30 / 102
二章
第29話 ゴミ運びですか?
しおりを挟む
自由の町、ベータも大きくなりつつあった。
本来なら非常に良い土地なので、作物の育ちも良いし、天候も良かった。
たった一つ。
強力な魔物が現れる事以外は、とても良い土地だった。
豚が六体も確保出来た僕達は、暫く肉には困らない事だろう。
そんな思っていた矢先、見張り隊から知らせが入った。
そこに向かって見ると――――向こうで手を振っている人影が複数人いた。
そしてその後ろに大量の『ゴミ』が乗せられていた。
――そう、僕の『ゴミ箱』のレベルを上げる為、こうして自由連邦国からゴミを回収してきてくれる一団だ。
彼らは連邦国にある多くのゴミをまとめてこちらに運んでくれている。
彼らのゴミを引き取れば、僕のレベル上げの為にもあるし、料金まで貰えるので、非常にありがたい。
まぁ、彼らからしたら、安価でゴミを引き取ってくれるから物凄く感謝されているけどね。
◇
「ギアンさん、いつもお疲れ様です」
「これはアレクさん。こちらこそ、今回の買取もよろしくお願いします」
「ええ、勿論です。いつものようにしてください」
「本当に、いつもいつもありがとうございます」
ギアンさん率いる『ゴミ収集一団』は報酬と共に、ゴミを連邦国から受け取って、その報酬の半分を僕らに払ってゴミを丸々置いていく形になっている。
タダでもいいけど、世界の『ゴミ』処理は中々金がかかるので、貰うべきだと、半額も貰っていた。
運ぶだけだからと、寧ろ七割渡すと言われたけど、そこは危険手当も兼ねて半分にして貰った。
まあ、この町から連邦国の道で強い魔物が出てこないけどね。
ギアンさんはいつものゴミ置き場にゴミを置いてくれた。
そして、労いで豚肉をご馳走した。
実はギアンさん達の一番の楽しみはこの豚肉のご馳走だそうだ。
彼らが持ってきた酒とこちらの豚肉で宴会が始まった。
いつもの光景だ。
◇
宴会が終わり、夜。
ギアンさんが一人で訪れてきた。
「ギアンさん?」
「アレクさん。例の――」
「分かりました、こちらにどうぞ」
僕はギアンさんを連れて、部屋の更なる奥――――地下室に入って行った。
ここは、僕がゴミ収集と召喚を使い掘った地下室だ。
要は、秘密の会談室だ。
「はい、これがアースさんからの手紙です」
巻かれた羊皮紙を一つ、取り出した。
羊皮紙を開いて、中身を確認する。
アースさんの字なので、間違いないだろう。
「確かに受け取りました。いつもありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ、アレクさんのおかげで我々も生活出来ていますから。またアースさんの報告があれば持ってきます」
「ええ、お願いします」
アースさんとリグレットさん二人は、現在、自由連邦国の二人組傭兵として働いている。
今やって貰っているのは、王国の行動の監視だ。
幾ら僕が強くなったとはいえ、一国の大軍を相手には出来ない。
なので、王国がこれからどう出るか見て貰っている。
見て貰っているというか、アースさんがそう言いだして、リグレットさんと出て行った。
最初は引き留めたんだけど、アースさんから…………「リグレットと二人きりになりたいんだよ」と言われた。
うん。それは邪魔出来ないね。
実はアースさんとリグレットさん。
元々夫婦だったって話した。
二人とも、冒険者時代仲間だったようで、冒険者頃に結婚したそうだ。
しかし、アースさんに事情があり、離婚してしまったとの話した。
それからとある集団を追いかけたアースさんだったが、返り討ちに会って、ボロボロになってギャザー町に辿り着いたという事だ。
そこから全てを無くしたアースさんは、自分の傷を治すのに借金を背負い、奴隷となるものの、後からアースさんの存在を嗅ぎつけたリグレットさんがギャザー町に現れ、借金を全部返したそうだ。
一度落ちぶれたアースさんは自らヴァレン町に住み着いて、町長となるのだ。
あれからもずっとリグレットさんは待っていたそうだ。
ほんと羨ましい事だ。
これを機に再婚するそうで、二人だけで過ごしたいから町に出ると言っていたけど、あれも多分嘘だろうね。
そうじゃなければ、毎週こうやって王国の現状について送ってはくれないと思う。
でも再婚したのは本当の事らしい。
リグレットさんの尻に敷かれるアースさんを想像すると、いつも笑みがこぼれてしまう。
本来なら非常に良い土地なので、作物の育ちも良いし、天候も良かった。
たった一つ。
強力な魔物が現れる事以外は、とても良い土地だった。
豚が六体も確保出来た僕達は、暫く肉には困らない事だろう。
そんな思っていた矢先、見張り隊から知らせが入った。
そこに向かって見ると――――向こうで手を振っている人影が複数人いた。
そしてその後ろに大量の『ゴミ』が乗せられていた。
――そう、僕の『ゴミ箱』のレベルを上げる為、こうして自由連邦国からゴミを回収してきてくれる一団だ。
彼らは連邦国にある多くのゴミをまとめてこちらに運んでくれている。
彼らのゴミを引き取れば、僕のレベル上げの為にもあるし、料金まで貰えるので、非常にありがたい。
まぁ、彼らからしたら、安価でゴミを引き取ってくれるから物凄く感謝されているけどね。
◇
「ギアンさん、いつもお疲れ様です」
「これはアレクさん。こちらこそ、今回の買取もよろしくお願いします」
「ええ、勿論です。いつものようにしてください」
「本当に、いつもいつもありがとうございます」
ギアンさん率いる『ゴミ収集一団』は報酬と共に、ゴミを連邦国から受け取って、その報酬の半分を僕らに払ってゴミを丸々置いていく形になっている。
タダでもいいけど、世界の『ゴミ』処理は中々金がかかるので、貰うべきだと、半額も貰っていた。
