神獣転生のはずが半神半人になれたので世界を歩き回って第二人生を楽しみます~

御峰。

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第45話 村の正体

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 家の中に入ると、不思議な香りがしている。いや、何度も嗅いだことがある香りだ。

「お線香?」

「お兄さん、お線香を知っているんですか?」

 思わず口にしたら、やはりお線香の香りだったみたい。

【お兄ちゃん? お線香って何?】

 うぐっ!?

 そういや、俺がお線香の香りを知っているのは変な話だな。

「え、えっと、王都でたまたま寄ったところで嗅いだことがあるんだよ」

【ふう~ん? 私がいない間に?】

「そ、そう! シャリーを探しにいく前にたまたまね。珍しい香りだったから!」

【へえ~】

 危ない危ない……前世のことを話してもいいんだけど、まだ話す覚悟がない。話しても俺が俺である事は変わりないんだろうけど、俺が人族の姿を求めた理由が前世の記憶だから、変な誤解を生まないように今のところは隠すことにする。

 とりあえず入った家の中は整理整頓が整っているけど、どうやら一人で暮らしているみたい?

 椅子も一つしかないし、ベッドも一つで一人で暮らしやすいような配置だ。

「え、えっと……ここに絨毯じゅうたんが……」

 ぐるぐる巻かれた絨毯を取り出そうとするが、重いのか取り出せずにいたので、手伝ってあげる。

 床に絨毯を敷いて、丸いテーブルを中央に置いて囲むようにみんなで座った。

 女の子はすぐにお茶を淹れてくれて、俺達に淹れてくれる。

 お茶の香りも前世でよく目にする緑茶だ。

「不思議な味がします~とても美味しいですね」

「そうだな。俺も好きかな」

 お茶の事は知らないふりをしておく。

【ふう~ん】

 …………。

「それで、君はどうしてこんな場所で一人で住んでいるの? 近くに王都があるはずなんだけど」

「えっと……私は王都には住めないんです……」

「王国にそんなルールあったっけ?」

 シャリーを見つめても彼女も知らないようで首を横に振る。

「え、えっと……みなさんはどうやって・・・・・ここに来られたんですか?」

「どうやって? 普通に道を歩いて来たんだけど……?」

「えっ!? ふ、普通にですか? それにウォーモンキーからも攻撃されずにですか?」

「そうだね。特に迷うことなく、真っすぐ上り道を進んで、ウォーモンキーに睨まれながらここに辿り着いた感じかな?」

 女の子はますます目を大きくして驚いた。

 そこまで驚くことなのか?

「この村は普通の人は辿り着けない場所なんです。普段は霧の結界で覆われて……ウォーモンキーからの攻撃もされるので、ここに来れる人は運がいい人だけなんです」

「霧の結界!? そんなものは全くなかったけど、君がここで一人で暮らしている理由でもあるのか?」

 図星のようで、目を泳がせながら誤魔化そうとする。

 あまり人と関わっていないのか、分かりやすくて可愛らしい。

【兄ちゃん~】

 頭の上にルークが飛んでくる。

【この子、人じゃないかも】

【そうね。その子は人族じゃないわね】

「ええええ!? 人族じゃないの!?」

「「えっ!?」」

「ひい!? え、えっと…………は、はい……私は人族ではないですよ?」

 どこからどう見ても人族にしか見えないのだが……。

 目を細めてジロジロと眺めると、魔力の流れが人族とは違う感じがする。

 魔力も普通の人とは違う感じだ。

「私は半分精霊なんです。半分は人族ですけど……」

「なるほど! だから人族の姿で不思議な魔力を覆っているんだね。納得したよ。なるほどな~」

 精霊は初めて会うから魔力の色を覚えておかなくちゃ。

「私はお父さんとお母さんの帰りをここで待っているんです。えっと、お父さんが人族でお母さんが精霊なんですけど、色々あってお母さんがここを出る時に霧の結界を張ってくれたんです」

「なるほど……ん? ここって村だよね? 周りに家とか沢山あったけど」

「えっと、他の家は幻影を見せているんです。これも私を守るためにお母さんが残してくれた結界魔法です」

 ということは、正真正銘の一人暮らしということか。

 食事には困ってるように見えないので、自給自足はできているのか。

「それなら俺達に驚いても不思議ではないな。そうか。それだとあまり長居しない方が良さそうだね」

「!? え、えっと! そ、そうだ! 村に温泉というのがあるんですけど入りますか?」

「温泉!? 入りたい!」

 温泉という懐かしい言葉に真っ先に反応してしまう。

【温泉ね~ふう~ん?】

 クレアがずっと目を細めてじーっと見つめて来る。

 無言の圧力が…………。

「えへへ~案内しますね! えっと、今日はみなさん村に泊まりますか? お食事も用意しますよ?」

「そこまで!? それは少し申し訳ないというか……」

「大丈夫です! 食料は十分ありますし、大したおもてなしはできませんが頑張ります!」

 何故か力が入っているので断るのも難しいと思いお願いすることにした。

 最初に会った時は怖がっていたはずなのに、ものすごく嬉しそうにしてくれる女の子に勢いのまま温泉に案内された。
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