44 / 102
二章
第43話 ただの町民達ですか?
しおりを挟む
第一陣が壊滅したので、全部回収すると、そこには気絶している五十人の兵士達が倒れていた。
ブォオオオオー!
二度目の大笛の音がした。
更に兵士五十人と騎兵十人がこちらに向かってきた。
さっきとは違い、陣形も変わり、広く位置を取っている。
そして、両脇から騎兵は五人ずつ分かれて、こちらに向かってきた。
「第二陣が来る! 騎兵はセイ隊で対応! 左翼、右翼分かれているからな!」
「「あいよ!!」」
セイくん率いる獣人族の足が速い人で構成されている遊撃隊の面々が、練習通り分かれて、左翼と右翼に散って行った。
「正面の兵士達の数は五十! 皆、普段通り、怪我した者は無理せず、絶対に撤退する事!」
「「「おおおお!」」」
セイくん達の他、戦いに心得がある人達で構成されている戦闘隊の皆が前に出た。
そして、皆はとある薬を飲み込んだ。
全員の身体から光が小さく発せられる。
これは『戦闘用ポーション』だ。
全て、シーマくんの作品である。
戦場でも非常に大きい成果をもたらすと言われている『ポーション』。
それは、飲んだ数十分間、ステータス増加等の効果をもたらす。
今回の『戦闘用ポーション』は、なんと、『力と素早さ』が二段階も上がる優れものだ。
これでシーマくんがどれくらい優秀なのかを示せるだろう。
何せ、本来の『ポーション』は、一つのステータスを一段階しか上げられないのだから。
因みに、重複は不可能という事で、基本的には上書きになるみたい。
依存症とかもないらしいけど、一度ステータスが上がった事を体験すれば、依存になる人も多いみたい。
なので、『錬金術師』はそれぞれの有力者達から狙われているのだ。
大きな怒声と共に、兵士達と戦闘隊がぶつかった。
もみくちゃの戦いも、遠い目では、どちらが優勢なのかも分からない。
僕は、ただひたすら、皆の無事を祈るしか出来なかった。
◇
連邦国の兵士達は、一つ、大きな勘違いをしていた。
外からでも分かるボロい町。
更に聞けば、この町では『ゴミ』を集めているという事ではないか。
全員、この遠征を楽しみにしていた。
――――そう、自分達が蹂躙する事を楽しみにしていたのだ。
しかし、自分達は狙っていたような事は起きなかった。
何故なら……。
蹂躙されるのが、自分達だったからである。
始めに、ステータスが大幅に上がった上に、元々、ランクの高い魔物と戦った経験により、レベルも高く、命の危機に迫る戦いを経験している彼らは――――凄まじく強かった。
彼らは、ただの町民のはずだ。
そのただの町民が問題だった。
自由の町『ベータ』。
その町の異常性を、相手からの兵士達は何一つ知らなかった。
兵士一人に対して、町民一人。
最初、笑顔のまま斬りかかる兵士達の剣や槍は、空しくも町民達にかすりもしなかった。
寧ろ…………町民達の驚いた顔で「え? そんなもんなの?」という表情を全ての兵士達が味わう事となった。
町民達は溜息を一つ吐き、呆れたように目の前の兵士をボコボコにする。
兵士達五十人、全員が町民達によって一対一でボコボコにされた。
◇
「へぇー、連邦国の馬は大したことないんだね?」
走っている馬の隣をセイくんが同じ速度で走りながら話した。
馬に乗っている騎兵は、長い槍でセイを突くが、当たるはずもなく。
そもそも、馬と同速度で走れる人がいる事に驚いた上に、それが一人だけじゃない事に更に驚く事となる。
セイ率いる遊撃隊は、全員が獣人族で構成されている隊だ。
何故なら、獣人族達の殆どは、レベルアップの恩恵が『素早さ』に出る。
それは、どんな能力だったとしても、『素早さ』が必ず上昇するという種族特有の特性だ。
遊撃隊も戦闘隊同様、数々の死の戦場を潜り抜けてきた。
今では、遊ぶようにギルティファング達に追いかけられているセイくんでさえ、一度足を止めれば、待っているのは『死』そのものだ。
そんな究極ともいう状況に、彼ら遊撃隊もまた大きく進化を遂げた。
その先にあったのは……まさに『神速』隊であった。
騎兵達、遊撃隊により、一人、また一人、馬から落とされ、全ての馬がベータ町の馬の所有物となり、騎兵達全員、成す術もなく、遊撃隊にボコボコにされるのであった。
ブォオオオオー!