運ぶだけだからと、寧ろ七割渡すと言われたけど、そこは危険手当も兼ねて半分にして貰った。
まあ、この町から連邦国の道で強い魔物が出てこないけどね。
ギアンさんはいつものゴミ置き場にゴミを置いてくれた。
そして、労いで豚肉をご馳走した。
実はギアンさん達の一番の楽しみはこの豚肉のご馳走だそうだ。
彼らが持ってきた酒とこちらの豚肉で宴会が始まった。
いつもの光景だ。
◇
宴会が終わり、夜。
ギアンさんが一人で訪れてきた。
「ギアンさん?」
「アレクさん。例の――」
「分かりました、こちらにどうぞ」
僕はギアンさんを連れて、部屋の更なる奥――――地下室に入って行った。
ここは、僕がゴミ収集と召喚を使い掘った地下室だ。
要は、秘密の会談室だ。
「はい、これがアースさんからの手紙です」
巻かれた羊皮紙を一つ、取り出した。
羊皮紙を開いて、中身を確認する。
アースさんの字なので、間違いないだろう。
「確かに受け取りました。いつもありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ、アレクさんのおかげで我々も生活出来ていますから。またアースさんの報告があれば持ってきます」
「ええ、お願いします」
アースさんとリグレットさん二人は、現在、自由連邦国の二人組傭兵として働いている。
今やって貰っているのは、王国の行動の監視だ。
幾ら僕が強くなったとはいえ、一国の大軍を相手には出来ない。
なので、王国がこれからどう出るか見て貰っている。
見て貰っているというか、アースさんがそう言いだして、リグレットさんと出て行った。
最初は引き留めたんだけど、アースさんから…………「リグレットと二人きりになりたいんだよ」と言われた。
うん。それは邪魔出来ないね。
実はアースさんとリグレットさん。
元々夫婦だったって話した。
二人とも、冒険者時代仲間だったようで、冒険者頃に結婚したそうだ。
しかし、アースさんに事情があり、離婚してしまったとの話した。
それからとある集団を追いかけたアースさんだったが、返り討ちに会って、ボロボロになってギャザー町に辿り着いたという事だ。
そこから全てを無くしたアースさんは、自分の傷を治すのに借金を背負い、奴隷となるものの、後からアースさんの存在を嗅ぎつけたリグレットさんがギャザー町に現れ、借金を全部返したそうだ。
一度落ちぶれたアースさんは自らヴァレン町に住み着いて、町長となるのだ。
あれからもずっとリグレットさんは待っていたそうだ。
ほんと羨ましい事だ。
これを機に再婚するそうで、二人だけで過ごしたいから町に出ると言っていたけど、あれも多分嘘だろうね。
そうじゃなければ、毎週こうやって王国の現状について送ってはくれないと思う。
でも再婚したのは本当の事らしい。
リグレットさんの尻に敷かれるアースさんを想像すると、いつも笑みがこぼれてしまう。
11
お気に入りに追加
616
あなたにおすすめの小説
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
公爵家の半端者~悪役令嬢なんてやるよりも、隣国で冒険する方がいい~
石動なつめ
ファンタジー
半端者の公爵令嬢ベリル・ミスリルハンドは、王立学院の休日を利用して隣国のダンジョンに潜ったりと冒険者生活を満喫していた。
しかしある日、王様から『悪役令嬢役』を押し付けられる。何でも王妃様が最近悪役令嬢を主人公とした小説にはまっているのだとか。
冗談ではないと断りたいが権力には逆らえず、残念な演技力と棒読みで悪役令嬢役をこなしていく。
自分からは率先して何もする気はないベリルだったが、その『役』のせいでだんだんとおかしな状況になっていき……。
※小説家になろうにも掲載しています。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
興味はないが、皇帝になってやるよ
編端みどり
ファンタジー
皇帝の座を兄と争っている為に、連日兄から暗殺者が仕向けられてくる。面倒だから、継承権を放棄して城から出て行きたい。だが、父である皇帝は何度言っても継承権を剥奪してくれない。
イライラした日々を送っていたら、今日も深夜に暗殺者が来た。いつものように始末しようとしたら、その暗殺者は幼い頃に心を通わせた元王女だった。
クソ兄貴め。オレが彼女を探してたのを分かってて仕掛けやがったな。
もう受け流してなんかやらない。兄貴を蹴落として、オレが皇帝になってやるよ。
番外編も、完結しました。
呪われた子と、家族に捨てられたけど、実は神様に祝福されてます。
光子
ファンタジー
前世、神様の手違いにより、事故で間違って死んでしまった私は、転生した次の世界で、イージーモードで過ごせるように、特別な力を神様に授けられ、生まれ変わった。
ーーー筈が、この世界で、呪われていると差別されている紅い瞳を宿して産まれてきてしまい、まさかの、呪われた子と、家族に虐められるまさかのハードモード人生に…!
8歳で遂に森に捨てられた私ーーキリアは、そこで、同じく、呪われた紅い瞳の魔法使いと出会う。
同じ境遇の紅い瞳の魔法使い達に出会い、優しく暖かな生活を送れるようになったキリアは、紅い瞳の偏見を少しでも良くしたいと思うようになる。
実は神様の祝福である紅の瞳を持って産まれ、更には、神様から特別な力をさずけられたキリアの物語。
恋愛カテゴリーからファンタジーに変更しました。混乱させてしまい、すみません。
自由にゆるーく書いていますので、暖かい目で読んで下さると嬉しいです。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる