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一章

第5話 分析ですか?

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 ヴァレン町で大きな動きが始まった。

 普段からゴミを選別して『デッドゴミ』ではないゴミを集めて、町中央の『ゴミ処理場』に持って来た多くの大人達が、今では『デッドゴミ』も一緒に回収してきた。

 『デッドゴミ』はあの古代機械というやらでも処分出来なくて、町の至る所に捨てられていた。

 それが少しずつ増えて、ゴミの山を大きくしていたから溢れるようになったのだ。

 その『デッドゴミ』。

 遂に処分出来る方法が見つかった。


 ――――そう、僕だ。


 僕のスキル『ゴミ収集』は通常スキルと違って、使用するのに魔力を用いない。

 普通のスキルは使うために体内魔力を消費するらしい。

 僕は使った事がないので、良く分からない感覚だ。


 僕は手のひらを前に広げて、前を歩くだけだ。

 それだけでゴミが一瞬で消えていった。


 町の多くの人達の助けもあって、物凄い勢いで収集する事が出来た。




 それを一か月程、繰り返した。

 それで幾つか分かった事をまとめよう。


①スキル『ゴミ収集』は常時使用が可能だった。

 寝てる時も発動させっぱなしで収集出来る事も確認した。

 寝てる時、アイリスちゃんにゴミを持ってきて貰って試した。


②先程も話した通り、使用中一切の魔力を使わないので、無限に発動させる事が出来た。


③一度収集して異空間に収納した『ゴミ』を外に出す事は、どうやっても不可能だった。


④これが一番大事な事なんだけど――、収集出来るのは、あくまで『ゴミ』と呼ばれるモノだけだった。

 初日は無我夢中で収集して、全て収集していたけど、一度食材と認識したモノは『食材』になるので収集出来なかった。


 そして分かった事は、どうやら全ての物には『所有権』というモノがあるみたいだ。

 例えば、野に落ちている果物があったとする。

 その果物は誰かが育てたモノではないので『所有権』が無く、最初に触れた者になるようだ。

 そして一度『所有権』を得た物は、その人の『所有物』となる。


 一度でも、誰かの『所有物』になると、いくら僕が『ゴミ』と認識しても『収集』する事は出来なかった。


 それを試したのが、ピエルくんが持っていた『宝』と呼んでいる貝殻だった。

 僕にはあれが『ゴミ』にしか見えてなかった、ずっとね。

 だから、こっそり試してみた。

 『ゴミ』と認識していても、あの貝殻は『ピエルくんの所有物』だったので収集出来なかった。

 それを後日、ピエルくんに話したら物凄く怒られた。

 三日くらいずっと追い回されるくらいに。


⑤では他人の『所有物』を、どうしたら『ゴミ』として収集出来るかも試した。

 それはとても簡単だった。

 『持ち主』が『所有物』を『ゴミ』として捨てれば良かった。

 え? どうやって試したかって?

 そりゃ――――――。

 ピエルくんに「その貝殻をゴミだと思って捨てて見てよ~」と言ったら、やってくれたから分かったんだ。

 それから一週間くらい口も聞いてくれなくなったけどね。

 でもピエルくん、ちゃんとやってくれる辺り、本当に優しい奴だなと思う。


 この方式で、ここの捨てられた『ゴミ』は、僕が『ゴミ』と認識していれば、全て『ゴミ』として収集出来たりした。

 中にはとんでもない品もあったりするんだけど、取り出す方法がないので、宝の持ち腐れだ。



 以上が、今回知った事だった。

 マイケル爺さんの言う通り、特殊スキルだからなのか、試しているうちに、何となく知る事が出来た。

 能力のレベルが上がったら、『神様の声』が聞こえて、スキル獲得とか言われるらしいけど、まだ僕には経験がないのでワクワクしていた。

 しかし……これだけ『ゴミ』を収集したのに、いつになればレベルが上がるのだろうか?





 そんな事を思っていると――――


 - 能力『ゴミ箱』のレベルが上がりました。-


 僕は初めて、『神様の声』を聞けた。
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