二度目の大笛の音がした。
更に兵士五十人と騎兵十人がこちらに向かってきた。
さっきとは違い、陣形も変わり、広く位置を取っている。
そして、両脇から騎兵は五人ずつ分かれて、こちらに向かってきた。
「第二陣が来る! 騎兵はセイ隊で対応! 左翼、右翼分かれているからな!」
「「あいよ!!」」
セイくん率いる獣人族の足が速い人で構成されている遊撃隊の面々が、練習通り分かれて、左翼と右翼に散って行った。
「正面の兵士達の数は五十! 皆、普段通り、怪我した者は無理せず、絶対に撤退する事!」
「「「おおおお!」」」
セイくん達の他、戦いに心得がある人達で構成されている戦闘隊の皆が前に出た。
そして、皆はとある薬を飲み込んだ。
全員の身体から光が小さく発せられる。
これは『戦闘用ポーション』だ。
全て、シーマくんの作品である。
戦場でも非常に大きい成果をもたらすと言われている『ポーション』。
それは、飲んだ数十分間、ステータス増加等の効果をもたらす。
今回の『戦闘用ポーション』は、なんと、『力と素早さ』が二段階も上がる優れものだ。
これでシーマくんがどれくらい優秀なのかを示せるだろう。
何せ、本来の『ポーション』は、一つのステータスを一段階しか上げられないのだから。
因みに、重複は不可能という事で、基本的には上書きになるみたい。
依存症とかもないらしいけど、一度ステータスが上がった事を体験すれば、依存になる人も多いみたい。
なので、『錬金術師』はそれぞれの有力者達から狙われているのだ。
大きな怒声と共に、兵士達と戦闘隊がぶつかった。
もみくちゃの戦いも、遠い目では、どちらが優勢なのかも分からない。
僕は、ただひたすら、皆の無事を祈るしか出来なかった。
◇
連邦国の兵士達は、一つ、大きな勘違いをしていた。
外からでも分かるボロい町。
更に聞けば、この町では『ゴミ』を集めているという事ではないか。
全員、この遠征を楽しみにしていた。
――――そう、自分達が蹂躙する事を楽しみにしていたのだ。
しかし、自分達は狙っていたような事は起きなかった。
何故なら……。
蹂躙されるのが、自分達だったからである。
始めに、ステータスが大幅に上がった上に、元々、ランクの高い魔物と戦った経験により、レベルも高く、命の危機に迫る戦いを経験している彼らは――――凄まじく強かった。
彼らは、ただの町民のはずだ。
そのただの町民が問題だった。
自由の町『ベータ』。
その町の異常性を、相手からの兵士達は何一つ知らなかった。
兵士一人に対して、町民一人。
最初、笑顔のまま斬りかかる兵士達の剣や槍は、空しくも町民達にかすりもしなかった。
寧ろ…………町民達の驚いた顔で「え? そんなもんなの?」という表情を全ての兵士達が味わう事となった。
町民達は溜息を一つ吐き、呆れたように目の前の兵士をボコボコにする。
兵士達五十人、全員が町民達によって一対一でボコボコにされた。
◇
「へぇー、連邦国の馬は大したことないんだね?」
走っている馬の隣をセイくんが同じ速度で走りながら話した。
馬に乗っている騎兵は、長い槍でセイを突くが、当たるはずもなく。
そもそも、馬と同速度で走れる人がいる事に驚いた上に、それが一人だけじゃない事に更に驚く事となる。
セイ率いる遊撃隊は、全員が獣人族で構成されている隊だ。
何故なら、獣人族達の殆どは、レベルアップの恩恵が『素早さ』に出る。
それは、どんな能力だったとしても、『素早さ』が必ず上昇するという種族特有の特性だ。
遊撃隊も戦闘隊同様、数々の死の戦場を潜り抜けてきた。
今では、遊ぶようにギルティファング達に追いかけられているセイくんでさえ、一度足を止めれば、待っているのは『死』そのものだ。
そんな究極ともいう状況に、彼ら遊撃隊もまた大きく進化を遂げた。
その先にあったのは……まさに『神速』隊であった。
騎兵達、遊撃隊により、一人、また一人、馬から落とされ、全ての馬がベータ町の馬の所有物となり、騎兵達全員、成す術もなく、遊撃隊にボコボコにされるのであった。
12
お気に入りに追加
614
あなたにおすすめの小説
赤毛のアンナ 〜極光の巫女〜
桐乃 藍
ファンタジー
幼馴染の神代アンナと共に異世界に飛ばされた成瀬ユウキ。
彼が命の危機に陥る度に発動する[先読みの力]。
それは、終焉の巫女にしか使えないと伝えられる世界最強の力の一つだった。
世界の終わりとされる約束の日までに世界を救うため、ユウキとアンナの冒険が今、始まる!
