俺様幼馴染の溺愛包囲網

吉岡ミホ

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納涼ビアパーティー

納涼ビアパーティー①

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「お、着けてきた」
「坂上先生! なんですか、突然……」

 シーッ、と口に人差し指を当てながら聖くんの袖を引っ張り、人気のない方へ連れて行く。

 もうっ! 周りに聞こえちゃうじゃない!

 せっかく亮平がくれた指輪。今日はやっぱり外していこうかと思ったんだけど『絶対に外すな!』と厳命され、そのまま外さずに来た。まだ慣れなくてすぐに触ってしまう。

「いやー成功したんだ、亮平のプロポーズ。おめでとう! 正直俺、自分のことより心配したよ」
「ハハハ…………ご心配をおかけしました」
 
 やっぱり……。完全に聖くんが一枚噛んでるよね。もちろん雅ちゃんもだ。あの指輪がピッタリサイズなんてあり得ないもの。

 心配してくれたんだな。今は二人とも最高潮に幸せで忙しい時なのに、私達のことまで気遣ってもらって……。いつも底なしに優しい兄姉だ。本当に感謝しかない。

「けど……また派手に付けられたね。この暑さに不自然なハイネック。しかも、隠し切れてないし」

 うぅ……そうなのよ。
 昨夜は、亮平ったら盛り上がりすぎちゃって、朝になって鏡を見て吃驚した。ハイネックを着てるのに、隠れてない! 亮平のヤツ、やり過ぎよ! もちろん、プロポーズはすっごく嬉しかったけど……。

「フフフ……しばらく、お預けにしようと思ってるんです」

 そう言ってにっこり笑っておく。
 あ、聖くん顔が引きつってる。でもお預けされて当然だよね。

「結衣子、通常運転だね。安心したよ。幸せそうで良かった。雅にも報告してやって。心配していたから」
「うん! メッセージで少しだけ話したけど、週末にちょっとだけ雅ちゃんを借りるね」
「ああ。そうしてやってくれ」

 緩い空気がビアガーデンを包んでいる。
 この日は無礼講。上下関係なくみんなが盛り上がる。半分くらいは同窓会総会って感じかな。

 私の右隣には前任の前川先生。もちろん私がお誘いした。
 左隣には、4月に育休明けした山口先生だ。山口先生は、2人目のお子さんを出産した後、新年度に合わせて復帰された。
 出産後もしっかりお仕事されていて、うちに帰ればお母さん。今日は旦那様が子供達をみてくれているらしい。
 いいな、すごく憧れる。私もいつかそうなれるかな。亮平の赤ちゃんか……。
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