 彼女の喜ぶ声が響いた瞬間、男女の姿は何処にもなかった。
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