※2020年8月17日に完結しました(*´꒳`*)
良かったら、お気に入り登録や感想を下さいませ^ ^
------------------------------------------------------
※各章毎に1枚以上挿絵を用意しています(★マーク)。
表紙も含めたイラストは全てinstagramで知り合ったyuki.yukineko様に依頼し、描いて頂いています。
(私のプロフィール欄のURLより、yuki.yukineko 様のインスタに飛べます。綺麗で素敵なイラストが沢山あるので、そちらの方もご覧になって下さい)
【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?
眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。
これが全ての始まりだった。
声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。
なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。
加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。
平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。
果たして、芳乃の運命は如何に?
アルゴノートのおんがえし
朝食ダンゴ
ファンタジー
『完結済!』【続編製作中!】
『アルゴノート』
そう呼ばれる者達が台頭し始めたのは、半世紀以上前のことである。
元来アルゴノートとは、自然や古代遺跡、ダンジョンと呼ばれる迷宮で採集や狩猟を行う者達の総称である。
彼らを侵略戦争の尖兵として登用したロードルシアは、その勢力を急速に拡大。
二度に渡る大侵略を経て、ロードルシアは大陸に覇を唱える一大帝国となった。
かつて英雄として名を馳せたアルゴノート。その名が持つ価値は、いつしか劣化の一途辿ることになる。
時は、記念すべき帝国歴五十年の佳節。
アルゴノートは、今や荒くれ者の代名詞と成り下がっていた。
『アルゴノート』の少年セスは、ひょんなことから貴族令嬢シルキィの護衛任務を引き受けることに。
典型的な貴族の例に漏れず大のアルゴノート嫌いであるシルキィはセスを邪険に扱うが、そんな彼女をセスは命懸けで守る決意をする。
シルキィのメイド、ティアを伴い帝都を目指す一行は、その道中で国家を巻き込んだ陰謀に巻き込まれてしまう。
セスとシルキィに秘められた過去。
歴史の闇に葬られた亡国の怨恨。
容赦なく襲いかかる戦火。
ーー苦難に立ち向かえ。生きることは、戦いだ。
それぞれの運命が絡み合う本格派ファンタジー開幕。
苦難のなかには生きる人にこそ読んで頂きたい一作。
○表紙イラスト:119 様
※本作は他サイトにも投稿しております。
僕のおつかい
麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。
東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。
少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。
彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。
そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※一話約1000文字前後に修正しました。
他サイト様にも投稿しています。
異世界生活研修所~その後の世界で暮らす事になりました~
まきノ助
ファンタジー
清水悠里は先輩に苛められ会社を辞めてしまう。異世界生活研修所の広告を見て10日間の研修に参加したが、女子率が高くテンションが上がっていた所、異世界に連れて行かれてしまう。現地実習する普通の研修生のつもりだったが事故で帰れなくなり、北欧神話の中の人に巻き込まれて強くなっていく。ただ無事に帰りたいだけなのだが。
元四天王は貧乏令嬢の使用人 ~冤罪で国から追放された魔王軍四天王。貧乏貴族の令嬢に拾われ、使用人として働きます~
大豆茶
ファンタジー
『魔族』と『人間族』の国で二分された世界。
魔族を統べる王である魔王直属の配下である『魔王軍四天王』の一人である主人公アースは、ある事情から配下を持たずに活動しいていた。
しかし、そんなアースを疎ましく思った他の四天王から、魔王の死を切っ掛けに罪を被せられ殺されかけてしまう。
満身創痍のアースを救ったのは、人間族である辺境の地の貧乏貴族令嬢エレミア・リーフェルニアだった。
魔族領に戻っても命を狙われるだけ。
そう判断したアースは、身分を隠しリーフェルニア家で使用人として働くことに。
日々を過ごす中、アースの活躍と共にリーフェルニア領は目まぐるしい発展を遂げていくこととなる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる