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第42話 湖に種を降らせる
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暫く歩いて少し休んでを繰り返す。
道の脇を歩きながら思った事は、思っていた以上に馬車の往来が多い。
ただの馬車だけでなく、荷馬車も多く通ってて商人の格好の人と護衛が荷馬車に乗っているのが見える。
王都を後にすると、堂々と奴隷を連れた人は見かけない。暗黙で了承しているだけで表立って賛同しているわけではないからね。
「アルマ様~! 向こうに泉がありますよ~!」
念のため常に道しるべの地図を意識しているので、近くの地形は大体把握している。
向こう岸の人が辛うじて見えるくらいには広い泉だ。どちらかというと湖か?
「少し休んで行こう」
「「は~い!」」
敷物を敷くとリアちゃんが不思議な魔法を敷物に掛ける。
本来なら風に煽られてしまう敷物が、全く動かなくなった。
「もしかして、敷物が飛ばないようにしてくれたのか?」
コクリと頷くリアちゃんが可愛くて、すかさず頭を撫でてあげる。
人や鳥と違って頭に耳があるので、撫でた時に耳も触れてしまう。
ソフィアちゃん曰く、獣人族は耳を撫でられるとものすごく気持ちいいらしい。
「それにしても疲れてないかい?」
今度は首を横に振る。
無理している――――――ようには見えない。
持ってきたバスケットの中から、サンドイッチを取り出して渡してくれるソフィアちゃんに聞く事にする。
「ソフィアちゃん。疲れてない?」
「いえ? 全く疲れていません」
いくら少し休みながらとはいえ、ここまでずっと歩き続けたのに不思議に思える。
「えっと、アルマ様。獣人族には誰でも獣神様の加護が与えられます。人族が成長加護が与えられるように、獣人族は移動に対して加護が与えられます。リアちゃんにもきっと獣神様の加護が与えられるいるのよね?」
首を縦に頷く。
「なるほど。その加護があれば、歩くだけならそれほど疲れないのか?」
「そういう事になります。重い荷物を持ったりすれば負担がかかるので疲れたりしますが、今の私達なら問題ないですね」
リアちゃんも自分の肌着や服を入れたリュックを背負っているし、みんなそれぞれ身軽にリュックを背負っている。
こういう時、俺が持っている道しるべの収納が使えればいいんだけど、これは植物専用アイテムボックスなので難しい。
野菜も入れられるし、時間が停止するから保存にも長けているので、王都で沢山購入してきた植物類が入っている。
料理担当のソフィアちゃんが必要な時に出してあげる予定だ。
「じゃあ、今度からは途中休みもなしで歩いても良さそうだね」
「はい。私達の心配をしてくださってありがとうございます。ちゃんと辛いときは辛いと言いますので!」
ソフィアちゃんの言葉に同調するかのようにリアちゃんも大きく頷いた。
シャリーはサンドイッチを妹弟たちにあげ終わったらしくて、自分の分を食べ始めていた。
彼女は冒険者でもあるし、歩くのは慣れてそうだから気にしなくても良さそうだ。
敷物の上で通り過ぎる涼しい風を感じながら湖を暫く堪能した。
道しるべの地図を何となく眺めていると、湖の下にもいろんな植物が生息していた。
採る人もいないだろうから、全部回収しておこう。
特典で獲得した『採取+1』のおかげなのか、採取した植物が一つに付き二つずつ収納されていく。
今までは採取した数分増えるのが、今では倍ずつ増えていく。増える数字がものすごく気持ちいい。
「アルマくん、変な笑い方してるよ?」
「はっ! 思わず、湖の下にある植物を全部取ってしまった…………」
「えっ!? 全部取った!?」
「増える数字が気持ちよくて…………」
「んも! ダメだよ? 湖の植物を食べて育つ魚だっているかも知れないでしょう!?」
叱られているのに膨れたシャリーが可愛くて怒られてる気がしない。
「そ、そうだった……今後気を付けます…………」
「ほら、種を作って撒くよ?」
「は~い」
湖から取った植物を種に変換すると、俺の目の前にいくつもの種が現れた。
種は植物判定ではないらしくて、種にするとこうして強制的に外に排出されてしまう。
今度はそれをクレアの前に持っていくと優しい風魔法で空高く吹き飛ばしてくれる。
多くの種はまるで雪のように湖の空から降り注いだ。
「わあ~! 綺麗~!」
リアちゃんも口を開いたまま可愛らしく両手で嬉しさを表現する。
降り注ぐ種が全て湖に落ちて、ゆっくりと水面からも姿を消していく。
とても幻想的な景色にもう一回やりたくなる。
ただ、こういうのは二回目は感動が減るものだからな。
敷物を片付けて、俺達は次の町に向かって歩き出した。
道の脇を歩きながら思った事は、思っていた以上に馬車の往来が多い。
ただの馬車だけでなく、荷馬車も多く通ってて商人の格好の人と護衛が荷馬車に乗っているのが見える。
王都を後にすると、堂々と奴隷を連れた人は見かけない。暗黙で了承しているだけで表立って賛同しているわけではないからね。
「アルマ様~! 向こうに泉がありますよ~!」
念のため常に道しるべの地図を意識しているので、近くの地形は大体把握している。
向こう岸の人が辛うじて見えるくらいには広い泉だ。どちらかというと湖か?
「少し休んで行こう」
「「は~い!」」
敷物を敷くとリアちゃんが不思議な魔法を敷物に掛ける。
本来なら風に煽られてしまう敷物が、全く動かなくなった。
「もしかして、敷物が飛ばないようにしてくれたのか?」
コクリと頷くリアちゃんが可愛くて、すかさず頭を撫でてあげる。
人や鳥と違って頭に耳があるので、撫でた時に耳も触れてしまう。
ソフィアちゃん曰く、獣人族は耳を撫でられるとものすごく気持ちいいらしい。
「それにしても疲れてないかい?」
今度は首を横に振る。
無理している――――――ようには見えない。
持ってきたバスケットの中から、サンドイッチを取り出して渡してくれるソフィアちゃんに聞く事にする。
「ソフィアちゃん。疲れてない?」
「いえ? 全く疲れていません」
いくら少し休みながらとはいえ、ここまでずっと歩き続けたのに不思議に思える。
「えっと、アルマ様。獣人族には誰でも獣神様の加護が与えられます。人族が成長加護が与えられるように、獣人族は移動に対して加護が与えられます。リアちゃんにもきっと獣神様の加護が与えられるいるのよね?」
首を縦に頷く。
「なるほど。その加護があれば、歩くだけならそれほど疲れないのか?」
「そういう事になります。重い荷物を持ったりすれば負担がかかるので疲れたりしますが、今の私達なら問題ないですね」
リアちゃんも自分の肌着や服を入れたリュックを背負っているし、みんなそれぞれ身軽にリュックを背負っている。
こういう時、俺が持っている道しるべの収納が使えればいいんだけど、これは植物専用アイテムボックスなので難しい。
野菜も入れられるし、時間が停止するから保存にも長けているので、王都で沢山購入してきた植物類が入っている。
料理担当のソフィアちゃんが必要な時に出してあげる予定だ。
「じゃあ、今度からは途中休みもなしで歩いても良さそうだね」
「はい。私達の心配をしてくださってありがとうございます。ちゃんと辛いときは辛いと言いますので!」
ソフィアちゃんの言葉に同調するかのようにリアちゃんも大きく頷いた。
シャリーはサンドイッチを妹弟たちにあげ終わったらしくて、自分の分を食べ始めていた。
彼女は冒険者でもあるし、歩くのは慣れてそうだから気にしなくても良さそうだ。
敷物の上で通り過ぎる涼しい風を感じながら湖を暫く堪能した。
道しるべの地図を何となく眺めていると、湖の下にもいろんな植物が生息していた。
採る人もいないだろうから、全部回収しておこう。
特典で獲得した『採取+1』のおかげなのか、採取した植物が一つに付き二つずつ収納されていく。
今までは採取した数分増えるのが、今では倍ずつ増えていく。増える数字がものすごく気持ちいい。
「アルマくん、変な笑い方してるよ?」
「はっ! 思わず、湖の下にある植物を全部取ってしまった…………」
「えっ!? 全部取った!?」
「増える数字が気持ちよくて…………」
「んも! ダメだよ? 湖の植物を食べて育つ魚だっているかも知れないでしょう!?」
叱られているのに膨れたシャリーが可愛くて怒られてる気がしない。
「そ、そうだった……今後気を付けます…………」
「ほら、種を作って撒くよ?」
「は~い」
湖から取った植物を種に変換すると、俺の目の前にいくつもの種が現れた。
種は植物判定ではないらしくて、種にするとこうして強制的に外に排出されてしまう。
今度はそれをクレアの前に持っていくと優しい風魔法で空高く吹き飛ばしてくれる。
多くの種はまるで雪のように湖の空から降り注いだ。
「わあ~! 綺麗~!」
リアちゃんも口を開いたまま可愛らしく両手で嬉しさを表現する。
降り注ぐ種が全て湖に落ちて、ゆっくりと水面からも姿を消していく。
とても幻想的な景色にもう一回やりたくなる。
ただ、こういうのは二回目は感動が減るものだからな。
敷物を片付けて、俺達は次の町に向かって歩き出した。
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